パナソニック LUMIX G100D ダブルズームレンズキットレビュー|葛原よしひろ

はじめに
今回レビューさせていただくのはパナソニック LUMIX G100D ダブルズームレンズキットです。
まず本体のG100Dは、マイクロフォーサーズ規格のセンサーを搭載したレンズ交換式ミラーレス一眼カメラになります。
そして、LUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S の標準ズームレンズと、LUMIX G VARIO 45-150mm/F4.0-5.6 ASPH./MEGA O.I.S の望遠ズームレンズのセットになります。レンズの焦点距離表示は全てフルサイズカメラの約半分なので、読んでいただくにあたり普段フルサイズカメラをご使用の場合、数値は倍と思っていただくと比較的解りやすいと思います。

レンズ交換式一眼カメラなのに驚異的な小型軽量
このカメラの1番の特徴は、何と言ってもファインダー付きレンズ交換式一眼のカメラとしては驚異的な小型軽量サイズであることです。G100D本体は幅115.6mm、高さ83.1mm、奥行54.2mm、重さ304g。バッテリーとSDカード、付属の標準ズームレンズも装着して撮影時の状態にしても413gと、私が普段使用しているカメラと比べるとレンズ1本にも満たない重量です。
このカメラを持ってマカオと香港に行ってみましたので、その時の写真を中心にレビューさせていただきます。

■撮影環境:絞りF7.1 SS1/15 WB AUTO ISO250 12mm使用
LUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.Sでマカオを撮影
まずは標準ズームLUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.Sを使用してマカオを撮影した写真です。

■撮影環境:絞りF5 SS1/4000 WB AUTO ISO200 15mm使用
これは行きの飛行機からの1枚ですが、青空に千切れ雲が広がり青い海に影を落とした様が印象的でした。この撮影には飛行機窓外撮影に欠かせない忍者レフ 787を使用して映り込みを避けて撮影しています。

■撮影環境:絞りF5.6 SS1/4000 WB AUTO ISO200 32mm使用

もう1枚、機上から海上の港を撮影したのですが細部までしっかりと写っており繊細な描写も良好です。

■撮影環境:絞りF5.6 SS1/250 WB AUTO ISO800 12mm使用
マカオのカジノ街は、とても美しくラスベガスが引っ越して来たかのようでした。建物が多い構図ですが、歪みや収差も少なく、このサイズのカメラと、そのズームキットレンズの広角端12mmでの撮影としては凄く良好な描写だと思います。

■撮影環境:絞りF5.6 SS1/250 WB AUTO ISO200 12mm使用
この塔はパリのエッフェル塔の1/2サイズレプリカなのですが、それでも大きくて迫力があります。縦位置構図のローアングル撮影時はバリアングル液晶があると便利なのですが、G100Dにも搭載されています。

■撮影環境:絞りF3.5 SS1/60 WB AUTO ISO1000 12mm使用
エッフェル塔前、パリジャンの天井画です。この辺りは、アジアにいる事を忘れるような造りになっていて驚かされます。
Mモードで撮影しているのですが、前ダイヤルで絞り、背面のコントロールダイヤルでSS(シャッタースピード)変更が可能なので、フルサイズやAPS-C機から持ち替えても違和感なく操作可能で撮影し易いです。

■撮影環境:絞りF5.6 SS1/1000 WB AUTO ISO1600 13mm使用
マカオの市街地はポルトガル領の名残と中国文化の入り混じる、独特のエキゾチック感がありスナップが楽しいです。スナップをしていて感じたのですが、AFの性能について上位機と比べると速さでは劣りますが充分な性能とスピードがあり、撮影に困るような事はなく優秀でした。

■撮影環境:絞りF5 SS1/10 WB AUTO ISO250 12mm使用

■撮影環境:F4.5 SS1/60 WB AUTO ISO1250 12mm使用

■撮影環境:絞りF5.6 SS1/13 WB AUTO ISO3200 32mm使用

■撮影環境:絞りF4.5 SS1/10 WB AUTO ISO1000 12mm使用
この数カットは市街地の夕暮れ時に撮影しました。暗くなった情景もファインダーの性能のお陰で四隅までの確認がしやすく、ストレスなくスナップ撮影を楽しむことが出来ます。よく初級機にありがちなファインダーの劣化を殆ど感じる事なく、上位機と遜色がないくらいしっかりと見える印象です。

■撮影環境:絞りF10 SS1/320 WB AUTO ISO200 13mm使用
マカオから香港島へ渡る方法に海路を選びました。なぜなら空路と陸路での入国審査経験はあるのですが、人生で初めての海路での入国審査をしてみたいと思ったからです。結果は飛行機の入国に似ていましたが経験出来て良かったです。写真はマカオと香港を往来する高速船。デッキには出られず窓から撮影しようとしましたが、窓が海水で汚れており撮影出来ませんでした。
LUMIX G VARIO 45-150mm/F4.0-5.6 ASPH./MEGA O.I.Sで香港を撮影
次の写真からしばらくはダブルズームキットのもう一本、望遠ズームLUMIX G VARIO 45-150mm/F4.0-5.6 ASPH./MEGA O.I.Sで撮影した香港を見て下さい。

■撮影環境:F9.0 SS1/125 WB AUTO ISO200 45mm使用
香港で撮影したかったモンスターマンションとトラムを撮影。このレンズの広角端45mmで撮影。望遠レンズに交換してもAFの性能は保たれておりスナップ撮影で困るようなことはない印象です。

■撮影環境:絞りF5.6 SS1/400 WB AUTO ISO500 150mm使用
こういった光景が至る所で見られるのも香港らしいといえます。日本だと炎上しかねませんが香港では日常です。こちらは望遠端150mmにて撮影しましたので圧縮効果が高く、トラムの線路のカーブも良い感じに表現出来ます。

■撮影環境:絞りF5.6 SS1/1000 WB AUTO ISO200 45mm

■撮影環境:絞りF5.6 SS1/1000 WB AUTO ISO200 61mm

■撮影環境:絞りF5.6 SS1/1000 WB AUTO ISO200 103mm

■撮影環境:絞りF5.6 SS1/1000 WB AUTO ISO250 150mm
LUMIX G VARIO 45-150mm/F4.0-5.6 ASPH./MEGA O.I.Sの焦点距離による比較4枚です。香港島から少しフェリーに乗って南Y字島で撮影しました。

■撮影環境:絞りF 6.3 SS1/640 WB AUTO . ISO3200 150mm使用
こちらは望遠端での最短撮影距離付近での撮影です。かなり被写体に寄ることが可能なのでマクロに近い撮影が楽しめます。G100D本体のノイズ耐性も高くISO3200の写真なのですが荒いといった印象はありません。

■撮影環境:絞りF5.6 SS1/400 WB AUTO ISO500 138mm使用

■撮影環境:絞りF5.6 SS1/400 WB AUTO ISO640 150mm使用
望遠側で撮影した2枚ですが構図によってイメージが変わる表現をしています。
上の写真は、ダイナミックな雰囲気と車両間隔の狭さを表す為に、すれ違うトラムを構図いっぱいに配置して撮影しています。撮影時に当初150mmで構えていたのですが、すれ違う瞬間に138mmまで戻して撮影しました。G100Dは一瞬のレスポンス性能も高くチャンスを逃さず撮影することが出来ます。
もう一枚も150mmで撮影していますが離れた位置から圧縮効果を使い、構図に多くの物を配置して俯瞰的に撮影し、より情景的な表現になるようにしています。望遠レンズの使い方の一例ですが望遠スナップも楽しいです。

■撮影環境:絞りF6.3 SS1/1600 WB AUTO ISO640 103mm使用

■撮影環境:絞りF6.3 SS1/1600 WB AUTO ISO500 45mm使用

■撮影環境:絞りF6.3 SS1/1600 WB AUTO ISO640 45mm使用
香港島から南Y字島に渡る船上から撮影した3枚です。気温が高く水蒸気の関係で少し霞んでいますが、青い空と青い海の雰囲気が好きな写真です。船上からの撮影には望遠レンズが欲しいのですが、通常の望遠レンズだと大きく重いので旅行に持ち出すのは少しためらいがちになる方も多いと思います。しかしこのレンズは幅62mm、長さ73mm、フィルター径52mm、重さ200gと本当に軽くて小さいのに、フルサイズ換算90mmから300mm相当の望遠ズームですから、ためらうことなく持ち出せると思います。
動画・夜景・ポートレートにも最適
つぎはG100Dの動画についてです。
G100Dは4K30fpでの撮影が可能なのですが、私が24fpが好みなので24fpにて撮影。トラムを中と外から撮影した2本ですがどちらも香港の日常をテーマに撮影しました。動画撮影時の手振れ補正が強力なので、トラムはかなり揺れますが手持ち撮影で撮影しています。

■撮影環境:絞りF10 SS1/125 WB AUTO ISO640 12mm使用
ここからは再度、標準ズームLUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.Sを装着して香港を撮影した写真です。古い香港の雰囲気を残すことで有名なモンスターマンションを内側から広角端12mmで撮影。ここは広角が似合います。雑然としたマンションの細部まで描写してくれるので満足のいく撮影が出来ます。

■撮影環境:絞りF5.6 SS1/320 WB AUTO ISO3200 32mm使用
トラムの線路上を渡る人を見つけ慌ててシャッターを切った一枚。AFだけでなくレスポンス良く撮影出来るのが嬉しいです。

■撮影環境:絞りF5.6 SS1/60 WB AUTO ISO3200 16mm使用
香港の海側で夜景を手持ち撮影。ISO3200でもノイズ感少なく、少し残った夕焼けと対岸のビル群の灯にレトロな船影が映えます。

■撮影環境:絞りF6 SS 1/1600 WB AUTO ISO1250 32mm使用
暖かい香港の半袖半ズボン生活から戻ると、滋賀県高島市から望む、びわ湖は冬景色でした。G100Dの発色が良いのは確かだけどLUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.Sはキットレンズと思えない位に素晴らしい性能で発色も良いレンズだと思います。

■撮影環境:絞りF4.0 SS 1/2000 WB AUTO ISO1000 45mm使用
■モデル:りなぽそ
最後に望遠ズームLUMIX G VARIO 45-150mm/F4.0-5.6 ASPH./MEGA O.I.Sを装着したポートレートの1枚です。中望遠域をカバーしているのでポートレートにも使い易いレンズがキットになっているのは便利です。
おわりに
G100Dは本当に優秀なカメラだと思います。ここまで小型軽量なカメラが、私が普段仕事で使っているフルサイズ一眼と操作性や撮影設定、装備も含め違和感なく撮影出来るという事は凄いと思います。内蔵フラッシュまで装備されており、あらゆる撮影に対応可能なカメラですが、特にスナップにおいて撮影時にまわりに与える違和感が少なく、自然に撮影出来る自由さは強い味方になってくれました。画質面でも想像以上に良い印象です。何と言ってもコストパオ―マンスに優れている点も極めて優秀なカメラだと思います。初めての一眼には間違いなくオススメします。そしてスナップ好きの方やフルサイズの重いカメラに少し疲れた方にも本当にオススメです。
今回紹介に至りませんでしたがLUMIXから発売されている交換レンズ群も素晴らしく、Leicaの良さを手軽に味わえる魅力的なレンズラインナップもあり、本気の撮影にも対応出来るカメラだと思います。何より今回撮影がいつも以上に楽しくて、それはG100Dだから味わえた感覚でした。是非、お試しください。
■写真家:葛原よしひろ
ジャンルに捉われず何でも撮影するマルチプレイヤースタイルの写真家。カメラメーカー等の写真セミナー講師としても全国的に活動している。大阪芸術大学写真学科卒/滋賀県高島市公認フォトアドバイザー/JPS(日本写真家協会)正会員