ニコン Z fで写真の表現を広げる「モノクロ撮影」の楽しさ|鎌田風花
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はじめに
こんにちは、フォトグラファーの鎌田風花です。今回はモノクロ撮影について作例を交えながらお話ししようと思います。
私自身、以前まではモノクロ撮影というと少し敷居が高いような…何となく難しそうなイメージを持っていました。ですが、コツを掴むと白黒で写す世界も写真表現の幅が広がって楽しい!昨年からNikon Z fでモノクロ写真をたくさん撮るようになり、そんな風に思うことが増えました。モノクロ撮影の楽しさを体感してくださる方が一人でも増えるといいなと思いながら、この記事を執筆しています。
色で溢れる世界をモノクロで写すこと
世界は色で溢れています。そんな世界をなぜモノクロで…?と思われる方も多いはず。
確かに色があるからこそ伝わる写真はたくさんあります。なぜあえてモノクロで写真を撮るのかと言われると、シーンによってはカラー写真よりも雰囲気が出る場合があるからです。
そして色に対しての情報量がない分、より写真を撮ることに対してじっくりと向き合うことでクリエイティブな作品が生まれたり、カラー撮影では気付くことのできなかったものに出会ったりすることも。
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■撮影環境:f/2 1/1600秒 ISO100 ディープトーンモノクローム
何気ない風景でもモノクロで撮ると木漏れ日の美しさに気付かされました。白い扉だったので、より明暗がはっきりしました。
モノクロだからこう撮るべきという正解は無いと思っています。ただ、撮りやすくなるコツはいくつかあるのでモノクロ撮影初心者の方向きに、具体的に撮影ポイントを解説していきたいと思います。
モノクロ撮影に向いているシーン
どんなシーンでもモノクロで撮ると素敵に見える、というわけでもないのがモノクロ撮影の難しくて面白いところでもあります。カラーだからこそ、モノクロだからこそ写真に味が出るので、おすすめのシーンをいくつかご紹介したいと思います。
光と影がはっきりしている
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■撮影環境:f/2 1/1600秒 ISO100 ディープトーンモノクローム
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■撮影環境:f/2 1/640秒 ISO160 モノクローム
光と影がはっきりと認識できる晴れた日などはモノクロ撮影の絶好のチャンスです。
被写体の輪郭が明確である
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■撮影環境:f/2 1/1250秒 ISO125 モノクローム
被写体の輪郭がはっきりしていると、色がなくても伝わりやすくなります。ガラスのドームに光が当たるように配置しています。モノクロ写真は写真の中で一番明るい部分(ハイライト)に目が行きやすくなります。
参考までに、あまり良くなかった例として下の写真を比較してみました。
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■撮影環境:f/1.8 1/4000秒 ISO200 モノクローム
色があるからこそ成り立つ写真ではないでしょうか。モノクロにしてしまうと、少し写真としてはぼんやりしてしまうように思います。
モノクロで伝えたいイメージがはっきりしている
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■撮影環境:f/2 1/1600秒 ISO125 ディープトーンモノクローム
光の当たる部分がなぜか三角形になっていて面白い、と感じシャッターを切りました。光を見てほしかったので、カラーではなくモノクロで光を強調しています。
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■撮影環境:f/2 1/2000秒 ISO250 ディープトーンモノクローム
レトロな看板はモノクロで写すと味が出ます。空も綺麗だったので看板全てを写すのではなく、空で余白を作りました。
+α おすすめのモノクロ撮影
質感が分かりやすい被写体はモノクロに向いています。
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■撮影環境:f/2.5 1/2000秒 ISO160 モノクローム
ザラザラした表面の鉢植えを写すことで、カラーよりも質感を表現できることがあります。凹凸のある面を撮ると分かりやすいです。
Nikon Z fのモノクロ機能
Z fには静止画/動画セレクターというレバーにB&Wポジション(静止画のモノクロ撮影モード)も加わりました。
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カラーとモノクロをワンタッチで切り替えることができるため、とっさのシャッターチャンスにも対応できます。以前よりも設定に費やす時間が削られ、直感で操作ができ、より撮影に対して集中できるところが実際に使っていて便利だと感じました。
また、Z fのモノクロは以前からあるピクチャーコントロールの「モノクローム」に加え、2種類の新しいモード「ディープトーンモノクローム」と「フラットモノクローム」が追加されました。具体的にどのようなシーンで使い分けるのがおすすめなのか、写真と一緒にご覧ください。
※ピクチャーコントロール:Nikonのカメラ機能で、写真の雰囲気を変えることができる画作り設定のこと
◇モノクローム
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■撮影環境:f/2 1/6400秒 ISO200 モノクローム
コントラストが高く、明暗がはっきりしているようなシーンに合います。
◇ディープトーンモノクローム
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■撮影環境:f/4 1/3200秒 ISO100 ディープトーンモノクローム
青は暗く、赤は明るく写る特徴があり、特に風景との相性が良いように感じます。絶妙なコントラストとダークトーンが写真を程よく引き締めてくれます。ディープトーンの作り出すしっとりとした雰囲気が好きなので風景以外でもよく使います。
◇フラットモノクローム
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■撮影環境:f/2 1/400秒 ISO100 フラットモノクローム
モノクロの階調が滑らかで、柔らかな雰囲気になるフラットモノクロームは優しく穏やかな瞬間を切り取りたい時に使用しています。
同じ写真で3つのモノクロを比較してみます。
■撮影環境:f/2 1/250秒 ISO160
左からモノクローム/ディープトーンモノクローム/フラットモノクローム
同じモノクロ写真ではありますが、ハイライト部分、中間色のグラデーションやコントラストなどの描写がそれぞれ異なります。その時の光や状況に合わせて、どのモノクロが自分にとって表現したい写真に合うかを試してみてください。
また、RAWで撮影しておくとNikonの現像ソフトウェアである「NX Studio」で後から各モノクロへ変更することも可能です。もちろんカラーにすることも可能です。
何気ない瞬間もモノクロで写してみる
シャッターチャンスはいつ訪れるか分からないものです。モノクロに慣れるまでは、いろんなシチュエーションを撮影してみてはいかがでしょうか。何気ない日常の中にも、モノクロで撮る楽しさを見つけることができます。
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■撮影環境:f/2 1/100秒 ISO125 フラットモノクローム
例えば、ティータイムもモノクロで写すことでカラーよりも湯気が分かりやすくなり、いつもよりお洒落な雰囲気に。
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■撮影環境:f/2 1/160秒 ISO125 フラットモノクローム
部屋に差す光でチューリップを撮影してみました。モノクロで撮ると情報量が少なくなり、伝えたいもの(ここでは影の印象)を強調することができます。
まとめ
撮影をしていると、ここはモノクロで表現したいと感じる瞬間があります。光が綺麗だったから、レトロな外観だったから、など理由は様々。どうしてそのシーンをモノクロで撮りたいと思ったのか、それを深く考えることでより撮影に対して夢中になる楽しさがあります。モノクロ撮影で、写真の表現を広げる楽しさやチャレンジしてみたいと思う気持ちを持っていただけると幸いです。最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。
■フォトグラファー:鎌田風花
兵庫県在住。一般企業への就職を経て2017年よりフォトグラファーとして活動。ナチュラルで透明感のあるポートレートや風景写真を得意とし、家族写真の出張撮影や広告撮影、写真セミナーの講師などを務める。
近畿日本鉄道「わたしは奈良派」広告掲示(2023年春/夏)その他カメラ、レンズのパンフレット撮影など。Nikon CP+ステージ登壇(2022年/2023年/2024年)