ソニー FE 135mm F1.8 GM レビュー|ペトグラファー 小川晃代
はじめに
FE 135mm F1.8 GMは高解像で自然なボケ味が魅力的なレンズです。様々な花が咲く暖かい季節は外での撮影が増えてきますよね。本レンズはお花とペットを一緒に撮る時に重要になってくる圧縮効果をかけ易いので、この季節の外撮影にうってつけです。
とろけるようなボケ味で美しい世界観を
今年は河津桜の開花が遅かった事もありスケジュールの調整に苦労しました。お花の開花情報や口コミを頼りにお目当てのスポットに出向きますが、まだ咲きが甘かったり、散り始めていたりと万全の状態ではない事もしばしば。パッと見であまり綺麗ではないかなぁという時に135mmレンズの美しいボケ味が役に立つのです。
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■撮影環境:f/2.2 1/2000秒 ISO100 露出補正+0.7
例え花の咲きが悪い環境下であっても美しいボケ味のおかげで華やかな1枚に
こちらは梅林での1枚。梅はほぼ終わりで木々にわずかに残っている程度でした。実際目で見てもピンクはほぼ感じられず、どちらかといえば木や幹が目立ってうっそうとしている空間でしたが、135mmレンズのボケ味で木の存在感を薄め、 僅かに残った梅のピンクを感じられる1枚に仕上がりました。天気が悪かったので寒空ではありますが、美しいボケ味とたたずむ猫とでしっとり落ち着いた1枚になりました。
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■撮影環境:f/1.8 1/640秒 ISO2500 露出補正+0.3
梅林で振り向く猫。梅林にはロープが張られていましたがロープが写らないアングルから撮影しました。
別場所でもう1枚。今度はあえて荒々しい木々を沢山入れてワイルドな雰囲気に仕上げてみました。木々を沢山いれる場合、ボケ味が悪いと主役よりも木が目立ってしまうボツ写真になりがちなのですが、自然なボケ味と繊細な描写力でかっこいい1枚になっています。
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■撮影環境:f/2 1/640秒 ISO1000 露出補正-0.3
梅林で見つけた野良猫 。
続いての写真も野良猫写真ですが、こちらは先ほどと違ってカラフルに仕上げてみました。手前にある花壇の花が前ボケになるようにローアングルで狙っています。実はこの花壇、お花はほとんどなくスカスカな状態。お花よりも土が目立っていたのですが、135mmの中望遠の圧縮効果とボケのおかげでスカスカ感を感じさせない見事な前ボケを作り出してくれました。
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■撮影環境:f/1.8 1/640秒 ISO400 露出補正+0.3
花壇でおトイレ中のにゃんこに遭遇
このように美しいボケ味は何気ない一瞬でも作品度をアップさせてくれますね。
わんこのポートレート撮影にバッチリ
135mmレンズはわんこのポートレート撮影にも向いています。こちらは公園で撮った写真ですが、柔らかいボケ味の効果で子犬の可愛さや柔らかさを際立たせています。
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■撮影環境:f/2 1/1000秒 ISO100 露出補正+0.7
大きな澄んだ目と毛の質感が印象的
同じ子を少し引き気味で撮った写真がこちら。木々の隙間がぎゅっと詰まり圧縮効果がよく分かる作品です。この浮き上がってくるかのような立体感。高い描写性能を感じた1枚です。
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■撮影環境:f/1.8 1/1000秒 ISO320 露出補正-0.3
木々が並ぶ公園で撮影。暗い場所でしたがそうとは感じさせない1枚に。
満開の桜並木で撮った作品。桜の大木は写真の中で目立ってしまう事が多いのでなるべくなら写らないように撮る事が多いのですが、今回はあえて入れ込んで森の中風に撮ってみました。少し絞る事で桜の花感を出しています。
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■撮影環境:f/4 1/320秒 ISO100 露出補正+0.7
花の感じを表現したくてF4まで絞って撮影しました。
逆光でも高解像
白い毛の被写体を逆光で撮影した一枚。毛のふわふわ感をしっかりと表現する描写力と美しいボケ感は圧巻の一言ですね。
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■撮影環境:f/1.8 1/2500秒 ISO100 露出補正+1
変な声を出しながら撮った写真。ちょこんと首傾げが可愛いです。
ふと足元を見るとつくしが。たくましさを感じ思わずシャッターを切りました。
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■撮影環境:f/2.5 1/800秒 ISO100 露出補正+1
他の草もぼうぼうと生えていましたが、開放値で撮影したのでつくしだけが際立って写っています。生命力を感じました 。
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■撮影環境:f/1.8 1/4000秒 ISO100 露出補正+0.3
こちらは白子桜。
光に照らされて透けた花びらが美しいですね。そう、わんこにゃんこだけではなく135mmF1.8はお花撮影にもベストなレンズなのです。最後に菜の花畑での作品を少し。花の透け感を出すために逆光で撮影した写真です。菜の花は満開でしたが近くで見ると花と花との間隔が少しありました。ですが135mmレンズの圧縮効果のおかげでしっかり密集感が出ています。わんこの横にある菜の花はきりっとシャープに、奥に続く菜の花は美しい黄色のボケで主役を引き立ててくれました。
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■撮影環境:f/2.2 1/500秒 ISO100 露出補正+0.7
逆光でわんこの毛のキラキラだけでなく、菜の花も美しく輝いています。
フレーミングを変えてもう1枚。手前に沢山の菜の花が入るようにフレーミングしてもう少し菜の花の花感を表現してみました。
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■撮影環境:f/2.2 1/1600秒 ISO100 露出補正+0.7
わんこの顔が花に埋もれないように前ボケを上手く入れ込んで撮影。
まとめ
今回は花を取り入れた撮影が多かったのですが、街並みや公園、 何の変哲も無い空間でもお洒落な1枚に仕上げてくれる135mmレンズ。美しくて自然なボケ味はわんこのポートレート撮影でも威力を発揮してくれること間違いなしです。
■写真家:小川晃代
トリマー・ドッグトレーナー資格を保持しペットやのら猫等小さな生き物撮影を得意とするペトグラファー。2006年に動物に特化した制作会社とペット&キッズ専門の写真スタジオ「アニマルラグーン」を設立。現在はカレンダーやカタログ、写真絵本の撮影をはじめ、写真教室の講師やペットモデルコーディネーターとしても活躍。『ゆるねこ×ブッダの言葉』(インプレス)、『ちいさいののちゃん』(講談社ビーシー)、『ねこもふ。ごーじゃす』『手乗りねこ』(宝島社)、『ねこの撮り方まとめました!』(日本カメラ社)、『こいぬ』『こねこ』(ポプラ社)、『ねこきゅう』(東京書店)などの写真集ほか、ペットカレンダーも多く手がけている。