富士フイルム「INSTAX Pal」でシンプルにチェキを楽しもう!|水咲奈々
手のひらサイズの小さなカメラ「INSTAX Pal」は、撮ることに特化した新感覚のチェキです。本体側で操作できるのは電源とシャッターのみという、シンプルな構造でありながら、スマホアプリを使えば様々な設定やフィルターなどの使用が可能で、楽しみが広がる懐の深さも持ち合わせている、INSTAXシリーズ史上最小サイズのカメラです。
今回は、2023年10月5日に発売された本機の使い方と魅力についてレビューいたします。
とにかくちっちゃい!
本機の特徴は、この小ささ。本体の大きさは42.3×44.4×43mmで、モデルが持っている写真をご覧いただけばおわかりになると思いますが、手のひらサイズを通り越して指でつまめるサイズです。
重さは約41gで、この小さなボディの中に1/5型CMOS原色フィルターの撮像素子が入っており、画素数2560×1920ピクセルのJPEG写真を撮ることができます。
ボディ正面には35mm判換算16.25mmの超広角レンズがあり、スマホアプリを使うか、背面の撮影ボタンを押すことでシャッターが切れます。上にある白いボタンは電源ボタンで、電源オン・オフの初期設定の音がとても可愛らしく、撮影の前後も楽しませてくれる仕様になっています。
カラーバリエーションはミルキーホワイト、パウダーピンク、ラベンダーブルー、ピスタチオグリーン、ジェムブラックの5種類。ジェムブラックだけツヤ感のあるガンメタリックっぽい質感となっており、その他のカラーはスモーキーな色合いです。
かわいい!チェキフレーム付きの写真
本機で撮影した写真は、専用アプリ内にチェキフレーム付きで自動転送されます。アプリ内のギャラリーに撮影した写真が表示され、そこからスマホのカメラロールに保存してSNSなどにアップすることも可能です。
今回はINSTAX mini用のフィルムサイズで保存していますが、撮影後にSQUARE、WIDEに変更も可能。テキストやステッカーを追加したり、写真の拡大縮小、回転、明るさ、コントラスト、彩度の調節もできます。
超広角レンズは自撮りも楽々
35mm判換算16.25mmの超広角レンズは、手を伸ばして自撮りをしても、自分の顔が大きく写りすぎることがありません。付属の多機能リングアクセサリは、自撮り時の落下防止策として指を通したり、スマホを使ったリモート撮影時に角度調節のスタンドとして使用すると便利です。
カメラ正面から見て左上についている3つの穴はスピーカーです。電源のオン・オフ時の他にシャッター音が出るのですが、このシャッター音は専用アプリ内でオリジナル音声を録音して、撮影時にその音を流すこともできます。
シャッター音はひとつのグループに最大5つのボイスを登録でき、撮影時にランダムで流れるという、遊び心のある仕掛けです。
フラッシュはオンにして自動発光がオススメ
カメラ正面から見て右上には、内蔵フラッシュがついています。こちらはオートフラッシュにしておくと、明るさの足りないところでは自動的にフラッシュ撮影してくれるので、ONにしておくのがオススメです。小さい割にはなかなか強烈なフラッシュで、薄暗い室内くらいでしたら、このフラッシュのお陰でブレずに綺麗に撮影されます。
記録メディアは、microSD/microSDHCメモリーカードが使用できます。内蔵メモリーも50枚撮影できるので、別途メディアの持ち合わせがなくても、購入してすぐに撮影できるのは有り難いですね。
盛れるフィルターも沢山!18種類の加工フィルター
本機に搭載されている18種類の加工フィルターは、肌を綺麗に見せてくれたり、ふんわり感を増してくれたりと、盛れるフィルターが沢山あり、撮影後にじっくりとセレクトするととても楽しいです!撮影時にも設定できるのですが、さっと取り出して、パッと撮る!をコンセプトにしたいカメラなので、撮影後にお友達とあれこれ言いながら設定するほうが向いていると思います。
ここから、筆者オススメのフィルターをご紹介します!
定番のモノクロフィルター
懐かしいレトロイメージ満載の「Sepia」フィルター。逆光のときや、コントラストが高い撮影時に使用するとドラマティックなイメージになります。
白黒のフィルター「Monochrome」は、コントラストが高すぎない人物写真にピッタリの設定になっており、肌のデコボコを強調しない、美肌感もアップしてくれるフィルターに仕上がっています。
美人度アップの美フィルター
全体のふんわり感を増しつつも、彩度を下げすぎていないので鮮やかさもある「Elegant」は、今回一番お気に入りのフィルターでした。全体をソフトなイメージにしたいけど、赤やピンク色などの暖色をくすませたくないときに使用すると、人物の肌は柔らかく描き、全体のカラフルさを損なわない派手目な表現をしてくれます。
「Fresh」は輪郭をシャープに描いてくれるので、髪の毛やマツゲのシャープさが際立ちます。セーターの網目の表現も繊細。衣装をしっかり見せたいときや、背景までくっきり描写したいときにオススメのフィルターです。これだけくっきり感があるのに、肌は綺麗に表現してくれているのが不思議!
前述の「Fresh」に、ほんの少し明るさと赤味を足した「Summer」は、日本人の黄味がかった肌色に乗せると健康的な色味になり、その名の通り、夏の元気さを演出してくれます。くっきりさは少し減り、ふんわり感が増します。大人数で撮影して、一人一人の顔の大きさが小さくなってしまったときなどに使用すると、みんなの顔が明るく健康的に見えます。
自撮りで女性が使用するフィルターに迷ったら、「Soft」にしておくと失敗はありません。全体に薄い白いヴェールがかかったような描写となり、くっきり感は減りますが輪郭をソフトに描くので、目の下や鼻の下の影が薄くなります。逆光で使用すると更にふんわり感が増すので、構図内に太陽や電球を入れるのがオススメです。
写ルンですっぽい!?簡易ファインダー撮影
付属のリングアクセサリは、カメラの上部に装着することもできます。こうすることで簡易ファインダーとして使用でき、ここを覗くことで、どんな構図になっているかを想像しやすくなります。とはいっても、そこまで厳密に構図の確認はできないので、なんとな~くこんなかな~?という感じのファジーなファインダーとして使用すると、また違う楽しみ方ができます。
スマホを使用することで構図を確認しながら撮影できますが、写ルンですのように、何が撮れているかわからない撮影を楽しむのも、このカメラの醍醐味だと思いますよ。
INSTAX mini Link 2でプリント!
本機で撮影した写真を「INSTAX mini Link 2」でプリントしてみましょう。まずはプリントする写真を選び、「INSTAX mini Link 2」の電源を入れます。スマホアプリ右上のプリントマークをタッチ。
今回プリントする機種は「INSTAX mini Link 2」なので、「mini Link」マークをタッチしてアプリを起動(もしくは初回はインストール)しましょう。
「mini Link」アプリ画面でもテキストやステッカー、フィルターなどの調節は可能です。ここでは「INSTAX Pal」のアプリ内で調節は完了させていたので、そのままプリントします。
このプリントが出てくる音がまた、ワクワク感が増して楽しいのですよね。プリントされたものは画が出てくるまで振ったりせずに、平らな所に置いておきましょう。
本体底面のスイッチをLinkモードに切り替えれば本体から直接プリントすることもできるので、アナログチェキカメラと同じような使い方もできますよ。
ここでご紹介した以外にも、撮影した写真をアニメーション化してくれる「INSTAX Animation」や、インターバル撮影、カメラに名前をつけて育てることで「INSTAX Pal」からプレゼントが届く育成機能など、ちっちゃなボディには沢山の遊び要素が詰まっています。実際に手に取ると、その楽しさと可愛らしさを実感できると思います!
■モデル:蒼乃ありす
Twitter:https://x.com/alice_aono
instagram:https://instagram.com/alice_aono
■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。日本写真家協会(JPS)会員。