ペンタックス K-3 Mark III レビュー|スナップ撮影を楽しむ
はじめに
ペンタックスファンが待ちに待った「K-3 Mark III」が登場しました。この一眼レフカメラは、新開発の約2573万画素裏面照射型APS-Cセンサーを搭載し、画像処理エンジン PRIME VとアクセラレーターユニットⅡとの働きにより、高い描写力と高感度性能、快適な動作を実現しています。
何よりも一眼レフカメラの命とも言える光学ファインダーの出来映えが秀逸です。フルサイズ機よりも1.05倍と倍率も高く、明るさも前型機より約10パーセントも向上。画面中央部からすみずみまでクリアで気持ちのよい見えを実現していて、被写体をしっかりと見据えてシャッターを切ることが可能になっているのです。使っていて気持ちよく、「写真を撮ろう」という気にさせてくれる本カメラの魅力に触れていきましょう。
自分なりの設定を見つけよう
「K-3 Mark III」は動作のレスポンスが非常に快適で、街を歩いてのスナップショットにとても向いているカメラだと感じています。ペンタックスのカメラは素晴らしい発色を誇る「カスタムイメージ」に定評がありますが、自分好みの設定をしてスナップするのがとても楽しく感じます。今回は全て「オートセレクト」にしてカメラ任せで撮影しました。もちろん「RAW」と「JPEG」の同時記録にしていますので、ペンタックスが配布している「Digital Camera Utility 5」でジックリとあとから調整することが可能です。
また露出モードも「ハイパープログラム」にして、必要に応じて前後の電子ダイヤルを回し、「Av(絞り優先)」や「Tv(シャッター優先)」と瞬時に切り替えて撮影しました。ISO感度はオートに設定しています。見やすい光学ファインダー、気持ちのいいシャッターフィール、そして持ち歩きやすいサイズ感とで、とても快適にスナップ撮影を楽しむことができました。
「K-3 Mark III」によるスナップ撮影作例
街をブラブラと歩いていると、さまざまなものを見つけることができます。海沿いの街を訪れたときに発見したのがコレ。土管のようなものが一列に並んでいました。このように「同じようなもの」が「並んで」いるようなシーンは絵になるものです。被写体に真っ直ぐと向き合って、その並び方が出るように「K-3 Mark III」のシャッターを切りました。
「形」や「数」、「並び」などと同様に「色」にも注目したいものです。このカットはトタンの家の前に、同じ色に塗られた荷車が立てかけてあったものを撮りました。ひさしの影もちょうどいい感じに落ちていて、余計なものをフレームから排除して撮影しました。「K-3 Mark III」の見やすく明るい光学ファインダーなら、しっかりと構図を作ることが可能なので安心です。
川沿いを歩いていると男性が声を上げているシーンに遭遇しました。見事なサイズの鯛を釣り上げたようです。大物ですね。「K-3 Mark III」を向けると、居合わせた3人が思い思いの動きをしているのが面白く、連続でシャッターを切りました。「K-3 Mark III」は起動もオートフォーカスも速く、連写スピードも高速なのでこのようなシチュエーションでも多くのカットを撮ることができます。決定的瞬間を逃したくないのであれば、日頃からスナップ時には連写モードにしておくといいでしょう。1枚で止めたい場合はシャッターボタンから指を離せば済みます。
「光」と「影」には常に注意を払っていたいものです。これは都内の街中をブラブラと歩いていて出会ったシーン。この時「K-3 Mark III」に装着していたのは「HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited」。そのままシャッターを切ると白い壁の影響で露出アンダーになりがちです。「スマートファンクション」で「スマートファンクションダイヤル」に露出補正を割り当てておいたので、素早くプラス1段補正して撮影しました。イメージどおりに光と影が織りなすシーンをキャプチャーできたと思います。とっさのシャッターチャンスにいい光景を撮り逃すことのないように、「スマートファンクション」には自分好みの設定を割り当てておきましょう。
東京・原宿でのワンシーン。フロントフォークを延ばしたチョッパーとカラフルな服の男性が目に留まり、「K-3 Mark III」を向けました。この時、横目で後方からカップルが歩いてくるのを見ていたので、その二人が入るようにフレーミングし、歩調に合わせて数カット撮影しました。小気味よく狙ったとおりにシャッターを切ることができる「K-3 Mark III」は、このようなスナップショットにとても向いていると思います。
多摩川土手をブラブラと歩行中に、小さなクルマの修理工場を見つけました。そこに停まっていたクルマの修理痕と建物の対比に惹かれて「K-3 Mark III」のシャッターを切りました。このようにあてもなく歩いているような場合は、オートフォーカスエリア設定を「オートエリア」にしておけば、散歩中に出会った被写体にもピント合わせしてくれるでしょう。
カメラ任せでなく、じっくりと細かいエリアにピント合わせをするような場合は、「セレクト(S)」や「スポット」にしてしっかりとフォーカスしましょう。「K-3 Mark III」の「測距点レバー」はとても操作しやすいので、狙ったところに確実にフォーカスできるはずです。
下校中でしょうか。ランドセルを背負った児童とすれ違いました。壁を蹴りながら二人で話しながら歩いています。その後ろ姿を狙いましたが、普通に立ったまま撮ると見下ろす感じになってしまうので、パッとしゃがんで子どもの目線で「K-3 Mark III」のシャッターを切りました。
この時、右側にあった壁をフレーム内の大部分を占めるようにフレーミングして、二人に目が行くようにしてみました。「K-3 Mark III」は光学ファインダーが見やすいので、思い通りに撮影できるのがいいですね。オートフォーカスも正確でしっかりとピントが来ています。
スナップ撮影の基本は「歩く」ことでしょう。現在はコロナ禍で遠出ができませんが、自宅近くの散歩でもカメラを持って行くと面白いシーンを見つけることができると思います。このカットは自宅近くの二子玉川・兵庫島公園で撮影したものです。曇り空でしたが夕暮れ時に川面近くでカップルが熱い抱擁を交わしています。対岸には水辺で遊ぶ3人の姿が見えました。その様子をバランスよく配置して「K-3 Mark III」で撮りました。
小型軽量でちょうどいいサイズ感の「K-3 Mark III」は持ち疲れしませんし、バッテリーもよく保つので長時間のブラブラ撮影でも安心です。いろいろなところを歩いていいシーンを発見できるカメラだと言えるでしょう。
ブラブラと撮影しているとよくネコに出会います。絵になると思ってカメラを向けるとなぜかこちらに近寄ってきてしまうことが多く、思い通りに撮れないこともしばしばです(笑)
そんな時この「K-3 Mark III」は心強いです。歩いてくるネコでもしっかりとフォーカスし続けてピントを外しません。もちろん前に書いたようにオートフォーカスエリアを設定しておく必要がありますが、俊敏なネコでも問題ないでしょう。故に、人物スナップなど朝飯前ですね。
まとめ
ペンタックス「K-3 Mark III」は、ミラーレス全盛時代に登場した一眼レフカメラですが、このカメラを手にして使ってみると、改めて光学ファインダーの素晴らしさを実感できます。明るく大きい素通しのペンタプリズムは見た目そのままの光景を写しだし、EVFのように遅延もなく撮りたい瞬間を確実にキャプチャーできます。本当に撮影していて「楽しい!」と思えるカメラになっています。キビキビとした動作と、ちょうどいいサイズ感がスナップショットに最適だと思います。キタムラ店頭で実際に手に取ってその魅力を感じて下さい!
■写真家:三井公一
新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。雑誌、広告、Web、ストックフォト、ムービー、執筆、セミナーなどで活躍中。有限会社サスラウ 代表。
「K-3 Mark III」はこちらの記事でも紹介されています
■ペンタックス K-3 Mark IIIレビュー|待望のAPS-C一眼レフ フラッグシップ機が遂に登場!
https://www.kitamura.jp/shasha/ricoh/k-3-mark-iii-5-20210401/
■ペンタックス K-3 Mark III レビュー|オールドレンズとカスタムイメージでフィルムライクな写真を味わう
https://www.kitamura.jp/shasha/ricoh/k-3-mark-iii-4-20210424/