ソニー FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS レビュー|広角24mmから望遠240mmまでをレンズ1本でカバー
はじめに
今回紹介するのはソニーのフルサイズ用純正レンズ「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS」で、発売されたのは2015年3月。発売からそれなりに経過したレンズです。
筆者の手持ちのレンズの中でも最近では出番が少ないレンズでしたが、久しぶりに持ち出して撮影を楽しんでみました。広角24mmスタートで望遠端240mmの高倍率ズームは、旅行やイベントなどの撮影では非常に重宝します。あまりレンズレビューなどで取り上げられることの無いレンズ「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS」ですが、使い勝手とその写りをご紹介します。
FE 24-240mm F3.5-6.3 OSSの基本スペックと魅力
「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS」の魅力は、なんといってもフルサイズ対応の広角24mmスタートの高倍率10倍ズーム。このレンズが1本あれば、とりあえずいろいろな撮影に対応できるのは確かです。レンズが一本で対応できるので、気軽な旅行などでは機材が大幅に少なくできるメリットがあります。またイベントでの撮影などでは、広角から望遠までレンズ交換をせずとも多彩な撮影に素早く挑むことができ、そのメリットを存分に受けることができます。
ただ、高倍率ズームで多く見られる広角側周辺光量の低下や望遠側の解像感の低下などの症状は、この「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS」でも見受けられます。少し絞りを絞って撮影することで改善されるので、気になる方は開放域から少し絞って撮影するのが良いかと思います。
また、この年代頃に発売された他のソニーレンズ同様、「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS」をボディに装着した際に、レンズ補正(歪曲収差)が強制的に[オート]に設定されますが、これに関しては特に問題にはならないでしょう。
※RAWデータで撮影した場合でも、レンズ補正(歪曲収差)を変更することはできません。
レンズの大きさは、フィルター径が72mmあるボリュームのある鏡筒でやや重い感じがするレンズ。同じソニーのレンズで人気のレンズ「FE 24-105mm F4 G OSS」と並べて置いてみると、間違えてしまうくらいよく似た大きさです。そこで、少しスペックを比較してみました。
FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS | FE 24-105mm F4 G OSS | |
焦点距離 | 20-240mm | 24-105mm |
レンズ構成 | 12群17枚 | 14群17枚 |
開放絞り | 3.5-6.3 | 4 |
最小絞り | 22-40 | 22 |
フィルター径 | 72mm | 77mm |
絞り羽根枚数 | 7枚 | 9枚 |
最短撮影距離 | 0.5m-0.8m | 0.38m |
最大撮影倍率 | 0.27倍 | 0.31倍 |
レンズ内手ブレ補正 | 〇 | 〇 |
最大径x長さ | 80.5×118.5mm | 83.4×113.3mm |
質量 | 約780g | 約663g |
この2本のレンズは大きさこそ似ていますが、Gレンズである「FE 24-105mm F4 G OSS」の方が、解像度・AF速度など優位性があります。しかし焦点距離という点において、望遠域が最大で240mmまであることで多くの撮影シーンに対応できるメリットはとても大きいですね。望遠側をよく使うユーザーにとっては、この点は大きな魅力ポイントになります。
FE 24-240mm F3.5-6.3 OSSで木曽路をスナップ撮影
「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS」持って、中山道・木曽路の「馬籠宿」・「妻籠宿」を散策してみました。「馬籠宿」は中山道の43番目で、木曽にある宿中では最南端に位置する木曽の入口の宿です。作家 島崎藤村の出身地で、宿場には歴史小説「夜明け前」の舞台となる場所や藤村記念館がある、情緒豊かな観光スポットです。
気楽に高倍率ズームレンズ一本だけ持って散策できるのは、荷物も少なくなり旅行などにはありがたいレンズです。240mmの望遠側を使えば、望遠の圧縮効果を使って、宿場町の情緒ある奥行き感を演出することができます。
高倍率ズームでありながら24mmスタートの広角は、必要にして十分の広角側を確保。レンズ補正(歪曲収差)が強制的に[オート]に設定になる為、カメラ側の設定を気にしなくても歪みが補正されるので気楽に使えます。
馬籠宿からお隣の妻籠宿へ移動。妻籠宿は、昭和51年に「重要伝統的建造物群保存地区」に選定された町並みで、中山道六十九次のうち江戸から数えて42番目の宿場町です。
このレンズの魅力は、やはり240mmの望遠側です。レンズ一本でほとんどの撮影がこなせるレンズは、発売から年数が経っているもののその魅力は十分に兼ね備えています。
FE 24-240mm F3.5-6.3 OSSで「令和5年 第1空挺団 降下訓練始め」を撮影
2023年になって、一番楽しみにしていたイベント「令和5年 第1空挺団 降下訓練始め」を撮影してみました。「令和5年 第1空挺団 降下訓練始め」は、筆者の住んでいる千葉県船橋市にある陸上自衛隊の習志野駐屯地で開催されたイベントで、今回3年ぶりに一般公開されました。開門前からの大行列の人気で、撮影する場所を確保するのも困難なぐらいの人気でした。
今回の撮影でこのレンズをセレクトした理由は、降下するパラシュート部隊を広角側で撮影するのと、飛行するヘリコプターなどを望遠側を使ってアップで撮りたかったからです。
カメラは高画素機の「α7R V」を使用しました。240mmの望遠で距離感が足りない場合は、APS-Cクロップ撮影を行い360mm相当で撮影することで、より幅広いシーンに対応する事もできます。
撮影当日は、雲一つない青空の天気で上空を飛行しているシーンを撮影するのがほとんどでしたので少々首が痛くなりましたが、「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS」は、大きな望遠レンズでは無いので撮影する負担も少なく快適に撮影することができました。三脚などが使えない混雑した場所で大きな望遠レンズを使って撮影するのは、非常に体力・腕力が要ります。こういった込み入ったイベントなどでは、少ない機材で身軽に動ける高倍率ズームは非常に重宝します。
ただ、すべて満足できるレベルではありません。特に上空を撮影した場合に、周辺光量の低下が見受けられます。
習志野駐屯地内は広く、移動にも体力が要ります。高倍率ズームで機材を軽くできるメリットを凄く感じた一日でした。
まとめ
「FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS」は発売から年数は経過していますが、24mmスタートの10倍ズームという高倍率は非常に便利で、使い勝手の良い魅力あるレンズです。特に標準ズームレンズで望遠側が物足りないと感じている方や、旅行で写真を撮るのがメインの方、レンズ1本でいろいろ撮りたい方には魅力あるレンズではないでしょうか。
■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・日本風景写真家協会 会員
・NPO法人 フォトカルチャー倶楽部 参事
・一般社団法人 日本フォトコンテスト協会 理事
・一般社団法人 日本写真講師協会 理事
・ソニーαアカデミー講師
・クラブツーリズム写真撮影の旅・ツアー講師