光学5倍ズームで静止画も動画も楽しめる!ケンコー・トキナーのコンパクトデジタルカメラ「KC-ZM08」|リアカメラ搭載で自撮りも思いのまま

坂井田富三
光学5倍ズームで静止画も動画も楽しめる!ケンコー・トキナーのコンパクトデジタルカメラ「KC-ZM08」|リアカメラ搭載で自撮りも思いのまま

はじめに

今回は、ケンコー・トキナーから2024年6月に発売になったコンパクトデジタルカメラ「KC-ZM08」をご紹介します。最近コンパクトデジタルカメラはスマートフォンにとって変わり、市場の縮小によって新製品も少なくなっています。またスマートフォンとの差別化が図られた結果、高級なコンパクトデジタルカメラや防水機能などに特化したモデルが中心になり、気軽でお手軽なコンパクトデジタルカメラは市場では少数派のカメラになっています。

そんな中、低価格でお手軽なコンパクトデジタルカメラが発売されたので、その使い勝手や実力はどの程度のものか試してみましたので所感をレポートします。

基本スペックと操作方法

「KC-ZM08」は、非常に軽量コンパクトでシンプルなデザインのコンパクトデジタルカメラです。使用する前に基本スペックを確認してみましたが、低価格のコンパクトデジタルカメラなのにいろいろできそうな機能があります。スペック表には、有効画素数約1600万画素のコンパクトデジタルカメラなのに、5600万画素記録モードが存在したりとやや謎もあったりして、不思議な感じもするカメラですが、そこの辺りは実際に撮影してみて写りの実力を検証してみたいと思います。

 

■「KC-ZM08」の基本スペック

イメージセンサー フロント:1/2.3型CMOS
リア:1/2.8型CMOS
有効画素数 フロント:約1600万画素
リア:約1200万画素
レンズ フロント:f=5.1ー25.5mm F=3.9ー6.3
リア:f=4mm F=1.8
焦点距離
(35mmフィルム換算)
フロント:28mmー142mm
リア:28mm
ズーム フロント:光学5倍 デジタル2倍
リア:デジタル2倍
撮影距離 フロント:約0.1m~∞(W) 約0.3m~∞(T)
リア:約0.6m ~約1.5m
液晶モニター 2.8型 IPS タッチパネル搭載
外部メモリー microSDHC/microSDXC メモリーカード
ファイル形式 静止画:JPG 動画:MP4
静止画サイズ フロント:56M(補間)、48M(補間)、36M(補間)、24M(補間)、20M(補間)、16M、12M、8M、5M

リア:56M(補間)、48M(補間)、36M(補間)、24M(補間)、20M(補間)、16M(補間)、12M、8M、5M

動画サイズ フロント:5120×2880(補間)30fps、3840×2160(補間)30fps、2688×1512(補間)30fps、1920×1080 60fps、1920×1080 30fps、1280×720 60fps、1280×720 30fps

リア:5120×2880(補間)30fps、3840×2160 30fps、2688×1512 30fps、1920×1080 60fps、1920×1080 30fps、1280×720 60fps、1280×720 30fps

シャッター速度 1/10秒~1/2500秒
ISO感度 オート、100、200、400、800、1600、3200
セルフタイマー オフ、2秒、5秒、10秒
内蔵ライト LED
露出補正 ±2.0EV(1/3EVステップ)
ホワイトバランス オート、昼光、曇り、電球、蛍光灯(H)、蛍光灯(L)
手振れ軽減機能 電子式(動画撮影時のみ)
電源 リチウムイオン充電池 NP-40
入出力ポート USB2.0(Type-C)
大きさ 約100×62×32mm
質量 約148g(付属品、充電池を含まず)
約171g(充電池、メモリーカードを含む参考値)

 

そもそもお手軽な価格で購入可能なコンパクトデジタルカメラなので、性能に関する期待値は高くないのですが、スペック表から見る限りでは一通りの必要な機能を網羅しており販売されている価格を考えると必要にして十分なスペックです。

「KC-ZM08」のリアカメラ

「KC-ZM08」のユニークなポイントは、スマートフォンで撮影するユーザーを意識しているのか、他のコンパクトデジタルカメラなどでは見られない「リアカメラ」を搭載しているのが特徴的です。フロントのセンサーよりも小さいサイズですが、「KC-ZM08」は背面にもカメラがあり「自撮り」も簡単にできるコンパクトデジタルカメラになっています。

リアカメラで自撮り撮影

「KC-ZM08」の焦点距離はコンパクトなボディながら、35mm換算で28mm~142mmの光学5倍ズームになっており、十分に撮影を楽しめる焦点距離を確保しています。スマホほどワイドな画角にはなりませんが、広角側ではスマホに近い画角になっており、スマホユーザーが使っても違和感なく使用できると思います。また望遠側の142mmは、一般的なスマホで撮れない望遠の撮影が楽しめるのもスマホとの差別化ができるポイントです。

望遠142mmの状態

液晶モニターは「2.8型 IPSタッチパネル」になっていて、メニューの操作・選択はタッチ操作が可能になっています。もちろんボタンからでもメニュー操作は可能ですが、タッチパネルを使った方がクイックに変更ができるので、ストレスは少なく快適です。少し残念なポイントを挙げるとすれば、タッチシャッターには対応していません。

メニュー操作はタッチパネルを使って操作する方が快適

「KC-ZM08」は有効画素数約1600万画素のコンパクトデジタルカメラですが、メニュー画面の設定を見るとデフォルトでは36M(補間)になっています。また選択項目では最高56M(補間)まであり、有効画素数をはるかに超えたサイズで撮影することが可能になっています。

この(補完)に関しては、取扱説明書では「補完とは、ある既知の数値データを基にして、既知データ間の値を埋めるものです。」と記載されています。よって高機能なピクセルシフト撮影のような仕様ではなく、デジタル処理で足りないデータをヌリタシしながら大きな画像を作っているのではないかと予測されます。撮影した画像自体が高解像度になるような仕様ではないので、そもそも有効画素数の1600万画素の設定で撮影をする方が沢山撮れるので一般的ではないかと思います。

「KC-ZM08」のメニュー画面(画像サイズ選択)

下の画像は、1600万画素で撮影したものと4800万画素(補完)のモードで撮影したものをパソコン上で並べて比較してみたものになります。左側が1600万画素モードで右側が4800万画素(補完)モードですが、この時は画像の解像感に大きな違いを見ることができませんでした。

【左】1600万画素モード 【右】4800万画素(補完)モード
で撮影したデータ比較

「KC-ZM08」は買ってそのまま簡単に使用することが出来るお気軽コンパクトデジタルカメラですが、使用する前に、一度初期設定をよく確認してファイルサイズなどは、自分にあった設定に変更したほうが良い部分もあります。

静止画撮影

早速KC-ZM08を持って街中スナップ撮影をしてみました。KC-ZM08は非常に軽量なコンパクトデジタルカメラなので、気軽に持ち歩くことができます。電池やメモリーカードを入れた状態で約171gという軽さ、スマートフォンのiPhone15の重量が171gなので同じ重さです。

電源を入れてすぐ撮影できるKC-ZM08ですが、基本的には構図を決めたらシャッター速度や絞りなどはカメラ任せです。ピント合わせはオートフォーカスですが、オートフォーカスのエリアは画面中心部のみとなっています。

実際にワイド側や望遠側でいろいろ撮影してみましたが、中心部はしっかりとした描写をしますが、周辺部に関しては描写が甘くなる傾向がありました。

ケンコー・トキナー KC-ZM08
オート撮影 シャッター速度1/100 絞りF3.9 焦点距離28mm相当(35mm換算) ISO100
ケンコー・トキナー KC-ZM08
オート撮影 シャッター速度1/50 絞りF3.9 焦点距離28mm相当(35mm換算) ISO100
ケンコー・トキナー KC-ZM08
オート撮影 シャッター速度1/140 絞りF6.3 焦点距離142mm相当(35mm換算) ISO200
ケンコー・トキナー KC-ZM08
オート撮影 シャッター速度1/140 絞りF6.3 焦点距離142mm相当(35mm換算) ISO100

 
KC-ZM08には、撮影する静止画を印象的に「効果」を加えるモードがあります。「効果」には、ノーマル・白黒・ナチュラル・ネガ・暖色・コントラスト(H)が選択できるようになっており、いろいろな表現を楽しむ事ができます。

ノーマル 効果は加えません
白黒 白黒画像にします
ナチュラル やわらかい画像になります
ネガ ネガフイルムのような画像になります
暖色 温かみのある効果を加えます
コントラスト(H) コントラストのあるメリハリのある、陰影のはっきりとした画像にします

 

撮影効果:スタンダード
撮影効果:白黒
撮影効果:ナチュラル
撮影効果:ネガ
撮影効果:暖色
撮影効果:コントラスト(H)

この効果設定だけで、日常の何気ない風景も少しスパイスの効いた写真になるので撮影していて楽しくなります。個人的には、「白黒」・「ネガ」・「コントラスト(H)」が印象的に撮影する事ができて気に入りました。

動画撮影

KC-ZM08は、静止画だけでなく各種動画の撮影も可能なコンパクトデジタルカメラです。ビデオモードの初期設定は「4K30fps」モードになっており、4K動画が撮影可能になっています。

ケンコー・トキナー KC-ZM08 4K動画

通常の動画撮影の他には、スローモーション動画やタイムラプス動画撮影などもできるのが「KC-ZM08」の楽しめるポイント。スローモーション動画の撮影もメニューから「スローモーション」を選ぶだけで簡単に撮影する事が可能です。スローモーションモードで撮影できるパターンは、「1080P 4X」と「720P 4X」の2パターンの設定が選べるようになっています。さすがに4Kサイズでのスローモーション撮影はできないようです。

ケンコー・トキナー KC-ZM08 スローモーション「1080P 4X」動画モード

コマ送り的な動画のタイムラプス動画撮影モードでは、シャッター間隔を「1秒・3秒・5秒・10秒・30秒・1分」と細かく設定する事も可能になっていますが、今回は初期設定の「1秒」、4K30Pモードで撮影をしてみました。

ケンコー・トキナー KC-ZM08 タイムラプス動画モード(シャッター間隔1秒・4K30P)

別の場所で撮ったタイムラプス動画を編集ソフトで繋げてみました。

ケンコー・トキナー KC-ZM08 タイムラプス動画モード(シャッター間隔1秒・4K30P) 

「KC-ZM08」の動画撮影モードで楽しめるポイントは、上記のような基本的な動画撮影が簡単に撮影できる他に、静止画撮影で紹介した「効果」を反映させて動画撮影する事も可能な点です。

下の動画は、「効果」を「白黒」にして通常動画・スローモーション動画・タイムラプスを同じ場所で撮影し、編集ソフトで1本の動画に繋げたものになります。

ケンコー・トキナー KC-ZM08 通常動画・スローモーション動画・タイムラプス動画

効果を付けて撮影した動画は、普段とは違った動画撮影ができるのでとても新鮮で印象的に撮影できます。スマートフォンなどではアプリを使えばこういった動画も簡単に撮影することもできますが、例えばタイムラプス動画の撮影では長い時間の撮影が必要になってくるので、その間にスマホが使えなくなると不便な場合があります。そういった点でいうと小型軽量の「KC-ZM08」でこういった動画撮影を気軽にできるのは、いろいろな点でメリットがあると感じます。小型の三脚などを一緒に携帯しておくとタイムラプス動画などの撮影を楽しく気軽におこなえます。

まとめ

小型軽量のコンデジ「KC-ZM08」は、写りは大きなセンサーサイズのデジカメには劣りますが、軽くていつでもどこにでも持ち運べる機動力の高さがあります。日常のシーンを気軽に撮影するアイテムとして、静止画だけでなく様々な動画の撮影に対応できるコンパクトデジタルカメラです。キレイ・高解像度を求めるのではなく、気軽にスナップを楽しむ、気軽に動画を楽しむユーザーにとっては面白いアイテムになるのではないでしょうか。

 

■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師

 

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