ソニー FE 135mm F1.8 GM レビュー|ペトグラファー 小川晃代
はじめに
FE 135mm F1.8 GMは高解像で自然なボケ味が魅力的なレンズです。様々な花が咲く暖かい季節は外での撮影が増えてきますよね。本レンズはお花とペットを一緒に撮る時に重要になってくる圧縮効果をかけ易いので、この季節の外撮影にうってつけです。
とろけるようなボケ味で美しい世界観を
今年は河津桜の開花が遅かった事もありスケジュールの調整に苦労しました。お花の開花情報や口コミを頼りにお目当てのスポットに出向きますが、まだ咲きが甘かったり、散り始めていたりと万全の状態ではない事もしばしば。パッと見であまり綺麗ではないかなぁという時に135mmレンズの美しいボケ味が役に立つのです。
こちらは梅林での1枚。梅はほぼ終わりで木々にわずかに残っている程度でした。実際目で見てもピンクはほぼ感じられず、どちらかといえば木や幹が目立ってうっそうとしている空間でしたが、135mmレンズのボケ味で木の存在感を薄め、 僅かに残った梅のピンクを感じられる1枚に仕上がりました。天気が悪かったので寒空ではありますが、美しいボケ味とたたずむ猫とでしっとり落ち着いた1枚になりました。
別場所でもう1枚。今度はあえて荒々しい木々を沢山入れてワイルドな雰囲気に仕上げてみました。木々を沢山いれる場合、ボケ味が悪いと主役よりも木が目立ってしまうボツ写真になりがちなのですが、自然なボケ味と繊細な描写力でかっこいい1枚になっています。
続いての写真も野良猫写真ですが、こちらは先ほどと違ってカラフルに仕上げてみました。手前にある花壇の花が前ボケになるようにローアングルで狙っています。実はこの花壇、お花はほとんどなくスカスカな状態。お花よりも土が目立っていたのですが、135mmの中望遠の圧縮効果とボケのおかげでスカスカ感を感じさせない見事な前ボケを作り出してくれました。
このように美しいボケ味は何気ない一瞬でも作品度をアップさせてくれますね。
わんこのポートレート撮影にバッチリ
135mmレンズはわんこのポートレート撮影にも向いています。こちらは公園で撮った写真ですが、柔らかいボケ味の効果で子犬の可愛さや柔らかさを際立たせています。
同じ子を少し引き気味で撮った写真がこちら。木々の隙間がぎゅっと詰まり圧縮効果がよく分かる作品です。この浮き上がってくるかのような立体感。高い描写性能を感じた1枚です。
満開の桜並木で撮った作品。桜の大木は写真の中で目立ってしまう事が多いのでなるべくなら写らないように撮る事が多いのですが、今回はあえて入れ込んで森の中風に撮ってみました。少し絞る事で桜の花感を出しています。
逆光でも高解像
白い毛の被写体を逆光で撮影した一枚。毛のふわふわ感をしっかりと表現する描写力と美しいボケ感は圧巻の一言ですね。
ふと足元を見るとつくしが。たくましさを感じ思わずシャッターを切りました。
光に照らされて透けた花びらが美しいですね。そう、わんこにゃんこだけではなく135mmF1.8はお花撮影にもベストなレンズなのです。最後に菜の花畑での作品を少し。花の透け感を出すために逆光で撮影した写真です。菜の花は満開でしたが近くで見ると花と花との間隔が少しありました。ですが135mmレンズの圧縮効果のおかげでしっかり密集感が出ています。わんこの横にある菜の花はきりっとシャープに、奥に続く菜の花は美しい黄色のボケで主役を引き立ててくれました。
フレーミングを変えてもう1枚。手前に沢山の菜の花が入るようにフレーミングしてもう少し菜の花の花感を表現してみました。
まとめ
今回は花を取り入れた撮影が多かったのですが、街並みや公園、 何の変哲も無い空間でもお洒落な1枚に仕上げてくれる135mmレンズ。美しくて自然なボケ味はわんこのポートレート撮影でも威力を発揮してくれること間違いなしです。
■写真家:小川晃代
トリマー・ドッグトレーナー資格を保持しペットやのら猫等小さな生き物撮影を得意とするペトグラファー。2006年に動物に特化した制作会社とペット&キッズ専門の写真スタジオ「アニマルラグーン」を設立。現在はカレンダーやカタログ、写真絵本の撮影をはじめ、写真教室の講師やペットモデルコーディネーターとしても活躍。『ゆるねこ×ブッダの言葉』(インプレス)、『ちいさいののちゃん』(講談社ビーシー)、『ねこもふ。ごーじゃす』『手乗りねこ』(宝島社)、『ねこの撮り方まとめました!』(日本カメラ社)、『こいぬ』『こねこ』(ポプラ社)、『ねこきゅう』(東京書店)などの写真集ほか、ペットカレンダーも多く手がけている。