自由度抜群。広角軽量Gレンズで夏の花を撮る|ソニー FE 16-25mm F2.8 Gレビュー
はじめに
真っ青な真夏の空の中、美しいピンク色の花びらを輝かせたサルスベリが風に揺れている。ゆらり、ゆらり。
サルスベリの花を見ると、台風の季節が来たな、と毎年思いながら空を見上げる。
SONY α7 IVにFE 16-25mm F2.8 Gをつけて撮影。
なんて鮮やかな美しい色を捉えてくれるのだろう、そう思った。
心の中で思っている夏の空の美しさと、サルスベリのお花の鮮やかさ。それを見事に表現してくれた。
SONY FE 16-25mm F2.8 Gの仕様は下記。
■大きさ:最大径74.8mm × 長さ91.4mm
■質量:約409g
■AF時最短撮影距離:18cm(ワイド端)- 24cm(テレ端)
■MF時最短撮影距離:17cm(ワイド端)- 22cm(テレ端)
■フィルター径:67mm
■レンズ構成:13群16枚
■最大撮影倍率:0.20倍(AF時)0.23倍(MF時)
筆者的に要約してみると「小型軽量、ぐっと寄れる明るい広角Gレンズ」だ。
特に、広角側焦点距離16mmを撮ることができながら409gという軽量であることが気持ちいい。例えるならば、350mlの缶ジュース1本よりも少し重いくらいの広角レンズ、と考えていただければいいと思う。
このレンズ、2024年5月に発売になったばかり。
発売前にSONY α Universeレビュー記事作成のためにお借りして撮影したところ、その描写の美しさと、自由度の高さに惚れ、欲しいと思った。そして、発売後すぐに購入。そう、買ってしまった。だから、このレビューは、自分の保有する機材にて撮影し、執筆している。
広いを楽しむ
まずは、広角側の写りを楽しみたいと思い、近くの小さな山へ。
すうっと広い景色が気持ちよく撮れる。
カメラを最初に購入するときのズームキットレンズについてくるレンズは、広角側で広くても焦点距離28mmあたりが多い。最初の頃はそれで満足できるけれども、写真を学び、撮り進めていくとそのうち「あともう少し広い景色が撮りたい」と、「さらに」を撮りたいと思うようになる人が多いようだ。そんな時に、焦点距離16mmあたりの広角レンズを1本選ぶと、作品表現の幅が増える。
さらに、FE 16-25mm F2.8 Gは、絞りの開放値がF2.8であり、広角レンズの中ではとても明るいレンズであると言える。標準ズームレンズに買い足す広角レンズとして、とてもおすすめのレンズでもある。
引きと寄りを自在に楽しむ
FE 16-25mm F2.8 G のAF時最短撮影距離は、18cm(ワイド端)- 24cm(テレ端)、MF時最短撮影距離は17cm(ワイド端)- 22cm(テレ端)であり、このレンズ、比較的被写体に寄って撮れるレンズだと前述した。ぐぐっと寄った作品も撮ってみよう。
広い景色ながらも、ぐぐっと被写体に寄って撮ることが出来るので、広角レンズならではの周辺の広さが特徴の、迫力がある寄りの写真になる。
ここで一つ補足しておくが、広角レンズで寄ることが出来るということは、望遠レンズで寄ることが出来るというのとは、一味違う写真になる。望遠レンズとは違い、広めの画角ながら被写体にぐぐっと寄ることが出来るので、周辺の景色も写りやすいということになる。上の写真で言えば、花びらや蕾の後ろや周辺の景色が写っているというところだ。
上の写真を少し引いて撮影した写真が、下記だ。
広いを美しく描けるレンズだ。
広いだけじゃなく、寄ったり離れたり、空間を自在に描くことが出来る。さらには、小型軽量という強みもある、自由度の高いレンズだ。
突然を撮る
雨が降ってきた。
しまった。
さっき、雨雲レーダーで確認したばかりなのに。
傘を持ってきていない。。。
と、思ったのも束の間、気付いたらシャッターを切っていた。
ザザッとスコールのように一瞬強く降った雨は、5分くらいでササッと上がった。
実は、雨が降ってきたからと、屋根のある場所に避難して、一度、リュックにカメラをしまって椅子に座った。でも、5秒くらい座ってみたところやっぱり撮りたいと思い、すぐにカメラを取り出して、立ち上がってシャッターを切っていた。さらには、雨の中に入って行って、シャッターを切っていた。
今考えれば、それもこれも、きっとこのレンズFE 16-25mm F2.8 Gが軽量小型なので、ササっとしまえて、またすぐに出せたのだろうなあと思う。大きくて重いレンズを一度リュックに入れてしまったら、もしかしたら、私はそのまま座りながら雨を眺めていたのかもしれない。大きなレンズをもう一度セッティングしている間に雨は止んでいたかもしれない。それは分からないけれど、もしかしたら、そうかもしれない。
起動力高く撮れる自由度の高いレンズは、やっぱり、魅力的だ。
広角レンズの比較
筆者、このレンズを購入する前に、もちろん他の広角レンズも持っていた。だから、広角レンズを買い足すという目的で購入している。
持っているSONYの純正レンズとして、FE 16-35mm F2.8 GMを、建築の竣工写真撮影や自然を撮影する際に使用している。FE 16-35mm F2.8 GMは、最高峰GMレンズだけあり、抜群の美しさで撮ることが出来る。またその他、SONYではない広角レンズも持っている。
だけど何故、このFE 16-25mm F2.8 Gレンズを新たに購入したかと言えば、それは、「広角側を撮影するにおいて、自由度がとても高い。」と感じたからだ。FE 16-35mm F2.8 GMは、それなりに大きくて重い。広い景色を絶対的に美しい作品で撮り上げたい、というときに使用している。でも、このFE 16-25mm F2.8 Gは、もっとカジュアルに、だけれども、しっかりと美しい作品を撮れるレンズとして持ち歩ける広角レンズだと感じたからだ。例えるならば、ライフワークで撮影している熊野古道などの山道に持っていくレンズとして選ぶのもいいなあと思っている。熊野古道は山道なので暗い場所も多い。夜の撮影もしてみたが、手持ちで楽々撮影することが出来た。
また、建築の竣工写真でFE 16-35mm F2.8 GMをメインで使用する際のサブレンズとしても持っておきたいと思ったから購入を選んだとも言える。今、サブレンズとして使用しているのは、他メーカーで重量がFE 16-25mm F2.8 Gの倍以上の質量のレンズだ。これからは、こちらのレンズに切り替えるので、かなり軽くなる。それは、とても嬉しい。
おわりに
今年発売されたばかりのFE 16-25mm F2.8 G。筆者にとって、早速、仕事やプライベートで使うレンズとして活躍してくれている。
「自由度が高い」
それは、今の時代、多くの人にとても強く求められることの一つであると思う。小型軽量である、広くも寄りも楽しめる、それらは、実際の現場でとても活躍してくれるレンズの要素だと思う。でも、それは自分の判断であり、真逆が好きな人もきっと多くいると思う。
いつも、写真教室の生徒に伝えていることがある。
「レンズは財産。レンズは金額に比例していることが多い。一生使いたいと思うレンズを買うように。」と。
レンズもカメラも、買えば、撮れる。
なければ、撮れない。
撮るか、撮らないか、撮れないか。
それらは全く違う。
自分の一生に寄り添ってくれるレンズ、しっかり選んでいきたいものです。
と、自分にも言い聞かせるようにこれを書いている。
■写真家:山本まりこ
写真家。理工学部建築学科卒業後、設計会社に就職。25歳の春、「でもやっぱり写真が好き」とカメラを持って放浪の旅に出発しそのまま写真家に転身。風通しがいいという意味を持つ「airy(エアリー)」をコンセプトに、空間を意識した写真を撮り続けている。