【フイルムカメラ】小さな沈胴式のコンパクトフイルムカメラ「リコー FF-1s」

はじめに
今回セレクトしたカメラは、1980年に発売されたリコーのコンパクトカメラ「リコー FF-1s」です。「リコー FF-1s」は、1978年に発売された「リコー FF-1」の後継機になります。「リコー FF-1」は、電池が無くなってしまった場合でもシャッター幕が開かないまま、シャッターが切れてしまう欠点がありました。この問題を対策して解決したものが「リコー FF-1s」になっています。
「リコー FF-1」シリーズは35mmのフイルムを使いながらボディサイズを限りなく小さくする為に、レンズを沈胴式にしてコンパクトにしたことで発売当時から人気を得たカメラでした。発売から40年以上経過した「リコー FF-1s」の魅力とその写りをご紹介します。
リコー FF-1s の魅力と特徴
「リコー FF-1s」の魅力は、なんといってもコンパクトでスッキリとしたデザインに尽きると思います。レンズを収納した状態では非常にシンプルで、持ち運びもしやすいです。またレンズを収納した状態では、シャッターが間違って切れないので安心して使用できます。


発売当時のメーカー希望小売価格はカメラ本体で36,000円
カメラ前面の蓋は、前方に開けるとレンズが繰り出されて撮影できる状態になります。レンズ部分には、ピントを目測式で合わす指標リング、絞りのコントールリングがありますが、絞りは通常「A」の部分にセットしてオートで使用する仕組みになっています。絞りをマニュアルでコントールする場合は、アクセサリーシューにフラッシュを装着した時のみ有効になります(シャッター速度は1/30秒固定)。
ですので通常の撮影は目測式のピント合わせの操作のみですが、◎マーク(常焦点マーク)が設定されており、晴天の屋外で撮影する場合は◎マークに合わせれば、気軽にスナップ撮影が楽しめるようになっています。カメラ上部にはシャッターボタン、セルフタイマースイッチと、ASA(ISO)の設定ダイヤルがあります。ASA(ISO)の設定ダイヤルは、ASA25・64・100・200・400の設定が可能ですが、このダイヤル400を超えて回していくと25に戻るので、ふいにダイヤルが動いてしまわないように注意が必要かもしれません。ちなみにロック機能はありません。
リコー FF-1sの基本スペック

取り扱い説明書に記載してある「リコー FF-1s」の基本的なスペックを抜粋してみました。
使用フイルム | 35mmフイルム |
画面サイズ | 24mmx36mm |
レンズ | リケノン 35mm F2.8 3群4枚構成 |
フォーカス | 目測式、常焦点マーク付(2.5m)、前玉回転フォーカス |
シャッター速度 | プログラム式電子シャッター 2秒~1/500秒(AE時) フラッシュ使用時は1/30秒 |
露出計 | OdSプログラムEE |
フイルム感度 | 手動 ASA25・64・100・200・400 |
ファインダー | アルバダ式フレームファインダー(倍率0.46倍) |
電池 | SRまたはLR44 2個使用 |
大きさ | 幅 107mm X 高さ 64.6mm X 奥行き 36mm(レンズ沈胴時) |
質量 | 225g |
発売当時の価格 | 36,000円 |
発売年 | 1980年9月 |

カメラ上部に、ASA(ISO)感度設定とセルフタイマー

リコー FF-1sで旅行スナップ撮影
「リコー FF-1s」は出っ張りの無い小さなコンパクトフイルムカメラなので、ちょっとした旅行のお供に「写ルンです」感覚で使えるぴったりのフイルムカメラです。
今回はドライブ旅行のお供に「リコー FF-1s」を持ち出し、楽しんで撮影をしてみました。沈胴式のレンズは未使用時には収納することができるので非常に安心感が強く、カメラ本体をそのまま上着のポケットに入れて持ち運んでいました。撮影したい時はすぐにポケットから取り出して、簡単に目測式でピント合わせをして、手ブレに注意して撮影です。ちなみに「リコー FF-1s」には「手ブレ警告ランプ」があり、シャッター速度が1/60秒以下になるとファインダー内に手ブレ警告のランプが点灯します。警告ランプが点灯したときにはブレに注意してシャッターを切ります。カメラ自体がとても軽量なので低速シャッターのブレには要注意のカメラです。
カメラボディはプラスチックパーツで構成されているものが多い為、見た目は少しチープですが筆者の持っている「リコー FF-1s」は、赤レザー仕様で少しおしゃれ感が増している様な気がします。一緒に撮影していた学生の女の子達も、「リコー FF-1s」を見て可愛い~と言っていました。若い子から見れば、沈胴式のフイルムカメラはとても新鮮に目に映るようです。

ISO400(FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400)※フジカラーCDデータ

ISO400(FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400)※フジカラーCDデータ

ISO400(FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400)※フジカラーCDデータ

ISO400(FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400)※フジカラーCDデータ

ISO400(FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400)※フジカラーCDデータ

ISO400(FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400)※フジカラーCDデータ

ISO400(FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400)※フジカラーCDデータ

ISO400(FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400)※フジカラーCDデータ

ISO400(FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400)※フジカラーCDデータ

ISO400(FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400)※フジカラーCDデータ

ISO400(FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400)※フジカラーCDデータ

ISO400(FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400)※フジカラーCDデータ
写り自体は至って平凡で、特に目立った特徴を感じ取ることはできませんが、40年以上経過したコンパクトカメラでありながら安定した写りを今も写し出してくれるのは、良いカメラの証拠ではないでしょうか。気負わず気楽にフイルム撮影を楽しめるおしゃれなデザインのコンパクトカメラ「リコー FF-1s」は、40年の年を経てもなお魅力的なカメラの1台です。
まとめ
「リコー FF-1s」は、中古市場でも比較的安く購入することができるコンパクトフイルムカメラです。使い勝手は「写ルンです」に近いカメラですが、他の人とは違ったフイルムカメラを使ってみたいライトユーザーにおススメできます。出っ張りの無い沈胴式の「リコー FF-1s」は普段のカバンに入れておいても、持ち運びに邪魔にならないおしゃれなアイテムではないでしょうか。

■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・日本風景写真家協会 会員
・NPO法人 フォトカルチャー倶楽部 参事
・一般社団法人 日本フォトコンテスト協会 理事
・一般社団法人 日本写真講師協会 理事
・ソニーαアカデミー講師
・クラブツーリズム写真撮影の旅・ツアー講師