ミラーレスカメラを使った家族写真の撮り方:ソニー α7C II編
はじめに
こんにちは!フォトグラファーの鈴木啓太|urbanです。長年オールドレンズやフィルムを中心にポートレート、スナップ、家族写真を撮影しております。今回は二回に渡って紹介する、ソニーのミラーレスカメラを使った家族写真の撮り方です。
第一回目は、これ1台あれば他のカメラは不要!と間違いなく言える「α7C II」を使った撮影方法を紹介していきます。レンズはFE 24-50mm F2.8 GとFE 35mm F1.8の2本を使っています。元気に走り回るお子さんの撮影にも対応できるカメラの設定などにも踏み込んで解説していきます。
※今回の作例は全てクリエイティブルックをSHに設定したjpeg撮って出しとなります。
子ども写真に便利なレンズたち
我々パパママ世代には、子どもの可愛い瞬間や、物事に集中している瞬間といった成長の一瞬一瞬をしっかりと記録したいと考えている方が多いのではないでしょうか。勿論スマホでの撮影も良いのですが、二度と訪れない毎日だからこそ、良いカメラとレンズでしっかりと記録したいものです。
特に室内ではより広く写る、広角と呼ばれる領域のレンズがおすすめ。今回使用したのはズームレンズの「FE 24-50mm F2.8 G」。そして画角は調整できない分、写りが良い単焦点レンズの「FE 35mm F1.8」。どちらも焦点距離24~35mmが使える、広く写すことができるレンズで、子どもだけでなくパパ&ママとのツーショットなども難なく収めることができます。
広角レンズは便利な反面、背景をぼかすことが苦手なレンズでもあり、ボケを活かすにはちょっとしたコツが要ります。そこで、モードダイヤルを回して「A」に設定し、絞り値と呼ばれるFで示される値をF1.8~2.8程度まで小さくしてみましょう。
更に、その状態でグッと被写体に寄ってあげてください。すると、大きなボケに包まれることがわかると思います。子どもの横顔を撮るときなどは、手前の目にピントを合わせてあげると、自然な印象の写真にすることができます。
また、Aモードを使って少し明るく撮りたい!という場合は、露出補正を+0.3~1程度にしてあげるとフワッと柔らかな写真を撮ることができます。
今回使用したα7C IIはAIAFと呼ばれる、進化したオートフォーカス機能が備わっているカメラです。これによりカメラが自動で人物を認識して、しっかりと瞳にピントが来るようになっています。ただし、こういった機能を使いこなすにもやはり設定が重要です。設定については、後述の「α7C IIを上手に使いこなすための設定編」に記載していますので、準備を進めていきましょう。
また、ISOの設定も基本的にオートで構わないと考えています。ISOの設定は下限と上限を設定することができ、α7C IIはフルサイズミラーレスカメラということもありISOの上限を6400に設定してあげることで、基本的にどんなシーンでも対応することができます。シャッタースピード(SS)も1/125を目安にすることで、ブレが少ない写真を撮ることができるでしょう。
動く子どもたちをしっかり撮るためのポイント
次は、屋外での撮影シーンです。外での撮影になると、沢山走り回ったり、遊具で遊んだりとどこのお子さんも同じように楽しく笑顔でいてくれると思います。よちよち歩きの時は良いのですが、少し大きくなって走り回れるようになると、その一瞬を上手にとらえるのは難しいものです。
α7C IIとFE 24-50mm F2.8 G、そしてFE 35mm F1.8の組み合わせは、動く子どもたちも難なく撮れる優れもの。コツは「フォーカスモード」を「AF-C」に設定し、「フォーカスエリア」を「トラッキング:スポットS」等に設定。AFはトラッキングモードという、動くお子さんを追い続ける設定にしていますので、ブランコやかけっこの時の激しい動きでも、AFがしっかり追尾してくれます。
ブランコなど少し大きな被写体と一緒にお子さんを撮る場合は、24~35mm程度の画角に設定してF値はF2.8~8あたりで撮影してみましょう。F2.8にしてお子さんにピントを合わせるとボケが強調され、とても印象的なシーンに写ります。ピントがずれてしまう場合はF5.6~8と大きめに設定することで、それを防ぐことができます。
基本的にはAモードで撮影すればよいですが、ブランコや滑り台、走るなどお子さんがとても速く動く場合はMモードに切り替えてシャッタースピードの値を1/500、F値をF4~8、ISOはオートで設定してみましょう。外が晴れていればほとんどのシーンで、躍動感のあるお子さんを撮ることができるはずです。
一緒に撮りたい、その場の風景
お子さんや家族写真に重要な要素として、子どもと一緒に遊んだおもちゃや、その場の雰囲気を感じさせる花、風景なども撮影をしておくとより良い思い出として写真を残すことができます。
寝ている時の小さな手や足を撮影するときは、ギリギリまでカメラを近づけますが、FE 24-50mm F2.8 Gでは24~35mmにズーム域を設定してあげることで、周辺の状況も写しながらクローズアップして撮影することができます。レンズフードがぶつかって邪魔になる場合もありますので、外して撮影するのも良いでしょう。
花やおもちゃなどを撮影する場合も、基本的には同様の方法で撮影することができます。被写体に寄った状態で、F値を小さくするとピントが合う面が非常に狭くなってしまうので、屋外で花に寄って撮る時などはF値をF5.6~8と少し大きくしてあげることで、ピントとボケを両立させることができます。
α7C IIを上手に使いこなすための設定編
ここでは簡単にですが、動くお子さんを上手に撮るためのAF設定を解説していきます。
筆者のおすすめはフォーカスモードを「AF-C(コンティニュアスAF)」に設定し、フォーカスエリアを「トラッキング:スポットS(又はM)」と「トラッキング:ワイド」を併用する方法です。少し詳しく解説していきましょう。
【1】フォーカスモード設定
フォーカスモードは動く被写体に強いAF-Cを選択します。寝返りができない生後半年くらいの赤ちゃんであれば、AF-Sといった動きのない被写体に適したモードでも良いのですが、歩けるようになってくるとピントを正確に合わせることが難しくなります。ですので、シャッターボタンを半押ししている間、ピントを合わせ続けるAF-Cのモードを活用すると便利です。これに加え、フォーカスエリアを設定してあげることで、ピントが合わないという事態を大きく減らすことができます。
【2】フォーカスエリア設定
フォーカスエリアは「トラッキング:スポットS」や「トラッキング:ワイド」に設定します。基本の設定は「トラッキング:スポットS」にすることで、シャッターボタンを半押しにした際に、中央に設定されているAFポイントでピントを合わせ続けることができます。これで子どもが急に動いても、シャッターボタンを半押ししている間は捉え続けることができ、正確なピント合わせが可能です。
お子さんが画面の外側から走ってくる場合や、AFポイントを素早く移動させることが難しい場合は、フォーカスエリアを「トラッキング:ワイド」に設定するのが良いでしょう。これならAFポイントを動かす必要なく、画面に入り込んだ被写体をカメラが自動で認識してピント合わせをしてくれます。
上級者の方はメニューから「カスタムキー/ダイヤル設定」を選択し、AF-ONボタンに「登録フォーカスエリア+AFオン」を割り当て、登録フォーカスエリアに「トラッキング:ワイド」を登録することで、「トラッキング:スポットS」と2パターンのAFを瞬時に使い分けることができます。
この設定を使うことで、ピント合わせに困ることはなくなります!ピントは合っているけど、子どもの動きが速くてブレてしまう場合はシャッタースピードを1/500~1/1000程度の速い値にしてあげることで被写体ブレを防ぐことができます。
まとめ
簡単にですがα7C IIと2本のレンズを使った、子どもを中心とした家族写真の撮り方を解説してみました。フルサイズセンサーを搭載したα7C IIは上記作例のように、暗い場所でも精細に写し出すことができ、ノイズの少ない写真を撮ることができます。設定は最小限でもここぞというシーンでお子さんをしっかりと記録できる、小型軽量の万能カメラです。常にそばにカメラを置いて、日常の何気ないワンシーンを切り取っていきましょう。何年か経った後に見返すことで、とても良い瞬間だったなと感じるに違いありません。
本カメラとレンズの組み合わせはどちらもおすすめですので、ご家庭のお財布事情と相談してぜひ決めてください。それでは、また次回、ファミリーフォトの記事第二回目でお会いしましょう!
■フォトグラファー:鈴木啓太|urban
カメラ及びレンズメーカーでのセミナー講師をする傍ら、Web、雑誌、書籍での執筆、人物及びカタログ撮影等に加えフィルムやオールドレンズを使った写真をメインに活動。2017年より開始した「フィルムさんぽ/フランジバック」は月間延べ60人ほどの参加者を有する、関東最大のフィルム&オールドレンズワークショップに成長している。著書に「ポートレートのためのオールドレンズ入門」「ポートレートのためのオールドレンズ撮影マニュアル」がある。リコーフォトアカデミー講師。