はじめに

2025年4月25日に新たに発売となった、Nikonのフルサイズミラーレスカメラ「Z5II」。エントリーモデルでありながら、Z5と比較して、描写力・AF性能・操作性がバランス良く進化した注目の1台です。

軽量コンパクトなボディと扱いやすさは、日常のスナップではもちろん、旅先の撮影でも大活躍。実際に筆者もZ5IIのプロモーション撮影のために様々な場所に持って行きましたが、想像以上に使いやすく、撮影の相棒としてぴったりだと実感しました。

カメラ初心者の方から、上位モデルを持つ方のサブ機として、幅広くおすすめできる1台。今回の記事では、実際に撮影した作例とともに、Z5IIの魅力や使用感をご紹介します。

フルサイズならではの描写力を、コンパクトに

Nikon Z5IIは、有効画素数2,450万画素のフルサイズセンサーを搭載。フルサイズカメラと聞くと「大きくて重そう…」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、Z5IIの本体重量は約620g（本体のみ）と、Nikonのフルサイズ機の中でも比較的軽量なモデルです。

しっかりとしたグリップ形状も特徴のひとつ。手にフィットして、安定感のある撮影ができることから、実際の重量よりもカメラを持つ手が軽く感じます。望遠レンズなど少し大きめのレンズを装着する場面でも、しっかりとホールドできるのが嬉しいポイント。

また、Z5から大きく進化したポイントの一つが、バリアングル液晶の搭載です。これにより、縦構図の撮影や自撮り撮影など、より自由なアングルで撮れるようになりました。たとえば、テーブルフォトを俯瞰で撮るときや、お花をローアングルで切り取るときも、画面を見ながら構図をさっと決められるので、日常のふとした瞬間や旅先の風景を残すのにも活躍します。

シーンに合わせて選べる、2種類のキットレンズ

Z5IIには、シーンや撮影スタイルに合わせて選べる2種類のキットレンズが用意されています。

ひとつ目は、「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」。こちらは、Nikonのフルサイズ対応ミラーレス用ズームレンズの中で最薄・最軽量のモデル。

コンパクトながら日常的に使いやすい焦点距離をカバーしており、ちょっとしたお出かけや気軽な旅のお供にぴったりです。実際に、私は台湾旅行の際にZ5IIとこのレンズを持って行きましたが、驚くほど身軽に動けた上に、クリアで美しい写真が残せて、まさに旅向きの組み合わせだと実感しました。

もうひとつは、「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」。こちらは、広角から望遠まで1本でカバーできる万能ズームレンズ。

今回のZ5IIの撮影では、冬の北海道や風の強い島旅など、レンズ交換が難しいシーンも多かったのですが、このレンズが1本あれば安心。付けっぱなしでも、「撮りたい」と思った景色や被写体をスムーズに逃さず撮影できる、非常に使い勝手の良いレンズです。

最小絞り値は高めではあるものの、望遠側で被写体との距離感を工夫することでボケを表現することもできるため、お花や人物などを撮る際にもおすすめです。

シャッターチャンスを逃さない、頼れるAF性能

写真を撮っていると、思いがけずシャッターチャンスが訪れることも。そんな一瞬を逃さず捉えるためには、AFの速さがとても重要。カメラ選びの大切なポイントのひとつです。

Z5IIは、上位モデルにも採用されている画像処理エンジン「EXPEED 7」を搭載しており、強力なAF性能と優れた被写体検出・追尾性能を実現しています。

今回の撮影では、Nikonのフルサイズミラーレスとして初めて搭載されたAF-Aモードを使用しました。これは、カメラが被写体の動きを自動で判断し、静止した被写体に適した「AF-Sモード」と、動いている被写体に適した「AF-Cモード」を自動で切り替えてくれる便利な機能。AFモードを自分で切り替える手間がなくなるので、撮影に集中できるのが大きなメリットです。

さらに、特に便利だと感じたのが人物の被写体検出。Z5IIでは画面の長辺の約3％に相当する非常に小さな顔も検出して、ピントを自動で合わせてくれます。

私は、広い風景をメインにしながら、人物をアクセントとして小さく入れる構図が好きなのですが、そうしたシーンではピントが合いにくいことも多く、撮影に手間取ることがありました。この被写体検出機能があることで、小さく写る人物にもスムーズにピントを合わせてくれるので、安心して撮影を進めることができました。

どんなシーンでも安心して撮れる、Z5IIの暗所性能

撮影の際に悩むことの多い「暗いシーン」。夕暮れ時や夜景、室内など、光が少ない場面では、カメラの性能によって撮影の成功率が大きく変わります。Z5IIには、そんな暗所撮影をしっかり支えてくれる多彩な機能が備わっています。

1.強力な手ブレ補正で、低速シャッターも手持ちで

まず注目したいのが「手ブレ補正」。中央7.5段、周辺6.0段という強力な補正効果により、シャッタースピードを稼ぎにくいシーンでも、三脚なしでの撮影が可能になります。

たとえば今回のジュエリーアイスの撮影では、シャッタースピード1/8秒で手持ち撮影を実施。三脚を使わずとも、ここまで遅いシャッタースピードで撮れるのは、撮影の自由度をぐっと広げてくれる嬉しいポイントです。

2.高感度でもノイズが気にならない

次に挙げたいのが、高感度撮影時の画質の良さ。フルサイズ／FXフォーマットの裏面照射型CMOSセンサーと、最新の画像処理エンジン「EXPEED 7」の組み合わせによって、高感度でもノイズをしっかり抑えてくれます。

実際にISO6400で撮影した写真を見て、「本当にこれがISO6400!?」と驚いたほど。ノイズがほとんど気にならず、暗所でも安心してシャッターが切れるのは大きな魅力です。これまでなら暗くて諦めていたようなシーンも、Z5IIがあれば「撮れる」に変わります。

3.－10EVまで対応する被写体検出

さらに、－10EVの非常に暗い環境でも被写体を検出してピントを合わせられるAF性能も強みです。シルエットのような暗い被写体でも、しっかりとフォーカスを合わせてくれるので、夜や暗い室内でも安心。難易度が高くなりがちな暗所撮影も、スムーズかつスピーディーに進められるのは大きなメリットです。

自分好みの色で表現できる「フレキシブルカラーピクチャーコントロール」

写真を撮るうえで、「好きな色味やトーンで表現できるかどうか」はとても大切なポイント。撮ったそのままで“自分好みの色”が表現できると、撮影の楽しさはぐっと広がります。

そんな「自分らしい色」をカメラ内で表現できるのが、Nikonのフレキシブルカラーピクチャーコントロールです。これは、トーンカーブやカラーブレンダー、カラーグレーディングなどを細かく調整し、自分だけのピクチャーコントロールを作ることができる機能。好みに合わせてカスタマイズした設定でファインダーを覗くと、目の前の風景がまるで“自分の色”で広がっているような感覚があり、思わず感動してしまいます。

▼ピクチャーコントロール（スタンダード）

▼フレキシブルカラーピクチャーコントロール（PaleTale）

実際にフレキシブルカラーピクチャーコントロールのイメージングレシピで撮影した写真を紹介します。1枚目がピクチャーコントロール「スタンダード」で撮影した写真、2枚目が私が作成したイメージングレシピ「PaleTale」で撮影した写真です。

「PaleTale」は、ふんわりパステルな世界を表現しつつ、風景・テーブルフォト・ポートレートなど、様々な場面に合うよう調整したイメージングレシピ。イメージングレシピを当てることで、写真全体のトーンが柔らかく、色味が優しく変化したことが伝わるかと思います。

※今回の記事で使用しているすべての作例写真は、このイメージングレシピ「PaleTale」にて撮影しています。

また、この設定は静止画だけでなく動画にも適用可能。動画のカラーグレーディングが苦手な方でも、撮ってそのままで自分好みの色味が出せるのは大きな魅力です。実際、私自身も動画のカラーグレーディングはあまり得意ではないので、「撮って出し」で自分の色が表現できる便利さを改めて実感しました。

おわりに

Z5IIは、エントリーモデルとは思えないほどバランス力のあるフルサイズミラーレスカメラ。軽くて扱いやすいのに、優れたAF性能や暗所性能、そして自分好みに色を作り込める楽しさもあり、日常のスナップから旅先での風景撮影まで、幅広いシーンで活躍してくれます。

扱いやすさと高い描写力を両立したこのカメラは、「初めてのフルサイズ」にも、サブ機としてもぴったり。撮る楽しさをもっと広げてくれる一台として、これから新しくカメラを始めたい方も、日々の撮影をもう一歩深めたい方にも、ぜひ手に取ってもらいたい1台です。

　

　

■モデル：
・chiro（＠chir0328）
・tsutsumi（＠_tsutsumi_）

■フォトグラファー：Yuri
大阪府在住。「ふんわりかわいい写真」をテーマに、旅先の魅力やカメラの楽しみ方を発信。観光プロモーションに関する撮影をはじめ、家族写真/ウエディング等の出張撮影や、書籍・広告の撮影、写真セミナー講師、記事執筆など、幅広く活動中。