孤高のフルサイズ一眼レフ機・PENTAX K-1 Mark II を楽しむ

三井公一
孤高のフルサイズ一眼レフ機・PENTAX K-1 Mark II を楽しむ

はじめに

レンズ交換式デジタルカメラは、すっかりミラーレスカメラが主流になってきました。クイックリターンミラーとペンタプリズム(一部ペンタミラーも)がなく、軽量かつコンパクトなそのスタイルは多くのフォトグラファーに受け入れられています。

しかしその一方で、「一眼レフ」を熱心かつ根強く支持しているコアな写真愛好家がいるのも事実です。ミラーを介したクリアで自然なファインダー像と、「撮った!」と実感できるシャッターフィールに胸をときめかせる人々も存在します。

特に「PENTAX STATEMENT」を表明したリコーイメージングの「ペンタックス」一眼レフは、熱狂的な信奉者に支えられています。今回はそのペンタックス機種の中でも、フルサイズ一眼レフ機「K-1 Mark II」を取り上げます。

ペンタックス魂が宿ったフルサイズデジタル一眼レフ「K-1 Mark II」

「K-1 Mark II」は「Mark II」というネーミングの通り「K-1」2世代目の機種となります。「K-1」は2016年に登場したペンタックス初のフルサイズデジタル一眼レフ機で、有効3640万画素の35mmフルサイズセンサーと新開発画像処理エンジン「PRIME IV」、ボディ内手ぶれ補正機能「SR Ⅱ」、リアル・レゾリューション・システム、ローパスセレクター、アストロトレーサー、フレキシブルチルト式液晶モニターなど、画質と使い勝手を最優先した設計思想で、ペンタックスファンに大歓迎された名機なのはご存じでしょう。

2018年に登場した「K-1 Mark II」はその「K-1」をさらに進化させたモデルとなります。自社開発のアクセラレーターユニットを加えて、階調表現と高感度特性など画質をグンとアップさせた機種なのです。機能向上したリアル・レゾリューション・システムIIは手持ちでリアル・レゾリューション・システムが撮影可能となり、オートフォーカスはAF-C時の動体予測性能を向上させています。

ペンタックスが素晴らしいのは、「K-1」ユーザーに対して有償・期間限定とはなりますが、「K-1 Mark II」相当にアップグレードするサービスを用意したところでしょう。カメラ愛用者を大切にする企業姿勢がニクいですね。これはまさにペンタックス魂でしょう。もちろん歴史と伝統を誇るKマウントレンズを装着できるのも言うまでもありません。今までも、きっとこれからも安心して使っていけるフルサイズデジタル一眼レフ機なのではないでしょうか。

ファームウェアのアップデートで進化し続ける「K-1 Mark II」

前回ご紹介した「K-3 Mark III」とカスタムイメージ Special Edition「夏天(KATEN)」ですが、日本の「夏」を表現するのにピッタリなカスタムイメージでしたね。この「K-1 Mark II」にも「K-3 Mark III」同様にファームウェアのアップデートによって本機能が使用できるようになっています。ペンタックスの写真を楽しんで欲しい!という気持ちが伝わってくるアップデートですね。このカスタムイメージ Special Edition「夏天(KATEN)」を使うには指定のレンズが必要です。「HD DFA21mmF2.4」、「HD DA15mmF4」を用意して撮影に臨みましょう。

■使用機材:PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
■撮影環境:ISO200 SS1/1000 F9

今後、秋から春を通じて新たに追加されるカスタムイメージ Special Editionがどのような写りなのか楽しみになってきます。概要は下に記したとおりですが、ペンタックスからのアナウンスを楽しみに待ちたいものです。

秋:対象カメラ・パートナーレンズ
PENTAX K-1 /K-1 Mark II PENTAX K-3 Mark III
HD PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited
HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limited
HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited
HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited

冬:対象カメラ・パートナーレンズ
PENTAX K-1 /K-1 Mark II PENTAX K-3 Mark III
HD PENTAX-FA 31mmF1.8 Limited
HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited

春:対象カメラ・パートナーレンズ
PENTAX K-1 /K-1 Mark II PENTAX K-3 Mark III
HD PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited
HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR

「K-1 Mark II」の写りを「夏天(KATEN)」、Limitedレンズ、オールドレンズで堪能!

■使用機材:PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
■撮影環境:ISO200 SS1/800 F8

「K-1 Mark II」に「HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR」を装着して「夏天(KATEN)」で銀座を撮りました。抜けるような夏らしい青空がイイ感じですね!さすが「夏天(KATEN)」です。有効3640万画素の35mmフルサイズセンサーと新開発画像処理エンジン「PRIME IV」は建物のディテールを精細に捉えています。

■使用機材:PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
■撮影環境:ISO200 SS1/320 F7.1

現在建築中の建物を撮りましたが、実にシャープかつコントラスト豊かにキャプチャーできました。メタリックな感じがとてもリアル感ありますね。

■使用機材:PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
■撮影環境:ISO200 SS1/160 F6.3

「K-1 Mark II」の光学ファインダーは明るくて広く、被写体をクリアに見ることが可能です。行き交う人々の動きを観察しながら、ここぞというタイミングでシャッターを切りました。シャッターのフィーリングも最高で「写真を撮っている!」という感触がとても心地よく感じます。撮影が楽しくなってくるカメラだと言えます。

■使用機材:PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
■撮影環境:ISO200 SS1/80 F2.4

今度は神社をブラブラと撮影です。「HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR」の絞り開放F2.4でのカットですが、ピント面はカリッとシャープですがその周囲はやさしくシルキーにボケてくれました。「K-1 Mark II」のオートフォーカスは正確かつ高速で頼りになりますね。

■使用機材:PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
■撮影環境:ISO200 SS1/40 F2.4

チョイ絞りでご神木を狙いましたが、幹の表面に生えた苔の様子をしっかりと描写しています。スゴいですね。もしよりシャープに撮りたい場合はリアル・レゾリューション・システムIIの手ぶれ補正モードで撮るといいでしょう。

■使用機材:PENTAX K-1 Mark II + SMC PENTAX-A 50mm F1.2
■撮影環境:ISO200 SS1/200 F2

レンズを昔懐かしい「SMC PENTAX-A 50mm F1.2」に付け替えて参道を狙いました。「K-1 Mark II」のファインダーはマニュアルフォーカスでも実に見やすく安心して撮影に集中できますね。色再現性もよく、しっとりとしたグリーンを表現することができました。

■使用機材:PENTAX K-1 Mark II + SMC PENTAX-A 50mm F1.2
■撮影環境:ISO200 SS1/60 F1.8

「K-1 Mark II」は「SMC PENTAX-A 50mm F1.2」のようなオールドレンズを使っての撮影も楽しいですね。過去に発売されたペンタックス製レンズ独特のボケ感や発色を味わえます。ボディ内手ぶれ補正機能「SR Ⅱ」もあるので撮影も楽チンです。ボディ本体もホールドしやすい形状なので、マニュアルフォーカスでピントリングを繰り出すときでも安定感があります。

■使用機材:PENTAX K-1 Mark II + smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited
■撮影環境:ISO200 SS1/160 F1.8

ボケが美しいと定評がある「smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited」にレンズ交換しました。スムーズな背景ボケ感が気に入っていますが、このような特徴ある「Limited」レンズ群を使えるのがいいですね。「K-1 Mark II」は最新のレンズからオールドレンズ、そして「Limited」レンズとさまざまな「眼」を堪能することができるデジタル一眼レフ機ですね。

■使用機材:PENTAX K-1 Mark II + smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited
■撮影環境:ISO200 SS1/500 F1.8

こちらのカットも「smc PENTAX-FA 31mmF1.8AL Limited」です。「K-1 Mark II」は好みのカスタムイメージを操って、自分なりの写真表現をフルサイズというフォーマットで表現できます。防塵防滴構造なので、小雨がパラつく紫陽花撮影でも安心感がバツグンでした。

■使用機材:PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
■撮影環境:ISO6400 SS1/50 F16

「K-1 Mark II」は自社開発のアクセラレーターユニットを搭載して描写性能が向上しました。特に高感度はもの凄く、最高ISO 819200という高感度も使えます。なので暗い場所でも撮影可能です。このような薄暗い場所でも絞って被写界深度を稼いでピントを深くすることができるのです。ISO 6400でF16に絞り込み、パンフォーカス気味で撮影することができました。

■使用機材:PENTAX K-1 Mark II + HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR
■撮影環境:ISO200 SS1/640 F8

「K-1 Mark II」のフルサイズ機ならではのゆとりとのびやかな写りは、スナップ、風景、ポートレート、ネイチャー、ドキュメンタリーとあらゆるジャンルの撮影で威力を発揮することでしょう。高画素と精細感、そして美しい発色はペンタックスらしさを存分に味わうことができますよ。

ペンタックス「K-1 Mark II」の主要諸元

■型式:TTL AE・AF一眼レフデジタルカメラ
■レンズマウント:ペンタックスバヨネット KAF2マウント(AFカプラー・情報接点・電源接点付き)
■使用レンズ:KAF4、KAF3、KAF2(パワーズーム対応)、KAF、KAマウントレンズ
■撮像素子:原色フィルター / CMOS、サイズ:35.9mm×24.0mm
■有効画素数:約3640万画素
■総画素数:約3677万画素
■ダストリムーバル:超音波振動による撮像素子クリーニング機能「DR II」
■感度(標準出力感度):ISO AUTO / 100~819200 (1EVステップ、1/2EVステップまたは1/3EVステップ)
■手ぶれ補正:撮像素子シフト方式 (SR:Shake Reduction)(5軸補正)
■ローパスセレクター:SRユニットを用いたモアレ低減機能、OFF / Type1 / Type2 / ■ブラケット撮影(2枚)/ ブラケット撮影(3枚)
■ファインダー方式:ペンタプリズムファインダー
■視野率:約100%
■倍率:約0.70×(50mmF1.4・∞)
■アイレリーフ長:約20.6mm(見口枠より)、約21.7mm(レンズ中心より)
■視度調節機能 約-3.5~+1.2m-1
■フォーカシングスクリーン:ナチュラルブライトマットIII、非交換式
■ファインダー表示:測距点、グリッド表示、電子水準器、AFフレーム、スポット測光フレーム、クロップ
■シャッタースピード:オート:1/8000秒~30秒、マニュアル:1/8000秒~30秒(1/3EVステップまたは1/2EVステップ)、バルブ(タイマー露光設定可能:10秒~20分)
■記録媒体:SD、SDHC、SDXCメモリーカード(SDHC、SDXCメモリーカードはUHS-I規格に対応)
■デュアルスロット:順次、複製、RAW/JPEG分離、画像コピー
■GPS / 電子コンパス:対応衛星 GPS、QZSS、SBAS(WAAS/EGNOS/GAGAN/MSAS)
■外形寸法:約136.5mm(幅)×110mm(高)×85.5mm(厚) (突起部を除く)
■質量:約1010g (バッテリー、SDカードを含む)約925g (本体のみ)

ペンタックス「K-1 Mark II」のまとめ

ミラーレス全盛の今、あえてデジタル一眼レフ機を使う意味はあるのか?と思う方も多いでしょう。しかし、この「K-1 Mark II」のシャッターを切れば撮影する楽しさ、充足感を味わうことができます。見えのいい光学ファインダー、感触の素晴らしいシャッターフィール等々、「撮る」という行為をダイレクトに味わうことができるのです。

そして何よりも写りの良さに驚くはずです。仕上がりが美しく定評あるカスタムイメージですが、今後ファームウェアのアップデートによって進化することが約束されています。ボディの造りもしっかりとしていて、優秀な数々の「Limited」レンズ群とで、孤高のデジタル一眼レフライフを楽しんでみるのも一興ではないでしょうか。

 

■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナーなどで活躍中。有限会社サスラウ 代表。

関連記事

人気記事