オリンパスのミラーレスカメラでシネマティックなロードバイクムービーを撮る

WATARU

ロードバイクムービーサムネイル

はじめに

 ロードバイクとミラーレス一眼カメラは最高の組み合わせです。ミラーレス一眼カメラには軽量なモデルが多く、軽さが正義のロードバイク乗りに取ってそれはメリットでしかありません。

 持ち運びはストラップで肩に回しても良いし、パンケーキレンズを装着すればそのままサイクルジャージのポケットにも入ってしまいます。例えばライド中、景色の良いポイントに来たらカメラを前に回して撮影。そしてまたすぐに走り出せるなど、撮影しながらのライドもフットワークがかなり軽いので、ロングライドでも持って出るサイクリストは多いと思います。

 そんなカメラ好きサイクリストの強い相棒、ミラーレス一眼カメラに関して、今回は動画にフォーカスし映像を撮る際のコツやテクニックをご紹介します。

なぜミラーレス一眼カメラを使う様になったのか

 ロードバイクが主役のシネマティックな映像を作りたいと思ったのがスタート。それまでもGoProを使用した走行動画の配信はしていて、一人称視点による走行中の映像には満足していたのですが、もっとロードバイク自体を美しく映し出した映像が欲しいと思う様になりました。

 広大な自然やキラキラと輝く都心の夜景をバックに、ロードバイクの美しいフレームのラインやドロップハンドルの曲線美、コンポーネントのメカメカしたカッコ良さを映した映像が欲しい。GoProでそうした表現を取り入れた動画も何本か出しているが、頭で思い描く映像にはほど遠かった。そこでヒントを得たのが海外のVloggerたちの映像。背景ボケの美しさ、そしてフレームの中で主役となるものがクッキリと浮き出て来る様な映像。自分もこんな映像を撮りたい。

 そう思ってすぐ、ミラーレス一眼カメラの導入を決めたのです。

オリンパスOM-D E-M10 Mark IIIを使う理由

 安定した映像を撮る為に手振れ補正機能の高い機種が必要であった為、トップクラスの性能を持つ5軸手ぶれ補正をボディー内に搭載したOM-D E-M10 Mark IIIを導入する事にしました。

 都心の夜景や暗い屋内での撮影など手ブレが発生しやすいシーンでも手ブレを強力に抑えられるので、ストレスの無い映像を撮影する事が出来ています。ボディー内手ぶれ補正の大きな特長は、すべてのレンズで5軸手ブレ補正が働くこと。レンズ内手ぶれ補正では補正出来ない回転ブレも綺麗に補正してくれます。

使用するカメラによる違い

 百聞は一見にしかず。という事で3種類のカメラを使って同じシチュエーションで撮影した映像を見比べてみましょう。

 GoProとOM-D E-M10 Mark IIIの比較では、GoProの設定はライド中と同じくあえてGoProらしい画角のSuperViewにて撮影しています。GoProの映像は全体にピントが合っていてGoProらしい奥行き感の無い映像ですが、OM-D E-M10 Mark IIIでは背景ボケも綺麗に出ており被写体がクッキリと浮き出る様な印象になっているのがわかります。また、明るい単焦点レンズの効果もあって夜の撮影でもここまで明るく映す事が出来ています。

■使用レンズ:M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8/90mm相当(35mm判換算)

 iPhone 12 miniも非常に優秀なカメラを搭載しているのがわかります。手ブレ補正もかなり優秀で、且つ広角撮影も可能なので自身の動画でもスパイスとして度々使用しています。ただ、OM-D E-M10 Mark IIIと比較するとやはり奥行き感にかなりの差が出ているのがわかります。センサーサイズに大きな差があるので当然ではありますが、扱いやすさという点ではiPhone 12 miniに軍配が上がるかもしれません。何より常に携帯しているデバイス。そのカメラがここまでの進化を遂げているという事が素晴らしいですね。

三脚の必需性

 実際の撮影の様子を観て頂きながらご説明しましょう。

 ロードバイクを柵や段差に立て掛けての手持ちでの撮影がメインですが、第三者目線での映像が重要な役割を占める自身のYouTubeチャンネルではライドの際、常に三脚を携帯しています。

 いつも使用しているのが、ManfrottoのPIXIミニ三脚。カメラを搭載する為のしっかりとしたベースがあり、プッシュボタンで簡単なセットアップが可能で角度調整がしやすい事から、通常のミニ三脚と比べ構図を決めるスピードがとにかく早い。時間の限られているライド中の撮影ではスピード感は非常に重要なポイント。そしてブレることなくクリアで滑らかな撮影結果を得る事が出来ます。サイズも小さいので、サイクルジャージのポケットにも入るし、カメラ本体の下に付けっぱなしにしておく事も出来ます。

水平を保つ

 例外を除き、とにかく水平を保つ事。モニターに水平表示を出せるので常に確認しながら撮影しています。

 三脚で撮影する際も、ManfrottoのPIXIは角度の調整がしやすいので石畳や土など水平を決めるのが難しそうな場面でも簡単に水平を決める事が出来ます。水平を保ち撮影された映像は安定感が違います。是非、意識して撮影に臨んでみて下さい。

一番のポイントを探す

 欲しい構図が見つかるまで、ロードバイクに近づいたり遠ざかったり、周りをぐるぐる回ったり、カメラのモニターを確認しながら探ってみましょう。記念撮影ではないので、一つのポイントだけで完結させない様にする事がポイントです。足を使いましょう。歩き回って一番のポイントを見つけるのです。

 そしてポイントが見つかったら、しゃがんで地面ギリギリまでカメラを下げ、下から煽ったり、撮影しながら立ち上がったりしてみましょう。普段の目線とは違う視点になり、ロードバイクが映像の中で格段にカッコ良く映える様になります。ここは非常に重要なポイントで、普段の目線の位置からの撮影だとそれこそ”記念撮影”になる事が多いです。普段から様々な視点で見るようにして、自分のバイクがカッコ良く見える角度を知っておくと良いでしょう。

より美しい映像を撮る為に

 何を一番映したいのかハッキリさせてから撮る。ここが一番大事なポイントかもしれません。ロードバイクは引きの絵もカッコ良いですが、背景やその周りに多くの物が映りすぎると情報量が多すぎて何を映したい映像なのかよく分からなってしまう事も。

 また注意すべきは、近づいて車体全体を撮影した際にホイールが見切れてしまわない様にする事。せっかく良い角度で撮れているのにホイールが切れていたら勿体ないです。見切れてしまった部分は取り戻せませんが、余分に撮ってしまったならアップにすれば良いのです。ここも足を使って少しだけ引くなどしてフレームの中に確実に収まる様に撮影してみましょう。また、映像編集においてレターボックスを使う事を想定するのであれば、その余白分を考えて撮影する事が重要です。後からレターボックスを入れてみたら余白が足りず車体がレターボックスで隠れてしまうという事がない様に、上下どこまで映っていれば大丈夫なのか研究しておく事が必要です。

シネマティックなVLOG映像を撮るポイント

 1シーンで2~3カット撮るのがポイント。通称アクションつなぎと呼ばれる手法です。

 例えばハリウッド映画のワンシーンを想像して下さい。時限爆弾を解除するシーンでは、解除ナンバーを押す手やワイヤーをニッパーで切る手元のアップがあって、真剣な目元のアップ、冷や汗が滴り落ちる横顔、などなど一つのシーンで何カットもの素材を撮ります。それと同じ様に、例えばロードバイクにまたがり、ペダルにクリートをはめる、後方を確認、走り出す、この一連の流れを一箇所だけのカメラで撮るのではなく、引きの絵と各パーツのアップの絵を撮影し一連の動作として繋ぎ合わせる事でよりシネマティックな雰囲気の映像を撮る事が可能になります。参考映像を観て頂ければ分かる通り、全く同じ様に走り出すシーンを3回撮影するわけです。

カメラの設定

 YouTubeでの配信がメインの為、基本的にフルHD(1080p 30fps)で撮影しています。以前はシネマティックを狙ってフレームレートを24fpsにして撮影していましたが、YouTube上で映像を観る際、30fpsの方が滑らかで見やすい印象であった為、今年の動画から30fps固定で撮影しています。

おわりに

 ロードバイクでせっかく景色の良い所に走りに行くなら、スマホでは撮れない様な美しい映像や写真を撮りたいですよね。そんな時にミラーレス一眼カメラという存在は強い相棒となってくれる事でしょう。荷物が増えてしまうかもしれません。でも、それでしか撮れない絵があるので映像や写真にこだわる方は是非ライドに持って出てみて下さい。そうすれば、これまでとは違ったライドの楽しみ方というものを発見出来るかもしれません。

今回の記事で紹介した内容は総編集した動画からもご覧頂けます。是非こちらもご覧ください。

■執筆者:WATARU
東京を中心にロードバイクでのライド動画をはじめガジェット系・パーツなどのレビュー動画を配信しているYouTuber/動画クリエイター。ロードバイクのある風景をお洒落に映し出す事を得意とし、ミラーレス一眼・GoProを駆使し大自然の絶景や美しい都心の夜ライド動画を季節感のある映像に仕上げる事に定評がある。

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