スリム・シンプル・サイレントをコンセプトに1994年に発売された「FUJI ZOOM CARDIA SUPREME 3000」

坂井田富三
スリム・シンプル・サイレントをコンセプトに1994年に発売された「FUJI ZOOM CARDIA SUPREME 3000」

はじめに

今回セレクトしたカメラは、1994年に発売されたコンパクトフィルムカメラ「FUJI ZOOM CARDIA SUPREME 3000」です。1994年頃のコンパクトフィルムカメラの主流は2~3倍ズームの機種が各メーカーから発売されていた時期になります。その中でも「FUJI ZOOM CARDIA SUPREME 3000」は、普及機として比較的お求めやすい価格で販売されていたカメラです。

今回の撮影に使った「FUJI ZOOM CARDIA SUPREME 3000」は実家の整理をしていた際に出てきたカメラで、保存状況が良く30年ほど経過したものとは思えないくらい程度の良い状態で自分でもびっくりしました。そんな30年前のズームコンパクトフィルムカメラ普及機がどのような写りをするのか楽しんでみました。

FUJI ZOOM CARDIA SUPREME 3000の基本スペックと特徴

「FUJI ZOOM CARDIA SUPREME 3000」は、1994年に発売されたコンパクトフィルムカメラです。レンズは38-105mmのズームレンズ搭載で、35mm標準サイズとパノラマサイズの途中切り替え方式が採用された普及型のカメラです。この時期はパノラマサイズの撮影・プリントが少し流行っていて、各社のフィルムコンパクトカメラには、パノラマ途中切り替え機能がほぼ搭載されていました。

普及機といっても、オートフォーカスは450ステップの細かさで動作し、ズーム連動のファインダー内2分割測光方式を採用していて、誰でも扱いやすいカメラです。

使用フィルム 35mmフィルム
画面サイズ 35mm標準サイズ/パノラマサイズ切り替え式
レンズ フジノンズームレンズ 38~105mm F3.5-9.2 (4群4枚)
ピント合わせ パッシブオートフォーカス(0.6m~∞)
シャッター プログラム式電子シャッター(2.4~1/500秒)
露出調節 自動調節(TTF2分割測光)
フィルム感度 DX自動設定(ISO25,50,100,200,400,800,1600,3200)
フィルム装填 オートローディング
電池 3Vリチウム電池(CR123A)2個、デート用電池(CR2012)
大きさ 幅 132mm × 高さ 66mm × 奥行 46mm
質量 278g(電池別)
価格 本体50,000円
発売年月 1994年
ボディ上部には、ズームレバー・シャッターボタン・フラッシュモード切り替えボタン・赤目軽減ボタン・セルフタイマーボタンと撮影枚数などを表示する液晶画面
液晶画面は焦点距離表示や撮影枚数、フラッシュモードの状態を表示する
裏ブタを開けた状態。背面上部に電源ボタンとパノラマ切り替えスイッチ
使用する電池は比較的に入手のしやすい「CR123A」2本
裏ブタ面はフィルム表示窓とデート表示(デート表示は2019年までとなっている為、OFF表示)
パノラマ切り替えレバー。パノラマ撮影モード中は、ファインダー内もパノラマサイズに変わる
パノラマサイズに切り替えた状態の内部、上下にパノラマ用のマスクがかかりパノラマサイズで露光する状態になる

この頃のパノラマサイズは、フィルムの露光する部分を上下マスクして露光するタイプなので、実際には撮影できる画角がワイドに写るわけではなく、プリントする際に引き伸ばしてプリントするものでした。ちなみに通常のLサイズプリントは「89mmx127mm」。パノラマサイズプリントは「89mmx254mm」です。

FUJI ZOOM CARDIA SUPREME 3000でスナップ撮影

■撮影環境: ISO400 焦点距離 38mm
■使用フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400 ※フジカラーCDでデータ化

「FUJI ZOOM CARDIA SUPREME 3000」を持って、街中スナップ撮影をしてきました。「FUJI ZOOM CARDIA SUPREME 3000」は38-105mmズームのフイルムカメラですが、3倍ズーム相当のカメラの大きさはこの頃の標準的サイズです。レンズはフラットな状態で収納されるため、カメラの凹凸が少なく携帯性には優れています。

普段スマホの撮影に慣れていると、38mmスタートの画角は少し扱いづらいと感じるかもしれません。スマホの標準的な画角は26mm相当ぐらいのものが多く、更にワイドなものも多くあります。また人気のレンズ付きフイルムカメラ「写ルンです」の焦点距離は32mm相当です。

画像データは、現像と同時にフジカラーCDでデータ化したものを使用しています。

■撮影環境:ISO400 焦点距離 70mm
■使用フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400 ※フジカラーCDでデータ化
■撮影環境:ISO400 焦点距離 105mm
■使用フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400 ※フジカラーCDでデータ化
■撮影環境:ISO400 焦点距離 105mm
■使用フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400 ※フジカラーCDでデータ化
■撮影環境:ISO400 焦点距離 105mm
■使用フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400 ※フジカラーCDでデータ化
■撮影環境:ISO400 焦点距離 105mm
■使用フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400 ※フジカラーCDでデータ化
■撮影環境:ISO400 焦点距離 38mm
■使用フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400 ※フジカラーCDでデータ化

上の写真は昔の街並みを再現している模型を撮影したもので、最短撮影距離60cm相当で撮影したものです。室内で暗かったのでフラッシュがオートで発光しています。フラッシュに関しては、電源をいれたデフォルトで常にオートの状態になるので、暗い環境での撮影であればカメラが自動的に判断してフラッシュの発光を制御します。意図的に強制発光や強制OFFにする場合は、都度カメラ上部にあるフラッシュのボタンで切り替えする必要があります。

因みにパノラマ撮影したコマですが、今回のフジカラーCDでデータ化したものは上下のマスクが写り込んだ状態でデータ化されています。

■撮影環境:ISO400 焦点距離 38mm  パノラマモード撮影
■使用フィルム:フジカラー SUPERIA PREMIUM 400 ※フジカラーCDでデータ化

ケンコー 5インチ液晶フィルムスキャナー「KFS-14DF」でフィルムスキャン

フィルム現像した際に同時にフジカラーCDでデータ化したのですが、フジカラーCDでデジタル化された画像は「1840×1232ピクセル」の約200万画素とやや小さい為、ケンコーのフイルムスキャナー「KFS-14DF」で再度デジタルデータとしてスキャンしてみました。

このフイルムスキャナー「KFS-14DF」はパソコン不要で、簡単操作で直接SDカードに1300万画素のイメージセンサーでフィルムスキャン(35mmフィルムでは有効画素数1240万画素)します。記録される画像データ「5728×3824ピクセル」で画像形式はJPEGです。

フィルムのスキャン作業は非常に簡単で、ガイドに合わせてネガを差し込んで撮影ボタンを押すだけ。スムーズにネガを画像データ化する事ができます。

パソコン不要でSDカードに直接スキャンデータを保存できる
ケンコーのフイルムスキャナー「KFS-14DF」でデータ化した画像
フジカラーCDでデータ化した画像

上の2つの画像は同じフィルムから、ケンコーのフィルムスキャナー「KFS-14DF」でデータ化した画像とフジカラーCDでデータ化した画像データになります。色味の違いは多少ありますがサムネイルレベルだと大きな違いは感じられません。しかし拡大してみるとやはり記録画素数による違いがわかります。

左:ケンコーのフイルムスキャナー「KFS-14DF」 右:フジカラーCDでデータ化した画像

沢山のネガを持っていて、自分で必要なコマだけデジタルデータとして保存したい方、またはフジカラーCDよりもう少し高解像度でデータを保存したい方には、フイルムスキャナーは非常に便利なツールなので、導入を検討してみても良いかもしれません。

まとめ

「FUJI ZOOM CARDIA SUPREME 3000」は、大きな特徴も無く普及機のコンパクトフィルムカメラだったので、現在の中古市場でも、お手頃価格で販売されています。手軽にフィルムコンパクトカメラでの撮影を楽しみたい方などの入門用にピッタリなカメラです。

またフィルムで撮影したネガをデジタルデータ化する方法も、お店で手軽にフジカラーCDにする他に、今回の様なフイルムスキャナーを使用してご自身でその過程を楽しむ方法もあるので、自分にあったフイルムライフの楽しみ方を見つけてみてください。

 

 

■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師

 

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