ミラーレスカメラでロードバイクムービーを撮る|お洒落に仕上げる為の構図とTips
はじめに
今回は、ミラーレス一眼カメラを使ったお洒落なロードバイクやサイクリング動画を撮る際のテクニックに関して、前回の記事から一歩踏み込んだ部分に関してご紹介して行きます。僕自身、動画クリエイターとして活動しているのもあり動画にフォーカスしてお伝えしますが、全て写真にも応用がききますので、YouTubeをやられている方以外にも普段InstagramやTwitterなどにロードバイクの写真をUPしている方の参考になれば幸いです。普段、僕が普段どんな風に撮影を行っているのか、実際の撮影現場を観て頂きながらご紹介して行きます。是非、最後までご覧下さい。
撮影する前のポイント
簡単な下準備をしておくだけでよりこだわりのある映像や写真を撮る事が出来ます。撮影するのであれば、自身のロードバイクを一番カッコ良い状態で撮影したいですよね。メーカー各社のカタログ写真を見て頂ければ分かりやすいですが、それが良いお手本です。
方法としては、まず初めにチェーンの位置をアウタートップにします。こうする事でチェーンの上側のラインが水平になりスッキリ綺麗に纏まります。クランクアームはチェーンステーと平行に合わせます。ラインを合わせる事でより美しく。そして、ホイールの位置(向き)を合わせ、ハンドルが左右どちらかに切れてしまわない様にフレームに対して真っ直ぐの状態でキープさせます。僕自身、必ずしもこれを徹底している訳ではないですが、スピードが重要な撮影ライドの中で時間に余裕のある時に実践すると、これだけで安定感があってビシッとキマった映像(写真)になると実感しています。今まであまり意識していなかったという方は是非試してみて下さい。準備が整ったら、次は構図に関して具体的に映像を撮りながらご説明していきましょう。
二分割構図/三分割構図
例えば風景だけを撮る場合に、空と海を半分ずつにして撮影すればシンプルな二分割構図になります。空を大きく見せたいなら横に三分割した内の2/3を空に、1/3を海にします。これが三分割構図です。
では、そうした風景をバックにバイクを撮影する際、どの様な構図が美しいでしょうか。作例を観て頂きましょう。こちらの映像ではどこに目が行くでしょうか。恐らく手前のロードバイクと背景にある東京タワーかと思います。右下にバイク、左上に東京タワーを持って来る事でバランスを取った二分割構図にて撮影しています。
続いての映像でも、二分割構図にて撮影していますが、こちらでは縦に分割し左側にバイク、右側にはヘッドライトが照らす灯りのみを映し、広がりや奥行き感、そして夜間撮影の光と影を表現しています。
バイクをより小さく1/3の大きさで左端に寄せれば三分割構図になります。綺麗に分割させる事が出来れば構図の凝った映像や写真を撮る事が出来ますが、慣れないうちはiPhoneなどのカメラで三点分割のラインが見える機能を使って、それを見ながら意識して撮る様にしていくと、次第に慣れて来てラインがなくても勝手に見えて来る様になります。
額縁構図
門や建物や木々などをフレームの縁に入る様に撮影します。綺麗にフレームに収める事が出来れば狙いがわかりやすいカッチリした映像や写真を撮る事が出来ます。門の作りや素材や柄などによって雰囲気が変わって面白い絵を撮る事が出来ます。普段、街中を走っていてこの構図で撮れそうな場所があったら是非撮影して見て下さい。面白い絵が撮れると思います。
放射構図
長い一本道などで消失点が生まれる構図。奥行き感が出るので被写体がより引き立つ映像を撮れる構図です。僕自身もこの構図が好きで度々映像の中で使用しています。作例を見て頂くと分かりやすいと思いますが、消失点が映っていない映像よりも消失点のある放射構図を意識した映像の方が奥行き感や映像の広がりを感じて頂けると思います。
また、一つの消失点へ向かって全てのものが収束する透視図法を一点透視図法といいます。 最もシンプルな透視図法で深い奥行きを表したい時によく使われます。
アルファベット構図
読んで字のごとく、アルファベットの文字に沿った構図です。今回は、荒川左岸下流の高速下にてC字構図(この時の映像では逆C字の構図です)をバックに撮影してみました。背景が真っ直ぐに伸びる道では無くC字に伸びて行くので、そのラインに沿って視線誘導によって目線が動く、動タイプと言われる構図となります。C字の他にも定番なのがS字構図。九十九折の峠道を上から映した映像などがそれです。
日の丸構図
主役を真ん中に置くだけのシンプルな構図です。バイクを映像や写真のど真ん中に来る様に撮影すれば日の丸構図となります。これはバイクだけを目立たせたい時に使いますが、バイクと背景との距離が離れているなら背景ボケも相まって効果的な構図となるでしょう。逆にバイクと背景との距離が近いと急激に素人っぽい雰囲気になってしまうので注意が必要です。
水平を保つ
前回の記事でもお伝えしましたが、例外を除いてとにかく水平を保つ事が重要です。わざと水平にせず撮影したものと見比べてみて頂ければ一目瞭然だと思いますが、安定感が全然違います。基本を抑えた上で敢えて斜めに撮影する事で効果を狙うのであれば良いと思いますが、そうでなければ意識して水平を保つ様にして撮影してみて下さい。
記念撮影ではなく、魅せる写真にする為に
バイクを停めていざ撮影しようとした場面での行動範囲を意識してみましょう。カメラ初心者の頃によくありがちなことですが、行動範囲の狭さ故に撮影しようとしたその場所から動かず記念撮影で終わってしまうパターンが見受けられます。前回の記事でもお伝えしましたが、重要なポイントは”一つの場所だけで完結させない様にする事”です。足を使いましょう。歩き回って一番のポイントを見つけるのです。僕自身、撮影の際には欲しい構図が見つかるまでロードバイクに近づいたり遠ざかったり、周りをぐるぐる回ったり、背景とのバランスを取りながら時間をかけて撮影しています。大事なのは行動範囲の広さなのです。
そして、車体全体を撮影する際にホイールが見切れてしまわない様にする事。せっかく良い角度で撮れているのにホイールが切れていたら勿体ないです。見切れてしまった部分は取り戻せないけど、余分に撮ってしまったならアップにすれば良いです。ここも足を使って少しだけ引くなどしてフレームの中に確実に収まる様に撮影してみましょう。
見せたい部分だけをアップで撮る
美しい塗装やカーボンフレームの曲線美、アルミやクロモリの綺麗な繋ぎ目、コンポーネントの造形美などなど、ロードバイクなどの自転車が好きな方はより細かい部分を見たがっています。引きの絵だけではなく、ロードバイクを構成するパーツやフレームの一部分だけを切り取って映像(写真)にするだけでより興味深い映像(写真)を撮影出来ると思います。これも、どこをどの角度からどの様な構図で撮るのか、ここが重要になって来ます。まずは、ご自身のロードバイクの一番好きな部分を一番カッコ良い角度から撮ってみて下さい。何度も撮影を重ねる度に良い”切り取り方”というものが出来る様になっていくと思います。大事なのは、”何となく撮る”のではなく、”意識して撮る”という事。是非、意識しながら撮影に臨んでみて下さい。
映像や写真に正解はない
映像や写真に正解はない。その通りですが、ただ闇雲に撮影しまくる事を続けるのではなく、方法を知り、基本を押さえる事で、自分自身の感性やセンスを引き出し、より良いものを撮影出来るのではないかなと思います。「いつも何となく撮ってた」という方には是非今回の記事の内容を活用していただければと思いますし、「自分のロードバイクをもっとカッコ良く撮りたい」という方には映像や写真のクオリティを上げる為に是非次回のライドから取り入れてみて頂ければと思います。SNSやYouTubeなどを通して、この記事を読んで頂いている皆さんのロードバイクをよりカッコ良く撮影されたものが世界中に届けられる事を願っています。
▼今回の記事で紹介した内容は総編集した動画からもご覧頂けます。是非こちらもご覧ください。
■執筆者:WATARU
東京を中心にロードバイクでのライド動画をはじめガジェット系・パーツなどのレビュー動画を配信しているYouTuber/動画クリエイター。ロードバイクのある風景をお洒落に映し出す事を得意とし、ミラーレス一眼・GoProを駆使し大自然の絶景や美しい都心の夜ライド動画を季節感のある映像に仕上げる事に定評がある。