パナソニック LEICA DG VARIO-SUMMILUX 25-50mm / F1.7 ASPH. レビュー|1本で様々なムードを生み出してくれる優秀レンズ
はじめに
最初に結論からお話しますと、ズーム全域でF1.7の開放値を実現した本レンズは、「LEICA」の冠に相応しい美しい描写性能と、高い解像性能を有していました。その詳細を、ポートレートのスチールとムービーでレビューしたいと思います。
ズミルックスが生み出すなめらかで繊細なボケ味
本レンズは、望遠ズームレンズとして世界で初めて(執筆時現在、レンズ交換式デジタルカメラ用望遠ズームレンズとして)、ズーム全域で開放F1.7での撮影が可能です。レンズ構成は11群16枚で、非球面レンズ1枚、EDレンズ3枚、UHRレンズ1枚が採用されています。
大口径F1.7の「SUMMILUX(ズミルックス)」の生み出す、なめらかで繊細な美しさのボケ味は、被写体をより立体的に、魅力的に描き出してくれます。雑味のないボケは、見る人の目を自然にピントの合った主役の被写体に誘導してくれます。
作例の撮影日はかなり天気が良く、日差しの強い日でした。コンクリートの地面が眩しい状況でしたが、ハイキー部分も派手になりすぎず、なんとも爽やかな作品に仕上がってくれました。
ポートレート・ショート・ムービー
筆者は、ムービー撮影時はシーンによってAFとMFを使い分けることが多いのですが、本レンズはフォーカスリングをスライドさせるだけでAFとMFを切り替えられる「フォーカスクラッチ」が搭載されており、これがとても使いやすくて便利でした。硬すぎず緩すぎないリングは、操作性も高かったです。
また、「LUMIX GH5II」の手ブレ補正効果のお陰もあり、全編手持ちで、カメラを固定せずに動かしながら撮影を楽しめました。編集時にソフトで動きを加えることもできるのですが、レンズがコンパクトなこともあり、今回はカメラをどんどん動かして自由に撮影してみました。
スチールもですがムービーでは特に、ガラス越しの車の光や反射した丸ボケなど、レンズが作り出す水のようななめらかなボケが美しかったです。
標準から望遠まで、単焦点レンズ4本分の焦点距離がこのレンズに!
通常、ポートレートは単焦点レンズで撮影することが多い筆者ですが、本レンズはズームレンズでのポートレート撮影の良さを、あらためて教えてくれました。
本レンズの焦点距離は、35mm判換算で50mm〜100mmになります。筆者がポートレートでも、それ以外の撮影でも一番良く使う焦点距離は50~60mmなので、どんな画になるかが瞬時に想定できる一番使いやすい画角といえます。次に75mm、85mmは筆者もポートレートで多用する画角で、バストアップ以上の寄りのシーンで背景を活かした撮影をするときの定番画角でもあります。100mmは、個人的に以前はそれほど使用していなかった画角なのですが、ここ1~2年はレンズの軽量化に伴って使用頻度がぐっと増えた画角です。
それらの多用する画角がこの一本のレンズに収められているのは、やっぱりとても便利ですし、ズームレンズながらF1.7通しの開放F値は、妥協することなく選べるレンズだといえます。
単焦点レンズ4本持ち歩くよりもコンパクト!
最近のレンズの小型、軽量化には目を見張るものがあります。本レンズの最大径は87.6mm、全長は約127.6mm、重さは約654gです。これで単焦点レンズ4本分の画角が入っているのですから、単焦点レンズを4本持ち歩くよりも断然軽くて小さいです。
スタジオで三脚に据えてじっくりと撮影するときには、レンズのコンパクトさはそれほどこだわらなくてもいいのですが、ロケで身軽に動きながら撮影したいときや、街中であまり存在感のある撮影をしたくないときなどは、サイズ的にも主張の激しくないレンズがありがたいものです。
最初に持ったときに「小さい!」と感じましたが、昼から夜まで一日撮影していても、その感想は変わりませんでした。重さでお困りの方に、手と肩の負担軽減のためにもお勧めしたいレンズです。
静かで素早いAFはさすがのLUMIX
AFの性能は言うまでもなく、アップのシーンでは瞳をすぐにキャッチし、引きのシーンでも顔と瞳をすばやく捉えるのはさすがのLUMIXです。
本レンズのフォーカスは、フレームがリニアモーターで駆動する構成になっており、素早くて精度の高いAF性能とともに、静かなピント合わせが可能となっています。これはスチール撮影時にストレスになる不穏な音がないことはもちろん、動画撮影時に自分のフォーカス音を収録してしまうなんて悲しいことがおきないために、とても大切な性能でもあります。
大口径レンズならではの点光源のボケの美しさ
せっかくの大口径レンズなので、点光源の丸ボケを味わえるカットも撮影。背景にはワイングラスやフィルムカメラなどが並んでおり、室内の照明を反射してムードのあるボケになってくれています。
室内は赤みのある照明で彩られているので、背景とモデルの髪は赤味がかった色に、まだ日が落ちていない夕方で、モデルの顔は自然光でうっすらと照らされている為、5000Kのホワイトバランスにすることで、ムードを残しながらも自然な色味になりました。
乱反射する撮影シーンでもフレアやゴーストをカット
室内は照明をすべてつけると、あらゆる角度から照らすセッティングになっているので、吊り下げられているワイングラスなどの乱反射は美しいのですが、レンズにもあらゆる角度から照明が差し込む状況でもありました。そのような状況でも、不要なフレアやゴーストは見受けられず、描写性能の高さを感じました。
また、かなり暗いなかでの撮影でしたが、ブレや解像感の低さも感じず、ピントが合っている面からボケている面までしっかりと描かれていました。
反射の丸ボケも自然に美しく描写
店内のモデルをガラス越しに外から撮影。窓ガラスに写り込んでいるのは筆者の後ろにある木の木漏れ日と、その後ろにある道路を走る車の反射です。今回の撮影場所は反射や点光源が沢山あったので、ボケを存分に楽しむことができました。
これ1本で様々ムードの作品を仕上げられる!
先ほどと同じ場所で、日が沈んでから撮影しました。木漏れ日の反射がなくなり、店内の光が強くなったので、1枚フィルターを通したようなふんわりとしたカットに仕上がりました。
単焦点派の筆者ですが、様々なムードを1本のレンズで仕上げられるのは、やっぱり便利なことだと実感したレビューでした。
■写真家:水咲奈々
東京都出身。大学卒業後、舞台俳優として活動するがモデルとしてカメラの前に立つうちに撮る側に興味が湧き、作品を持ち込んだカメラ雑誌の出版社に入社し編集と写真を学ぶ。現在はフリーの写真家として雑誌やWEB、イベントや写真教室など多方面で活動中。興味を持った被写体に積極的にアプローチするので撮影ジャンルは赤ちゃんから戦闘機までと幅広い。日本写真家協会(JPS)会員。
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