パナソニック LUMIX S5 で気軽にムービー撮影を楽しもう|【第2回】ムービー三脚と電動ジンバルを使ってムービー撮影

三井公一

LUMIX S5 をビデオ雲台に取り付けた画像_2.jpg

はじめに

 2020年9月に登場したパナソニックのフルサイズミラーレス一眼カメラ「LUMIX S5」。シリーズ中もっとも小さくて軽いサイズながら、上位機種「LUMIX S1H」顔負けのムービー撮影機能を盛り込んで話題になりました。スチル撮影はもちろん、高解像度の4Kムービーから、魅惑的なスローモーションとクイックモーションなど、このカメラがあれば誰にでも楽しむことができるようになっています。今回はその素晴らしいムービー機能に親しむビギナー向け短期連載の第2回目になりますので是非ご覧ください。

ムービー三脚を使った安定感のあるパンとティルト

 「LUMIX S5」は優秀なボディ内手ブレ補正機能(B.I.S.)を搭載しています。パナソニック純正レンズのレンズ内手ブレ補正機能(O.I.S.)を搭載したものを装着すると、「Dual I.S.2」として各々が協調してさらに手ブレ補正効果が効きますが、フィックス(固定)しての撮影や長時間撮影時、さらに安定したパンとティルト撮影を行うならムービー用三脚を使うのがオススメです。なぜなら撮影がグンと楽になるからです。以前は重くて無骨な製品が多かったのですが、近年はカーボン素材を積極的に採用した、旅行にも携行できるようなライトウェイトなムービー三脚が増えてきています。もちろんスチル撮影でも活躍するので、これから本格的な三脚を購入するのであれば検討の対象にしてもいいでしょう。

 今回はマンフロット社製の軽量でコンパクトなムービー用三脚「befree live カーボンT三脚ビデオ雲台キット」を「LUMIX S5」に組み合わせて使ってみました。この三脚の特徴は「レベリング機能」を備えているところと、「フルードビデオ雲台」を搭載しているところです。

 「レベリング機能」とは三脚のセンターポール部分にボール状の機構が備わっており、それを動かすことによって雲台の水平を出すことができます。これによってパンニングをきちんと水平に行うことが可能になります。

 「フルードビデオ雲台」は滑らかでスムーズな動きをしてくれるので、スチルと違ってカメラを動かすムービー撮影には欠かせない機能といえるでしょう。またこの雲台は前後にプレートを動かしてカウンターバランスが取れるので、滑らかなティルトの動きが可能なところがいいところです。重量も1.38kgで最大耐荷重も4kg、最大高150cm、格納高41cmとサイズも必要十分で、軽量コンパクトな「LUMIX S5」と「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」の組み合わせにピッタリだと言えます。
ビデオ雲台の画像DSCF0023.JPG

 このムービーは「LUMIX S5」を「befree live カーボンT三脚ビデオ雲台キット」に装着した模様です。雲台の下にあるダイヤルを緩めて、水準器のバブル(泡)を指標に合わせると水平出しが完了します。これを行っておくとパン撮影時にキレイな水平の動きをすることが可能です。設置場所を変えるたびにきちんと水平を出すことが大切です。またカメラを装着したプレートを前後させて、カウンターバランスも取りましょう。前後方向とも戻りのバランスが取れると、動きを止めた際もピタッと静止することができます。軽量コンパクトながら、このカメラとレンズにピッタリのムービー三脚だと言えます。

「befree live カーボンT三脚ビデオ雲台キット」を使って試し撮り

 「befree live カーボンT三脚ビデオ雲台キット」に「LUMIX S5」を載せて、鉄橋を走ってくる電車を撮影しました。滑らかなフルード雲台とレベリング機構で水平をきちんと取っていたので、スムーズに電車の動きをフォローして撮影できました。手持ちだとこうはなかなかキレイに撮れません。

 多摩川の立ち木を根本からてっぺんまでティルト撮影しました。「befree live カーボンT三脚ビデオ雲台キット」のカウンターバランスをしっかりと取っていたので、この上方への動きも実に滑らかになりきれいなカットとなりました。軽量コンパクトながらツボを押さえたムービー三脚なので、いつでもどこにでも携行できそうですね。

電動ジンバルで楽しむ

 電動ジンバルも印象的なムービー作品制作に必須のギアと言えるでしょう。どういうものかというと、電動モーターで装着したカメラのバランスを自動的に保ってくれる手ブレ補正装置と言えばいいでしょうか。この電動ジンバルも小型化と低価格化が進み、以前とは比べものにならない気軽さで入手できるようになりました。

 今回使用した「Zhiyun Weebill S」はとてもコンパクトで軽いのに高いパワーのモーターを有し、フルサイズミラーレス一眼カメラでも安定してバランスを取ってくれるので人気が高い製品です。「LUMIX S5」にマッチしたジンバルは他にもあるのでご自身にあった電動ジンバルをご検討してみてください。

S5に電動ジンバルを装着した画像DSCF0029.JPG

 使い方もカンタンです。カメラを装着して、ロックを解除して3つのバランスを取りましょう。ロール、ピッチ、ヨーの3つの軸でカメラが傾かないようにセットしてあとは電源をON。「Zhiyun Weebill S」の自動調整をかければモーターのパワーでカメラのバランスを取ってくれるようになります。事前のバランスをヤジロベエの要領でしっかりとっておくことが重要になります。もちろんレンズを交換したなど重量が変化した場合は再度バランスを取り直す必要があります。

 あとは付属のUSBケーブルで「LUMIX S5」と「Zhiyun Weebill S」を接続してカメラコントロールをONにすれば絞り値などを「Zhiyun Weebill S」から変更・設定できるようになります。スマートフォンに「ZY Play」というアプリをインストールすればスマホからも動きのコントロールが可能になりますよ。

 「Zhiyun Weebill S」の動きはムービーをご覧頂いた方がわかりやすいでしょう。電動ジンバル機種によって呼び方が変わってきますが、基本的にはPF(パンフォロー)モード、L(ロック)モード、F(フォロー)モードを覚えておけば撮影に困ることはないでしょう。

 PFモードは水平方向を維持して動きに追従するモードです。左右に「Zhiyun Weebill S」を振ると上下動を抑えてフォローする動きをしてくれます。風景などを水平方向にじっくりとパンして見せる場合などに使います。

 Lモードの場合は常にカメラが一定方向を向くようになります。そのため「ZhiyunWeebill S」を左右に振ってもレンズは前方を向いたままとなります。このモードは自分が横方向に移動しながらもカメラは前方に固定されたままになるので、例えば川に沿って歩きながら向こう岸の景色を見せたい場合に役立ちます。

 Fモードは「Zhiyun Weebill S」の動きをカメラがフォローしてくれます。高層ビルを見上げるシーンなどに有効です。動きのスピードや遊びの調整などは「Zhiyun Weebill S」のメニュー内で行えるので、自分のイメージあったスピードでフォローする動きができるようにセッティングしてみましょう。

電動ジンバルを使って試し撮り

 河原の不整地を「LUMIX S5」を装着した「Zhiyun Weebill S」を持って歩いてみました。ムービーをご覧頂ければわかるように、なかなかの傾斜と荒れ具合の河川敷です。それなのに「Zhiyun Weebill S」は実に滑らかで安定した手ブレ補正と安定性を発揮してくれました。もちろん「LUMIX S5」の「Dual I.S.2」も機能していますが、見事なスムーズな動きのムービーを撮ることができました。電動ジンバルの威力はスゴいですね。

さいごに

 素晴らしいムービー撮影機能を持つ「LUMIX S5」ですが、単体での撮影が楽しいのはもちろん、このようにムービー三脚や電動ジンバルを組み合わせることによって、より安定して美しく印象深いムービーの撮影が可能になります。次回は「LUMIX S5」を使った撮影のコツやスマートデバイスを使ったカンタンな編集方法などをお届けしたいと思います。お楽しみに!

~ 「パナソニック LUMIX S5 で気軽にムービー撮影を楽しもう」の連載はこちらからご覧頂けます ~
【第1回】スチルだけでなくムービーも簡単!
【第3回】ムービー撮影設定と iPhone でのカンタン編集!
【第4回】シネマティックムービーに挑戦しよう!

■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナーなどで活躍中。有限会社サスラウ 代表。

その他の商品はこちらから

関連記事

人気記事