ニコン Z 7II/Z 6II|ユーザーの要望に応えて正統進化を遂げる

ShaSha編集部

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はじめに

 ニコンは2020年10月14日、フルサイズミラーレスカメラの新製品「Z 7II」と「Z 6II」を発表しました。2018年に発売された同社初のフルサイズミラーレスカメラ「Z 7」「Z 6」の後継にあたる機種で、ユーザーの声に耳を傾け、検証を重ねて改善してきた製品になります。具体的にはデュアル画像処理エンジンの搭載やAF性能の強化といった技術面での進化に加え、従来機ユーザーの要望に応えた縦位置グリップへの対応やメモリーカードのダブルスロット化など、既存ユーザーだけでなく、新たなデジタル一眼ユーザーからの買い替えにも対応できる正統進化を遂げたとのが、この Z 7II/Z 6IIなのです。

 今回、実機のβ版をニコンより貸していただくことができたので、どんな進化を遂げたのか、チェックしていこうと思います。

Wスロットとデュアルエンジンで高速かつ快適な撮影が可能

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 まずはメモリーカードスロットの改良について。従来機ではCFexpress/XQDスロットのみでしたが、 Z 7II/Z 6IIはCFexpress/XQDに加え、SDメモリーカード(UHS-II規格対応)のダブルスロットを搭載しています。記録方式も両方のスロットにメモリーカードを装填することで「順次記録」「バックアップ記録」「RAW+JPEGの分割記録」と、撮影者の目的に合わせて使い分けが可能となっています。なお、CFexpress/XQDスロットはPCI Express Gen3に対応しているため、 Z 7/Z 6より高速の書き込みが可能となっています。

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  Z 7II/Z 6IIには、画像処理エンジン「EXPEED 6」を2基搭載したデュアルエンジンを採用しています。これにより、連写性能が向上しています。Z 7IIは約10コマ/秒(Z 7は約9コマ/秒)で、高速連続撮影可能コマ数※は最大77コマ(Z 7は最大23コマ)、Z 6IIは約14コマ/秒(Z 6は約12コマ/秒)で高速連続撮影可能コマ数※は最大124コマ(Z 6は最大35コマ)と大きく性能アップしています。
※ロスレス圧縮RAW(L)/12bit時

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 また、従来機ユーザーからの要望が多かったバッテリーパワーパック「MB-N11」を同時発表(別売)。縦位置グリップに対応し、シャッターボタンや操作ダイヤルも設置されています。これにより、縦位置撮影時のホールディング性や操作性が格段にアップしました。撮影しながらバッテリー交換が可能な「ホットスワップ」にも対応しています。

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 もちろん撮影機能についても性能を強化しています。Z 7/Z 6から搭載された「ハイブリッドAF」は継承。Z 7IIは493点、Z 6IIは273点のフォーカスポイントで撮像範囲の水平、垂直約90%と広い範囲をカバーしています。さらに、2020年2月に公開されたファームウェアのアップデートでZ 7/Z 6に対応した「動物AF」も搭載されており、しかもZ 7II/Z 6IIでは動物AFと、人物や犬、猫の顔・瞳を検出する「瞳AF・顔検出AF」がオートエリアAFに加え、新たにワイドエリアAFにも対応しました。これにより、動きのある被写体の撮影でも安定したピント合わせが可能となります。

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■撮影機材:ニコン Z7 II + NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
■撮影環境:F4 1/80秒 ISO500 AWB

 特に、この作例ように複数の被写体が混在したシーンでは、ワイドエリアAFによる動物AFで狙いたい被写体を簡単に選ぶことが可能となります。

 なお、AF合焦のアルゴリズムも見直され、従来機より性能向上が図られています。しかもAFの低輝度限界をZ 7IIで-3EV、Z 6IIは-4.5EVに性能向上させています。より暗いシーンでの静止画撮影には「ローライトAF」機能が効果的で、Z 7IIでは-4EV、Z 6IIでは-6EVの暗さまでAF撮影が行えます。

 ちなみに小さな仕様変更ですが、ピントを合わせた位置を電源オフ時にも記憶しておける「フォーカス位置の記憶」は、風景やポートレート、鉄道などを撮影する際、決めておいたピント位置が電源オフ、オンしても変わらないので便利な機能です。

バッテリー変更など細部に渡って使い勝手よく進化

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 ほかに大きな進化として、Z 6/Z 7より長時間の撮影が可能なLi-ionリチャージャブルバッテリー「EN-EL15c」(Z 7/Z 6はEN-EL15b)を採用しています。これによりEVF使用時でZ 7IIは約380コマ(Z 7は約330コマ)、Z 6IIは約400コマ(Z 6は約310コマ)と撮影可能コマ数がアップしています。

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 また、デュアルエンジン搭載により画像処理速度が向上したため、連写のコマ速がアップし、結果としてEVFの表示コマ数を増加させることが可能となりました。これにより、もともと高精細なEVFの動体追従性がさらに向上。実際、動く被写体を追って連写してみたところファインダーから見える像はとても滑らかな印象を受けました。

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 「USB給電」に加え、新たに「USB充電」も可能となっています。

Z 7II/Z 6IIそれぞれの特長や魅力とは?

 ここまでは、Z 7II/Z 6IIの従来モデルからの進化についてご紹介してきました。ここからはZ 7II、Z 6IIそれぞれの魅力や特長について説明していきます。なお、もともと従来モデルのZ 7は高画素機、Z 6は高感度機・高速連写機という特長を持っていましたがこれはZ 7II/Z 6IIでも継承しています。

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 それでは、各モデルの特長について解説します。まずは上位機種の Z 7IIから。有効画素数4575万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載し、高いトリミング耐性が魅力の機種です。センサー自体はZ 7と同じですが、デュアルエンジンの搭載により画像処理速度が向上し、より快適に撮影を楽しむことができるようになりました。

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■撮影機材:ニコン Z7 II + NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
■撮影環境:F4 1/80秒 ISO180 AWB トリミング有

 また、AFのフォーカスポイントも493点とZ 7と同じですが、前述のように瞳AF・顔認識AFと動物AFがワイドエリアモードに対応したため、より繊細なピント位置の選択が可能となりました。こうしたAF性能の高さと高画素によって、トリミングしても精細な画像に仕上げることが可能となっています。また、カメラ側の設定としてFX→DXクロップ撮影も可能なので、擬似的にズーミングすることもできます。

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 次に Z 6IIですが、フルサイズで有効画素数2450万画素の裏面照射型CMOSセンサーと、こちらもZ 6と同じセンサーを搭載しています。ただ、センサーサイズ自体は高画素機のZ 7IIと同じなので、より画素ピッチに余裕があり、1画素が受光できる光量がZ 7IIよりも大きくなります。そのため、暗所での撮影で強さを発揮するということで「高感度機」という位置づけになっています。つまり、Z 7IIより高感度撮影が強く、高感度ノイズが少なくなるということになります。

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■撮影機材:ニコン Z 6II + NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
■撮影環境:F4 1/80秒 ISO1600 AWB

 作例はISO1600と従来は高感度と言われた画像ですが、このZ 6IIに関しては常用ISO感度の範囲です。なお、Z 6IIの常用ISO感度は100~51200(Z 7IIはISO64~25600)。拡張すればISO204800相当(Z 7IIはISO102400相当)までの高感度撮影に対応しています。ちなみに、Z 6のISO感度も同じ範囲ですが、AFの低輝度限界性能がZ 6より向上しているため、暗所でのピント合わせも迷うケースが少なくなりました。

 Z 7II/Z 6IIは、従来モデルのZ 7/Z 6とほとんど変わらない外観をしていますが、奥行きが2cm大きくなっています。これはグリップ部の握りやすさを改善した結果で、実際に使用してみるとガシッと安定したホールディングが実現していて、撮りやすさが向上していると感じました。見た目こそ同じですが、従来モデルからのユーザーの声をしっかり反映し、細部にわたって見直しと改善を行い、より使い勝手が向上しているのが新たなフルサイズミラーレスカメラ・ Z 7II/Z 6IIなのです。

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