憧れの魚に出会える!?全国絵になる水族館めぐり撮影旅~近畿編~
はじめに
全国の水族館ファンの皆さんこんにちは。写真家の虫上です。前回の絵になる水族館・関西編の紹介が終わり、今回は近畿地方の水族館を巡ってきました。今回巡った水族館はどこも魚の種類や地元の環境、独自のアイデア等を大切にした展示で写真映えする展示はもちろんのこと、地元の環境下での魚の生態などがちゃんと解説されていてダイバーの私でも新しい発見もありとても勉強にもなりました。
【三重】逢いたい魚に逢える!飼育数日本一の水族館「鳥羽水族館」
最初に訪れたのは三重県にある、鳥羽水族館。関西方面の方は修学旅行や研修旅行などで一度は訪れたことがあるであろう老舗の大型水族館です。私も30年ほど前に訪れていたのですがその時のことは全然覚えていませんでした(笑)。
まずは入口付近の水槽から。真上や真横から覗き込めるこの水槽では、黄色い角のあるトナカイさんことコンゴウフグがお出迎えしてくれました。水面上に空(実は絵でした)があるのは下の動画を見ていただくと判りますので、このような水槽はとても絵にしやすいです。
とにかく鳥羽水族館は魚の種類が多いので、ゆっくり周ると丸一日かかると思います。その分、古い水槽も多かったのですが背景が奇麗な水槽にイエローバンデッド・パイプフィッシュがいましたので、脇役に二匹のグラスフィッシュを取り入れて。
いい感じに浮遊しているように表現したかったのですが、水面の境になる部分の苔が気になるのでここでも様々なアングルを試してみた結果・・・
イチオシのショットはこれでした。背景もすっきりして楽しそうな感じに撮影できました。
こちらは映画でもお馴染みの人気の魚・ナンヨウハギことファインディング・ドリーです。同じ模様の二匹が対になる瞬間を撮影してみたものです。
他にも威嚇しているコブシメの瞬間を撮影したり・・・
シャボン玉を吹くセイウチなど、ほんとに盛りだくさんな水族館です。
ペンギン水槽ももちろんありました。フンボルトペンギンは水族館では定番なので、この写真は水槽から滴り落ちる水を利用して油絵のような雰囲気で撮影しました。
水槽から出てきた瞬間をパシャリ。太陽光が差し込んでいたので反射の部分が良いアクセントになりました。
こういうシュールなタイミングが私の一番のお気に入りです。大型生物は何回も同じ動きをするので、よく動作を観察しながらのシャッターチャンスが大切です。
鳥羽水族館の目玉、ジュゴン。フィリピンのパラワン島付近に生息しているのでダイビングでいつか見てみたいと思っていたのですが、まさかの鳥羽水族館でお会い出来ました!優しい顔つきで下の写真のマナティとは一味違う種ですね。人魚といわれるのも頷けました。
ちなみにこちらがマナティです。もちろんマナティの水槽もあり、寂し気な感じを強調したかったので上部からの光が当たる瞬間を撮影しました。
ジュゴン。いつか誰もいない水中でも見てみたいものです。これは逆に人物のシルエットをとりいれて水族館らしい表現に。
ここでも憧れの魚に遭遇しました!私が昔オーストラリア滞在中に撮影してみたかったウィーディ・シードラゴンにご対面。
シルエットシリーズです。背景が明るく手前が暗い環境では、露出補正値をマイナス(アンダー)にすることでこのようにシルエットにすることが出来ます。こういう表現も想像力を掻き立てられます。
最後にロシアのバイカル湖に生息しているバイカルアザラシを紹介します。くりくりとしたかわいらしい目が特徴的なアザラシなので表情がいい感じの瞬間を撮影しました。動画を見るとどんなシャッターチャンスで撮影しているかが判ると思います。
■鳥羽水族館
入館料金は大人2800円、小中学生1600円、幼児(3歳以上)800円。営業時間9時00分~17時00分(入場は閉館の1時間前まで)。有料駐車場あり。
展示規模 ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★☆☆☆
写真撮影向き ★★★★☆
お勧め度 ★★★★☆
【岐阜】地元愛が強い淡水魚専門水族館「世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ」
次に訪れたのは岐阜県にある淡水魚専門の水族館。世界という名がついているので世界中の淡水魚を集めた水族館かなと想像して入館しました。
この水族館は淡水魚の紹介はもちろんのこと、まるで博物館のように館内の内装まで非常に凝っていて、中でも地元・長良川の淡水魚を美しいパネルやライティングなどを使用して詳しく紹介していました。
長良川の水の中を再現した水槽です。長良川はとても美しい川なので、こちらの展示も同じくガラスのことなど微塵も感じさせない奇麗な水槽でしばし見入りました。
訪れたのは冬なので蛇などはこのようにして冬眠するのだよという展示なのでしょうか、淡水専門の水族館ならではの展示ですね。
十円玉のように小さなカヤネズミが展示されていました!博物館周辺にも実際にいるそうです。
個人的に好きな魚・ハリヨです。小さな魚ですがじっくり見ると体の模様や形がとても複雑かつ美しいです。
こちらはサンショウウオが苔の上にポーズをとってくれていましたので、背景の丸ボケなどをいれながら撮影。
長良マスが沢山いる水槽。いい感じに並んだ瞬間を撮影しました。
世界淡水魚園水族館という名前なのでここからは世界の淡水生物の紹介を。このカエルはチョウセンスズガエルというカエルで体の模様が特徴的でした。あえてガラスの存在感を目立たせるように撮影しました。
淡水域にもこのようなフグがいるのですね、と新たな発見をしました。
この水族館の一番の目玉はこの立体水槽かなと思いました!実際に肉眼で見ることをお勧めします。
餌やりコーナーにはちょっと可愛そうなくらいに鯉が密集していました。
■世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ
入館料金は大人1540円、中・高校生1130円、小学生770円、幼児(3歳以上)380円。営業時間は9時30分~18時(入館は閉館の1時間前まで)。大型無料駐車場あり。
HP:https://aquatotto.com/index.php
展示規模 ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★★☆☆
写真撮影向き ★★★☆☆
お勧め度 ★★★★☆
【愛知】シャチから南極オキアミまで!レアもの満載「名古屋港水族館」
名古屋港水族館は愛知県を代表する巨大水族館で、シャチがいる水族館では日本で2館しかない貴重な存在です。
この水族館はシャチ以外にも流氷の下を泳ぐペンギンの大水槽や、イワシの群れのショーで有名な黒潮大水槽など、とても魅せる要素が多い水族館です。
訪れた日はちょうどヒゲペンギンの赤ちゃんが生まれていたので、良い表情の瞬間を望遠レンズで撮影しました。
ペンギンの餌となる南極オキアミの展示は世界でもここだけでしたので、こちらも貴重な写真となりました。オキアミにライトが当たる瞬間を露出アンダー気味で狙うと背景が暗くなるので透け具合がいい感じに表現できます。
(左)イベントが始まる前の光の当たり具合。
(右)イベントが始まり、ライトが当たるとこんな感じに。
こちらは大人気イベント、黒潮大水槽のマイワシのトルネード。この水槽、イベントが始まる前はよく見かけるなんでもないイワシ展示状態なのですが、イベントが始まると写真のようにとてもフォトジェニックな光景になりますからイベント時間内に撮影することをお勧めします。動画も撮影したので参考にしてください。
生憎天候が悪かったので、屋外に展示していたケープペンギンさん達は小屋で出番をひたすら待っているようでした。
サメの卵を背後からライトアップして幼魚を展示するとても興味深い展示がありました。色付きで表現すると少し怖すぎる感じがしたのでモノクロで。
ナンヨウツバメウオの幼魚はいつ見ても個性的な形の魚です。あえてシルエットの表現にして、防火ランプの映り込みを目の部分に来るようにして撮影。こういった写真は水族館でしか表現できない写真ですね。
他にも蛍光サンゴなど盛りだくさんの展示でしたが、楽しみにしていたシャチのイベントは中央から見えにくい奥のプールで行われていたため、全然写真が撮れませんでした。シャチのイベントは事前にインフォメーションで聞いてどこで行われるか聞いた方が良いですね。
■名古屋港水族館
入館料金は大人&高校生2030円、小中学生1010円、幼児(4歳以上)500円。営業時間は9時30分~17時00分。有料駐車場あり。
展示規模 ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★★☆☆
写真撮影向き ★★★★☆
お勧め度 ★★★★☆
【滋賀】ここはもはや水族館!?「琵琶湖博物館」
こちらは滋賀県の琵琶湖にある、滋賀県立琵琶湖博物館。びわ湖に関わる水族展示だけでなく、地上の生物や自然、その周りの暮らしなどが学べる総合的なミュージアムということで博物館となっています。一日中見学できる大規模な施設ですが、今回は水族館ブースだけご紹介します。
水族館ブースへの通路。博物館らしい奇麗で判りやすいインフォメーションが印象的でした。
稚鮎の群れの展示。光の当たり方がとても奇麗でアユの形が良く判りますね。
琵琶湖といえばナマズが連想されますのでもちろん、ナマズの展示が多いです。
また、タイワンドジョウやチョウザメの展示などの淡水魚がメインです。
ここも奇麗な水槽が多いので私の好きな淡水魚・ハリヨの真正面の顔を美しく撮影できました(笑)。
自然の光芒が差し込む水槽にアマゴが泳いでいました。とても美しい光景に見とれました。
■琵琶湖博物館
入館料金は一般800円、大学生・高校生450円、小・中学生無料。営業時間は9時30分~17時(最終入館16時)。休館日は毎週月曜日。有料駐車場あり(博物館利用者は無料サービス券あり)。
展示規模 ★★★★★(博物館全体で)
コストパフォーマンス ★★★★★
写真撮影向き ★★★☆☆
お勧め度 ★★★★★(博物館全体で)
【愛知】入館料がとても安いのに本格的「碧南海浜水族館」
碧南海浜水族館は碧南市臨海公園内にある市立の水族館です。市が運営しているので管理がとても行き届いている感じで無料の大型駐車場もあり、入館料も500円ととてもリーズナブルな水族館でした。入館料が500円というので最初はあまり期待してなかったのですが奇麗に水槽が掃除されていたり、魚の餌やりイベントなどがあり、市民に愛されている水族館だなという感想を持ちました。伺った日はご覧の通り、建物が改装中でしたので今後よりいい感じになるかもしれませんね。
見てください、この美しい水槽。2019年にリニューアルオープンしただけのことはありますね。手入れも行き届いている感じでナポレオンフィッシュが良いアクセントになりました。
来訪したのが1月ごろでしたのでこのような展示も(笑)。
大水槽の前にこたつが!このような展示は初めて見ました!なんでもコタリウムと言うそうです(笑)。子供さんが居られる方にはとても良い展示だなと思いましたがカメラマンにとっては撮影が大変かも。
珍しいカラッパの展示やクエをクリーニングしているホンソメワケベラの展示などなかなかの見どころがあります。
こちらの水槽、水面への映り込みの奇麗さに見とれながら撮影しました。
オニダルマオコゼが球体水槽にいたのでまずは絞り開放で撮影したのですが、どこにもピントが来てなくてイマイチでしたので再度絞りを絞って撮影したのが2枚目です。
■碧南海浜水族館
入館料金は大人(高校生以上)500円、小人200円。営業時間は9時~17時(最終入館は16時30分まで)。休館日は毎週月曜日。無料大型駐車場あり。
HP:https://www.city.hekinan.lg.jp/aquarium/
展示規模 ★★☆☆☆
コストパフォーマンス ★★★★★
写真撮影向き ★★★☆☆
お勧め度 ★★★★☆
【愛知】瀕死の水族館が復活!「竹島水族館」
最後に紹介するのは現在とても注目を浴びている、「たけすい」こと竹島水族館です。この水族館はとても歴史のある水族館で建物は古く、一時は閉館しそうになるまで来館者が少なくなりかけたそうですが、スタッフのアイデアで見事に復活し訪れた日も凄い人でした。外観はこんな感じで昭和レトロを感じさせてくれます。
入館するとまずはとても珍しいアルビノ種のアリゲーターガーが!凄いインパクトです。
ウツボの展示の横にさりげなく表彰状が。この遊び心満載過ぎるユニークさこそがこの水族館のウリですね。ですので撮影よりもこの文章に見入ってしまいます(笑)。
「たけしまんしょん」入居者募集・・・思わず笑みがこぼれる展示ばかりです。
人気のカピバラさんもいました。
このように時間制限&一方通行なのと、水槽前に人が集中するので撮影はとても困難を極めます。じっくりと撮影したい方には向いていません(笑)。
瞬間的に撮影する技術も必要です(笑)。
最後は珍しくサンゴの中にそびえたつジョーフィッシュを撮影して締めくくりました。
■蒲郡市竹島水族館
入館料金は大人500円、小・中学生200円、幼児3歳までは無料、4歳以上のお子様は大人1人につき1人無料。営業時間は9時~17時(最終入館は16時30分まで)。休館日は毎週火曜日。無料大型駐車場あり。
HP:https://www.city.gamagori.lg.jp/site/takesui/
展示規模 ★★☆☆☆
コストパフォーマンス ★★★★★
写真撮影向き ★★☆☆☆
お勧め度 ★★★★★
まとめ
最後まで読んでいただいてありがとうございます。今回巡った近畿地方にも沢山の水族館がありました。ワンコインの入館料や大型無料駐車場完備など市民にとても優しい水族館が多々あり、とても羨ましい地域でした。
また、どこの水族館も趣向を凝らした展示方法に感心させられました。世界の淡水魚だけで展示するという型破り的な水族館や、魚の説明書きに人を惹きつける文章を用いることで大人気になっている水族館は驚きや発見が沢山あり、本当に勉強になりました。
皆さんも是非、近くの水族館へ行かれてみてください。さて次は中部方面の水族館めぐりをご紹介したいと思いますのでお楽しみに。
■写真家:虫上智
1968年岡山県生まれ。高校を卒業後、写真家 緑川洋一氏に師事。地元のカメラ店で撮影業務などを学び2000年に独立。現在はスタジオ撮影、フォト講座、執筆、フォトコン審査、講演等を受け持つ。ライフワークでは心象風景、自然写真、水中写真を撮影。
日本写真家協会(JPS)会員、日本写真講師協会 認定フォトインストラクター、OM SYSTEMゼミ講師、フォトカルチャークラブ講師、フォトマスターEX(総合)一級