使いやすくなったマルミ光機CREATIONシリーズ「バリアブルNDフィルター」
はじめに
今回は、マルミ光機から新しく発売になった2種類のバリアブルNDフィルターを早速使用してみました。通常のNDフィルターではND4、ND8、ND16・・・などフィルター1枚で減光量が固定になり、撮影にあった減光量を求めるために複数のNDフィルターを用意したりします。しかし、バリアブルNDフィルターというのは可変型のNDフィルターで、1枚のフィルターで減光量を自由に調整できる便利な製品です。
下の動画はマルミ光機のバリアブルNDフィルター「CREATION Variable ND2.5-ND256/V」を着けた際のファインダーの状態です。被写体の滝の雰囲気は変わりませんが、画面左下に表示されているシャッター速度の変化をみてください。バリアブルNDフィルターの減光量を最小から最大まで調整していくので、シャッター速度がどんどん遅くなるのが分かると思います。
CREATION Variable ND2.5-ND256/V・CREATION Variable ND40-ND4000/Pの特徴
マルミ光機から新発売になったこのバリアブルNDフィルターは、従来から発売されているバリアブルNDフィルターと比較して、さらに使いやすく改良されています。
POINT:Xムラ警告マーク入りで安心
CREATION Variable ND2.5-ND256/V・CREATION Variable ND40-ND4000/Pの2種類のフィルターには、「Xムラ警告マーク」が表示されています。このXムラというのは、偏光膜を使用する可変型NDフィルターにおいて、原理上避けられない高濃度になるに従って画面にX状の色ムラが発生する現象です。下の写真は、Xムラが発生した写真になります。
「Xムラ警告マーク」は、広角域の焦点距離においてXムラが目立ちやすくなる位置を示しています。目立ちやすくなる焦点距離は、撮影シーンや撮影者の感じ方などによっても異なりますが、焦点距離で概ね24mm(フルサイズ換算)以下になるので焦点距離24mm以上での使用が推奨されます。
ただ、中望遠あたりからXムラが少し目立ちにくくなりますので、実際に使用する時には使うレンズによって多少の違いが生じることもあります。下の写真は、同じ場所で同条件のNDフィルターMAX値ND4000で撮影していますが、焦点距離を105mmで撮影している為、Xムラの影響が感じられない状態で撮影ができています。
Xマークを超えて使用する場合は、撮影シーンやレンズの焦点距離によって影響度は異なりますが、念のためファインダーやライブビューモードでムラが発生していないか確認しながら撮影するとよいでしょう。
濃度調整が素早くスムーズにできる長短2本のノブ、稼働範囲ストップ機構搭載
取替が可能な長短2本のノブが付属し、フィルター下部の調整リングを指先で回して微調整が必要だったことがレバーで簡単に調整できるようになり、スムーズに濃度切り替えができるよう改良されています。
もちろん外して使用することも可能ですが、実際に使用してみると圧倒的にノブがあった方がスムーズに濃度調整をすることができました。デフォルトでは短い方のノブが装着されていますが、長い方のノブにも簡単に付け替える事ができます。ただし長いノブを着けたままだと付属のフィルターケースには入らないので注意が必要です。また、取り外しの際にノブを無くさないように注意も必要ですね。
また、濃度調整範囲ストップ機能も新たに加わり、使い勝手が非常に良くなっているのもポイントです。従来のバリアブルNDフィルターは、稼働範囲にストップ機能が無くMAX値以降も回転しそのまま1回転してしまいます。ストップ機能が付いたことにより無駄な操作が無くなり、スムーズな濃度調整ができるようになっています。
■CREATION Variable ND2.5-ND256/V
CREATION Variable ND2.5-ND256/Vフィルターは、ND2.5~ND256まで可変できるNDフィルターです。フィルター無しに対して、最大8段の減光が可能になります。
■CREATION Variable ND40-ND4000/P
CREATION Variable ND40-ND4000/Pフィルターは、ND40~ND4000まで可変できるNDフィルターです。フィルター無しに対して、最大12段の減光が可能になります。
普段からNDフィルターを何枚か持っている人にとっては、通常使用範囲のCREATION Variable ND2.5-ND256/Vであれば、1枚で対応が可能になります。複数枚持ち歩くよりはとても便利になります。また、もう少し高濃度の減光効果を求めるのであれば、CREATION Variable ND40-ND4000/Pを選択する必要がでてきます。普段から使用しているNDフィルターの減光量を考慮し、撮影する焦点距離・被写体・シーンに合わせて選択する必要があります。
マルミ光機のWEBサイトの商品紹介ページでは、このバリアブルNDフィルターを主にムービー向けとして案内していますが、もちろん静止画撮影にとっても便利なアイテムです。
バリアブルNDフィルターで水の表現や日中の人の動きを表現する
今回は、早速この便利なバリアブルNDフィルターを持参して、少し山歩きをして滝と渓流の撮影をしてきました。水の流れを表現するのにはNDフィルターは欠かせないアイテムの一つです。山歩きをする際には、少しでも荷物は減らしたいですし、足場の悪い場所での撮影の際に何回もNDフィルターを調整しながら交換する作業は非常に手間が掛かります。そこでバリアブルNDフィルターであれば、フィルター1枚で光量調整ができ撮影をスムーズに進める事ができます。
下の写真はフィルターを使っていない場合と、CREATION Variable ND2.5-ND256/VをMAXで使用した場合の違いになります。
滝や渓流などの水の流れを表現するのには、シャッター速度を遅くする事によって、奇麗な白く糸をひいたような表現が可能になります。日中明るいところでスローシャッターを切るためにはNDフィルターは欠かせません。こういった水辺でのスローシャッターを使うシーンでは、少し高濃度のCREATION Variable ND40-ND4000/Pが最適になります。
高濃度のバリアブルNDフィルター、CREATION Variable ND40-ND4000/Pを使ったその他の活用方法を少し紹介したいと思います。通常では止まってしまう日中の風景を、高濃度のNDフィルターを使用して動きのあるものをブラす撮り方です。日中のスローシャッターは、いつもの写真とは少し違った日常を写し込むことができます。
バリアブルNDフィルターを使用して流し撮り
NDフィルターは、日中の流し撮りをする場合にもよく使用します。曇りの日などはNDフィルターを使用しなくても、絞りを絞ってある程度流し撮りをするシャッター速度まで落とす事も可能ですが、やはりNDフィルターがあるととても便利です。
特にバリアブルフィルターは減光調整が可能なので、流し撮りをするシャッター速度に合わせて減光調整ができるのが最大のメリットです。自分が流し撮りをする際に使用するシャッター速度は1/10~1/60秒が多く、先に紹介したほどの減光が必要ないので、CREATION Variable ND2.5-ND256/Vを使用しました。
まとめ
マルミ光機から新発売になったバリアブルNDフィルター「CREATION Variable ND2.5-ND256/V」、「CREATION Variable ND40-ND4000/P」は、従来のバリアブルNDフィルターよりも確実に使いやすくなっています。従来のタイプも「Creation Variable ND2.5-ND500/Basic」として販売されていますが、こちらにはXムラ警告マークや濃度調整が素早くスムーズにできる長短2本のノブ、稼働範囲ストップ機構はありません。ですので、新規にバリアブルNDフィルターの購入を検討するのであれば、断然「CREATION Variable ND2.5-ND256/V」、「CREATION Variable ND40-ND4000/P」をお勧めします。
バリアブルNDフィルターは通常のNDフィルターよりも高価になりますが、濃度の違うNDフィルター何枚か購入するとなるとほぼ同等の価格になりますし、1枚のフィルターで濃度調整が対応できスムーズな撮影ができる大きなメリットになります。是非バリアブルNDフィルターを使って、スローシャッターの世界を楽しんでみてください。
■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・日本風景写真家協会 会員
・NPO法人 フォトカルチャー倶楽部 参事
・一般社団法人 日本フォトコンテスト協会 理事
・一般社団法人 日本写真講師協会 理事
・ソニーαアカデミー講師
・クラブツーリズム写真撮影の旅・ツアー講師