能登の、光と影とおいしい旅の報告|鈴木さや香

鈴木さや香
能登の、光と影とおいしい旅の報告|鈴木さや香

はじめに

能登は今どんな季節を迎えているのだろうか。
ニュースを見ながら、石川県出身の友人なっちゃんに電話をかけると、すぐにこの「おいしい旅1泊2日」が決まった。
彼女はボランティアで何度も現地に赴き、経過を見てきた。私はそのことを、ほんの少し前に知ったのだった。

「私、能登に行ったことないんだよ。行こう!牡蠣食べに行こう!」
ただ、それだけの思いのまま、食い倒れの旅と称し、カメラは富士フイルムのX-S20と、instax WIDE Evoを持ち、それにマルミフィルターのアルプスパンチ!と、なついろパンチ!と、ホワイトパウダーミスト1/4を用意し、お土産を持ち帰るためのトランクを転がしながら新幹線に飛び乗った。

X-S20は今回撮影するメインのカメラなのだけれど、instax WIDE Evoはカメラ+プリンターとして同行してもらった。
プリントができるこのカメラ。その場で人に渡したくなるかもしれないから。

浜焼き

FUJIFILM X-S20 + SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary + なついろパンチ!

金沢駅に着くと、真っ先にお腹を海鮮で満たすため車を走らせた。
日本で唯一浜辺を一般車が走れるという”千里浜のなぎさドライブウェイ”。潮風が吹く美しい景色の先に、レストハウスが!

FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + なついろパンチ!
FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + なついろパンチ!
instax WIDE Evoのプリント機能

牡蠣や、色んな海鮮の浜焼きが食べられる、おいしい場所!

FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + なついろパンチ!

広めなのでゆったりと堪能でき、お土産コーナーも充実している。
食べ終えてから、七尾市を通りつつ、珠洲市まで移動予定。

お宿

FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + ホワイトパウダーミスト1/4

曇っていると北陸感が増すようで。
重たい泣き出しそうな雲が山に下りてきていた。
畑からの土の匂いの風が、なぜか懐かしい思いにしてくれた。

途中、”能登食祭市場”で、能登牛乳入りの濃厚ソフトクリームを食べると、口のなかは牛乳の宝石箱に!
これは、すごい!これは、すごいね!となっちゃんも私も大興奮。

FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + なついろパンチ!

牡蠣とソフトクリームの写真をプリントしてなっちゃんに渡した。
旅の思い出はすぐに共有したい(特においしかったもの!)

FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + ホワイトパウダーミスト1/4
FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + ホワイトパウダーミスト1/4

道はとても安定していて、長い時間の運転も、きれいな景色に魅了されつつ旅館に無事到着。
珠洲市能登最北端のお宿。

FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + アルプスパンチ!

大漁旗が飾ってある。旅館は船を持っているらしくて、お刺身も美味。
せっかくなので能登のお酒の宗玄も一緒に!
宿の方もとってもやさしくて、色んなお話をしてくれた。

今日のところは、日の出を眺めるために、早めの就寝ZZZ

FUJIFILM X-S20 + SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary + ホワイトパウダーミスト1/4

暗いうちから”禄剛崎灯台”の山にのぼって、雲間を游ぐ光を眺める。
鳥がたくさん海の向こうへ渡っていく。

FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + なついろパンチ!

ここで、instax WIDE Evoのカメラ機能で灯台の写真を撮ってみた。旅の最中、カメラを変えて撮るって、なかなかできないことも多い。
それは、きっと心が急いでいるからだ。

この禄剛崎灯台では、朝日と鳥と雲なっちゃん、それから私だけ。
波の音がザーンザーンと聞こえるゆっくりした時間だったから、ちょっと遊んでみようと心に余裕ができた。

デジタルフィルターとフィルムエフェクトを使って。
二重露光×アンバーをかけ合わせると雲海のような感じに。

ライトグリーン×ライトプリズムをかけ合わせるとまた違う雰囲気に。

 

なっちゃんに渡すと、すっごい喜んでいた。こういうシェアの仕方っていいよねと思う。
この写真を眺める度に、禄剛崎灯台からの雄大な眺めと風を思い出すね、きっと。

それから宿に帰って、追加でプリントをして、ご主人にお礼兼ねがね渡してみた。

ご主人は笑顔で写真を受け取ってくれた。
喜んでもらえたのかな?そうだったらいいな。

見附島

さて、車で出発。まずは”須須神社”へ。

FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + なついろパンチ!
FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + なついろパンチ!
FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + なついろパンチ!

神聖な空気が漂っているみたいで、何かに挨拶をするように頭を下げてしまう。
絵馬を書いて、参拝をした。

FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + なついろパンチ!

しばらく行くと素敵なオブジェが砂浜に。

FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + なついろパンチ!
FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + なついろパンチ!

道の駅すずなりで買った塩サイダーは、塩の味。
夏に思いっきり飲みたい能登の味がした。

FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + なついろパンチ!

そして”見附島”に到着。
この島は能登を象徴する島なのだそうで、崩れた姿を地元の人も、隣にいるなっちゃんも悲しそうに眺めていた。
「崩れちゃったんだね。。。」声にも元気がない。

でも、私は、はじめて見た見附島が、美しくて美しくて。
「今もとっても、きれいだよ!海も、島も、どこもかしこも美しい!」
と、今の姿でも十分魅力的だと思った。
形が崩れて、多くの人の記憶の姿と変わった見附島。
でも、私は初見だし、いい意味でよそ者なので、今を目いっぱい肯定することができる。

つばき茶屋

そして、ランチに”つばき茶屋”へ。

FUJIFILM X-S20 + SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary + ホワイトパウダーミスト1/4

メニューは石に書いてあって、金額は裏返す。
遊び心いっぱいのおもてなしがおちゃめで素敵。

FUJIFILM X-S20 + SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary + ホワイトパウダーミスト1/4
FUJIFILM X-S20 + SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary + ホワイトパウダーミスト1/4

イカ様定食とでまかせ定食、それからお刺身の盛り合わせを頼み。
眼福、満腹、食べ終わるのがもったいないねと言いながら完食。

FUJIFILM X-S20 + SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary + ホワイトパウダーミスト1/4

つばき茶屋さんの名刺変わりは、小石。
可愛らしいつばきの絵がひとつひとつに書いてある。
番匠のさとみさんとツーショットを撮ったら、後日送ってくれた。嬉しかったので、プリントして飾った。

帰路

さて、さて、
次は輪島市の”白米千枚田”へ。

FUJIFILM X-S20 + SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary + なついろパンチ!

小さな田んぼが重なって、海岸までつづく千枚田。田植えの季節がもう少しで到来。
お水が張られて、青々とした稲がそよぐ、そんな景色を思い浮かべ。
旅も終盤。

FUJIFILM X-S20 + SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary + なついろパンチ!

やって来たのは能登線の”能登鹿島駅”。
通称さくら駅。
かわいい駅舎と、ホーム。

FUJIFILM X-S20 + SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary + なついろパンチ!
FUJIFILM X-S20 + SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary + アルプスパンチ!

さくらがホームにはらはらと散っていて、なんとも幻想的で美しい景色だった。

FUJIFILM X-S20 + SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary + アルプスパンチ!

後ろ髪を引かれる思いで、帰路へ。
”千里浜のなぎさドライブウェイ”に再び戻る。

FUJIFILM X-S20 + SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary + ホワイトパウダーミスト1/4

ちょうど夕陽が沈むところ、浜辺には車輪のあとが遠くまで広がっていて、それはとてもドラマチックで、このまま地球を1周してみたいと目を細めながら見惚れてしまった。

FUJIFILM X-S20 + SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary + なついろパンチ!

お土産もいっぱい買ったことだし、さあ、帰ろうか。
トランク半分空けてきてよかった。
日本酒がもう数本入らないだろうかと試行錯誤(笑)

FUJIFILM X-S20 + XF35mmF1.4 R + ホワイトパウダーミスト1/4

もっと長く滞在したかった。
どこに行っても、誰もがやさしくて。
イルカが内海に18頭棲んでいることや、能登のイカを使った醤油「いしる」の使い方を、見ず知らずの私たちに丁寧に教えてくれた。

隣でうなずくなっちゃんは、ボランティアで来ていた1年前よりも大きく前進していると喜んでいた。

まとめ

今回の旅のことが、北國新聞社の目に留まり、4月23日の夕刊の1面、また4月24日の朝刊にもカラーで取り上げられた。
そこには「今行ける能登」首都圏に。写真家が現状を伝え。
被災者に配慮 破損道路、更地撮らず。
と大きく見出しが書いてあった。

それは、そのくらいに、能登を忘れないでいてほしいという想いだと理解したし、過去も大切だが、今を、現状をしっかり見続けてほしいという訴えなのだと思った。

今回訪れたのは、春だけど、きっと夏も、秋も、冬も、美しくおいしいに違いない。
清らかな光が存在している能登に、またすぐ訪れたいと思う。

 

 

■撮影協力:
能登千里浜レストハウス
禄光旅館
つばき茶屋

 

■写真家:鈴木さや香
東京造形大学環境計画造形学部卒業。ストロボワークを得意とし、広告から日常まで撮影する写真作家。独自の技術面からコンセプトまでの提案を得意とし、セミナーや講演も多数。本や雑誌での執筆、写真展の開催、アトリエ「AtelierPiccolo」を営みながらの作品の販売など、幅広く活動。近年、マルミ光機と共同開発商品のアルプスパンチ!なついろパンチ!はTVなどに取り上げられ、海外での展開が始まっている。著作に『日常写真が楽しくなるノートブック』など。

 

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