旅や日常を優しく華やかに切り取る、富士フイルム XF35mmF1.4 Rを選ぶ理由
はじめに
こんにちは。フォトグラファーとして大阪を拠点に活動している、Yuriと申します。
今回は、私が愛用している富士フイルムXシリーズのレンズ「XF35mmF1.4 R」について、紹介させていただきます。
「XF35mmF1.4 R」は、販売開始時から10年以上が経過しているレンズ。それだけ昔のレンズではありますが、今も人気は高く、フジユーザーの間でも「愛用レンズ」として名前が挙がることが多い1本です。
筆者である私もその一人。これまで多数の純正レンズを使ってきましたが、Xシリーズを使い始めた時から、この「XF35mmF1.4 R」は今も変わらずスタメンに居続けています。
出かける時につい手に取ってしまうコンパクトさと、優しい描写が魅力の1本。
今回は、そんな「XF35mmF1.4 R」の特徴と、私が実際にこのレンズをよく使用している「おすすめの撮影シーン」を紹介します。
コンパクトで日常使いしやすい、多彩なシーンで使える単焦点レンズ
XF35mmF1.4 Rは、2012年2月18日に発売。
焦点距離は、35mm判換算で53mm相当。最小絞り値1.4の明るさを持つ、様々なシーンで使いやすいレンズです。
F1.4の明るさを持ちながら、重さは187gと非常に軽く、そのコンパクトさも大きな魅力。
身軽に動きたい日常のお散歩や荷物が多い旅先でも、手軽に持っていきやすく、大変重宝します。
富士フイルムのクラシカルなボディとの相性も抜群。ファッションとしても楽しめる点も、大きなポイントです。
軽くてコンパクトだからこそ、「撮りたい」と思った時すぐにカメラを構えられる点も魅力的。
ピント面はシャープに写り、それ以外の部分は柔らかくボケる描写は、使っていて楽しく、紡ぎ出す優しい写りに夢中になります。
撮影前に知っておきたい、苦手なシチュエーション
そんな魅力的なレンズであるXF35mmF1.4 Rですが、古いレンズということで、欠点もあります。
まずは、AF速度の遅さ。最近ではボディ側のAF速度性能が上がってきたことで、そこまで気にならなくなりましたが、昔のボディを使っていた時は、AF速度の遅さに辟易してしまうことも少なくありませんでした。
動きが速い被写体の撮影にはあまり向いておらず、日中の風景やテーブルフォト、ポートレートなど、静物or動きをある程度コントロールできる被写体の時に使うことをおすすめします。
また、AF駆動音が大きいので、静かな場所で撮影していると目立ってしまうことも。動画をAFで撮影していると、「ジー」という音が入ってしまうことがあるので、音入りの動画撮影時には注意が必要です。
XF35mmF1.4 Rの魅力を活かす、撮影シチュエーション
そんな人気レンズXF35mmF1.4 Rについて、具体的にどのような場面で撮影しているのか、個人的におすすめのシチュエーションを紹介したいと思います。
没入感のある風景×ポートレート
私は普段から風景をメインに人物を小さく入れた写真を撮ることが好きなのですが、XF35mmF1.4 Rを使うと、風景の中に溶け込んでいるようなポートレート写真を撮ることができます。
換算53mmという広すぎず狭すぎない画角は、少し離れたところから撮影することで、人物を小さく写しつつ、周囲にあるものをあまり写さず、適度な圧縮感で撮影することが可能に。
余計なものを写さずに、写したいものだけをフレーム内にバランスよく入れることができるため、まるで一緒にその景色を見ているような、没入感のある風景ポートレートを残せます。
また、寄り引きを活かすことで、ストーリー性のある写真を撮ることも可能。
手元・足元など被写体の視点を切り取ったようなワンシーンも撮影しやすい、絶妙な距離感です。
柔らかいボケを活かしたお花写真
XF35mmF1.4 Rの大きな魅力は、柔らかく大きなボケ感。ピント面はシャープに写りつつ、周辺がとろけるようにボケるこのレンズは、お花写真を撮るのにぴったりです。
最短撮影距離が約28cmと比較的近くまで寄れるため、被写体にぐっと近づいて大きなボケを作ることも可能。
開放絞り値が大きいレンズなど、ボケが表現しづらいレンズで撮影すると、どうしても周囲に写したくないものが入ってしまい、お花だけをきれいに切り取ることが難しいです。
そのため、ここまでボケを表現できることは大きなアドバンテージ。
また、換算53mmというお花撮影をするにはやや広めの画角だからこそ、空とお花をバランスよく写せることもポイントです。
この写真は、一輪のお花にフォーカスし、青空とともに撮影した1枚。
ボケで主役を際立てつつ、青空をしっかり入れることで、開放感のある1枚に仕上げることができました。
同じ場所で撮影したこちらの写真は、遠景にピントを当てて手前をボカすことで、華やかな1枚に。
ボケと少し広めの画角を活かすことで、様々な表現を楽しむことができます。
目にした景色を素直に美しく切り取る、スナップ写真
XF35mmF1.4 Rが持つ「換算53mm相当」の画角は、人間の視野角に近いと言われており、目にした景色をそのまま写真に収めやすい距離感です。
これは個人的な感覚ですが、53mmの画角は、自分の視野よりもほんの少しだけクローズアップされて写るように思えます。
そのため、周囲の写したくないものを写さずに、本当に写したい景色をきれいに切り取ってくれるケースが多く、スナップ撮影で使いやすいレンズだと実感しています。
「あ、いいな」と思った場面でカメラを構えて、素直にかつ魅力的に切り取れるので、使っていてとても心地良いレンズ。
テーブルフォトなどの寄りのシーンでも、狭すぎず、かつ被写体の形をきれいに写すことができる非常に使いやすい焦点距離。
ふんわりと柔らかいボケ感も相まって、その時の空気感を優しく残してくれる点も、このレンズに夢中になる理由です。
おわりに
長年にわたって愛されているレンズ、XF35mmF1.4 R。欠点はあれど、魅力は満載で、旅や日常をもっと残したくなる1本です。
少し癖はありますが、初心者の方にも扱いやすく、はじめての単焦点レンズとしてもおすすめ。
このレンズが織りなす優しく柔らかい世界を、ぜひ多くの方に体験していただけけると嬉しいです。
■モデル:shirai(@si0so)
■フォトグラファー:Yuri
大阪府在住。「ふんわりかわいい写真」をテーマに、旅先の魅力やカメラの楽しみ方を発信。観光プロモーションに関する撮影をはじめ、家族写真/ウエディング等の出張撮影や、書籍・広告の撮影、写真セミナー講師、記事執筆など、幅広く活動中。