パナソニック DC-TZ99 レビュー|旅行にピッタリの光学30倍ズーム機!

水咲奈々
パナソニック DC-TZ99 レビュー|旅行にピッタリの光学30倍ズーム機!

はじめに

2025年2月20日にパナソニックから発売された「LUMIX TZ99」は、光学30倍ズームのLEICA DCレンズを搭載するコンパクトデジタルカメラです。今回は、旅撮影に最適な本機のレビューを、沖縄の旅スナップと共にお送りします。

旅撮影で重宝する光学30倍ズーム

本機は約2030万画素、1/2.3型MOSセンサー搭載、焦点距離は35mm換算で24〜720mmの30倍光学ズームが可能なコンパクト機です。9群12枚(非球面10面5枚)LEICA DC VARIO-ELMARのレンズを搭載し、開放絞りはF3.3〜6.4、最短撮影距離は広角端で50cm、望遠端で2mです。まずは、その光学30倍ズームの威力を見てみましょう。

広角撮影時のレンズの状態
広角端で撮影
■使用機材:Panasonic DC-TZ99
■撮影環境:焦点距離::4.3mm(35mm換算24mm)
撮影モード:マニュアル F5.3 1/200秒ISO80 AWB
望遠撮影時のレンズの状態
望遠端で撮影
■使用機材:Panasonic DC-TZ99
■撮影環境:焦点距離::129mm(35mm換算720mm)
撮影モード:マニュアル F6.4 1/200秒ISO400 AWB

宿泊した古民家の庭にバナナの木がありました。太陽を見上げるような位置でしたが、そのまま広角端と望遠端で撮影してみました。

かなり意地悪な位置からの撮影でしたが、広角側は朝の空気感を、望遠側はバナナの質感を、思っていたよりもリアルに描いてくれました。望遠側にありがちな画質の眠さや、逆に不自然なコントラストもつかず、まさに記憶を記録してくれるカメラだと感じました。

カメラ任せの撮影モード「i.AUTO」の実力は?

さてこのカメラ、じっくりと腰を落ち着けて撮るというよりも、バッグからパッと出してさっと撮影したり、片手に構えて歩きながらライトに撮ったりするほうが向いているのでは?と思い、普段はマニュアルの撮影モードで撮ることの多い筆者ですが、積極的に「i.AUTO」のカメラ任せの設定で撮影してみることにしました。

こちらに記載してある撮影情報の絞りやシャッタースピード、ISO感度などは、後からEXIF情報を見て確認したもので、撮影時には手を加えていません。

■使用機材:Panasonic DC-TZ99
■撮影環境:焦点距離::4.3mm(35mm換算24mm)
撮影モード:i.AUTO F3.3 1/800秒ISO80 AWB

今回の沖縄の旅では、中部のうるま市に滞在しました。こちらは、2025年1月からスタートした、沖縄のうるま市を舞台にしたアニメ「沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる」の、3話「海が見えるスージ」に登場した小道です。

この周辺にはアニメに登場したロケ地が多く、その場所を巡る聖地巡礼にお勧めの、沖縄らしい素敵なスポットが沢山あるのですが、その多くは普通に皆さんが生活されている場所なので、撮影するとしてもじっくり時間をかけるよりは、ササッと素早く行いたいもの。

このときの撮影もカメラ任せの「i.AUTO」ですが、地面の暗さと空の明るさの難しい露出に引っ張られることなく、見た目に近い露出、色味の写真が簡単に撮れました。

暗所での撮影

■使用機材:Panasonic DC-TZ99
■撮影環境:焦点距離::4.3mm(35mm換算24mm)
撮影モード:i.AUTO F3.3 1/20秒ISO1600 AWB
■使用機材:Panasonic DC-TZ99
■撮影環境:焦点距離::4.3mm(35mm換算24mm)
撮影モード:i.AUTO F3.3 1/40秒ISO1600 AWB

こちらは暗いシーンでの撮影。撮影モードは「i.AUTO」で、ISO感度なども変更していません。ガラスでできた迷路の施設で、色々反射しているのでわかりにくいかもしれませんが、かなり暗いです。両手でカメラを構えていたら、きっと顔を何回かぶつけていたことでしょう。

歩いて行くと、暗かったところがライトアップされて明るくなる仕掛けが多いので、撮影時にはこの写真と同じくらいの明るさになっていました。色々な色味の明るさが混じったり乱反射していたりすると、レンズに入る光の角度によって、妙なフレアーやゴーストが出やすいのですが、とっても素直な、見た目通りの画を紡ぎ出してくれました。

角を曲がったらいきなり招き猫のオブジェがあって驚いた筆者の気持ちも、しっかりと写真に残りました。

テストムービー


本機は4K(3840×2160)30pの動画撮影ができます。4K動画の最大記録時間は15分ですが、この機種でそれ以上長回し撮影することはないように思えます。

動画撮影時のAFは、よく動くヤドカリにもしっかりと合い、ヤドカリがどんどん近付いて来るのですが、最短撮影距離よりも近くに来るまでは、ピントを合わせ続けてくれました。

エサをあげるのが楽しくて、この撮影前に沢山あげたがゆえに集まりすぎてしまった鯉のシーンでは、太陽の反射で池が明るくなりすぎてしまったときは、一瞬AFの迷いが見られたものの、反射が収まると、合って欲しい中央部にさっとピントが合いました。

USB Type-Cで充電できるのはとっても便利!

■使用機材:Panasonic DC-TZ99
■撮影環境:焦点距離::4.3mm(35mm換算24mm)
撮影モード:i.AUTO F4 1/1000秒ISO80 AWB

旅撮影で困るのが、カメラの充電問題です。宿泊先に戻ってから充電するにしても、専用の充電器やケーブルが必要となると、他にも充電しなくてはいけない家族全員のスマホやモバイルバッテリーがある場合、電源の取り合いになってしまいます。

その点、本機はType-Cケーブルで充電できるので、汎用のケーブルとスマホ用のモバイルバッテリー※があれば、こんな何もない海でも、電池切れに悩まされません。

※パナソニック株式会社で動作確認済みのバッテリー情報は公式サイトをご確認ください
こちらの海はシーグラスで有名な海なのですが、ヤドカリの動画もここで撮影しました。冬の沖縄は薄曇りの日が多く、この日も雲が多かったのですが、白い砂浜と沖縄らしいブルーグリーンの海が綺麗なビーチでした。

クリエイティブコントロール

■使用機材:Panasonic DC-TZ99
■撮影環境:焦点距離::4.3mm(35mm換算24mm)
撮影モード:クリエイティブコントロール「ジオラマ」 F3.3 1/320秒ISO80 AWB

撮影モードをクリエイティブコントロールにすると、色々な画像効果を楽しめます。筆者は、LUMIXではポップやラフモノクロームをよく好んで使用するのですが、コンパクト機ならでは、気軽に見上げたり見下ろせたりと、フットワーク軽く撮影できるメリットを活かしてジオラマで撮影してみました。

■使用機材:Panasonic DC-TZ99
■撮影環境:焦点距離::20.6mm(35mm換算115mm)
撮影モード:クリエイティブコントロール「ソフトフォーカス」 F5.1 1/80秒ISO640 AWB
■使用機材:Panasonic DC-TZ99
■撮影環境:焦点距離::22.3mm(35mm換算124mm)
撮影モード:クリエイティブコントロール「シルキーモノクローム」 F5.2 1/80秒ISO800 AWB

こちらは沖縄南部の奥武島にいる猫。寒さを気遣ってか、いつもはない毛布が箱に入れられていました。ふわっと感を活かしたくて、ソフト系の2種類のクリエイティブコントロールで撮影。

クリエイティブコントロールのセレクトも、背面液晶で簡単にできるので、LUMIX機に慣れていない方でも直感的に操作できるでしょう。

旅や家族で持つ1台にお勧めの機種!

■使用機材:Panasonic DC-TZ99
■撮影環境:焦点距離::20.6mm(35mm換算115mm)
撮影モード:i.AUTO F5.1 1/250秒ISO80 AWB
■使用機材:Panasonic DC-TZ99
■撮影環境:焦点距離::7.8mm(35mm換算44mm)
撮影モード:i.AUTO F3.9 1/80秒ISO1250 AWB
■使用機材:Panasonic DC-TZ99
■撮影環境:焦点距離:9mm(35mm換算50mm)
撮影モード:i.AUTO F4.1 1/125秒 ISO80 AWB

前機種の「DC-TZ95D」にはあったファインダーが本機ではなくなっていたので、太陽の強い沖縄での撮影に支障が出るのではと気になっていたのですが、搭載されている液晶モニターの見え方が良すぎて、撮影し始めると、全然気にならなくなりました。

旅写真に多い食事の撮影も、標準画角の焦点距離で近付いて撮れるので、座ったまま斜め上から撮る、ベストの撮影位置からの撮影が可能ですし、警戒の強そうな被写体にも、さっと取り出してさっと撮影することで対応できます。

荷物を重くしたくない旅行や、家族でひとつのカメラを使いまわしたいときなど、1台持っていると、より旅が楽しくなるカメラだと思いました。

 

 

■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。日本写真家協会(JPS)会員。

 

 

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