【レビュー】レッドブル・エアレースの撮影で大活躍した2つのカメラ用品|坂井田富三
はじめに
■撮影環境:シャッター速度1/800秒 絞りF11 ISO200 焦点距離800mm
残念ながら今年で最後のレースになってしまった空のF1と呼ばれる「エアレース」を撮影してきました。最高速度370㎞/hとも言われるスピードでタイムを競うレース。超望遠レンズでその機体をファインダーで捉え続けるのは、なかなか難しい撮影ですが、今回強力な二つのアイテムを揃えて撮影してきました。
使用アイテムその1・ジンバル雲台
一つ目のアイテムは、ジンバル雲台です。三脚に付ける雲台には様々なものがありますが、今回はジンバル雲台をセレクトして装着しました。
通常の風景撮影などに使う雲台は、しっかりとカメラを固定して撮影するものですが、ジンバル雲台は、鳥や飛行機などの動く被写体で望遠レンズを使用して撮影する際に使われる雲台です。
実際にジンバル雲台にカメラ、望遠レンズを付けた状態でどのように動くか動画にしてみましたので、気になる方はこちらの動画をご覧ください。
■使用カメラ:SONY α6400 + FE 400mm F2.8 GM OSS
動く被写体を狙う際に、カメラ+レンズを安定してコントロールできる、とても便利なアイテムです。もちろんチルトテンション調整ノブを調整して、動きの微調整が可能ですし、雲台をしっかりと固定することも可能です。
今回使用したレオフォトの三脚ですが、三脚にいろいろ取付ができるアクセサリーも充実しています。マジックアームやスマートフォン用ホルダーなどを取り付ける事によって、情報を確認しながら撮影することができたりもします。
使用アイテムその2・ドットサイト
二つ目のアイテムはドットサイトです。ドットサイトはいわゆる「照準器」です。これをカメラに取付て、ファインダーで被写体を追うのでなくドットサイトのターゲット使って被写体を追って撮影します。
今回は、「OLYMPUS ドットサイト照準器 EE-1」を使用しました。このEE-1は、アクセサリーシューに取付できる汎用タイプの照準器で、カメラメーカーを気にすることなく使用できます。
最初に三脚に固定しレンズに合わせて、照準器の赤いドットをファインダーで見える中心点を合わせる作業が必要です。上下・左右に細かな調整できるダイヤルがあるので、まずはファインダーで中心に目印になる被写体に合わせて調整するのがおススメです。ファインダーで中心に合わせた被写体を、今度はドットサイトの赤いドットが合うように調整すればセッティング完了。
超望遠レンズでは、一瞬でもファインダーから外れてしまった被写体を探すのはとても難しいですが、ドットサイトで被写体を追って行けば広い視野で被写体を追い続ける事ができるので、被写体を見失うリスクが軽減されます。
高速でパイロンを通過する機体。600mmの望遠レンズを使用してファインダーで追い続けるのはなかなかの至難の技。そんな撮影がドットサイトを使用すると被写体を捉えるの精度が飛躍的に上がりました。
■撮影環境:シャッター速度1/800秒 絞りF9 ISO 200 焦点距離600mm
OLYMPUS ドットサイト照準器 EE-1使用
ジンバル雲台+ドットサイトで被写体をロックオン
実際に、ジンバル雲台とドットサイトを使ってどのようにエアレースの機体を追えたのか動画を撮ってみたので是非ご覧ください。高速でターンや急上昇もしっかり追えているのが分かってもらえると思います。
OLYMPUS ドットサイト照準器 EE-1
■使用カメラ:SONY α9 + FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS 600mm側使用
設定・撮影のポイント
こういったイベントの場合、三脚等が使えるかどうか事前に確認しておくことが重要です。今回は一般席が三脚を使用禁止になっていたので、三脚を使って撮影できるカメラマン席のチケットを購入して撮影しました。
カメラ側の設定は、高速で動く被写体なのでオートフォーカスをコンティニュアンスモードや追尾AFなどに設定します。オートフォーカスのエリアは、青空の元での撮影であればコントラストもしっかりあるので、ワイドエリアでも十分に対応できますが、ドットサイトを使う場合はオートフォーカスのエリアを中心部に絞って撮影した方がより精度が上がります。
実際に撮影している時に、パイロンの間を通過するような場合は、パイロン側にピントがいく場合が多くありました。実際に撮影をしながら設定を追い込んでいくのが良いでしょう。
SONY α9とFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS で撮影したファインダーの状況動画です。オートフォーカスはコンティニュアンスモード、オートフォーカスエリアはワイドで撮影しています。α9ならではのブラックアウトフリーで撮影できているのがよく分かると思います。
エアレースのプロペラ機を撮影する上で、考慮したいことがシャッター速度です。当然機体の動きが速いので高速シャッターで撮影するのですが、速すぎると機体に動きを感じられない写真になってしまいます。
■撮影環境:シャッター速度1/2500秒 絞りF8 ISO 400 焦点距離600mm
上の写真はシャッター速度1/2500秒で撮影している。スモークがあるので動きは表現できていますが、もっとシャッター速度を落とすと下のような写真になります。
■撮影環境:シャッター速度1/800秒 絞りF11 ISO 200 焦点距離800mm
お分かり頂けるでしょうか、プロペラのブレ。プロペラがブレていると回転している感じがよりでて動きを感じる事の写真になりますね。
1/1000秒以下にすることで、プロペラのブレを演出することができます。あまりシャッター速度を落とすと被写体ブレが発生するので、プロペラ機を撮影する際には、何回かシャッター速度を変えて撮影して、自分にあった撮りやすいシャッター速度を見つけてみてください。
■撮影環境:シャッター速度1/800秒 絞りF11 ISO 200焦点距離600mm
最初のうちは、機体のスピードについていくのが難しいと思います。ですので、少し引いた状態で撮影を繰り返し、スピードに慣れてきたらアップで撮るのが良いと思います。
■撮影環境:シャッター速度1/3200秒 絞りF8 ISO400 焦点距離414mm
▼今回のレッドブル・エアレース千葉2019で優勝した室屋選手の機体。
■撮影環境:シャッター速度1/800秒 絞りF6.3 ISO 800 焦点距離800mm
■撮影環境:シャッター速度1/800秒 絞りF9 ISO 800 焦点距離800mm
▼レッドブル・エアレース2019年の年間チャンピオンになったホール選手の機体
■撮影環境:シャッター速度1/800秒 絞りF6.3 ISO 200 焦点距離600mm
また、レッドブル・エアレースのイベントでは、普段見る事がない様々な機体をみることができました。
■撮影環境:シャッター速度1/500秒 絞りF11 ISO160 焦点距離430mm
▼海上自衛隊の水陸両用の救難飛行艇「US-2」が東京湾に初着水。
■撮影環境:シャッター速度1/500秒 絞りF8 ISO100 焦点距離400mm
■撮影環境:シャッター速度1/1000秒 絞りF7.1 ISO160 焦点距離400mm
最後に
残念ながらエアレースは、今回の大会が最後となってしまい見納めになりました。こんな写真を撮れる機会はもう無いのかも知れません。ですが、何かしらイベントの際に飛んでくれることを祈りたいと思います。
今回のジンバル雲台+ドットサイトの活用は、超望遠レンズで野鳥やスポーツシーンを撮る場合にとてもメリットを発揮するアクセサリーです。
まだ使った事の無い方、是非検討してみてくださいね。