コスパGOOD!脅威の開放F値0.95の単焦点レンズ|LAOWA Argus 25mm F0.95 CF APO レビュー

水咲奈々
コスパGOOD!脅威の開放F値0.95の単焦点レンズ|LAOWA Argus 25mm F0.95 CF APO レビュー

はじめに

2023年1月20日に発売されたサイトロンジャパンの「LAOWA Argus 25mm F0.95 CF APO」は、APS-CフォーマットのMFレンズです。現在はソニーE、ニコンZ、キヤノンRF、キヤノンEF-M、フジXの5つのマウントがラインナップされています。今回はこの大口径レンズのレビューを、ポートレートをテーマにお送りします。

シャッターを押すたびに惚れ直すシルクタッチなとろける描写

撮影機材:Nikon Z fc + LAOWA Argus 25mm F0.95 CF APO
絞りF0.95 1/200秒 ISO640 WB:5200K ピクチャーコントロール:ポートレート

本レンズの魅力は、やはりその明るいF値でしょう。脅威のF0.95の開放値は、ハイライト部を優しくとろけさせてくれる効果を持っています。筆者はこのレンズでポートレートが撮りたくて購入したのですが、シャッターを押すたびに、このシルクタッチの描写に惚れ直しています。

このレンズでポートレートを撮る場合は、構図内のどこかに白飛び限界ギリギリのハイライト部を作ると、クリーミーな味わいながらドラマティックな画になるのでオススメです。

質感の描写が最高に美しい!

撮影機材:Nikon Z fc + LAOWA Argus 25mm F0.95 CF APO
絞りF0.95 1/200秒 ISO100 WB:5200K ピクチャーコントロール:ポートレート

本レンズをNikon Z fcで使用すると、焦点距離は35mm判換算で約37.5mmと広角寄りの画角なので、狭い室内でもアップのカットばかりでなく、背景のムードまで入れ込んだ撮影も可能です。

レンズ構成は非球面レンズ1枚、EDレンズ1枚、超高屈折レンズ2枚の9群14枚。APO設計のお陰で、パープルフリンジやゴーストの発生が抑制され、クリアーで美しい画を生み出してくれます。

特にコントラストの高い画が得意で、モデルの肌の明るい箇所と暗い箇所のティディール、木や金属・ガラスなどの質感の描写が最高に美しいです。

MFでの撮影の仕方

撮影機材:Nikon Z fc + LAOWA Argus 25mm F0.95 CF APO
絞りF0.95 1/160秒 ISO640 WB:5200K ピクチャーコントロール:ポートレート

本レンズはマニュアルフォーカスのレンズなので、ピント合わせはAF機能を使わずにフォーカスリングを回転させて手動で行います。筆者は、本レンズとNikon Z fcの組み合わせで撮影するときは、ピント合わせのアシスト機能であるフォーカスピーキングと、等倍拡大機能を使用しています。

フォーカスピーキングの色は変更できる機種が多いですが、瞳とマツゲの黒・白色と反対色の赤色に設定して、ピーキング検出は、ピントが合っていると判断される範囲が一番狭い「低感度」の設定にしています。さらに、ファンクションボタンに等倍拡大の動作を割り当てて、等倍でもピントの確認ができるように設定しています。

とはいってもF0.95の浅い被写界深度なので、自分もモデルもちょっとでも動けば被写界深度から外れてしまうため、アシスト機能だけに頼らずに、自分の目とちょっとの前後動作を使って、なるべく枚数を多めに撮影するようにしています。

身軽に撮影できるサイズ感

撮影機材:Nikon Z fc + LAOWA Argus 25mm F0.95 CF APO
絞りF0.95 1/125秒 ISO100 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:ポートレート

本レンズの大きさは約71.5×81mm、重さは約575gです。最近の小型軽量のレンズに比べれば少々長さを感じますが、細身のボディは左手で下から支えやすく、フォーカスリングもカメラボディ面から遠くない位置に、丁度良い幅で配置されています。しゃがんだり、どこかに登ったりと、フットワーク軽く撮影できます。

人物の肌を優しく柔らかく表現してくれるレンズ

撮影機材:Nikon Z fc + LAOWA Argus 25mm F0.95 CF APO
絞りF0.95 1/200秒 ISO400 WB:5200K ピクチャーコントロール:ポートレート

人間の目のF値はいくつか?みたいに昔から議論されているテーマもありますが、このレンズを使うと「自分の目はここまで明るくないな」と思ってしまいます。

肉眼で見えている状況と、本レンズを通してカメラの中に生み出される画は、明るさだけでなくムードもがらりと違い、自分もこのレンズで撮ってもらいたいなぁと感じるほど、優しい輪郭と柔らかい質感で人物の肌を描いてくれます。

クリック/デクリックはスチールとムービーで使い分け

撮影機材:Nikon Z fc + LAOWA Argus 25mm F0.95 CF APO
絞りF0.95 1/320秒 ISO100 WB:5200K ピクチャーコントロール:ポートレート

今回はスチールのみの撮影でしたが、明暗の差のある被写体を美しく描いてくれるので、ムービーでの使用も楽しそうです。

本レンズは、絞りリングのクリックとデクリックをスイッチ操作で変更できます。ムービー撮影時にはデクリックにして操作音が同録されないようにできますし、スチール撮影時には逆にクリック有りにして、意図しない絞りの変更を防ぐことができます。

操作ミスの少ないレンズ形状ではあるのですが、フォーカス操作をしているときに、不意に手が当たって絞り値が変わってしまうのは、まあまああることなので、クリックの振動でわかるようにしておくのは、ケアレスミスを防ぐひとつの手段として活用しています。

光るものすべてを優しいボケに変えてくれる

撮影機材:Nikon Z fc + LAOWA Argus 25mm F0.95 CF APO
絞りF0.95 1/320秒 ISO100 WB:自然光オート ピクチャーコントロール:ポートレート

絞り羽根枚数は9枚なので奇数枚数の効果もあり、点光源は優しい丸形になります。また、光るものすべてが優しい丸みのある輪郭を保ちながらボケるので、ポートレートにはぴったりの優しい背景ができあがります。本レンズを使うと被写体の前後のボケの大切さと、それがポートレートのムードを左右するのだということを実感できます。

この描写でこの価格はとてつもなく良コスパ!

撮影機材:Nikon Z fc + LAOWA Argus 25mm F0.95 CF APO
絞りF0.95 1/160秒 ISO250 WB:5200K ピクチャーコントロール:スタンダード

本レンズを入手した当初はとにかくそのとろけ具合が楽しくて、強い逆光と白飛びギリギリの露出で、白い海で泳ぐような描写ばかりにこだわって撮影していたのですが、最近はコントラストの美しさに見惚れて、明暗の差があるシーンの撮影を楽しんでします。

マニュアルフォーカスのレンズを使ったことがない方も、ピントの山が掴みやすいので数日撮影をすればすぐ慣れると思います。この開放F値と描写性能でこの価格はとてつもなくコスパが良いので、特にポートレート撮影を主とする方は手を出して見る価値アリですよ!

 

■モデル:辻 美咲 「株式会社BABYBOO

■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。日本写真家協会(JPS)会員。

 

 

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