PENTAX K-3 Mark III Monochrome レビュー|モノクロ力がアップするシステム

佐々木啓太
PENTAX  K-3 Mark III Monochrome レビュー|モノクロ力がアップするシステム

はじめに

今回紹介するPENTAX K-3 Mark III Monochromeはモノクローム専用センサーを使ったモノクロしか撮れないデジタルカメラです。RAW現像もモノクロだけです。その結果、このカメラでしかだせないトーンがあると感じています。そのトーンの特徴はちょっとヌルッとするような粘りがあるもので、モノクロフィルムのトーンに近くなっています。その特徴的なトーンはレンズの個性でも変化するので、今回はレンズの紹介も合わせて行います。



ペンタ部の「PENTAX」、背面の「グリーンボタン」はマットグレーで、背面モニターの左上には「Monochrome」の文字が入ります。この機材写真はカラーです。そんな注意書きが必要なほどモノトーンな雰囲気が高いカメラになっています。

カスタムイメージは3種類

このカメラにはWBという機能はなく、カスタムイメージも「スタンダード」「ハード」「ソフト」の3種類でとてもシンプルです。

■使用機材:PENTAX K-3 Mark III Monochrome + HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limited
■撮影環境:絞りF10 シャッタースピード1/2000 ISO400
プログラムオート 露出補正-1.0 カスタムイメージ:スタンダード

カスタムイメージ:スタンダードは同じ条件でも光を捉える角度や露出補正で印象が少し変わるので、それをコントロールできるようになるとモノクロ力がアップします。

■使用機材:PENTAX K-3 Mark III Monochrome + HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR
■撮影環境:絞りF5.6 シャッタースピード1/200 ISO200
プログラムオート 露出補正+0.7 カスタムイメージ:ソフト 焦点距離20mm

カスタムイメージ:ソフトは気軽に使える印象があります。この日は雨ですが、天候に関わらず少しオーバー気味の露出補正で撮影すると優しい雰囲気になります。

■使用機材:PENTAX K-3 Mark III Monochrome + HD PENTAX-DA 15mmF4ED AL Limited
■撮影環境:絞りF4.0 シャッタースピード1/30 ISO640
絞り優先オート 露出補正-0.3 カスタムイメージ:ハード

かっこよさを求めるならカスタムイメージ:ハードです。光が弱い条件でも黒の締まりなど強さをだしやすい特徴があります。

マスターレンズ

タイトルでシステムと書いているのはレンズとの組み合わせが大事だからです。私がマスターレンズと呼びたくなるのは「HD PENTAX-D FA☆50mmF1.4 SDM AW」と「HD PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited」です。

■使用機材:PENTAX K-3 Mark III Monochrome + HD PENTAX-D FA☆50mmF1.4 SDM AW
■撮影環境:絞りF6.3 シャッタースピード1/8000 ISO200
絞り優先モード 露出補正-1.3 カスタムイメージ:スタンダード
■使用機材:PENTAX K-3 Mark III Monochrome + smc PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited
■撮影環境:絞りF5.0 シャッタースピード1/640 ISO200
プログラムオート 露出補正-2 カスタムイメージ:スタンダード

この2本に共通しているのは繊細さです。スターシリーズのDFA☆50mmの繊細さは別格で、トーンのつながりもよく、輝度差の大きな条件でもトーンジャンプをおこしません。FA77mm Limitedもその繊細さに驚きますが、優しさを感じる味わいがトーンにさらなる深みを与えてくれます。

オススメは HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limited

このレンズをオススメする理由は扱いやすさです。レンズはパンケーキタイプの小型で、フードもレンズの外側にはみださないない切り込み式です。開放絞りはそれほど明るくないですが、どの絞り値を使ってもバランスが良い描写をしてくれます。

■使用機材:PENTAX K-3 Mark III Monochrome + HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limited
■撮影環境:絞りF5.6 シャッタースピード1/5000 ISO200
プログラムオート 露出補正-1 カスタムイメージ:スタンダード

沈みかけた太陽の印象を強くするためにあえてアンダー気味に撮影しています。飛行機と木、暗くなっていく空の黒の違いは、 K-3 Mark III Monochromeの持っている再現力の高さとこのレンズの優しい味わいの相乗効果です。

■使用機材:PENTAX K-3 Mark III Monochrome + HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limited
■撮影環境:絞りF5.6 シャッタースピード1/250 ISO400
プログラムオート 露出補正+1.0 カスタムイメージ:ソフト デジタルフィルター:粒状感モノクローム

ソフトを使うときにデジタルフィルター:粒状感モノクロームを加えると質感が上がります。屋根の内側と外側では明るさの条件がかなり違いますが、その辺りも優しくまとめてくれます(設定はともにデフォルト)。

■使用機材:PENTAX K-3 Mark III Monochrome + HD PENTAX-DA 21mmF3.2AL Limited
■撮影環境:絞りF3.5 シャッタースピード1/125 ISO400
プログラムオート 露出補正+0.7 カスタムイメージ:ハード デジタルフィルター:ハイコントラスト

程よい広がりを持っているレンズなので、街中で気になるところをまとめやすくなっています。このときは少し低いアングルから広く見えるようにまとめました。かっこよさをあげるために、ハードの強さをさらに強調するデジタルフィルター:ハイコントラストを使っています。

ハードの設定(キー -3 コントラスト 3)/ デジタルフィルター:ハイコントラスト 4

旅する気分で使える HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited

このレンズもコンパクトなパンケーキタイプで、フードの一部は収納式になっています。開放絞りはF2.4とDA Limitedシリーズでもっとも大口径になります。 中望遠レンズで旅する気分というのは自分の狙っているところだけをまとめやすいからです。

■使用機材:PENTAX K-3 Mark III Monochrome + HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited
■撮影環境:絞りF2.4 シャッタースピード1/5000 ISO200
絞り優先オート 露出補正-0.7 カスタムイメージ:スタンダード

背景のボケ味は大口径レンズらしい柔らかさがあって、トーンの再現力も滑らかでスタンダードとの相性は抜群です。

■使用機材:PENTAX K-3 Mark III Monochrome + HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited
■撮影環境:絞りF2.4 シャッタースピード1/3200 ISO400
絞り優先オート 露出補正-1.0 カスタムイメージ:スタンダード

自分が気になったものだけを切りとるときに、気になったものに近づきすぎなければ背景の雰囲気も入れることができます。

■使用機材:PENTAX K-3 Mark III Monochrome + HD PENTAX-DA 70mmF2.4 Limited
■撮影環境:絞りF2.4 シャッタースピード1/5000 ISO400
絞り優先オート 露出補正-1.3 カスタムイメージ:スタンダード

旅先ではついつい興奮していろいろなものを入れたくなります。モノクロはシンプルな光の印象だけになります。このレンズの画角は背景がそれほど広く入らないので、程よくまとめやすく、一番気なったものを選択するのにあっています。

まとめ

モノクロは色がなくシンプルなモノトーンの世界です。その中で自分の感じた光を再現するので、慣れてくれば狙いが絞りやすくなります。とはいえ多くの人は目の前の風景をカラーで見ているので、色の強さに引かれるはずです。それを抑えるためにもモノクロしか撮れないデジタルカメラは良いと思います。その先にあるのは光と影の世界です。



佐々木啓太 作品展「モノ☆クロ 2」

【会期】2023年10/2(月)~10/31(火)※水・日・祝休み
【会場】PENTAXクラブハウス
【住所】東京都新宿区四谷本塩町4−8 パーシモンビル1F

地図はこちら
【アクセス】JR四ツ谷駅(四ツ谷口方面)、東京メトロ(丸の内線・南北線)四ツ谷駅から徒歩3分
【電話】0570-006371
【入場料】無料

PENTAX K-3 Mark III Monochromeで撮影した写真をオリジナルプリントに仕上げて展示します。オリジナルプリント販売もあります。
以前に開催したモノ☆クロの第2弾です。今回はカッコ良さをメインにした作品が多くなっています。
プリントの仕上げはもちろん用紙にもこだわっていますので、是非とも会場に足をお運びください。会期の前半と後半でプリントを入れ替える予定です。

 

 

■写真家:佐々木啓太
1969年兵庫県生まれ。写真専門学校を卒業後、貸スタジオ勤務、写真家のアシスタント生活を経て独立。街角・森角(モリカド)・故郷(ふるさと)というテーマを元に作品制作を続けながら、「写真はモノクロ・オリジナルはプリント」というフィルム時代からの持論を貫いている。八乃塾とweb八乃塾を主宰しフォトウォークなども行い写真の学びを広めている。

 

 

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