トキナー伝統のF2.8超広角ズームは小型軽量でキレのあるレンズ|atx-m 11-18mm F2.8 E レビュー
はじめに
今回紹介するのは、ケンコー・トキナーから2022年10月に発売されたトキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」です。この「atx-m」シリーズは、トキナーが新しく設けたミラーレスカメラ用の交換レンズシリーズの名称です。トキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」は、APS-C用のレンズでソニーEマウントに対応しており、35mm換算では「16.5mm~27mm相当」の画角のレンズになります。
絞り開放F2.8の超広角ズームレンズでありながら、小型軽量のトキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」の魅力とその写りを紹介します。
トキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」の魅力とスペック
トキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」の最大の魅力は、F2.8大口径超広角ズームでありながら335gという小型軽量さにあります。もちろんAPS-C専用レンズということでフルサイズのレンズよりも当然小型化はできますが、小さく軽いレンズは撮影フィールドの幅を広げてくれる重要な要素なので、とても魅力を感じます。
ソニー純正のAPS-C用レンズで同等の画角のレンズはありますが、開放F値がF4のものしかありません。そういった点でも絞り開放F値F2.8であるトキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」は魅力的に見えます。そこで、純正レンズでスペック的に近く価格も近いソニー「E 10-18mm F4 OSS」とスペックを比較してみました。純正の「E 10-18mm F4 OSS」はF値がF4の為、レンズもさらにひと回り小さく軽量です。
トキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」の魅力は、絞り開放F2.8の明るさ、そして最短撮影距離が0.19mmと短く非常に寄ることのできるレンズというところになります。
少し残念なポイントとしては、レンズ内に手ブレ補正機能がない点になります。カメラボディ側の手ブレ補正機能を使用すればカバーできるのですが、ソニーのAPS-Cカメラ「α6400」や「VLOGCAM ZV-E10/E10L」にはボディ内手ブレ補正機能が無いので、これらの機種を使用する際には、少し気を付けた方が良いかもしれません。
トキナー atx-m 11-18mm F2.8 E |
ソニー E 10-18mm F4 OSS |
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焦点距離 | 11-18mm(35mm判換算16.5-27mm) | 10-18mm(35mm判換算15-27mm) |
レンズ構成 | 11群13枚 | 8群10枚 |
開放絞り | F2.8 | F4 |
最小絞り | F22 | F22 |
フィルター径 | 67mm | 62mm |
絞り羽根枚数 | 9枚 | 7枚 |
最短撮影距離 | 0.19m (WIDE) / 0.3m (TELE) | 0.25m |
レンズ内手ブレ補正 | – | ○ |
最大径×長さ | 74.4 x 74.1mm | 70.0 x 63.5mm |
質量 | 約355g | 約225g |
トキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」で小旅行スナップ撮影
α6400とトキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」レンズだけを持って、千葉の木更津へ身軽にバイクツーリングをして撮影をしてきました。バイクツーリングの際にはできるだけ機材は身軽にしたいので、この組み合わせであれば、カメラ(バッテリー・メディア)+レンズの総重量も800g以下になり手軽に持ち運びできます。今回は木更津にある「クルックフィールズ」を楽しんできました。「クルックフィールズ」は、農と食、アートと自然がテーマの素敵な施設です。
施設内をゆったりと散策しながら、少し撮影をしてみました。
トキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」は超広角のズームレンズですが、非常に歪みが少なくシャープな写りをするレンズです。絞って撮影すれば、シャープさは更に増して鋭くなる感じです。
広大な敷地内には素敵なアート作品があり、アートに触れた少し不思議な空間を楽しむことができます。また16mmの超広角を活かした撮影が楽しめます。
トキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」を使用していて感じた事は、良く写るレンズだな~と感じる反面、逆光時の弱さが悔やまれます。超広角レンズで撮影するのであれば、画角的に太陽の影響を受けるようなシーンは、それなりに発生してきます。このレンズでは、そういったシーンでかなり気を使って撮影する必要が出てくるかもしれません。
トキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」は超広角レンズですが、絞り開放F2.8の明るさを寄れるレンズなので、被写体にぐっと寄って背景をボカして被写体を印象的に撮影することも簡単にできます。
トキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」で防災地下神殿撮影
以前から興味のあった「防災地下神殿」に撮影に行ってみました。愛称で「防災地下神殿」と呼ばれるこちらの正式名称は、「首都圏外郭放水路」と呼ばれるもので、埼玉県春日部市にある施設です。洪水などの災害から地域を守るこの施設は、定期的な見学会が開催されており施設を見学することができる魅力的なスポットです。
地下にある広大な空間の「調圧水槽」は迫力満点で圧倒されます。広大な空間、少し暗い地下施設を撮影するのには、トキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」のレンズがぴったりです。実際に絞り開放F2.8・ISO800の設定でシャッター速度は1/15秒、手持ちで撮影する事もできました。
今回はAPS-C機の「α6400」以外にも、フルサイズ機の「α7R V」をAPS-Cモードで使用して撮影をしています。高画素子機の「α7R V」であれば、APS-Cモードで使用しても約2600万画素の画素を確保して撮影する事ができ、「α6400」よりも少し画素を多く持った状態で撮影する事が可能になります。
この施設は、諸注意(施設に入る移動の際には三脚を畳んで移動)はありますが三脚を持ち込んでの撮影も可能ですので、もしこの「防災地下神殿」を撮影に行かれる方は、三脚を持って行っても良いでしょう。三脚を使用して、絞りを絞り長秒露光すれば施設内の照明の光芒を伸ばすことが可能です。
また、見学者が多い時などは長秒露光撮影する事で、人をブラしたりして目立たなくするような撮影もできます。
上の写真は、施設内を管理する指令室ですが、この場所は多くのTVドラマ・特撮ヒーローもの・映画などのロケにも使用されているそうです。「防災地下神殿」で迫力ある写真を撮るのには、歪みの少ない超広角レンズトキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」がぴったりのスポットでした。
トキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」で可睡斎ひなまつり撮影
関東から名古屋に車で移動する途中に、静岡県袋井市にある「可睡斎」で丁度開催されていた「ひなまつり」に寄ってみました。ここでは、1300体というスケールで飾ってあるひな人形を見ることができます。
実際に行ってカメラを向けてみると、超広角のワイド端16mmでも全体を写しこむのが厳しいくらいのワイドです。
いろいろなひな人形の展示のほか、吊るし雛やさるぼぼなどの展示もあり、見ごたえがあり撮影も楽しむ事もできます。室内撮影とあって全体的には暗い環境が多いので、明るいレンズはとても助かります。また最短撮影距離が短いので、場合によっては超広角で寄って撮影すると迫力ある構図で写真を撮ることができます。
ひな人形だけでなく、お寺の中もいろいろと見学できるので非常に魅力的な撮影スポットです。
まとめ
小型で軽量な大口径超広角レンズのトキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」は、少々逆光に弱い点を除けばシャープで解像度も高く、非常に満足度の高いレンズです。APS-C機のカメラはもちろん、高画素のフルサイズミラーレス機に使用することで、絞り開放F2.8でありながら軽量コンパクトな組み合わせができるのも大きな魅力の一つではないでしょうか。
超広角レンズのトキナー「atx-m 11-18mm F2.8 E」は、歪みも少ないレンズですし、画角的にも特に屋内での撮影に威力を発揮できるのではないでしょうか。
■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師