#08 なんでもないただの道が好き 街撮り講座|コハラタケル

コハラタケル

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はじめに

みなさん、こんにちは。フォトグラファーのコハラタケルです。

「なんでもないただの道が好き 街撮り講座」8回目の記事です。

今回はアイレベルとローアングルによる情報の見え方の違い、そして情報は多いが色の数は整理する理由について話していきます。

ローアングルで見せたくない情報を隠す

まずはこちらの写真をご覧ください。僕が立ったまま撮影した写真です。

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■使用機材:富士フイルム X-Pro3 + XF23mm F1.4 R LM WR
■撮影環境:F5.6 1/500秒 ISO160
■モデル:五味未知子

次の写真もご覧ください。これは僕が座って撮影した写真です。

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■使用機材:富士フイルム X-Pro3 + XF23mm F1.4 R LM WR
■撮影環境:F5.6 1/500秒 ISO160
■モデル:五味未知子

2枚を見比べてみましょう。
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間違い探し感覚で2つの写真の違う部分を探してみてください。細かく見ると違いはほかにもあるのですが、僕が意識した部分はこちらになります。

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「木」「標識」ですね。このふたつの情報を写真に入れたくないと思いました。今回の写真を撮ろうとしたときの僕の心の声を書きます。

・中央にある花、綺麗だな。撮りたい!

・ビニールハウスのなかの情報も多いし、電柱(電線)もあるな……

・背景の建物たちはビビットなカラーがなくて◎ 右側の青色のネットやマンホールが気にはなるが許容範囲か。

・人物を入れることで情報はさらに増える。なるべく花と人物を目立たせるためには、それ以外の情報は削りたい。木も気になるが、とくに標識は入れたくない。

・ローアングルで撮影して、木と標識をビニールハウスで隠そう

上記のようなことを考えた結果、座って撮ることにしました。もう一度、写真をご覧ください。
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このようにローアングルにすることで自分が入れたくない情報を削ることが可能です。次の写真をご覧ください。

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■使用機材:富士フイルム X-Pro3 + XF23mm F1.4 R LM WR
■撮影環境:F5.6 1/250秒 ISO160
■モデル:五味未知子

最初と同じようにこれは立ったまま撮影した写真です。このシーンでもローアングルで撮影することで情報を減らすことが可能です。

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■使用機材:富士フイルム X-Pro3 + XF23mm F1.4 R LM WR
■撮影環境:F5.6 1/250秒 ISO160
■モデル:五味未知子

2枚を見比べてみましょう。
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同じ場所なのに立ったまま撮るか、座って撮るかで見え方が変わります。今回は僕がいる場所より、奥の仮設トイレが置いてある地面が高かったため、ローアングルでの撮影が効果的に働いています。

#03 なんでもないただの道が好き 街撮り講座 でも話しましたが、僕は日本の街撮りに関してはアイレベルだけでなく、ハイアングルやローアングルで撮影するようにしています。この2つのアングルを駆使することで見せたい情報と見せたくない情報を整理しています。

ただし、この仮設トイレが見えている写真に関してはローアングルで撮影していないほうの写真が好きです。こちらに関しては好みもありますし、僕は基本的に情報量が多い写真のほうが好きなのです。

モノとしての情報は多いが色は整理する

なぜ、先ほどの立ったまま撮影した情報量が多い写真のほうが好きなのか。そちらを話す前に情報が多いときに意識していることを話します。と言いましても意識していることはひとつしかありません。

「モノの情報は多いが色は整理する」

モノの情報は多いけど、色は少ない状態を作るのがベストだと思っています。モノとは何か? 今回の写真で説明していきます。

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このほかにも電線やプレハブ小屋? ですかね。右側にはアパート? マンション? 建物も見えます。

詳細はさておき僕が今回、話しているモノはこういうものを指すとわかっていただければ大丈夫です。

僕は無彩色(白・グレー・黒)、そして日本人の肌色に近いベージュは色の数に含めない場合が多いです。人物を含めた撮影をする以上、肌が見える可能性は高いため、もとから存在している色として扱うようにしています。

わかりやすいように無彩色とベージュを白ペンで消してみました。

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元の写真とも見比べてみましょう。
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どうでしょうか。こうして見ると、先ほど話したモノトーン+ベージュを削ると、モノの情報は多いものの、色の数はそんなに多くないのがわかると思います。

<広い範囲>
・赤
・青
・緑

<狭い範囲>
・オレンジ
・茶色

モノトーン+ベージュを除くと、この写真の広い範囲を構成している色は赤・青・緑の3色です。

「木の緑と奥の建物の緑は違いますよ」と言いたい方もいると思いますが、類似色であれば同じ色と考えるようにしています。

細かい色を挙げればキリがありません。そういうところまで気を配る人もいると思いますが、僕は細かい部分は気にしないようにしています。

さらに今回はモデルさんに着てもらっている服がモノトーンのため消していますが、それ以外の色の場合は色数に含まれますのでご注意ください。

細かく見すぎると現場の臨場感が損なわれる

あくまで僕が好きな写真についての話なのですが、僕は写真というのは無駄な部分があっても良いと思っています。なぜかというと綺麗に整えすぎるとその場の臨場感が失われていくからです。完璧な人間がいないように、写真も少しズレているほうが魅力を感じます。

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■使用機材:富士フイルム X-Pro3 + XF23mm F1.4 R LM WR
■撮影環境:F5.6 1/250秒 ISO160
■モデル:五味未知子
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■使用機材:富士フイルム X-Pro3 + XF23mm F1.4 R LM WR
■撮影環境:F1.4 1/500秒 ISO160
■モデル:五味未知子
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■使用機材:富士フイルム X-Pro3 + XF23mm F1.4 R LM WR
■撮影環境:F4.0 1/250秒 ISO160
■モデル:五味未知子

ただし、本当に無駄なものばかりを入れてしまうと、それはそれで魅力がなくなってしまいます。魅力がなくなるというのは、写真の技術的な部分が損なわれるということです。「素人が撮ったような写真なんだけど、実は考えられている」というのが僕の理想です。だから僕は色は整理しつつも、類似色に関しては良しとしています。

例えば、こちらの写真。

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■使用機材:富士フイルム X-Pro3 + XF23mm F1.4 R LM WR
■撮影環境:F4.0 1/250秒 ISO160
■モデル:五味未知子

背景情報を整理した写真です。こういう写真も好きなのですが、

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■使用機材:富士フイルム X-Pro3 + XF23mm F1.4 R LM WR
■撮影環境:F5.6 1/500秒 ISO160
■モデル:五味未知子

やっぱり僕はこういう写真が好きなんです。

おわりに

情報が多い中でも「これは写したくない」というものが各ロケーションで存在します。人によっては現地で判断できないこともあると思います。僕も同じです。だからこそ両方(今回でいうとアイレベルとローアングル)の写真を残します。情報が多い写真も撮るし情報を少なくした写真も撮ることで選択肢を残しておきます。残しておかなければ選択することすらできませんから。

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■モデル:五味未知子

■写真家:コハラタケル
1984年生まれ、長崎県出身。大学卒業後、建築業の職人を経てフリーのライターに。ライター時代に写真の勉強を始め、その後フォトグラファーに転身。企業案件の撮影ほか、セミナー講師や月額制noteサークルを運営している。ハッシュタグ#なんでもないただの道が好き の発案者。

コハラタケルさんの連載記事はこちら

#01 なんでもないただの道が好き 街撮り講座|コハラタケル
https://www.kitamura.jp/shasha/article/483346238/

#02 なんでもないただの道が好き 街撮り講座|コハラタケル
https://www.kitamura.jp/shasha/article/483447191/

#03 なんでもないただの道が好き 街撮り講座|コハラタケル
https://www.kitamura.jp/shasha/article/484139215/

#04 なんでもないただの道が好き 街撮り講座|コハラタケル
https://www.kitamura.jp/shasha/article/484640119/

#05 なんでもないただの道が好き 街撮り講座|コハラタケル
https://www.kitamura.jp/shasha/article/485002016/

#06 なんでもないただの道が好き 街撮り講座|コハラタケル
https://www.kitamura.jp/shasha/article/485619414/

#07 なんでもないただの道が好き 街撮り講座|コハラタケル
https://www.kitamura.jp/shasha/article/485890267/

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