ソニー FE 12-24mm F2.8 GMレビュー|最強の大三元超広角ズームレンズ
はじめに|SONY FE 12-24mm F2.8 GM
以前より私は広角ズームレンズに関して、標準ズームレンズが35mm始まりだった頃とは違い随分前から24mm始まりの24-70mmや24mm-105mmに移行していることから、広角ズームの16-35mmではなく超広角ズームの12-24mmや14-24mmに移行するべきだと言い続けてきたので今回のSEL1224GM(FE 12-24mm F2.8 GM)の発売は凄く嬉しいですね。
今回SONYから発売されたSEL1224GMですが、SONYにはSEL1224Gという同じ焦点距離のレンズが既に存在します。その違いはSEL1224GがF4通しレンズなのに対して今回発売された12-24GMはF2.8通しになり、称号もGからGMになって明るさだけでなく描写力もワンランク上になっていると思います。その辺りも大いに期待が持てますね。
SONY FE 12-24mm F2.8 GMレビュー
レンズ構成等の説明は後回しにして、作例を交えたレビューを紹介させていただきます。今回は香川県での撮影と大阪駅近辺のスナップ撮影です。撮影日順にまずは香川県での写真から観て下さい。
本州から四国に掛かる瀬戸大橋を渡る途中に、与島というパーキングエリアが有る。私は初めて立ち寄ったのだが、のどかな島の頭上に巨大な近代建築の橋が架かっている、何ともアンバランスな光景が面白そうな島なので、α7RIVにSEL1224GMを装着して少し島内を散策してみた。海側の方向に向かって歩き始めると鬼百合の花がお出迎えしてくれたので、12mm開放F2.8で撮影。自然で優しいボケがオレンジの花を引き立ててくれました。
そこから少し歩くと、周りは高い壁と植物に覆われて全く海は見えなくなってしまう。見上げると橋は見えるので海に向かう方向は何となく解るが、迷路のような細く曲がりくねった坂道は人影も無く少し不安になる。それにしても魅力的な小径が無数にあり少し立ち寄っただけでは全然時間が足りない。上の写真の小道も凄く通りたかったのだが海とは反対に向かう道だったので、時間の無い私は涙を呑んで分かれ道での撮影だけに留めた。新緑の緑グラデーションと、石垣の質感が階段の小道の奥行ある立体感を伝えてくれるのは、流石GMレンズの表現力である。
小道の誘惑を跳ね除けて海側に辿り着くと、そこは小さな港になっていた。港の岸壁から瀬戸大橋が伸びる方向をみると、向こう岸に四国が見える。短時間に大型船の往来が多くて瀬戸内海の海路の凄さを実感出来た。与島のこの場所から対岸まで約5KM程なのだが殆ど橋の袂から見上げた構図で入りきるのは12mmの超広角ならではだと思う。拡大すると橋の下を通る船の小さな文字まで読める解像感が素晴らしい。
与島に後ろ髪を引かれながらも、急いで瀬戸大橋を渡ったのには理由が有った。その理由が、この砂浜に夕暮れまでに到着したかったからに他ならない。とは言え与島に予定より長く立ち寄ったので到着したのは夕暮れギリギリになってしまった。急いで撮影準備をして撮影ポイントを探し構図を決めようとしていると、母親に呼ばれて走ってくる少年が私の前を横切っていくので夢中でシャッターを切った。
この場所は有名な観光地なので人も多い事から出来る限り人が入らない構図を考えていたのに結果的に人物が主役になってしまった訳だが、この日に撮影した写真の中でこの写真が一番好きなので、そういったハプニングも含め、改めて写真は面白いと再確認した。
こういった一瞬の出来事に対して瞬時にピントを合わせ、シャッタースピードを変更してWBまで合わせ直せるレスポンスの良さはボディの性能も必要だが、クリアな解像感とイメージした色の再現性と合わせやすいフォーカス機能を持ったSEL1224GMのお陰で撮影可能となるので、機材に助けられている事を再確認させられる。
ここ迄の作例は全て広角端12mmで撮影した写真でしたので、ここで12mm、16mm、24mmの三枚を三脚に据えて焦点距離だけを変更した写真を見て下さい。
どの焦点距離でも水平線も歪まず真直ぐで優秀なレンズで有ることが解ります。24mm撮影時と12mm撮影時で差が殆ど無いという事は本当に凄いと思います。
今回の撮影で特に凄いと感じた部分の一つが逆光耐性でした。新開発のナノARコーティングIIが採用されており、今回かなり逆光での撮影をしましたがフレアやゴーストは殆ど出ませんでした。それぞれの画角の違いも参考にして戴けるとうれしいです。
この2枚は今回の砂浜での撮影風景ですが、ボディも含めレンズ自体が防塵防滴に配慮された構造になっているので、このように砂浜の水辺でも勿論細心の注意はしておりますが安心して撮影することが出来ました。
今回の香川での撮影は梅雨真っただ中だったの、で本当に天気が心配でした。実際この日も降ったり止んだりの一日でしたが、一度は撮影してみたかった場所で何とか夕暮れを撮影出来たので満足でした。しかし与島も含めてもう一度ゆっくり撮影したいので近い将来に必ずもう一度訪れようと心に決めて四国を後にしました。
続いては地元近畿の大阪でのスナップ撮影です。
この2枚はソニーストア大阪が入っている商業施設内の写真なのですが、雰囲気が好みなので大好きな建物です。12mmで見上げると肉眼で見るのとは違った世界が広がるのも超広角の楽しみ方だと思います。それにしても撮影後に写真を見返すとこのレンズの描くシャープな線を見て更に楽しくなりました。
大阪駅の地下道で少し雰囲気を変えてB&W撮影(白黒撮影)。ミラーレス一眼なので当たり前ですがB&W設定にしてファインダーを覗くと白黒で見ることができるので、黒い部分の締まりやモノクロームの階調を確認して撮影でき、自分のイメージに近いB&W撮影が簡単に出来ます。特にGMシリーズのレンズは白から黒までグレーの階調を豊かに表現してくれるのでB&W撮影も楽しくなります。
この上を何本の線路が通っているのでしょうか。私のような田舎者はこの写真のように長い高架下を通ると都会を感じてしまいます。自然光や電球にLED、色々な光源から発せられる様々な特性の違いを、きちんと表現してくれますので本当に良いレンズだと感心させられます。
大阪駅での撮影の帰りに、京都駅で撮影した無数の骨組みが織り成す美しい京都駅の天井。立ったままの撮影で端から端まで殆ど構図に収まるのは12mmならでは。しかも、ここまで歪まずに撮影出来るのはただただ驚きである。
まとめ~性能のご紹介~
使用すればするほど凄いとしか言いようが無いレンズでした。抜けの良さと発色の素晴らしさはSEL1635GM譲りという印象でした。
冒頭に記載しましたが標準ズームと言われるレンズが殆ど24mm始まりの時代なので広角ズームは望遠端24mmで広角端は出来る限り広角始まりにするべきと思っているので、今回F2.8通しの、いわゆる大三元ズームが12-24mmで発売されたことは大歓迎でした。
AFはXDリニアモーターを4個搭載して制御されており、超高速かつ正確に静かにピント合わせ可能であり静止画だけでなく動画撮影にも適している。しかも14群17枚のレンズ構成の中に超高度非球面XAレンズ3枚と非球面レンズ1枚が採用されていることにより、収差を限りなく抑え解像感高めているだけでなく、EDガラス3枚とスーパーEDガラス2枚で色収差を補正し、新開発のナノARコーティングⅡにより逆光耐性が飛躍的にアップ。総合的な性能が12mm-24mmのズーム全域で単焦点レンズ並の高次元レベルに達している。
それにも関わらず、わずか847gの小型軽量な1本のレンズで12mm、14mm、16mm、20mm、24mmの単焦点レンズ5本分の役割を全て賄える機動性の良さと、コスパを兼ね揃えた個人的に最強の新・大三元超広角ズームと呼びたいと思うレンズでした。
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