フォトジェニックな写真が撮れまくり!?全国絵になる水族館めぐり撮影旅~関西編~
はじめに
全国の水族館ファンの皆さん、こんにちは!写真家の虫上です。沖縄から始まった絵になる水族館めぐりも、いよいよ関西にやってまいりました。
今のところ都会に行けば行くほど魚の見せ方や建物の外観・内装など非常に凝った作りの水族館が多く、それほど皆さんの求めているものが多種多様だということを感じさせてくれます。同時に魚そのものの説明や生態を感じさせてくれる部分が薄く感じられる水族館もあったので、その点は注意が必要ですね。
また、派手な演出で何を撮影していいのか目移りする場面は、撮影するときに自分は何に感動してどう表現したいのかを今一度考えて撮影することを頭に入れておくことがポイントになります。
【奈良】まさかの金魚専門の水族館!?「奈良金魚ミュージアム」
奈良県大和郡山市は金魚で有名ですが、とうとう金魚専門のミュージアムが出来たよという情報があり、取材に行って来ました。金魚ミュージアムのエントランスはこんな感じで、実はデパートの4階にあるんですが、このエントランスはどこにあるのか探し回らないといけないほどブースの端の方にありました(笑)。
しかしながら、入館するといきなり目を引く巨大な作りこんだ金魚ねぷたが登場。美しいライトアップでより写欲が高まります。主役となりそうな金魚ねぷたをあえて暈して右目にある、白目部分の組みひもを主役に配置しました。
内部には作例のように金魚をモチーフとした作品が沢山あり、至る所にインスタ映えしそうな場所が目白押しです。
金魚ねぷたのライトアップと金魚の影絵。人物のシルエットを取り入れてみると物語性が強調出来ました。
暗い部屋の中に赤いライトアップされた金魚はとてもインパクトがあります。真ん中の暗い部分に金魚を配置するように作画しました。
ユニークな形の金魚・チョウテンガン。出目金の突然変異らしくとても目を引く被写体ですね。こんなに目が大きいのに目が見えないそうです。
こちらの水槽は背景が赤い花なので、撮影すると金魚が同化してしまいました。カメラ機能のアートフィルター・パートタイムカラーⅡを使用してモノクロと黄色の2諧調色にするといい感じに表現できました。
そして今回のイチオシ写真はこちら。大きな丸いライトアップされたモニュメントを円形水槽の背景にすることで、円形水槽ならではの歪みが発生して、そこにチョウテンガンが来るのをひたすら待った作品です。チョウテンガンには青いライトが当たっていたのでとても不思議な作品となりました。
■奈良金魚ミュージアム
入館料金は、大人(中学生以上)1200円、小学生800円、65歳以上800円、小学生未満は無料。営業時間は10時00分~18時00分。年中無休。有料駐車場あり(入館したら2時間無料)。
展示規模 ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★★★☆
撮影向き ★★★★★
お勧め度 ★★★★☆
【大阪】正統派!ジンベエザメ2匹が悠々と泳ぐ「海遊館」
大阪・海遊館は水族館ファンなら誰もが知っている老舗水族館で、訪れた日もこのように沢山の人々で賑わっていました!海遊館では約620種3万点にもおよぶ世界中の動植物を見ることができるそうで、流石老舗水族館ですね。
まずはかわいらしい顔のエトピリカがお出迎え。
次にペンギンのいるコーナーへ。丁度ペンギンの餌やりタイムの時間でしたので、動き回るペンギンの動作が色々と楽しめました。水槽内が暗いながらもOM-1の被写体認識AFが高確率で働いてくれたお陰で、洞窟から飛び出して来るようなペンギンがいい感じに撮影できました。動画も撮影してみましたのでご参考に。
また、周りの風景を入れずに少しアップ気味に撮影する場合、正面からの顔は押さえておきたいポイント。作品にインパクトが出やすい表現になりますのでじっくりと粘って撮影をお勧めします。
この水族館の特徴は最上階の陸の風景から順路がスタートし、回廊型の通路を4階まで下りながら海中の風景へと変化する景色を見ながらまるでダイビングをしているような感覚を楽しめることです。
海遊館のジンベエザメの水槽はライトアップが少し暗いので、広く撮影すると色が青色で同化してしまいます。ですので、あとからモノクロに変換してみるといい感じになることがあります。
こちらは二人の人物の上部を泳いでいる魚ですが、頭上に来た魚の種類によっては表現方法が変わることを感じられますね。因みに1枚目はアート的に、2枚目は物語性が感じられるかと思います。
色々な魚を真正面・真横から撮影してみました。撮影する魚の向きや角度で様々な表現が出来ることが判ると思います。
スクリーンに収まりきらないほどの大きさのジンベエザメを表現してみました。
海遊館にもクラゲの展示がもちろんありました。背景が宇宙のように見える部分にクラゲが来るのを待って撮影。
こちらは北極の展示室です。流氷の下を潜っているかのような展示に驚きました。
北極カジカとクラゲ。見たこともない生物にしばし圧倒されました。
海遊館では夜の展示もありました。暗い照明にはなりますが生き物の生態がよくわかる展示で好感が持てます。
夜の展示でもイルカたちは延々と泳いでいましたので、夜バージョンの照明で2パターンの色の背景を利用して作画しました。
■海遊館
入館料金は、大人2400円、小・中学生1200円、幼児(3歳以上)600円。シニア(65歳以上)2200円。営業時間は平日10時30分~20時、土日祝9時30分~20時(季節・曜日によって変動あり)。有料駐車場あり。
展示規模 ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★★★☆
撮影向き ★★★☆☆
お勧め度 ★★★★☆
【大阪】●●●に触れる水族館!「ニフレル」
次に訪れたのは万博公園に隣接している水族館「ニフレル」です。こちらは比較的新しい水族館でとてもお洒落な建物です。
ニフレルでは水槽のガラスに邪魔されることのない状態で、このように撮影できるポイントが多々ありますのでカメラマンにとっては良い場所です。
ニフレルというネーミングは「●●に触れる」からとったように、生き物をかなり近くで観察できる水族館です。ですので、大水槽はあまりなく小さい水槽ばかりですが、その分アクリルが無かったり、近くで撮影できたりするのが良い点です。
暗い部屋の中から反対側に周ると、明るい部屋からの光で魚の動きがわかるような展示の見せ方には感心しました。文章では判りにくそうでしたので動画をご覧ください。
ニフレルといえばこの3Dマッピング球体ですね。とても不思議な空間演出ですが、動画をよく見てないと絵になりにくいです。この時は小魚の群れの瞬間を撮影しました。
クロコダイルの水槽はじっくりと撮影できます。しかしながらこの水槽はちゃんとガラス張りです(笑)。
ホワイトタイガーも飼育されていました。餌付のタイミングでないとなかなか現れてくれないそうですから、行かれる方はぜひスケジュールの確認を。上部の窓の映り込みを取り入れて、レタッチで全体的に温かみのあるアンバーな色彩で表現してみました。
ペンギンの見せ方も工夫されているので背景にわざと建物と人物をとり入れて撮影しました。
■ニフレル
入館料金は、大人(高校生/16歳以上)2000円、こども(小・中学生)1000円、幼児(3歳以上)600円、2歳以下無料。営業時間は平日10時00分~18時00分、土日祝9時30分~19時00分。有料駐車場あり。
展示規模 ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★★☆☆
撮影向き ★★★★☆
お勧め度 ★★★★☆
【京都】リニューアルして幻想的なクラゲの展示が魅力!「京都水族館」
京都水族館の外観は京都らしい和をイメージした外装で格式が高く、いい感じですね。
入っていきなり淡水のオオサンショウウオの水槽に目が釘付けになりました。一体何頭重なっているのか凄い光景です。環境的にちょっと心配にはなりましたが水族館ならではの表現にはなりました。
アザラシの水槽は開館以来人気で外からも中からも見られて、とても面白く見学できるように工夫されています。
そしてこの水族館にもペンギンが在朗しています。水中からも陸上からも観察可能なので色々な表現が出来ます。陸上からはペンギンがこちらにポーズをしてくれたような瞬間を撮影しました。
2020年に新たに登場したのがこのクラゲワンダーです。とても幻想的な空間が広がっていました。
上の3枚は360°パノラマ水槽・GURURIの内部や外部から撮影しました。この水槽、とても不思議な感じに表現できます。そして七色にも変化するので見ていて飽きないです。下二枚の写真のように、中央にわざと色の違う映り込みを取り入れると奥行き感が出ます。
この作例は全体的に同系色で主役が目立たない雰囲気でしたので後で、レタッチソフトでモノクロに変換してみました。
こちらはカメラ機能の2枚撮りの多重露出を使用した作例です。
左は1枚目をピントをこさせて2枚目をピンボケにさせた、ピントに芯があるソフトフォーカス的なイメージにしてみました。右は1枚目は赤クラゲを水槽で撮影後、2枚目は別の水槽にいるミズクラゲを撮影して出来た画像です。
こちらの作例も多重露出機能を使用した作品で、1枚目は普通にミズクラゲを撮影後、2枚目はSSを遅くしてカメラを波打つように動かして合成してみました。これによりあたかもクラゲが揺らいでいるような感じで表現できました。
こちらの作例も多重露光。1枚目はタコクラゲの乱舞を縦位置で撮影後、2枚目は場所を替えてライトアップされたフロアーの床部分を撮影したものです。それにより、不思議な表現になりました。
■京都水族館
入館料金は、大人(大学生含む)2200円、高校生1700円、中・小学生1100円、幼児(3歳以上)700円。営業時間は平日10時00分~18時00分、土日祝9時00分~20時00分。年中無休。近隣の有料駐車場あり。
HP:https://www.kyoto-aquarium.com/index.html
展示規模 ★★★☆☆
コストパフォーマンス ★★★★☆
撮影向き ★★★★☆
お勧め度 ★★★★☆
まとめ
今回は関西の水族館を巡ってきました。今回取材した4つの水族館はテーマをきちんと絞ってあり、好感が持てました。また、金魚ミュージアムのようなデパートの中に展開している水族館は、大規模な駐車場もあって買い物ついでにも家族で見られるし、これからの時代にはあっているのかな、と思いました。
では最後に水族館の撮影会のご紹介をします。タイミングが合う方は是非ご参加いただけると幸いです!
【申し込み受付中】12月17日開催・名古屋港水族館 撮影会のお知らせ
12月の大型水族館で絵になる魚を撮影します。幻想的に撮影できる方法やフレーミングなどをレクチャーします。
■どんな場所か
愛知県では最大級の水族館です。全国2か所しかないシャチが見られる水族館の一つです。
■こんな方におすすめ
〇暗い水族館で奇麗な写真を撮影するコツを知りたい方
〇動き回る魚の絵になる瞬間を撮影してみたい方
〇インスタ映えする写真を撮る為の着眼点を身につけたい方
■当日の持ち物
カメラ、レンズ(標準ズーム)、明るいレンズがあれば尚良いです。※三脚不要
■虫上さんメッセージ
只今、全国の様々な水族館を巡っています。中でも今回の名古屋港水族館は絵になるスポットが多く、撮影に飽きることは無いかと思います!一緒に楽しみましょう。
申し込みや詳しい内容などはこちら。
https://www.npopcc.jp/classroom/detail/?id=5390&category_id=18
■写真家:虫上智
1968年岡山県生まれ。高校を卒業後、写真家 緑川洋一氏に師事。地元のカメラ店で撮影業務などを学び2000年に独立。現在はスタジオ撮影、フォト講座、執筆、フォトコン審査、講演等を受け持つ。ライフワークでは心象風景、自然写真、水中写真を撮影。
日本写真家協会(JPS)会員、日本写真講師協会 認定フォトインストラクター、OM SYSTEMゼミ講師、フォトカルチャークラブ講師、フォトマスターEX(総合)一級