富士フイルム XF500mmF5.6 R LM OIS WR レビュー|高画質&軽量な超望遠単焦点レンズ

三田崇博
富士フイルム XF500mmF5.6 R LM OIS WR レビュー|高画質&軽量な超望遠単焦点レンズ

はじめに

こんにちは。旅写真家の三田崇博です。今回は昨年12月に発売されたXF500mmF5.6 R LM OIS WRをレビューします。富士フイルムXシリーズの超望遠域のレンズとしてはXF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WRとXF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRがありますが、今回はズームレンズではなく単焦点レンズということで特に画質面が期待できるのではないかと思います。

近い画角を持つ他2本の超望遠ズームレンズのレビューは以下の記事をご覧ください。

本レンズの特徴

まず見た目ですが、XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRと同様に白色の筐体は恰好いいですね。熱がこもりにくいという利点もあるようです。そして開放F値が5.6に抑えられていることで大きさの割にとても軽く感じられます。

所有しているXF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WRと並べてみると、さすがに500mmの超望遠とあって少し大きいサイズ感です。ただ、重量に関してはXF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WRの1375gに比べ、XF500mmF5.6 R LM OIS WRは1335gと僅かながら軽くなっています。

XシリーズはAPS-Cセンサー採用機ということで、焦点距離はフルサイズ換算で762mm相当になり圧倒的な望遠撮影が可能です。もちろんテレコンバーターにも対応しているのでさらに焦点距離を延ばすことも可能です。

▼XF500mmF5.6 R LM OIS WR
焦点距離(フルサイズ換算):500mm(762mm相当)
最短撮影距離:2.75m
最大撮影倍率:0.2倍
手ブレ補正:5.5段分
最大径x長さ:Φ104.5mmx255.5mm
質量:約1335g(レンズキャップ・フード・三脚座含まず)
フィルターサイズ:Φ95mm
発売時期:2024.12

XF100-400mmとの写りの比較

所有するXF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WRと撮り比べをしてみました。画角が違うので比較対象にはなりにくいと思いますが、被写体を拡大して見たときの解像度の違いは伝わるのではないでしょうか。

▼XF500mmF5.6 R LM OIS WR

▼XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR

XF500mmF5.6 R LM OIS WR
XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR

作例

私事ではありますが、海外撮影に行きやすいように最近関西空港近くの海沿いに事務所を移転しました。その結果、部屋から毎日飛行機や船を撮影することができるようになりました。しかし、空港までの距離が5kmほどあるため飛行機を撮影する際は所有するXF100-400mmでも望遠が足りないと感じます。テレコンバーターやXF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRを追加する方法もありますが、最新設計の本レンズはとても気になる存在です。

まずは自宅からの絶景をご覧ください(笑)。関西空港に着陸する飛行機です。滑走路に進入する様子を真横から捉えることができます。実は風向きにより離発着の方角が変わることもあります。

■撮影機材:FUJIFILM X-H2S + XF500mmF5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:F8 SS1/1400秒 ISO160 焦点距離500mm
■撮影地:自宅ベランダより(大阪府阪南市)

近くに尾崎漁港があり漁船や釣船も頻繁に出入りします。

■撮影機材:FUJIFILM X-H2S + XF500mmF5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:F8 SS1/3200秒 ISO400 焦点距離500mm
■撮影地:自宅ベランダより(大阪府阪南市)

毎日決まった時間に九州から「さんふらわあ」が横切ります。ちょうど朝日が当たる時間帯で船体の太陽マークがより輝いて見えます。

■撮影機材:FUJIFILM X-H2S + XF500mmF5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:F8 SS1/950秒 ISO160 焦点距離500mm
■撮影地:自宅ベランダより(大阪府阪南市)

風向きにより目の前で離陸が見られることもあります。着陸に比べると高度がある分少し遠くなります。

■撮影機材:FUJIFILM X-H2S + XF500mmF5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:F8 SS1/2500秒 ISO200 焦点距離500mm
■撮影地:自宅ベランダより(大阪府阪南市)

沈みゆく夕日を撮影してみましたがフレアやゴーストなどの発生も見られませんでした。

■撮影機材:FUJIFILM X-H2S + XF500mmF5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:F7.1 SS1/7000秒 ISO160 焦点距離500mm
■撮影地:自宅ベランダより(大阪府阪南市)

こちらは沈みゆく満月です。手前を進む船と一緒に撮りたかったので開放絞りを選択しましたが、鮮明な描写が得られました。

■撮影機材:FUJIFILM X-H2S + XF500mmF5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:F5.6 SS1/75秒 ISO3200 焦点距離500mm
■撮影地:自宅ベランダより(大阪府阪南市)

また、自宅からはカモメやタカなどの鳥も良く見れます。動き回る鳥を単焦点レンズで撮るのは難しいですが被写体認識を「鳥」に合わせると失敗が少なくなります。

■撮影機材:FUJIFILM X-H2S + XF500mmF5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:F8 SS1/2700秒 ISO1000 焦点距離500mm
■撮影地:自宅ベランダより(大阪府阪南市)

大阪湾の絶景はいかがだったでしょうか。そして次にこのレンズを携えて今回のメインイベントでもあるブルーインパルスの撮影に行ってきました。正直言うとバリエーションを撮影するにはズームレンズのほうが有利だと思いますが、ちょうどいい画角に入ったときの画質は唯一無二でした。

浜松から飛来してきた6機のブルーインパルス。駐車場から撮影ポイントの海岸まで歩く時間よりも浜松からここまで飛んでくる時間のほうが短いということに驚きました。

■撮影機材:FUJIFILM X-H2S + XF500mmF5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:F8 SS1/2500秒 ISO200 焦点距離500mm
■撮影地:和歌山県美浜町

ズームはできないので近くに来たところで撮影。とてもスピードが速いのでなかなかセンターに捉えるのが難しかったです。

■撮影機材:FUJIFILM X-H2S + XF500mmF5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:F8 SS1/2500秒 ISO320 焦点距離500mm
■撮影地:和歌山県美浜町

目の前を通りすぎて旋回中のブルーインパルス。よくもこれだけ綺麗に編隊を組めるなと感心しながら見ていました。そして次に近づいてきたときは見逃すまいとこちらも臨戦態勢に。

■撮影機材:FUJIFILM X-H2S + XF500mmF5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:F8 SS1/3200秒 ISO1250 焦点距離500mm
■撮影地:和歌山県美浜町

一番近づいた時に撮影できました。これぞ単焦点レンズの実力というような解像感の高い画を得ることができました。機体に描かれた記号はもちろんパイロットの姿まで鮮明に捉えています。

■撮影機材:FUJIFILM X-H2S + XF500mmF5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:F8 SS1/3200秒 ISO1250 焦点距離500mm
■撮影地:和歌山県美浜町

せっかくなので解像感を実感できるように画面中央部の一機だけをトリミングしてみました。前席に乗っているパイロットがしっかり確認できます。

▼上の写真をトリミング

また、かなり離れる必要がありますが人物などを撮影した際の背景の光のボケ方がとても綺麗だと感じました。

■撮影機材:FUJIFILM X-H2S + XF500mmF5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:F8 SS1/1000秒 ISO160 焦点距離500mm
■撮影地:和歌山県美浜町
■撮影機材:FUJIFILM X-H2S + XF500mmF5.6 R LM OIS WR
■撮影環境:F5.6 SS1/8000秒 ISO160 焦点距離500mm
■撮影地:和歌山県美浜町

まとめ

いかがだったでしょうか?これまで超望遠を使う撮影は少なかったのですが、空港近くに引っ越したことにより毎日離着陸する飛行機や船を撮るようになりました。そうなるとどんどん焦点距離の長いレンズが欲しくなります。

少し前の超望遠レンズと言えば大きい・重い・高いの3拍子が揃っている印象でしたが、このレンズでは大きい以外の要素はかなり改善されたのではないかと思っています。大きいといってもフルサイズ用の500mm単焦点と比べたら大幅に小型です。ズームができないことで被写体を正確に捉えることが難しい場面もありましたが、最近の機種に搭載されている被写体認識AFを使えばカメラが自動的に被写体を追いかけてくれるので、撮影者はシャッターを切ることだけに集中できます。

今回はテストできていませんが、対応する2種類のテレコンバーターXF1.4X TC WR(1.4倍)やXF2X TC WR(2倍)を装着することにより、画質劣化を最小限に抑えたさらなる超望遠撮影も可能です。画質に妥協なく超望遠撮影をしたいという人は、ぜひこのXF500mmF5.6 R LM OIS WRを使ってみてはいかがでしょうか。

 

 

■写真家:三田崇博
1975年奈良県生駒市生まれ。世界遺産撮影をライフワークとし現在までに100を超える国と地域で400か所以上の世界遺産を撮影。定期的に全国各地で開催している写真展は100回を超える。各種雑誌やカレンダーへの作品掲載も多数。主な著書に「世界三十六景」「生駒の火祭り」がある。
日本写真家協会(JPS)会員・FUJIFILM X-Photographer

 

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