【フイルムカメラ】昭和を代表するハーフサイズフイルムカメラの代名詞「オリンパス ペンEES」
はじめに
今回セレクトしたカメラは、1962年(昭和37年)に発売されたハーフサイズのコンパクトフイルムカメラ「オリンパス ペンEES」です。ハーフサイズカメラの代名詞ともいえる、オリンパス ペンの初代は1959年(昭和34年)に登場し、1960年に「オリンパス ペンS」、1961年に「オリンパス ペンEE」と発売され、オリンパス ペンシリーズの4代目にあたるのが今回紹介する「オリンパス ペンEES」になります。
その後も様々なシリーズのオリンパス ペンが発売され、フイルムカメラのオリンパス ペンは1981年に登場した「オリンパス ペンEF」が最終モデルとなるまで20年以上発売され続けました。昭和レトロ感満載の愛くるしいスタイルの「オリンパス ペンEES」の機能やその写りをご紹介します。
オリンパス ペンシリーズの歴史
今回紹介する「オリンパス ペンEES」の他、どんなオリンパス ペンがあったか発売された順に並べてみました。主に「ペン・ペンS」シリーズ、「ペンD」シリーズ、「ペンEE」シリーズ、「ペンEES」シリーズ、「ペンワイド」、「ペンEM」、一眼レフタイプの「ペンF」シリーズがありました。
1959年 | オリンパス ペン | Dズイコー28mmF3.5 定価6,800円 |
1960年 | オリンパス ペンS | Dズイコー30mmF2.8 定価8,800円 |
1961年 | オリンパス ペンEE | 「固定焦点」「シャッタースピード1/60秒」「露出は絞りの自動調整」 |
1962年 | オリンパス ペンEES | 世界初プログラムEEシャッター搭載カメラとして発売された |
1962年 | オリンパス ペンD | F1.9の高性能大口径レンズを採用したプロ仕様のペン |
1963年 | オリンパス ペンF F1.8 | 世界初、そして世界唯一のハーフサイズ・システム一眼レフ |
1964年 | オリンパス ペンW | ペンシリーズのワイドレンズ採用機、Eズイコー25mm F2.8を搭載 |
1964年 | オリンパス ペンD2 | 露出計をセレン光電池からCdSにグレードアップ |
1965年 | オリンパス ペンEM | 電子シャッター、自動巻き上げ、巻き戻しという3つの新機能を搭載 |
1965年 | オリンパス ペンD3 | ペンDのレンズを大口径のFズイコー32mm F1.7にグレードアップ |
1966年 | オリンパス ペンFT | オリンパスペンFの外観を変えることなくTTL露出計を内蔵したモデル |
1967年 | オリンパス ペンFV | 「オリンパスペンFT」からTTL露出計とM接点を省いたモデル |
1967年 | オリンパス ペンEED | 独自のオリンパスプログラムシャッターが搭載 |
1968年 | オリンパス ペンEES-2 | 普及型ペンEEシリーズの決定版 定価12,800円 |
1968年 | オリンパス ペンEE-2 | 「オリンパスペンEES-2」のレンズを28mm F3.5の固定焦点 |
1973年 | オリンパス ペンEE-3 | 「オリンパスペンEE-2」にフラッシュマチック機構を追加 |
1981年 | オリンパス ペンEF | ペンシリーズの最終モデル。固定焦点のペンEEにオートストロボを内蔵 |
1960年代、様々なペンシリーズと改良をしてハーフサイズカメラの代名詞と呼ばれるようになった「オリンパス ペン」。当時人気があったカメラだったので、現在でも中古市場に多く流通しておりお求めやすい価格で購入することができます。予算に合わせて、自分の気に入ったペンを探してみるのも良いと思います。
オリンパス ペンEESの仕様と特徴
「オリンパス ペンEES 」の基本的なスペックです。
使用フイルム | 35mmフイルム |
画面サイズ | 24mmx17mm |
レンズ | Dズイコー F2.8 f=30mm |
シャッター速度 | 1/30秒と1/250秒(プログラムシャッター) |
露出計・露出 | 外光式 セレン受光素子・プログラムEE |
フイルム感度 | 手動 ASA(ISO)10~200 |
ピント合わせ | 目測式(3点ゾーンフォーカス) |
ファインダー | ブライトフレーム付きビューファインダー |
裏ブタ | 取り外し方式 |
発売当時の価格 | 11,800円 |
発売年 | 1962年4月 |
被写体が暗すぎる時、明るすぎる時には、上の写真のように「赤い警告マーク」がファインダーの下から現れシャッターを切る事が出来ません。この「赤い警告マーク」は通称「赤ベロ」と呼ばれているもので撮影ミスを防いでくれます。カメラを購入する際には、この「赤ベロ」がきちんと動作するかをチェックして購入をしましょう。
フィルムをセットするには、裏ブタを取り外ししなければなりません。少し面倒です(笑)
フイルムの先端を差し込むスリットも2本しか無いので、最初は少し手こずるかもしれません。
ピント合わせは目測式です。人(一人)マーク、人(三人)マーク、山のマークの3点ゾーン方式になっていますが、マーク以外のどの位置でも設定する事は可能です。
ピント合わせは、アバウトな目測式なので普段からの撮影での被写体までの距離間の認識が試されます(笑)。実際には近くを写さなければ、ピント合わせに苦労する事はほとんどありません。
「オリンパス ペンEES」の感度設定の上限はASA(ISO感度)200なので、使うフイルムには注意が必要です。感度100や感度200のフイルムをセレクトしましょう。
カラーネガフィルムであれば感度400のフイルムを使用しても、少しオーバー気味になる場合もありますが、ラチチュードが広いため筆者が試したときは問題なく使用可能でした。その際にはカメラの感度設定は上限の200に設定をして使用しましょう。
フイルムをカメラにセットしたら、フイルムカウンターも自分で設定する必要があります。フイルムカウンターの数字は撮影できる残数を表示する逆算式なので、ハーフカメラだから数字が倍なので、27枚撮りのフイルムであれば「54」、36枚撮りのフィルムであれば「72」に矢印を合わせます。
撮影が終わるころ「0」にカウントダウンしていきます。実際に「0」よりも進んで撮れる事が多いようです。またフイルムカウンターに設定を忘れても撮影は可能ですが、残り何枚撮れるか?な状態になります。最終的には巻き上げができなくなった時点で終了という判断になります
オリンパス ペンEESで大阪道頓堀をスナップ撮影
「オリンパス ペンEES」はちいさなコンパクトフイルムカメラです。今回はジーンズのポケットに押し込んで持ち歩いてみました。少々圧迫感はあるものの、両手が空いて気軽に持ち運べるのは非常に便利です。純正のハンドストラップは、60年ほど経過して経年劣化もあるのでハンドストラップだけで持つのは少々心もとないので、ハンドストラップを手に通してカメラ本体を持つように心がけています。もちろんカメラの両側にストラップを装着するための金具はあるので、自分にあったストラップを付ける事も可能です。
「オリンパス ペンEES」はハーフサイズのフイルムカメラで、ファインダーは縦位置が標準状態になります。ですので必然的に縦位置構図が多くなってきます。スマホで写真を撮ることに慣れている人には、特に違和感無く「オリンパス ペンEES」で撮影する事ができるでしょう。
今回「オリンパス ペンEES」の撮影場所は、大阪の道頓堀です。友人の写真展を見に大阪にやってきたついでに散策をしながら撮影を楽しんでみました。メインのテーマは「立体看板」です。道頓堀周辺には、とてもユニークな立体看板を掲げているお店が多いので、関東に住んでいる筆者にはとても新鮮に見えます。
また、「オリンパス ペンEES」の焦点距離は35mm換算で60mm相当の画角なので、今回の立体看板のスナップ撮影にはちょうど良い感じにハマりました。
「オリンパス ペンEES」は約60年経過したカメラですが、レンズの歪みも少なく周辺光量の落ちもそれほど大きくは見られません。とてもよく出来たコンパクトカメラです。それ故に昭和を代表するハーフサイズのフイルムカメラとして、当時も人気を獲得していたと思われます。