写真の印象を大きく変えるロケーションの選びかた
はじめに
こんにちは、フォトグラファーのtomosakiです。普段は、青春や物語を感じさせるシーンをテーマに撮影をしています。特に風景の中に人物を配置した作品を得意としており、地元福井県の美しい自然を活かして撮影することが多いです。福井県の風景を背景にしたポートレート撮影を数多く手掛けてきました。
写真を撮る上で、ロケーション選びは非常に重要です。背景が変わることで、写真の印象は大きく変わります。今回は、私がロケーション選びで大切にしていることについてお話ししたいと思います。
事前に写真のイメージを決めよう
撮影の前には必ず事前にイメージを固めます。例えば「海」をテーマに写真を撮ると決めた場合、まずはじめに行うのは、Googleマップや地図アプリのストリートビューで海周辺の場所を探索することです。もちろん実際に足を運んでロケハンを行うのがベストですが、時間や距離の制約があるため、足を運ぶ前にこの方法でロケーションをチェックします。
ストリートビューでチェックしている際に気を付けているポイントは、場所だけではありません。「方角」を常に意識することが重要です。例えば、マップである場所を見つけた際に、海が見える方向が西だと確認できれば、夕陽が美しく見えると予測できます。そのため、この写真は夕暮れ時にその場所での撮影を試みました。実際に足を運ばなくても、ストリートビューを使うことで、土地の魅力を引き出す最適な時間帯を把握することができます。
SNSやネットで調べる
撮影においては、訪れるタイミングが非常に重要です。たとえば、花の開花時期や天候、光の向きなどを事前に確認し、最適なタイミングで撮影に臨むことが大切です。ここでは、私が普段撮影の際に活用している方法をご紹介します。
X(旧Twitter)で地名検索
撮影したい場所の地名を検索することで、リアルタイムの開花状況や天候などを確認できます。地元の人々や観光客の投稿を参考にすることで、現地の最新情報を入手することができ、ベストなタイミングで撮影に挑むことができます。
定点カメラで現地の天気を確認
「○○県 定点カメラ」といった検索を行い、現地の定点カメラの映像を確認することで、実際の天候や光の状態をチェックできます。特に遠方の撮影地の場合、行ってみて天気が悪いという失敗を避けることができて非常に便利です。
このように、SNSやネットの情報を活用することで、撮影に適したタイミングを正確に把握し、より良い結果を得られる可能性が高まります。
場所を選ぶ基準
場所を選ぶ際に大切にしている基準の一つは、「主題」と「副題」を決めることです。たとえば、海をテーマにした場合、主題として海を選び、その主題に沿って副題を考えます。
こちらの写真は、主題である海を撮影したものです。ただ海を撮影するだけだと、私は嫌いではありませんが、よくある風景写真になってしまうかもしれません。
次に海である主題に副題を加えてみます。
▼海+桜
▼海+緑
▼海+海へ続く道
いかがでしょうか。海の手前に副題となる何かを加えることで、より海に目が引き寄せられ、ドラマチックな表現が可能になると思います。
このように、主題と副題を意識しながら、ストリートビューで景色を探すことが多いです。まず地図アプリで目星をつけ、その場所に実際に足を運び、周辺もじっくりと探査するという方法を取っています。
ポートレートの衣装の選び方
まずはイメージに合うロケーションを選ぶ前に、被写体の衣装を考えます。
例えば、海を背景に撮影したいと決めた場合、そのシーンに適した衣装を選ぶことが重要です。
海の爽やかな雰囲気を強調するために、制服の色は黒ではなく、白を選びました。制服を着た少女の姿が、海の青さや空の広がりに調和し、爽やかな印象を与えると考えたからです。こうして、イメージにぴったりの衣装を選び、その後にロケーションと合わせて撮影を行います。
例えばコスモスをテーマに撮影する際に、衣装選びは風景や光の条件に合わせて慎重に選ぶことが大切です。コスモスの花自体が柔らかな色味で、風景に溶け込むような優しい雰囲気が多いので、衣装もその雰囲気を損なわないものを選びます。背景が淡い色調の時は、被写体の衣装も優しいトーンで合わせると良いでしょう。
背景が濃色の場合は、衣装を原色や目立つ色にして、被写体が背景に負けないようにしましょう。
撮影に挑もう
テーマ、撮影場所、そして被写体の衣装を決めたら、撮影に挑みましょう。私は、写真は次の法則に基づいていると思っています。
「被写体(モデル)+背景の主題+背景の副題」
突然ですが、皆さんは「3色コーデ」がおしゃれの基本とされていることをご存じですか?2色以下のコーディネートではどこか物足りなく、4色以上になるとおしゃれに見せるのが難しくなると言われています。
実は、写真にも同じことが言えると私は考えています。見せたい要素は3つまでに絞ることで、より効果的な写真が生まれます。そのため、場所探しをする際は「被写体(モデル)+背景の主題+背景の副題」の3つを意識することをおすすめします。
▼被写体+桜+夜景
▼被写体+桜+菜の花
さいごに
いかがでしたでしょうか。今回は、私が普段ロケーションを探す際に行っている方法をご紹介しました。少しでも参考になれば嬉しいです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
■フォトグラファー:tomosaki
2000年生まれ、福井県出身。現在は福井県と神奈川県の二拠点を中心に活動中。「青春や物語を感じるシーン」をテーマに撮影している。2023年よりフリーランスフォトグラファーとして活動。2020年「東京カメラ部10選U-22 フォトコンテスト」に入選。2022年KADOKAWAより「あの頃にみた青は、」、モッシュブックスより「L&SCAPE 撮りたい世界が地元にある」を出版。