待望のRF-Sマウント超広角単焦点レンズ「サムヤン AF 12mm F2.0 RF-S」
はじめに
今回紹介するレンズは、サムヤンから新しく登場したAPS-Cフォーマット用RFマウントレンズ「SAMYANG AF 12mm F2.0 RF-S」です。本製品はキヤノン株式会社とのライセンス契約のもとで開発・製造・販売されるレンズで、キヤノンのRF-S純正レンズには無いラインナップの超広角単焦点が大きな魅力で、キヤノンAPS-C機ユーザーには非常に気になるレンズだと思います。「SAMYANG AF 12mm F2.0 RF-S」レンズの特徴と魅力、そしてその写りの実力をご紹介します。
基本スペックと魅力
サムヤンから登場するRF-Sマウントのレンズの第1弾は、純正レンズのラインナップには無い超広角単焦点レンズ「SAMYANG AF 12mm F2.0 RF-S」です。キヤノンのAPS-Cサイズのフルサイズ換算は1.6倍になるので、フルサイズ換算で焦点距離19.2mm相当の超広角レンズになります。
すでにサードパーティー製のRF-Sマウントでは、シグマやタムロンといったメーカーも対応レンズを発売していますが、この画角に近いレンズはともにズームレンズでの対応になっており、単焦点で超広角レンズは、このサムヤンの「SAMYANG AF 12mm F2.0 RF-S」だけになります。APS-C対応のレンズだけに、非常にコンパクト・軽量なレンズ筺体は魅力のポイントになります。
焦点距離 | 12mm(35mm換算 19.2mm相当) |
レンズ構成 | 10群12枚 |
開放絞り | F2 |
最小絞り | F22 |
フィルター径 | 62mm |
絞り羽根枚数 | 7枚 |
最近接距離 | 0.19m |
最大撮影倍率 | 0.09倍 |
手ブレ補正 | 無 |
全長×最大径 | 70×59.mm |
重量 | 約213g |
発売 | 2024年12月 |
レンズは非常にコンパクトな軽量設計で、APS-C機の「EOS R7」とのバランスも悪くないです。レンズフードは花形のフードが標準で付属しているのですが、このフードに関しては正直残念な点があります。いろいろなレンズをこれまでに使ってきて、フードを逆付けして収納できないタイプのものは最近出会った事がないのですが、このレンズはまさに逆付け収納ができないタイプのフードを採用しています。それほど大きなフードでは無いのですが、少しでもコンパクトにカメラバックに収納したい際には少々不便さを感じます。
描写性能の点では、中央部は絞り開放から非常にシャープな描写をします。周辺に向かうにつれて少しだけ甘くなる傾向がある感じですが、2段ほど絞ればその傾向も改善されます。
全体的に良くできているレンズですが、下の写真の上段の、輝度差が高い窓の部分のようなシーンでは、絞りを絞っても色収差が発生する場合があったのが少し気になる点です。
使い勝手という点においては、「SAMYANG AF 12mm F2.0 RF-S」は各部に施されたウェザーシーリングでホコリや水滴など対策もできるので、安心して様々なフィールドで使う事のできるレンズといえます。
SAMYANG AF 12mm F2.0 RF-S で風景撮影
「SAMYANG AF 12mm F2.0 RF-S」を公園や海などに持ち出して撮影をしてみました。フルサイズ換算で19.2mm相当の画角で軽量コンパクトなレンズはシンプルに使いやすいレンズで、一日持ち歩いても苦にならない重さは大きな魅力のポイントです。
特に下から見上げるような構図やローアングルからの撮影は、超広角レンズならでは独特な表現をできるので、上の写真のようなアングルでの撮影にはピッタリのレンズです。
下の逆光で撮影している写真ですが、絞り羽根の枚数が7枚のレンズなので光芒線が14本伸びているのがわかります。
フルサイズ換算で19.2mm相当の焦点距離は自然風景や屋内の撮影でも使い勝手は良く、小型軽量の筺体は旅行に携帯すると便利なレンズになりそうです。
SAMYANG AF 12mm F2.0 RF-S で都内スナップ撮影
次に都内を散策しながら建築物などを撮影してみました。歪み具合などを確認したかったのでビル群などの撮影をしてみましたが、非常にキレイな直線を描き、歪みの不安を感じさせませんでした。またボディとのバランスも良く、ボディの手ブレ補正効果もありますが、低速シャッターでもブレることなく撮影することができ、絞って光芒線などを出したいときも安定した撮影が可能でした。また夕暮れから夜にかけては、開放F値F2という明るさを活かして気軽に夜のスナップ撮影もこなすことのできるレンズです。
SAMYANG AF 12mm F2.0 RF-S でイルミネーション撮影
「SAMYANG AF 12mm F2.0 RF-S」を持ってイルミネーションスポットで撮影してみました。開放F値2.0の明るさを最大限に活かし手持ちで撮影できるので、人の多いイルミネーションスポットなどではとても手軽に効率よく撮影することができます。
最短撮影距離は約0.2mなので、被写体にグッと寄ることもできるレンズです。最短撮影距離近くでメイン被写体を撮影すれば、超広角レンズでも背景を大きくボカして撮影する事も可能です。また「SAMYANG AF 12mm F2.0 RF-S」はこのような撮影で少しバブルボケが発生するので、この特性を活かした撮影をすると面白いかもしれません。
まとめ
今回初めて「SAMYANG AF 12mm F2.0 RF-S」レンズを使用して撮影をしてみましたが、待望のRF-Sマウント超広角単焦点レンズは小型軽量で気軽に超広角の世界を楽しめるレンズでした。純正RF-Sレンズには無いラインナップなので、単焦点レンズが好みのキヤノンAPS-C機ユーザーにとって気になるレンズになるのではないでしょうか。
■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師