キヤノン RF70-200mm F2.8 L IS USM レビュー|自然風景の撮影でマストな一本

GOTO AKI
キヤノン RF70-200mm F2.8 L IS USM レビュー|自然風景の撮影でマストな一本

はじめに

こんにちは!写真家のGOTO AKIです。

今回は発売から約5年経過した現在も人気の望遠ズームレンズ、キヤノン「RF70-200mm F2.8 L IS USM」をあらためてレビューしてみたいと思います。軽量でコンパクトでありながら、優れた描写力と汎用性を備えたこのレンズは、風景写真においての様々な撮影シーンに柔軟に対応してくれる大事なパートナーです。実際の撮影体験や感想を交えながら、このレンズの魅力を詳しくレビューしていきましょう。

外観と携帯性

「RF70-200mm F2.8 L IS USM」を手に持ってみると、外観から受ける印象よりも小さく軽く感じるでしょう。以前のEFマウント版と比べ約410gも軽い、約1,070gという重さは長時間の撮影でも疲労を軽減してくれます。手に取った感触は滑らかで、フォーカスリングとズームリングはどちらもスムーズに回転し、リングのトルク感も程よく精密な操作が可能です。

Lレンズでは標準装備といっていい防塵防滴仕様も嬉しいポイントです。山や滝、海、湖畔などの厳しい環境で撮影することが多いのですが、このレンズならば多少の雨や湿気にも安心して持ち出すことができます。5年間活躍し続けているタフなレンズです。使用環境や移動の多さを考えると耐久性はかなり高いといえるでしょう。スイッチ類も他のRFレンズ同様に指の引っ掛かりがよく、操作性も良好です。

フードには開閉可能な小窓がついており、自然風景の撮影では必須のPLフィルターの操作も簡単。

全長は146mmと短いため、カメラバッグに収納しやすく縦入れでもはみ出ません。標準ズームレンズ「RF24-105 F4 L IS USM」とそれほど変わらないサイズ感ですね。自然の中の移動ではありがたいコンパクトさです。

シャープな描写と自然な色彩

「RF70-200mm F2.8 L IS USM」の描写力はLレンズらしく鮮明です。自然風景の複雑な曲線や表情を細かに捉え、色収差も極めて少なく自然な色彩が忠実に再現されます。

■撮影機材:Canon EOS R5 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F11 1/320秒 ISO800

焦点距離70mmで撮影したかつての石切場です。穴があいている箇所の水面の動きも細かにシャープに捉えています。

■撮影機材:Canon EOS R5 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F11 1/500秒 ISO400

透過光で浮かび上がる葉脈や木々の細かな枝を繊細に捉えた一枚。

■撮影機材:Canon EOS R5 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F5.6 1/1250秒 ISO400

遠方の氷柱を焦点距離200mmで引き寄せ効果で切り取った一枚です。鋭い氷柱の質感をくっきりと描写しています。

■撮影機材:Canon EOS R5 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F4 1/1000秒 ISO1600

流れる川の水面に木々の緑が反射する撮影シーンです。光の反射が繊細に揺れ動く水面を鮮やかに捉え、鮮やかさと自然さが共存する描写が印象的です。複雑な線を細部まで美しく表現してくれました。特殊コーティングにより、ゴーストやフレアも抑えられ、自然光の豊かな表現が可能です。このレンズのコントラストの高さと正確な色再現は望遠ズームの引き寄せ効果と合わせて、まるでその場にいるかのような臨場感をみる人に感じさせるでしょう。

使いやすいズームレンジ

■撮影機材:Canon EOS R5 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F16 60秒 ISO100

「RF70-200mm F2.8 L IS USM」は標準域に近い70mmから、被写体を目で見つけやすい200mmまでの使いやすい領域をカバーするレンズで、汎用性が高いのが特徴です。このズームレンジを活かして柔軟で自由な構図の設定が楽しめます。フレーミングのバリエーションが豊かなレンズです。川の水面の写真はNDフィルターを使用していますので、レンズそのものの描写力よりはフレーミングの作例としてご覧ください。

圧縮効果の表現

■撮影機材:Canon EOS R5 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F2.8 1/1000秒 ISO800

滝の撮影では、カメラとレンズを水面ギリギリに置き、F2.8の前ボケと望遠レンズの圧縮効果を同時に利用して水しぶきが舞う様子を高速シャッターでシャープに捉えました。自然風景が前に迫ってくるような感覚がうまれているかと思います。焦点距離は158mmです。撮影現場で液晶モニターの四隅を確認してシャッターを切っています。

最短撮影距離

■撮影機材:Canon EOS R5 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F5.6 1/400秒 ISO800

「RF70-200mm F2.8 L IS USM」の魅力の一つが最短撮影距離です。その距離は0.7m。望遠レンズというと遠景を撮るイメージが強いと思いますが、立ったまま草花などにも素早くピントが合います。足元などの近距離も撮影レンジに入ってくるため、守備範囲が広いのも魅力です。作例は冬の氷瀑にある氷の造形を最短撮影距離で撮影した一枚です。

F2.8のやわらかなボケ

■撮影機材:Canon EOS R5 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F2.8 1/3200秒 ISO800

朝の草むらに降りた露を撮影した際、背景が美しくぼけ、草に付着した露が立体的に浮かび上がりました。このレンズのボケは滑らかで、ハイライトが自然に溶け込み、全体にやわらかな雰囲気を作り出します。ボケとシャープネスのバランスが素晴らしいですね。

手ブレ補正と引き寄せ効果

■撮影機材:Canon EOS R5 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F5.6 1/50秒 ISO400

「RF70-200mm F2.8 L IS USM」は最大5段分の手ブレ補正機能が搭載されており、遠景の丘陵地帯や山々の風景の手持ち撮影でも安定したシャープな画像を得られます。作例は山にかかる雲と稜線のシルエットを焦点距離200mmで引き寄せ、シャッター速度を1/50秒で撮影しました。

■撮影機材:Canon EOS R5 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F5.6 203秒 ISO400

上の写真と同じシーンです。焦点距離200mmで引き寄せ、ND32000という15段落ちるNDフィルターを使用して、朝焼けでピンクに照らされる雲の動きをスローシャッターで表現しています。望遠ズームで気になる箇所を自由に切り取れるのがいいですね。フィルター径が77mmですので、フィルターを他のレンズと共有しやすいのも魅力です。

■撮影機材:Canon EOS R5 + RF70-200mm F2.8 L IS USM
■撮影環境:F2.8 1/1250秒 ISO100

こちらも焦点距離200mmで遠景を引き寄せた作例です。

動画でもズームレンジをフル活用

「RF70-200mm F2.8L IS USM」のズームレンジは汎用性が高く、一本で撮れる範囲も広いのが特徴です。作例動画は70mmで状況を捉え、200mmで気になった箇所を切り取っています。

まとめ

「RF70-200mm F2.8 L IS USM」のレビューはいかがでしたでしょうか。足元から遠景まで撮影範囲が広く、F2.8の明るさ、暗いところでも撮影が可能な手ブレ補正機能、望遠の圧縮効果と切り取り効果、そして細部まで描く描写力まで、高いレベルで安定したパフォーマンスを発揮するレンズです。望遠ズームとしては軽量コンパクトなのも魅力ですね。自然風景の撮影ではマストといってもよい一本ではないでしょうか。

 

 

■写真家:GOTO AKI
1972年 川崎生まれ。1993~94年の世界一周の旅から今日まで56カ国を巡る。現在は日本の風景をモチーフに創作活動を続けている。2020年日本写真協会賞新人賞受賞。日本大学芸術学部 准教授・武蔵野美術大学造形構想学部 非常勤講師・キヤノンEOS学園東京校講師。

 

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