富士フイルム XF35mmF1.4 R レビュー|富士フイルムが誇る。大人気の神レンズ
発売以来ずっと人気の「神レンズ」
富士フイルムXF35mmF1.4 Rは、富士フイルムXマウント用の単焦点レンズです。
発売されたのはX-Proシリーズの初代である“X-Pro1”と同日の2012年2月で、執筆時点でちょうど8年と長い月日が経っています。
X-ProシリーズといえばXシリーズ初となるレンズ交換式のカメラで、レンジファインダータイプが特徴的なカメラであることは、昨年発売されたX-Pro3の記事でもご紹介しました。
「ファインダーを覗いて撮影すること」に注力したカメラと同時に発売したことを考えると、「X-Pro1と一緒に使って、撮影を楽しんでほしい」というメッセージのようなものを感じます。
X-Proシリーズは先述した通り、Xマウントの中でもプロフェッショナルモデルとして位置付けられているカメラです。昨年には“メインの背面モニターが内側に格納されていること”が話題となったX-Pro3を発売し、3代目までモデルチェンジしています。
対して本レンズは同時に発売されていますが、8年経った現在でも現行機種として発売されており、モデルチェンジをしていません。
人気が衰えることはなく、むしろ銘玉が揃うフジノンレンズの中でもトップクラスの人気を誇っています。
今回は本レンズが8年経ってもトップクラスの人気を得ており、富士フイルムユーザーはほとんど持っているのではないか(あるいは持っていた)と思うほどで、別マウントのユーザーでさえも“神レンズ”として評する魅力をお伝えしたいと思います。
ボディはX-Proシリーズで最新モデルの、X-Pro3を選択しました。作例を交えてご紹介しますのでぜひご覧ください。
外観チェック
まずは本レンズの外観をチェックしていきましょう!
外観を見てまず思ったことは、F値が1.4のレンズであることを考えると、非常にコンパクトに仕上がっていることです。さらにフードを含め、外装素材に金属を使用したことで、高級感がある仕上がりになっています。
XマウントはAPS-Cサイズのセンサーですから、35mmフルサイズ換算をすると焦点距離は53mm相当となります。
焦点距離53mm相当のレンズということで、普段使いはもちろんスナップやポートレートなど、あらゆるジャンルの撮影でもこなせる汎用性があります。
幅広い撮影シーンをこなせるだけに、持ち出す機会が多くなるため、レンズ本体はできるだけ軽量・コンパクトな造りが良いですよね。
本レンズのように軽量・コンパクトな造りであれば、常用レンズとしてもピッタリですし、「使うか分からないけど、とりあえず持っていこう」と念のため持っていくのにも、苦に感じないサイズと言えるでしょう。
絞りリング
製品名の最後についている「R」は、レンズマウント側にある絞りリング機構を採用していることを指しています。絞りリングを回すことでF1.4からF16までの絞り値を変更でき、感覚としてはクリック感のあるものになっています。
動画で使用すると録音環境によっては音が入る可能性があり、設定によっては露出がカクつくことも考えられますが、静止画の撮影においては中途半端な位置で止まらない良さがあります。
ずっしりしているように感じるが、実は軽い
スナップや旅行時に持っていくレンズを考える際に、サイズはもちろんですが重量も大きな検討材料ですよね。
たとえ高性能でもサイズが大きすぎる場合や、重量が重すぎるレンズだと持ち出す頻度が少なくなってしまうなんてこともあります。折角の高性能なレンズも持っていかなければもったいないです。
富士フイルムには同じ焦点距離のXF35mmF2 R WRがあります。こちらのレンズは名前に「WR(Weather Resistantの略)」とある通り、防塵防滴性能を備えているレンズですが、小型軽量で重量はなんと約170gです。
さらに2020年2月27日には、XF35mmF2 R WRと同じレンズ構成でありながら、絞りリングや防塵防滴性能のないプラスチック外装にすることで、軽量化を図ったXC35mmF2も発売されました。
気になる重量は約130gとXF35mmF2 R WRよりも軽量となっています。
一方で本レンズはというと、重量は約187g。F1.4のレンズであることを考えると実に軽量で、XF35mmF2 R WRやXC35mmF2と比べても大きな差はないように感じます。
描写力が非常に高いうえに軽量なので常用はもちろん、旅行時のもう一本として持っていくのにも良いですよね。
もちろんXF35mmF2 R WRも良いレンズなので、「防塵防滴性能が必要なときは、XF35mmF2 R WR。より大きなボケや描写性能を求めるときは、XF35mmF1.4 R」というように使い分けるのも良いでしょう。
開放F1.4と高い描写性能
外観をご紹介しましたが、本レンズの魅力はなんといっても開放F1.4から得られる美しいボケ感と、まるで目の前に被写体がいるかのようなクリアな描写力があることでしょう。
まずはボケ感ですがAPS-Cサイズのセンサーに加えて、開放F1.4のおかげで豊かなボケ感です。
よく「APS-Cで約50mm F1.4ってボケ量はどう?」という声を聞くこともあります。使用した感じですが、ボケ量は十分に作り出せると感じました。しかし、個人差も大きいので実際にお試しいただくのが良いでしょう。
また、開放からでもピント面の解像度が非常に高いことも素晴らしいです。ボケ感が良いことも相まって、被写体をより美しく引き立ててくれます。
開放F値1.4の恩恵はボケだけではありません。光量が少ないシーンを撮影する際は、できるだけISO感度を上げたくないですよね。
F2レンズと比較すると1段分多く光量を確保できるためISO感度も抑えられ、暗所でもノイズの少ない写真が撮りやすくなるのも嬉しいポイントです。
玉ボケ
次は点光源の背景をぼかしたときに得られる玉ボケについて見ていきましょう。作例はF1.4で撮影したものです。作例を撮影した時は、外側にいくにつれてレモン型のようになる口径食が見受けられました。
また非球面レンズを使用したレンズで見受けられる、玉ねぎボケ(玉ボケの中に円形のシワがある状態)ですが、こちらは中心部の一部に玉ねぎボケが見受けられました。しかし周辺にかけて薄まっていくような印象です。
逆光耐性
テスト撮影で試して思ったのですが、本レンズは比較的逆光に強いように感じました。特にスナップやポートレートでは、逆光のシーンを絞り開放で撮影することもありますから、逆光に強いのは嬉しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
風景を撮影する場合は絞って使用することが多いと考えられますので、絞って撮影しました。こちらも開放と同様に目立つゴーストやフレアは見受けられず、クリアでヌケの良い描写で撮影できました。
意外と寄れる
特にテーブルフォトやスナップ、ブツ撮りで重要視される最短撮影距離ですが、本レンズの最短撮影距離は28cm、最大撮影倍率は0.17倍で意外と寄れる印象です。
XF35mmF2 R WRの最短撮影距離は35cm、最大撮影倍率は0.135倍なので、より被写体に近づいて撮影することができるのは非常に嬉しいポイントです。
AFスピードは遅い?
描写性能の良い本レンズですが、使用していて気になることもありました。
まずは、よく聞く「AFスピードが比較すると遅いと感じる」という点についてです。
本レンズはオートフォーカスでピントを合わせるごとに、レンズ群を動かす全群繰り出し方式を採用しています。
レンズ群ごと動かすことで、ピントの位置が変わっても収差を抑えることができ、より高品質な描写を可能にしました。一方で描写力の高さを優先する全群繰り出しは大きなレンズ群を動かすため、AFスピードが遅いように感じる場合もあります。
インナーフォーカス方式とステッピングモーターを搭載しており、「スッ」とピントが合う印象のXF35mmF2 R WRと比較すると、本レンズは「ガガッ」と少し引っかかるような感覚でAF駆動する時もありました。
しかしAFの速さは個人差によるものが大きく、本レンズも使用者によって「速い、遅い」が変わると思います。ぜひ店頭でAF速度を試してみてください。私は使用していて「遅いな」と気になることはありませんでした。
X-T4では手ブレ補正対象レンズ!
先日発表され、新しい機能を搭載したことで話題のミラーレスカメラ「X-T4」では、これまでX-H1のみに搭載されていた“ボディ内手ブレ補正機構”を搭載しました。(発表時の記事はこちら)
すでに発売されているX-H1でも手ブレ補正の恩恵は受けられますが、X-T4では5軸6.5段分の手ブレ補正機構の恩恵を受けられるため、スローシャッターやローアングルの撮影時など手ブレしやすいシーンでもブレを極力防ぐことができ、撮影の幅がより広がります。
さらに、筆者がスナップ撮影でかなり相性が良いと感じている「クラシックネガ」も搭載しているので、より多くの表現ができるのも嬉しいですよね。本レンズはスナップでも使いやすいため、ぜひお試しいただきたいところです。
新フィルムシミュレーションの「エテルナブリーチバイパス」との相性も非常に気になります。
撮影後記
作例撮影ではボディにX-Pro3を選んだこともあり、X-Proシリーズのコンセプト通り「ファインダーを覗いて撮影することを楽しむ」ことが出来ました。
というのもX-Pro3は光学ファインダーと電子式ビューファインダー、2つのファインダーを組み合わせたエレクトロニックレンジファインダーの3種類があります。
光学ファインダーは、他メーカーの一眼レフカメラと異なり、レンズの焦点距離に合わせて変わるものではなく、素通しになっています。そのため大きいレンズを装着すると、レンズで塞がってしまい被写体が見えないこともあります。
しかし、本レンズはフードを含めコンパクトなので、X-Pro3の光学ファインダーを使用しても被写体が確認しやすく、ファインダー(特に光学式)を使った撮影が非常に楽しかったです。
逆光のシーンや被写体に近寄った撮影など、あらゆるシーンもこなせる汎用性に加えて描写性能が高いため、PROVIAやASTIAといった定番のものだけでなく、本レンズが発売された後に追加された「ACROS」や「ETERNA」、「クラシックネガ」といった、さまざまなフィルムシミュレーションの良さを引き出してくれていると感じました。
気軽に持ち運びできながら、高性能。新品もそうですが、中古品も多く出品されていることから非常にお求めやすいことを考えると、本レンズが「神レンズ」として称えられるのも納得です!富士フイルムユーザーは必携ともいえるレンズでしょう。
X-T4の特設ページもチェック!
カメラのキタムラでは、X-T4のご予約受付中です!
ネットショップでは、X-T4の性能表や他機種との比較を行った特設サイトもございます。ぜひご覧ください
■【カメラのキタムラ公式HP】X-T4の特設サイトはこちら