どれか一本だけレンズを持っていくとしたら?OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3

清家道子
どれか一本だけレンズを持っていくとしたら?OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3

はじめに

どれか一本だけレンズを持っていくとしたら?

その時はOM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3と答えるかもしれません。

35mm判換算で24-400mmのレンズという、とんでもなく便利な高倍率ズームレンズ。

例えばこの焦点距離で考えると、およそ2~3本のレンズを合体したくらいのイメージです。

しかも重さはわずか455g、全長は99.7mmというコンパクトさも嬉しいですね。

OM-1 Mark IIにこのレンズを付け、小さなバックに入れたらどこにでも飛んでいける気分です。

早速このレンズで九州の風景を撮りに出かけました。

ミツマタの撮影にも最適なレンズ

まずは大分県国東半島のミツマタ撮影に行ってきました。

ミツマタは道路沿いの杉林に群生する春の花です。

春を告げる花として、九州をはじめ日本各地で写真愛好家の間でも親しまれている花ですが、群生する杉林の中には入れないことが多く、道路から近づいて撮ったり望遠レンズで引き寄せて撮る必要があります。

ただこの時期は花粉が飛んでいることが多く、できればレンズ交換せずに撮影したいものですが、防塵防滴機構のレンズなので細かい粒子の花粉の中でも安心です。

このレンズ一本あれば35mm判換算で24-400mmまで補えるために、様々な距離感で撮影することができました。

ミツマタの森へ太陽の光が傾き始めた頃に到着。まずはある程度距離を取り、俯瞰して森とミツマタの全体像を撮った。コンパクトな設計と高精度AFのおかげで構図を決めて撮影するまで時間がかからない。太陽がどんどん沈み始めているため効率のよい撮影が求められる。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
■撮影環境:焦点距離28mm(35mm判換算56mm) F9 1/50秒 ISO250

この日は太陽が沈み始める3時くらいに到着し、OM-1 Mark IIにこのレンズをつけて早速撮影を始めました。

太陽は徐々に傾き、杉林の向こうに沈もうとしています。

私は太陽の光条を絡めて撮ることにしたのですが、まず気になったのはこのレンズのフレアーやゴーストはどれほどのものかということでした。

逆光で撮影すると、いくら優れたレンズでも多少のフレアーやゴーストは出るものです。

しかし杉林の木の幹に太陽を半分隠しながら撮影すると、全く気になるフレアーやゴーストは出ませんでした。

そして明るい部分と暗い部分の再現性もPROレンズに負けずとも劣らない力強さを感じました。

これほどの高倍率でこの仕上がりは全く申し分ありません。

あとは接写したり望遠端で切り取ったりと、短時間で思う存分ミツマタ撮影を楽しむことができました。

レンズ一本でこれだけのバリエーションが撮れるのは本当にありがたいですね。

テレ端で接写して群生するミツマタをダイナミックに表現した。杉林の向こうには太陽が沈もうとしているが、特に目立ったゴーストやフレアーはない。明暗差もなく高い描写性能で美しいミツマタを再現できた。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
■撮影環境:焦点距離12mm(35mm判換算24mm) F9 1/80秒 ISO320

夕陽に染まる干潟を自由自在に切り取る

私が何度となく足を運ぶ真玉海岸。この日はあいにくの天候でしたが、私が到着した時には雲の切れ間から太陽の光が差し込み美しい夕焼けになってくれました。

真玉海岸の干潟の美しさは、様々な焦点距離の切り取り方で表情豊かな写真を残すことができます。

真玉海岸の夕陽。干潮の時間と夕陽の時間が重なり干潟の美しいシルエットが浮かび上がっている。手ぶれ補正をONにして手持ち撮影。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
■撮影環境:焦点距離75mm(35mm判換算150mm) F13 1/250秒 ISO250

35mm判換算で24-400mmのこのレンズでおおらかに切り取ったり、砂模様の美しさを描写したり、春の時期ならではのアオサの浜辺を写しとめたりと、短時間で効率よくこの海を堪能しながら写すことができました。

風の強い日でしたが潮風を気にすることなく撮影できたのも、このレンズの防塵防滴機構のおかげです。

ここでは全て手持ち撮影です。

軽くてコンパクトなレンズだと手持ち撮影もしやすく、ブレにくいのもいいですね。

変わりゆく夕陽の風景を歩きながら軽やかな気分で撮影できました。

雲の裂け目から時折太陽が差し込み、天使の階段が現れては消えてゆく。この時間はスピーディーな撮影が求められる。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
■撮影環境:焦点距離75mm(35mm判換算150mm) F13 1/250 ISO250
浜辺へ降りて手落ち撮影。刻一刻と太陽は沈みゆく。この時期は岩場にアオサが付き、緑色の草原のように見える。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
■撮影環境:焦点距離13mm(35mm判換算26mm) F10 1/40秒 ISO100
雨の後の雲は美しい。干潟にほんのりと焼けた空と雲のシルエットが映り込んでいる。カメラを片手に場所を移動しながら、一番美しい干潟の瞬間を探しつつ撮影した。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
■撮影環境:焦点距離13mm(35mm判換算26mm)
F10 1/250秒 ISO200
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
■撮影環境:焦点距離13mm(35mm判換算26mm) F11 1/400秒 ISO400

菜の花の撮影に最適なレンズ

菜の花の場合も広角レンズから望遠レンズまで撮影方法は様々です。

レンズを数本持っていくのもいいですが、12-200mmが一本あれば自由に動き回りながら心のままに撮影ができます。

通常、花の撮影は広角レンズから望遠レンズまで持っていきます。

花の場合も様々な焦点距離でまんべんなく撮り尽くす必要があるからです。

でも今回はM.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3一本だけで軽快に撮影することができました。

葉の花の黄色はアクセントカラーにすると魅力的に描ける。木立をメインにし、レンズをのばして木のシルエットにそっと添えるように菜の花を配置した。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
■撮影環境:焦点距離137mm(35mm判換算274mm) F7.1 1/80秒 ISO200

やはり花の撮影にはウキウキした気持が大切です。

バッグに一台のカメラとレンズを入れ、OM-1 Mark IIの手ぶれ補正最大8.5段分に後押ししてもらいながら、手持ちで心のままにシャッターを切れるのは最高の気分でした。

菜の花の咲き乱れる様子を逆光で撮影。花が透過光になって美しい。逆光に強いレンズは風景撮影には大切な要素だ。望遠の圧縮効果を利用し菜の花を密集させた。
■撮影機材:OM SYSTEM OM-1 Mark II + M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
■撮影環境:焦点距離124mm(35mm判換算248mm) F7.1 1/500秒 ISO200

今回は午後の強い光の中での撮影になりましたが、あえて逆光で葉の花を透過光にして綺麗な黄色を浮かび上がらせます。

厳しい条件での撮影になりましたが、ゴーストやフレアーの心配もなく納得できる写真を残すことができました。

おわりに

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3は幅広い焦点距離を補うことができ、これ一本でどんな場所でも撮影することができます。

軽量化できるという事は自由を手にすることと同じ意味だと私は思います。

海にも、山にも、渓谷にも。どんなハードなシーンにも対応することができるレンズ。とても小さいけれど頼もしい。それがM.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3です。

この一本で行動範囲を大きく広げて、これから夏のシーズンの撮影を楽しんでくださいね。

 

 

■写真家:清家道子
福岡生まれ。カラーコーディネーターを経て風景写真家となり、九州を中心に撮影活動している。現在企業カレンダーを手がける他 写真雑誌への寄稿、カメラメーカーでの講演、撮影会などを行っている。2020年よりYouTube 清家道子チャンネルで風景写真、風景ショートムービーなどを配信中。

αアカデミー講師 
OMゼミ講師 
JPS会員

 

 

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