OM SYSTEM OM-1のAI被写体認識AFがすごい!全国絵になる水族館めぐり撮影旅~長崎・福岡編~
はじめに
皆さんこんにちは。写真家の虫上です。ステイホームやテレワーク等で生活環境が変わってゆく中、外出も控えめになっている方もまだまだ多いのではないかと思います。現在私は全国の水族館を巡っているのですが、どの水族館も感染症対策を施しながら元気に営業をされているようです。今回お伺いした九州・長崎&福岡の水族館はいずれも検温や消毒はもちろんのこと、連絡先の記入等の細かな対策を施しながら営業していました。
また、今回OMデジタルソリューションズの新しいカメラ「OM SYSTEM OM-1」を導入いたしましたのでテストを兼ねての取材となりました。このカメラはAI被写体認識オートフォーカスが大幅に強化されたとのことで、実際水族館のような館内が暗い中での撮影に、どれだけAFが良くなったのか楽しみでもありました。
まずOM-1がどんな被写体を認識するのか調べると人物、モータースポーツ、飛行機、鉄道、鳥、犬猫の6種類で肝心の魚が無いことに気が付きました。仕方ないので順番に設定してAFを試してみると、なんと鳥認識が魚にも使えそうなことが判明しました!では使用した感想も交えつつ、今回巡った水族館をご紹介していきますのでぜひ参考にされてみてください。
【長崎】クラゲの研究室!?幻想的な撮影には狙い目
九十九島水族館海きらら
まずは長崎県・佐世保市の九十九島リゾートの中にある「九十九島水族館海きらら」に行って来ました。ここの水族館のウリは私の好きな被写体の一つ、クラゲ。さて、どんな展示なのかワクワクです。
暗い通路内部になにかが掘っているなと思いじっくり見てみると化石の展示がありました。暗すぎて殆どの来館者の方は通り過ぎていましたが、周りの環境がかなり暗くても最近のカメラはISO感度を高くすることでこの写真のように明るく表現できるので、暗い被写体を見逃さないようにしましょう。
▼レンズの画角の違い
35mm相当のレンズで正面から撮影
16mm相当の魚眼レンズで撮影
35mm相当のレンズで下から上に向けて撮影
上の3枚の写真は全て同じ水槽なのですが、レンズ自体を変えたりレンズを向ける方向を変えたりすることで色々な表現が可能です。
こちらは上から下向きに魚の影を利用した作品。
こちらは焦点距離8mmの魚眼レンズを使用して、カメラを上向きにし、魚眼効果と太陽を入れた作品です。この水族館はいい感じに自然光を取り入れていましたね。
魚眼レンズであえて通路を入れて近未来的なイメージを表現してみました。
ガラス張りの水族館内部には至る所に反射物があります。それらを利用するとちょっとユニークな表現にできます。この写真、笑っている顔に見えませんか(笑)。
円形型のプールで泳ぐイルカ。魚眼レンズを使用して円形プールの輪郭をより強調しました。太陽の光条をアクセントにしています。
水族館でイルカは定番の被写体ですね。この写真はあえてシルエットで顔の表情が判る部分を強調して作画しました。
さて、いよいよクラゲゾーンへ。クラゲ研究室では真剣な表情で飼育されている様子が伺えました。
ここで今回のOM-1に搭載されたAI被写体認識AFがこのような被写体にも使えるのか?というテストも兼ねて色々と試した結果、鳥認識AFが一番精度が高いことが判明しました!この水槽は暗くて今までのカメラだと全然ピントが合わなかったのですが、簡単にエボシクラゲにピントが合いました!
なかなか面白い展示です。
オワンクラゲの触手部分にばっちりピントが合っています。
下の3点、同じ被写体でも主役に簡単にピントが合います。あとは構図や露出、ボケ具合を調整すれば良くなりましたので自然と余裕ができ、表現の可能性が広がるのが実感できました!
日本近海で比較的良く見られるウリクラゲ。しかしながら、実際の海では夜に見ないとこの様に奇麗なレインボーフラッシュはなかなか見られません。
肉眼でもかなり暗い水槽のアンドンクラゲも簡単にピントが合いました。
前ボケを生かしたカブトクラゲのこの作品は、前ボケの黄色い玉ボケをいかに取り入れるかがポイントです。今までは主役となる暗い被写体にピントを合わせること自体、非常に難しかったのですが結構簡単に撮影出来たことで「すごい技術の進歩だな…」と感じました。と、同時にこのカメラでないと撮影できない表現も多々あることを感じさせてくれました。
次にこのような大きな魚も試してみましたが、素早い動きのサザナミフグでもばっちりピントが来ていました。
九十九島水族館海きらら
入館料金は大人(高校生以上)1470円、中人(4才~中学生)730円、幼児(3才以下)無料。営業時間は9:00〜18:00(最終入館17:30)、冬季は9:00〜17:00(最終入館16:30)。有料駐車場あり。
HP:https://umikirara.jp/
展示規模 ★★★☆☆
コストパフォーマンス ★★★☆☆
撮影向き ★★★☆☆
お勧め度 ★★★☆☆
【長崎】ペンギンが主役の水族館!
長崎ペンギン水族館
次に訪れたのは全国的にも珍しいペンギン専門の水族館、その名も「長崎ペンギン水族館」です。近代的な建物に青とピンクのペンギンがお出迎えしてくれました。
きれいな水槽にペンギンたちが気持ちよく泳いでいました。
非常に沢山のペンギンがひしめき合って餌を取り合っている姿を見て、なんだか地元で開催している裸祭りを想像してしまいました(笑)。このような表現もどれだけのペンギンを取り入れるかがポイントなのですが、OM-1ならピントが合いやすいので余裕をもって構図を決めやすくなったと感じました。
長崎ペンギン水族館
入館料金は一般が520円、幼児・小中学生が310円、3歳未満は無料。営業時間は9:00~17:00。有料駐車場あり。
HP:https://penguin-aqua.jp/
展示規模 ★★☆☆☆
コストパフォーマンス ★★★★☆
撮影向き ★☆☆☆☆
お勧め度 ★★★☆☆
【福岡】都会の中の巨大水族館
マリンワールド海の中道
最後に訪れたのは九州最大の水族館でもある「マリンワールド海の中道」です。広大なリゾート施設内にある水族館で、建物も近代的で期待して入館しました!
幻想的な通路に露光間ズームを使い、あたかも魚が泳いでいるような雰囲気に撮影してみました。
入口では便利なスマホアプリの紹介があり、早速入れてみると非常に便利なアプリでした!ここの水族館内では無料で使えたので是非入れてみることをお勧めします。こんな風に魚に向けると魚の名前が瞬時に判明します。そして、魚にタップすると詳しい説明も出るんです。こちらもAI被写体認識の機能を使用しているようですね。
尚、有料版(490円で1回インストールすれば永久に使えます)をダウンロードすると、どの水族館でも使えますので水族館が好きな方はこちらもお勧めかと思います。
ここの水族館は魚の魅せ方がとても素晴らしいですね。この様に岩に砕け散る水中波の様子までも再現できています。大きなハタが良い位置に来るまで粘った甲斐がありました。ところで、現実の海でこのような波が打ち寄せる浅場の岩礁帯で撮影をするとなると、非常に危険ですからこのショットは安全な水族館だから撮れた写真です。
暗い水槽でもこの通り、ピントも来ました!露出補正をアンダーめにして美しく、幻想的な表現に出来ました。
動画でOM-1のAI被写体認識AFの凄さを撮影してみましたのでご覧ください。
非常に警戒心の強い魚はすぐに巣穴に隠れますので、カメラを構えて動かずじっとしていると徐々に巣穴から出てきます。この水槽前で周りに見学者がいないのを確認しながら5分ほど粘りました。この撮影方法は実際の海でスキューバダイビング中によく使う撮影方法です。
水族館ならでは照明を生かしてムツゴロウを撮影しました。
まるで宇宙船のように見える浮遊するコブシメ。AI被写体認識AFのおかげで構図を考える余裕が出来たので、右上の空間を大きく取り入れ、とても幻想的に表現出来ました。
まさかアマモについた卵殻まで展示しているとは驚きが隠せませんでした。この水槽でアオリイカの新たな生命が誕生するのでしょう。その瞬間も見たくなりますので、また通いたくなりました。
幻想的なカラーでライトアップされていたミズクラゲ。クラゲの配置がいい感じになる瞬間を狙いました。
まるで宇宙に浮かんでいるような感じで浮遊している赤クラゲ。上部の星のように見える部分を脇役としました。
クラゲばかりではなく、水槽や周りの景色も取り入れてみることをお勧めします。
クラゲの水槽もライティングがとても洒落ていて、撮影してもなんだか幻想的に表現できますね。
16:9のアスペクト比でトリミングするとワイド感が表現できます。
大水槽も見ごたえがありました!
外のイルカの水槽ではこの日は天候が良く、太陽が丁度いい感じに天使の輪っかを作り出してくれました。
丸い形をした水槽がここの水族館にもあり、広く撮影すると魚眼レンズを使用しているかのようなユニークな写真が撮れます。ここではアシカのシルエットを利用してまるで絵画のような表現が出来ました!
マリンワールド海の中道
入館料金は大人(高校生以上)2500円、小中学生1200円、幼児(3才以上小学生未満)700円。営業時間は9:30~17:30(最終入館16:30)。有料駐車場あり。
HP:https://marine-world.jp/
展示規模 ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★☆☆☆
撮影向き ★★★★★
お勧め度 ★★★★☆
まとめ
九州・沖縄編は今回で最後となりましたが、色々と周ってみた感想としては、やはり日本の南はサンゴ礁が多いので熱帯地方の魚の展示が圧倒的に多かったですね。また、新しいカメラの技術の進歩に驚かされたとともに、新しい表現や作品が生まれる可能性もあるな、と実感しました。OM SYSTEM OM-1を購入された方は是非水族館撮影もしてみてください。
また、外出を控えていた皆様にも、たまには息抜きを兼ねて水族館に行かれることをお勧めします。ゆったりとした魚の動きや水の揺らぎなどでヒーリング効果で癒されること間違いなしです。さて、次回からは私の地元になります中国・四国編です。お楽しみに!!
■写真家:虫上智
1968年岡山県生まれ。高校を卒業後、写真家 緑川洋一氏に師事。地元のカメラ店で撮影業務などを学び2000年に独立。現在はスタジオ撮影、フォト講座、執筆、フォトコン審査、講演等を受け持つ。ライフワークでは心象風景、自然写真、水中写真を撮影。
日本写真家協会(JPS)会員、日本写真講師協会 認定フォトインストラクター、OM SYSTEMゼミ講師、フォトカルチャークラブ講師、フォトマスターEX(総合)一級
水族館めぐりの連載記事はこちら
■全国絵になる水族館めぐり撮影旅~沖縄編~
https://www.kitamura.jp/shasha/article/484792720/
■幻想的な絵作りが楽しめる!!全国絵になる水族館めぐり撮影旅~九州編~
https://www.kitamura.jp/shasha/article/485660869/