OM-Dエントリー機がブラシュアップされてMarkIVへ
オリンパスから新しいミラーレス一眼カメラOM-D E-M10 MarkIVが発表された。E-M10シリーズは、上位機となるE-M5シリーズ同様にEVF(電子ビューファインダー)を搭載する一眼レフライクなスタイリングのまま、構成する部材の構造や材質などを見直すとともに機能面でもシンプルにすることで、よりコンパクトかつ軽量化されたエントリーモデルだ。 今回発表されたE-M10 MarkIVは現在ラインアップされているE-M10 MarkIIIの後継機となるカメラだ。
E-M10 MarkIVではイメージセンサーが約2030万画素の上級機同等のイメージセンサーへと刷新された。これまでにOM-Dの他のモデルであるE-M1 X、E-M1 MarkIII、E-M5 MarkIIIはすでに約2037万画素に統一されていたが、E-M10 MarkIIIではいまだ約1605万画素止まりのままであった。そしてついに今回のE-M10 MarkIVの登場により全てのモデルが2000万画素を超えることとなったのだ。これによりOM-Dの最新機種においてはどの機種を選んでも画質はほぼ同等となった訳だ。
E-M10 MarkIVでは、ボディ内手ぶれ補正はシャッター速度4段分から4.5段分へと強化されており、より手ぶれに強くなった。また連写コマ速数のアップやオートフォーカス時のC-AFによる追従精度向上なども施されているのも特徴だ。
その他、アートフィルターに「ネオノスタルジー」追加されるとともに「ポップアートI」と「ファンタジックフォーカス」ではフィルター効果の調整が可能なファインチューン機能が追加された。このようにエントリー機でありながら基本性能が引き上げられたことで、より快適かつ幅広い表現方法の撮影が可能となっている。
主なスペックと外観
・マイクロフォーサーズ規格マウント 有効画素数約2030万画素4/3型Live MOSセンサー採用
・スーパーソニックウェーブフィルター搭載
・常用ISO感度200-6400 / AUTO
・拡張ISO感度 LOW(ISO100相当)・8000-25600
・連写H 約8.7コマ/秒・連写L 約5コマ/秒
・静音モード連写H 約15コマ/秒
・静音モード連写L 約6.3コマ/秒
・低振動連写L 約4.8コマ/秒
・メカニカルシャッター1/4000〜60秒・電子先幕シャッター1/320〜60秒
・静音シャッター(電子シャッター)1/16000〜60秒
・ライブバルブ / ライブタイム / ライブコンポジット / インターバル / 多重露出撮影
・ハイスピードイメージャAF 121点コントラストAF
・撮像センサーシフト式ボディ内手ぶれ補正 5軸4.5段分
・視野率約100%/約1.23倍 約236万ドットOLEDビューファインダー
・3.0型チルト可動式 約104万ドット背面液晶モニター 静電容量式タッチパネル
・UHS-II/UHS-I対応 SDXC/SDHC/SDメモリーカードスロット
・MOV(MPEG-4AVC/H.264) 4K 30p/25p/24p・FHD・HD、ハイスピードムービー120fps、タイムラプス動画 4K/FHD/HD
・TTL調光内蔵フラッシュ GN=5.1(ISO100・m) / GN=7.2(ISO200・m)/RCコマンダー機能 オリンパスワイヤレスRCフラッシュシステム対応
・無線LAN・Bluetooth 内蔵
・インターフェース USB2.0(Hi-Speed)
・大きさ121.7mm(W)×84.6mm(H)×49mm(D)
・質量 383g(付属充電池およびメモリーカード含む、アイカップなし)
E-M10 MarkIV実写作例」
システムとして完成系に近づいたOM-Dシリーズ
オリンパスのOM-Dシリーズはエントリー機のE-M10系、中級機のE-M5系、プロ機のE-M1系と各モデルの立ち位置が比較的わかりやすいラインアップとなっている。ただ各モデルのモデルチェンジのタイミングで、時折上位モデルとの関係性が逆転することがあった。実は前モデルのE-M10 MarkIIIは、上位機種であるE-M5 MarkIII、E-M1MarkIIIよりかなり発売が先であったため、同じモデルエディションにも関わらずイメージセンサーの画素数が少ないモデルという状況が続いていた。
もちろんカメラの画質は画素数だけで決まるものではないが、私のように「今日はがっつりと仕事で大量に撮影するからE-M1系で」、「今日はプライベートでのお散歩撮影だから軽量コンパクトなE-M10系で」と使い分けたい者にとっては、今回のE-M10 MarkIVの登場によりどのモデルを選んでも同等の画像画質が得られるようになったのは嬉しい限りだ。
また全てのモデルが同じセンサーサイズを搭載しているマイクロフォーサーズシステムは、同じレンズであればどのカメラで使用しても同じ画角で撮影できるという点も大きなメリットである。その点でもE-M10 MarkIVの進化は、一度機に複数モデルを撮影に投入しての撮影であっても撮影画像に優劣が発生しない。これもまた大きなメリットだと言える。
このようにE-M10 MarkIVの登場はこれまでOM-Dをシステムとして使用してきた者にとって歓迎すべき進化であるとともに、新しくミラーレス一眼カメラを手に入れようという方にも、軽量でコンパクトでありながら高画質であるカメラとして、とても魅力的な選択肢となることだろう。最近のフルサイズミラーレスカメラ人気のなかであっても、特徴あるカメラとして存在感を発揮するモデルとなるに違いない。
■モデル:夏弥<https://ameblo.jp/beautiful-summer12/>
■撮影協力:国立天文台水沢VLBI観測所<http://www.miz.nao.ac.jp/>