風景撮影でのソニー α7R Vの便利な使い方 2|齋藤朱門
はじめに
以前の記事では、筆者のメイン機として現在使用中のソニーα7R Vの風景写真撮影で使用する際の便利な機能などを紹介しました。
今回は、約1年以上α7R Vを実際に風景撮影で使用してきたことで、新たに気づいた便利な機能や役立つ活用方法を紹介したいと思います。
手ぶれ補正の進化
前回の記事でもα7R Vの特徴の一つとしてボディ内手ぶれ補正の進化を紹介しました。しかし、カタログスペック上で8段の手ぶれ補正が可能とは言っても、購入時はまだ半信半疑の部分があり、実際にはまだまだ三脚を使う場面が減ることは無いと考えていたことも確かです。
ところが何度か実際の撮影場面で手ぶれ補正を有効にして撮影してみると、意外とその効果は絶大なことに気づきました。特に純正レンズを使用している際は手ぶれ補正が想像以上にとてもよく効いているように感じます。
例えば、風景撮影ではよくあるような、少し絞って被写界深度を深めに撮りたいシーンで、どうしてもシャッタースピードを遅くしなくてはならない場合があると思います。
今までこういう場合は、ブレないように三脚を使用して撮影をするのがセオリーでしたが、α7R Vであれば、1/4秒くらいまでなら安心して手持ち撮影を行うことができています。
また、手持ち撮影をしようとした場合、筆者の場合はF5.6くらいで撮影することが多かったのですが、これもF9程度までは躊躇なく絞って撮ることができるようになり、かなり撮影の幅が広がりました。
(手ぶれ補正の効き具合は使用レンズ、焦点距離にもよって異なります)
実際に手持ちで撮影した作例です。
冬の朝、霧氷で白くなった木々の撮影を行いました。
撮影ポイントを散策しながらの撮影の場合、気になった場所である程度絞っていてもブレを気にせず手軽に手持ちでテンポよく撮影できるのは大きなメリットだと思います。
三脚から解放されることで、構図がより自由になるのがメリットです。
風景撮影をしているとありがちですが、一瞬偶然の良い光が差し込む瞬間にいまシャッターを切りたいと思うことがあります。
今までは撮影しようと三脚を準備していて、せっかくのチャンスを逃がすなんていうことも多かったのですが、カメラをさっと出して撮影できることでこういったチャンスも逃すことが減ったように思います。
AF・MF活用
α7R VではフルタイムDMFが使えるようになったことで、これまで拡大AFでは合焦が難しいようなポイントでも簡単にピントの微調整ができるようになりました。
そのため、風景撮影においてもAF・MFを柔軟に切り替えながら撮影できるため、筆者の場合はこれまで以上にAF、拡大AFを活用するシーンが増えたと思います。
また、フォーカスエリアはスポット枠を使うことが多いのですが、このフォーカス枠が画面内にあると少々邪魔に感じることもあります。
実はα7R Vではこのフォーカスエリア枠をAF合焦後に自動で消すことができます。
かなり地味ですが、パネルやEVFではなるべく余計な情報を出したくない場合も多いので、便利な機能です。
ただ、残念なのがMF時は消すことができないようなので、この点はMF時もカスタムキー等で消せる仕組みがあったら良かったなと思います。
●設定方法
メニューから「AF・MF」設定を選択します。
「フォーカスエリア」設定を選択し、
その中にある、「フォーカスエリア自動消灯」を「入」にします。
また、再生時にはどこにAFでピントを合わせたかが分かりやすく枠表示をできるようになりました(再生設定⇢再生オプション⇢フォーカス枠表示から設定できる)。筆者の場合、撮影直後に再生して、ピント位置のブレを確認しながらまた撮影することが多いため、以前よりも確認が楽になりました。
静止画・動画の両方を撮る
以前の記事でも紹介したとおり、α7R Vでは動画性能も大幅にアップしています。
特に8K動画も撮影可能なので、風景写真撮影をしていると、「このシーンを動画でも撮っておきたいなぁ」と思うことがよくあります。
その場合は、静止画・動画のモード切り替えダイヤルが便利なのですが、実際は静止画用の設定と動画用の撮影設定が異なることが多く、切り替えダイヤルを動画に設定したとしても、シャッタスピード、ISO、AF等を動画用に設定し直し、また写真撮影時に元に戻すのがかなり手間です。
その際に便利なのが、静止画・動画の独立設定です。静止画と動画の設定項目を独立に記憶させておくことで、ダイヤルの切り替えだけですぐに動画を撮影、また簡単に静止画設定に戻すことができます。写真撮影中でも、気軽に設定を切り替えて動画を撮影し、また写真撮影に戻すことができるのです。
写真撮影中に動画も撮る場合は、この静止画・動画独立設定を設定しておくことをオススメします。
●設定方法
具体的な設定方法ですが、メニューの中の「セットアップ」「操作カスタマイズ」を選択します。
チェックした設定が静止画モード・動画モードで独立設定となります。
どの設定項目を独立にするかを決め、チェックします。
選択可能な項目は以下の8つです。
・絞り
・シャッタースピード
・ISO感度
・露出補正
・測光モード
・ホワイトバランス
・ピクチャープロファイル
・フォーカスモード
特に動画モード時はシャッタースピードとISO感度の他に、ピクチャープロファイル、フォーカスモードも異なる場合が多いので、これらを独立設定にしておくと便利だと思います。
おすすめのアクセサリー
●アイカップ
α7R Vの標準のアイカップの場合、かなり目をEVFに密着させないと隙間から光が入り込んでしまうことがあります。風景撮影で三脚を使いながらEVFを覗く場合には目を密着させることが難しい場合もあるため、その場合は光が入らないように手で覆ったりもしていましたが、正直不便に感じていました。
この問題を解決するために、目の周りを覆う部分が大きいタイプのものがおすすめです。
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EVFに目を密着しなくても光をしっかり遮ってくれるため、かなり撮影が楽になりました。
欠点としては、アイカップが嵩張るのでカメラバッグに収納する際に邪魔になってしまう点です。
筆者の場合はアイカップを裏返しにすることでコンパクトにして収納しています。
また、アイカップが大きすぎてパネルに干渉して見にくいことがあるのですが、α7R Vの場合はパネルを引き出すことで干渉を避けることができます。
作例
α7R Vで撮影した風景写真の作例をいくつか紹介したいと思います。
まとめ
今回は筆者のメイン機として約1年以上風景写真撮影で使用中であるソニーα7R Vについて、実際に撮影で使用してみて気づいた便利な使い方や設定方法を紹介しました。
実際の風景写真撮影でα7R Vを使ってみて感じたのが、以前までは不便に感じていた細かい点が改善されているということ。一つ一つは地味ながらも快適に風景撮影ができるカメラだと思います。
是非この記事の内容を参考にして風景写真撮影に役立てていただけると嬉しいです。
■写真家:齋藤朱門
宮城県出身。都内在住。2013年カリフォルニアにて、あるランドスケープフォトグラファーとの出会いをきっかけにカメラを手に取り活動を始める。海外での活動中に目にした作品の臨場感の素晴らしさに刺激を受け、自らがその場にいるかのような臨場感を出す撮影手法や現像技術の重要性を感じ、独学で風景写真を学ぶ。カメラ誌や書籍での執筆、Web等を通じて自身で学んだ撮影方法やRAW現像テクニックを公開中。