OM SYSTEM Tough TG-7|冒険心をくすぐるタフさと画質を兼ね備えた超個性的なデジタル・フィールドギア
はじめに
OM SYSTEMのToughシリーズは、防水・防塵・耐低温・耐衝撃・耐荷重といった極めて堅牢な作りのコンパクトデジタルカメラである。OM SYSTEMの前身であるオリンパスではフィルムカメラの頃から日常防水に対応したコンパクトカメラをラインナップしていたことから、2006年にコンパクトデジタルカメラ『μ(ミュー)』シリーズの一部の堅牢性を高め、さらに防水性能を与えることでToughシリーズとして登場したという経緯がある。以来、個性的なカメラとして長年ハードユースなユーザーの信頼を勝ち得ることとなった。
新発売された「OM SYSTEM Tough TG-7」は、2012年に新たなToughシリーズのカメラとして登場したTG-1の系統であり、その7世代目の製品だ。それまでのToughシリーズではタバコのパッケージのような箱型であった筐体デザインを、薄い直方体の中心にレンズを配置した、カメラとして馴染みやすいデザインとすると同時に、開放F値2.0の明るいレンズを採用することで低照度での画質を向上している。これらの製品コンセプトは今回登場したTG-7にも引き継がれている。
カメラとしてのスペックも代を重ねたことでこれまでのTGモデルより着実に手堅くブラシュアップしてきており、このTG-7では極めて完成形に近くなった印象だ。そこでここではTG-7の基本性能から個性的な機能、刷新された点などについて解説していこう。
Tough TG-7の主なスペック
■コンパクトカメラ
■撮像センサー 1/2.33インチ 有効画素数 1200万画素 / 総画素数 約1271万画素
■静止画記録形式 JPEG、RAW(12bitロスレス圧縮)、JPEG+RAW
■記録メディア SD、SDHC(UHS-I)、SDXC(UHS-I)、SD WORM、PGS WORM、Write Once(改ざん防止カード)
■レンズ構成 7群9枚
■撮影範囲 W / T:0.1m ~ ∞(スーパーマクロ:f=5.4mmまで0.1m~0.3m f=5.4mm以上0.01m~0.3m、顕微鏡:0.01m ~ 0.30m)
■開放絞り値 W2.0 ~ T4.9
■焦点距離4.5~18.0mm (35mm判換算25〜100mm相当 光学ズーム倍率 4倍
■手ぶれ補正機構 撮像センサーシフト式手ぶれ補正 2.5段(焦点距離:18mm時 35mm換算100mm時)CIPA規格準拠
■モニター 3.0型液晶、約104万ドット(3:2)
■フォーカス コントラストAF 25点
■フォーカスモード シングルAF(S-AF)、マニュアルフォーカス(MF)、追尾AF、スーパーマクロ(AF)、 スーパーマクロ(MF)
■顔優先AF あり
■撮影モード AUTO、P/A、SCN、顕微鏡、水中
■ISO感度 100-12800
■シャッター 1/2 ~ 1/2000秒(Aモード:最長4秒まで)、[連写H] 10fps、[プロキャプチャー連写] 1/10~1/32000秒、[連写H] 20fps: 1/20~1/32000秒
■連続撮影速度 〔連写H〕: 約20コマ/秒(10、20コマ/秒に設定可)*電子シャッター、〔連写L〕: 約5コマ/秒、〔プロキャプチャー連写〕: 約10コマ/秒*電子シャッター
■最大撮影コマ数 連写H・最高速時 〔RAW〕:約46、連写H・最高速時 、〔JPEG デフォルト〕:約74、連写L・最高速時 〔RAW〕:約115、連写L・最高速時 〔JPEG デフォルト〕:カード容量一杯まで
■内蔵フラッシュ あり TTL調光、マニュアル
■内蔵LED あり
■ワイヤレスフラッシュコントロール OM SYSTEM (オリンパス)ワイヤレスRCフラッシュシステム対応
■ホワイトバランス オート、プリセットWB 6種類、水中WB 3種類、ワンタッチWB(登録可能数:4)、CWB(色温度指定)
■ピクチャーモード i-Finish、Vivid、Natural、Flat、Portrait、モノトーン 、カスタム 、eポートレート、水中、アートフィルター(ポップアート、ファンタジックフォーカス、デイドリーム、ライトトーン、ラフモノクローム、トイフォト、ジオラマ、クロスプロセス、ジェントルセピア、ドラマチックトーン、リーニュクレール、ウォーターカラー、ヴィンテージ、パートカラー(18色)、ブリーチバイパス、ネオノスタルジー)
■フォーカスブラケット 10 / 20 / 30コマ(フォーカスステップ 広い / 標準 / 狭い)
■深度合成 可能
■HDR撮影 可能
■ライブコンポジット撮影 SCNモードにて可能
■インターバル撮影 可能 タイムラプス動画作成可能
■日付写しこみ撮影 可能
■ワンプッシュデジタルテレコン 2倍(P / A /動画モード時)、2 / 4倍(顕微鏡コントロールモード時)
■水準器 2軸(水平方向・垂直方向)
■動画 MOV(MPEG-4AVC / H.264)連続撮影約29分 縦位置動画可能
■音声記録方式 Waveフォーマット準拠(ステレオリニアPCM / 16bit、サンプリング周波数48kHz)
■Wi-Fi機能 搭載
■位置情報付加機能 GPS機能付きスマートフォンから取得
■Bluetooth機能 搭載 スマホワイヤレス撮影およびアクセサリーリモコン対応
■GPS / フィールドセンサーシステム GPS(GLONASS、Galileo、QZSS)、方位センサー、圧力センサー、温度センサー、加速度センサー
■工事写真用機能 搭載 工事写真クリアモード1、工事写真クリアモード2、工事写真クリアモード3、屋内撮影、スローシャッター、資料モード、パノラマ、簡単CALS(CALS / CALS H)、オリジナル画像判定*、日付設定忘れ防止
■タフ性能 防水15m JIS / IEC保護等級8級(IPX8)、防塵JIS / IEC保護等級6級(IP6X)、耐低温-10℃、耐荷重100kgf、耐衝撃2.1m
■入出力 USB Type-C(USB PD非対応)、HDMIマイクロコネクター(タイプD)、PC接続USB2.0(Hi-Speed)
■撮影可能コマ数 約330枚
■大きさ 約113.9mm(W) × 65.8mm(H) × 32.7mm(D)
■質量 約249g (付属充電池およびメモリーカード含む)
TG-7の外観
本モデルTG-7(手前)と前モデルTG-6(奥)を並べる。細かいデザインの変更はあるが、カメラ全体のフォルム、レンズ、操作系のダイヤル・ボタンのレイアウトに大きな変更はない。機種の違いを知らなければ、この二台は同じカメラだと思ってしまってもおかしくないだろう。
TG-7(左)とTG-6(右)のフロントフェイスを比べる。TG-7ではレンズ周囲のデザインとグリップの形状および素材の配置に変更がなされている。グリップの握りはわずかだが細くなっており、代わりに指先がかかる位置に滑り止めのリブが設けられた。なお、ブランド名変更に伴いメーカーロゴがOLYMPUSからOM SYSTEMに変更されているが、ある意味これが今回一番変わった点だともいえる。
TG-7(手前)とTG-6(奥)の背面、特にモニター右側の操作部を見比べる。親指のかかるグリップ部に滑り止めのリブが設けられている。それ以外は全くといってよいほど変わっていない。
TG-7(手前)とTG-6(奥)の上面を比べる。これもまたほぼ同じレイアウトのままだ。変わったのは天面の黒い樹脂素材の形状とGPSアンテナが格納されている中央天辺のロゴデザインくらいだ。
バッテリー室およびメモリーカードスロットは底面からエントリーする。バッテリーはTG-6と共通のリチウムイオン充電池 LI-92B。メモリーカードは一般的なSD系統のカードに加え、改ざん防止機能付きのカードも使用可能となった。
バッテリー室およびメモリーカードスロットの蓋には二重ロック機構が設けられている。これは誤って開いてしまうことで意図せず内部に水や塵が入ってしまうことを防ぐ為だ。ロックがかかっていない状態ではオレンジのマークが表示される。
カメラサイドの蓋を開けると、HDMIマイクロコネクター(タイプD)端子とPCとのデータ通信および充電用のUSB Type-C端子が現れる。TG-6ではUSB microBだった。ただしTG-7のUSB Type-C端子はUSB2.0(Hi-Speed)となる。またUSB PDには未対応。
コネクター部の蓋も二重ロックとなっている。水中撮影の際には必ずオレンジ色のマークが見えていないことを確認してロックがされていることを確認しよう。
TG-7の外装を傷から保護するシリコンジャケット CSCH-128。専用設計の為、細かい造形の部分までピッタリとフィットするのでダブついてしまうこともない。シリコン製なので滑り止めとしても効果的。装着したままでもLEDライトガイド LG-1やフラッシュディフューザー FD-1の使用も可能。
TG-7はリチウムイオン充電池 LI-92Bを付属のUSBケーブルを接続して充電を行うが、別売りのアクセサリーとしてリチウムイオン充電器 UC-92も用意されているので、複数の充電池を使う場合はこれを用意すると便利だ。
裏面照射型CMOSイメージセンサーと明るいレンズによる高い画質
TG-7に搭載されているイメージセンサーは「1/2.33インチHi-speed裏面照射型のCMOSイメージセンサー」だ。裏面照射型のCMOSイメージセンサーは、その構造から高ISO感度撮影時でも低ノイズの画像を得ることができる。これと画像処理エンジン「TruePic VIII」を組み合わせていることで、画像のノイズ発生を抑えることを実現している。
また、光学ズーム倍率4倍のレンズは広角端においてはF2.0と明るく、これによりISO感度を必要以上に上げなくとも速いシャッタースピードでの撮影を可能としている。
これら裏面照射型のCMOSイメージセンサーと同社のミラーレス一眼カメラでも採用されている画像処理エンジン「TruePic VIII」、F2.0の明るいレンズの組み合わせにより、総合的に低ノイズの撮影画像を得ることができると同時に、被写体の動体ぶれやカメラの手ぶれの抑制にも効果を発揮するだろう。また、TruePic VIIIではデータの高速処理が可能なので高速連写などにも対応が可能だ。
高い解像力を実現するコンパクトデジタルカメラに搭載された贅沢な光学系
TG-7の光学系は薄型のコンパクトデジタルカメラで多く採用されている屈曲光学系と呼ばれるものだ。これはレンズから入る光をカメラボディ内に配置されたプリズムやミラーなどで進む方向を変えてイメージセンサーに届けるというものだ。
この構造を採用することで、本来ならばレンズと直線的に配置されるイメージセンサーの位置を横や上下などに移動することができる。これによりカメラボディを薄く設計できると同時に、光学ズームレンズであっても鏡筒の繰り出しのない構造とすることができるというものだ。
ただ、本来なら直進する光をある意味無理やり曲げる訳なので、光学系の設計はとても難しくなる。以前はその弊害として画質が下がる製品もあったのだが、初代TG-1以降の屈曲光学設計では大きく画質が向上しており、一般的な直進光学設計のカメラと遜色がなくなった経緯がある。
もちろんその高い設計技術はTG-7にも継承されており、また非球面のDSAレンズなどや高屈折率レンズなどを含む7群9枚の贅沢な光学レンズと合わせることで、総合的にミラーレス一眼カメラにも匹敵するほどの高画質を実現している。実際に同社のミラーレス一眼カメラと併用し撮影した画像と並べても大きな差を感じられないほどだ。
ネイチャーシーンで活躍する強力なマクロモードを搭載
TG-7では一眼カメラと比べ小さなセンサーサイズであることで、より深い被写界深度が得られる特性を持つコンパクトデジタルカメラならではの利点を活かすことで、通常では特殊な機材と組み合わせなければ撮影できないようなマクロ撮影を、カメラ単体で行うことができる。
たとえば山道や森の中などのフィールドで出会った小さな花や、豊潤な水を蓄えた苔の瑞々しい姿などにぎりぎりまで近寄り撮影することもできるわけだ。防水機能を持つTG-7だけにネイチャー撮影にうってつけな機能だ。
さらにTG-7にはとても強力なマクロモードが搭載されている。スーパーマクロ撮影が可能な「顕微鏡モード」、顕微鏡モードで表示した画像の表示倍率を1倍、2倍、4倍に切り替えられる「顕微鏡コントロールモード」、被写界深度が極端に狭くなるマクロ撮影でも任意に設定したフォーカス位置を中心に段階的にフォーカス位置を複数回にかけてずらしながら撮影することで、ベストなフォーカス位置を得ることができる「フォーカスブラケットモード」、このフォーカスブラケットで撮影した複数の画像をカメラ内で合成し、擬似的に被写界深度の深い画像を生成する「深度合成モード」だ。
これらのスーパーマクロを可能とするモードを活用することで、日常のスナップ撮影の幅が広がると同時に、学術的な記録撮影も可能となっている。この点もこのカメラの強烈な個性の一端といえるだろう。
TG-7にはアクセサリーとして各種コンバージョンレンズやアダプターが用意されている。これらはレンズ下の取り外しボタンを押してレンズ周囲のレンズリングを回し取り外したうえで装着する。なおアクセサリーを使用する際には設定メニューから使用するアクセサリーを選択しONにする必要がある。
マクロ撮影時に効果的なフラッシュアダプターも用意されている。これはLEDライトガイド LG-1をTG-7に装着したところ。TG-7は内蔵LEDを照明として撮影できるが、近接撮影時はこのLG-1を装着しレンズ周囲のリングを発光体とすることで無影撮影が可能となる。
フラッシュディフューザーFD-1をTG-7に装着したところ。これもLG-1と同様に内蔵フラッシュの光をレンズ周囲のリングで反射することで、近接撮影時の影を和らげることができる。
フラッシュディフューザーFD-1の効果を検証した。花にTG-7を近づけて、内蔵ストロボのフラッシュ光を直接当てて撮影したものとFD-1を装着し撮影したものを比較する。
直接フラッシュ光を照射した写真(中央)ではレンズとストロボの位置関係から照射角が斜めとなるため花弁の下側に影ができている。一方、FD-1を併用した撮影ではレンズ周辺部からのフラッシュ光が照射されることから花弁の影が発生していないことが判る。
TG-7ではBluetooth Low Energy対応のワイヤレスリモコンRM-WR1が使用できるようになった。これによりカメラぶれが発生しやすい長秒撮影やマクロ撮影時でもカメラに触れずシャッター作動やムービーの録画開始・停止が行える。なおRM-WR1は同じくOM SYSTEMのミラーレス一眼カメラOM-1およびOM-5でも使用可能。ただしペアリングできる台数は1台のみとなる。
TG-7には複数のコンバージョンレンズも用意されている。レンズに装着することで焦点距離を伸ばして望遠効果を得ることができるテレコンバーター「TCON-T01」、同じくレンズ前に装着して焦点距離を短くし広角レンズのように画角を広げることができるフィッシュアイコンバーター「FCON-T01」と「FCON-T02」だ。これらを併用することでTG-7の撮影可能領域を拡張できる。なおレンズ前にとりつけるコンバーターは、複合的に焦点距離が変化してもレンズ本来の開放F値は変化しない。
フィッシュアイコンバーター FCON-T02(コンバーターアダプター CLA-T01併用)をTG-7に装着したところ。TG-7のレンズの焦点距離をワイド端の4.5mmに合わせると35mm判換算約8mm相当の全周魚眼レンズとなる。さらにデジタルテレコン2倍を併用すれば35mm判換算約16mm相当の対角魚眼レンズの効果を得ることもできる。
なお、FCON-T02には防水処理がされており水中での使用も可能。レンズ内部には窒素ガスが封入されていることから、温度差によりレンズの曇りも抑制されるという。
TG-7とFCON-T02の組み合わせによる画角変化を比較した。TG-7をワイド端(左)で撮影した画角に比べ、FCON-T02を装着することで35mm判換算約8mm相当の全周魚眼レンズに(中央)、さらにデジタルテレコン2倍を併用することで35mm判換算約16mm相当の対角魚眼レンズ(右)の画角となる。この画角変化をうまく利用することで、TG-7のワイド端より広い範囲の光景を撮影することも可能だ。
さまざまな撮影記録のデータ収集が可能な機能を搭載
TG-7には撮影時の位置、状況を記録する機能「フィールドセンサーシステム」が搭載されている。撮影位置はGPS、方位センサーで、気圧(水圧)は圧力センサーで情報を得ている。その他温度センサー、加速度センサーも搭載されており、これらの情報は撮影画像のExif情報に書き込まれる。また、定期的に位置や高度の情報を取得し続けることで、移動経路をマップ上に表示するGPSトラッキング機能も使用可能だ。
これらの機能をONにした状態で撮影を行うことで、撮影地の特定や移動経路を後に参照することができるので、山でのトレッキング撮影など行程を振り返りつつ撮影画像を整理するといった目的にはとても便利な機能だ。
TG-7からGPSトラッキング情報を読み込むには、OM SYSTEMが配布しているスマートフォンアプリ「O.I.Share」を使用する。O.I.ShareがインストールされたスマートフォンをWi-FiでTG-7と接続したうえで、O.I.Shareを起動。TG-7内のメモリーカードに記録されたログファイルをスマートフォンに転送してO.I.Shareで閲覧を行う。
TG-7とスマートフォンをWi-Fi接続したのちO.I.Shareを起動しメニュー画面から「位置情報付与」を選択する。
表示された画面から「ログの取り込み」を選択するとカメラ内のメモリーカードに記録された位置情報のログファイル一覧が表示されるので、取り込みたいログファイルを選択しダウンロードを行う。
「ログリスト」タブを開くとログの一覧が表示される。
ログリストから確認したい画像を選択すると撮影画像と共にGPSトラッキングで記録された経路が地図に表示される。
GPSトラッキングと同時に記録された標高/水深情報も表示可能。水中撮影時の水深も水圧をもとに表示される。
GPSトラッキングの総合情報も閲覧可能。移動中の総移動距離や高低差なども確認できる。GPSトラッキングで得られた情報は、撮影地の位置情報や経路の確認など貴重な情報源となる。ただしGPS電波の受信状況などで位置情報や移動速度情報などは多少のずれが発生するので、あくまでも個人的な参考情報としておきたい。
撮影領域を限りなく展開してくれるタフで個性的コンパクトデジタルカメラ
OM SYSTEM Tough TG-7は、これまで自らが得意とする堅牢さや耐候性を前面に押し出して製品を多く世に出してきたOM SYSTEM(オリンパス)の個性を代表する製品のひとつだ。高性能なカメラが搭載されたスマートフォンが世の中に溢れるなか、もう何年もコンパクトデジタルカメラの売上が上がらず、各メーカーが新製品を発売しにくいという状況にもかかわらず、Tough TGシリーズは着実に代を重ねてきたのも、やはり他の製品とはひと味もふた味も異なる個性に魅力を感じ、かつ信頼性の高さを評価しているユーザーが多いことを示している。
このTG-7の基本機能自体はTG-6から大きく変わっている訳ではないが、Bluetooth Low Energyワイヤレスリモコンへの対応や、ここ数年で標準化の流れとなっているUSB Type-Cコネクターへの刷新などユーザーの望みに敏感に対処している点は好感度に繋がる。さらにこれまでは別製品となっていた工事写真専用機の機能を、TG-7のいちモードとして統合するなど合理的な判断がなされた点も、製品モデルを今後も長く継続するためのものと評価できる。
これだけ個性的でかつ機能かつタフさを兼ね備えたカメラが存在するということは、これを手にすることにより撮り手の心を刺激することにも繋がるはずだ。そういう意味ではTG-7はただのカメラではなく、冒険心を焚き付けてくるアウトドアギアと捉えても間違いないだろう。
さあ、TG-7をリュックに括りつけたら、次はどこまで行こうか。
■写真家:礒村浩一
広告写真撮影を中心に製品・ファッションフォト等幅広く撮影。著名人/女性ポートレート撮影も多数行う。デジタルカメラ黎明期よりカメラ・レンズレビューや撮影テクニックに関する記事をカメラ専門誌に寄稿/カメラ・レンズメーカーへ作品を提供。国境離島をはじめ日本各地を取材し写真&ルポを発表。全国にて撮影セミナーも開催。カメラグランプリ2016,2017外部選考委員・EIZO公認ColorEdge Ambassador・(公社)日本写真家協会正会員