ソニー FE 24-70mm F2.8 GM IIレビュー|広角シャッキリ寄りトロリ。幅広く万能な新世代ズームレンズ
はじめに
SONY FE 24-70mm F2.8 GM IIが発売になった。初代FE 24-70mm F2.8 GMからいろいろ進化を遂げた次世代レンズとして、2022年6月10日に発売スタート。
SONY FE 24-70mm F2.8 GM IIの進化の代表的な点はこちら。
従来機種(FE 24-70mm F2.8 GM)に比べ、
・重量は、約191g(約20%)軽量化し約695gに
・レンズ全長は、約16mm短縮し119.9mmに
・体積は、約18%減し小型化を実現
・最短撮影距離は、0.21m(ワイド端)/ 0.30m(テレ端)で従来の0.38mから大幅に減少
・標準ズームとしてはαレンズで初めて「絞りリング」を搭載
・ソニー独自の「ナノARコーティング II」がフレアやゴーストを抑制
などなど。
実は筆者、従来機種FE 24-70mm F2.8 GMを愛用している。
仕事でも、プライベートでも、かなりの頻度で登場回数が多いレンズだ。特に気に入っているところは、焦点距離24-70mmにおいて絞りがf2.8で撮影出来ること。そして、被写体に寄って撮影したときにトロリと美しいボケが生まれること。レンズを変えなくても、1本で広角から寄りまで美しいので、取材撮影の時に使うことが多い。また、動画もこのレンズで撮ることが多い。とにかくとても気に入っているレンズだ。
「小さくなって、軽くなって、さらに寄って撮れるようになった。」
むむむ。
そんなことを聞いたら、撮らずには、試さずにはいられない。
愛するFE 24-70mm F2.8 GMレンズの今までとこれからを試してみよう。
もうすぐ梅雨がやってくる。
あじさいの季節。
いざ、鎌倉へ。
スナップ撮影を楽しむ
初めてFE 24-70mm F2.8 GM IIを手にしたときは衝撃だった。届いた箱から出して手にとると、従来機種(FE 24-70mm F2.8 GM)に比べて、かなり軽い。そして、小さい。従来機種は、ボディに付けると重みでレンズが下向きに垂れ下がり、カメラも下向きになるので左手で常に支えていた。FE 24-70mm F2.8 GM IIをカメラに装着してみるとそれほど下を向かない。そして、かなり軽く感じる。レンズにおいて約191g軽量化というのはかなり大きいようだ。長さもかなり短くなったのをしっかり感じる。これは衝撃。何ていうか、もう、進化したレンズと言うよりは、違うレンズを装着している気分。これは…。撮影するのがますます楽しみだ。
鎌倉駅に降り立つ。
手に持ったレンズがかなり軽いことに心躍りながら、街や、山の中など、いろいろ歩き回って撮影した。
広角が24mmなので、標準ズームレンズの28mmあたりでもう少し広く撮りたい…というような願望も出ない。広角過ぎず、目に見て優しい広い景色を撮ることが出来る。
また、絞りリングが付いているところが便利だ。筆者はだいたい絞りを開放値あたりで柔らかい写真を撮ることが好きなので、日中の明るい時に明るさを決める上で絞りを少し絞ることもある。そしてたまに、ピント幅を広めに撮影したいときもあるが、そんな時にピントリングをくるっと回転させて設定できるのは気持ちいい。また、動画撮影において、ISO感度とシャッタースピードを固定しているので絞りで明るさを決めることも多い。そんな時に非常に便利だ。
最短撮影距離で撮る
雨をまとった木々や花が揺れている。
アジサイも輝いている。
まずは、ある程度の距離から撮影。
アジサイは美しい。
次に、広角側24mm、最短撮影距離(0.21m)、ググっと寄って撮影。
最短撮影距離に寄ることで、背景に大きなボケが生まれて、主役にグッと躍り出て魅力的なアジサイになった。
角度を変えて、広角側24mmで撮影。
次は、望遠側70mm、最短撮影距離(0.30m)、ググっと寄って撮影。
背景が、トロリとボケた。
さあさらに。望遠側70mm、最短撮影距離(0.30m)のまま、APSCサイズにクロップして撮影。
背景がトロリとボケたまま、アジサイも大胆に移った。
さらにさらに。
望遠側70mm、最短撮影距離(0.30m)のまま、APSCサイズにクロップ+超解像ズーム2.0倍で撮影。
ここまでくると、マクロレンズに近いような迫力に。
広角から、大胆な寄りの撮影まで幅広く撮影することが出来るFE 24-70mm F2.8 GM II。
これは、幅広く万能なレンズだ。
FE 24-70mm F2.8 GM IIと従来機種FE 24-70mm F2.8 GMを比較する
FE 24-70mm F2.8 GM IIが、幅広く万能なレンズだということは分かった。
ここでやっぱり気になるのが、従来機種FE 24-70mm F2.8 GMとの写り方の違いだ。
「小さくなって、軽くなって、さらに寄って撮れるようになった。」
寄って撮影したら、どのくらい写りが違うのだろうか。これはもう撮影して比較してみるしかない。私の愛する従来機種FE 24-70mm F2.8 GMと新レンズFE 24-70mm F2.8 GM IIはどのように、どのくらい写り方が変わるのか。撮影してみよう。
同じ被写体を、撮影してみる。
終わりかけのバラのお花畑の中に、一輪、美しく凛としたバラが咲いていた。
まずは、従来機種FE 24-70mm F2.8 GMにて撮影。
望遠側70mm、最短撮影距離(0.38m)、グっと寄って撮影。
やっぱり美しい。
ピント面はシャッキリとしながら、背景がふわり柔らかくとろけるのが気持ちいい。
次は、望遠側70mm、最短撮影距離(0.38m)のまま、APSCサイズにクロップして撮影。
バラの美しさと、そして、背景ボケの美しさが際立ってくる。
さあ次は、望遠側70mm、最短撮影距離(0.38m)のまま、APSCサイズにクロップして撮影し、さらに超解像ズーム(2倍)で撮影。
トロリ。
気持ちがいいボケ力。
さあここで、FE 24-70mm F2.8 GMⅡにバトンタッチ。
同じバラを、同じように撮影してみる。
まずは、望遠側70mm、最短撮影距離(0.30m)、ググっと寄って撮影。
トロッしている。
背景が優しい。
次は、APSCサイズにクロップして撮影。
迫力が出てきた。
ダイナミック。
かなりの迫力で撮影できた。
お分かりでしょうか。
それでは、並べてお見せしたいと思います。
まずは、望遠側70mm、最短撮影距離で撮影。
並べてみると、その差が歴然。
望遠70mm側で最短撮影距離が0.30mであるFE 24-70mm F2.8 GM IIは、最短撮影距離が0.38mであるFE 24-70mm F2.8 GMに比べ、かなりバラに寄って撮影でき、さらには、背景のボケの大きさもかなり大きい。背景のトロリ感が、圧倒的にFE 24-70mm F2.8 GM IIの方が強い。
これは….
愛するFE 24-70mm F2.8 GM、その写りは間違いなく美しい。でもやはり、FE 24-70mm F2.8 GM IIの圧倒的な背景のトロリ感には叶わない。
APSCサイズにクロップしたものも比較してみる。
さらに、超解像ズームしたものも比べてみよう。
比べてみると差が歴然。撮影しているときは正直ここまでの違いは感じられず、画像を戻しては比較してみたのだけれど、あまり分からなかった。でも、こうやって並べてみるとここまで違うことにびっくりする。1本で幅広い範囲を写すという意味を考えると、FE 24-70mm F2.8 GMに比べてFE 24-70mm F2.8 GM IIはかなりの広範囲においてさらに万能に撮影できるレンズだと言えるだろう。
シャッキリとトロリを楽しむ
鎌倉を思いのままに歩いていろいろ撮影した。
しっとりとビターなイメージでも撮影。
おわりに
FE 24-70mm F2.8 GM IIは、予想以上の変化を遂げていた。従来機種(FE 24-70mm F2.8 GM)に比べ、とても軽く、小さく、そして、トロトロのボケを撮ることができた。もちろん従来機種のFE 24-70mm F2.8 GMの描写は美しい。でも、やはり、FE 24-70mm F2.8 GM IIは新世代のレンズだ。この変化は大きい。
例えば、取材に行ったとき、マクロレンズを使わずとも被写体にぐっと寄れてここまで大きくトロトロのボケを描くことができるのは強い。お花を撮影するとき、料理を撮影するとき、何か寄りで撮影するときにサッとこれだけの柔らかさを描けるのは強い。さらには、広角側も美しいのだからなおさら。
これは…。私は、とてもFE 24-70mm F2.8 GMを好きだけれど、でも、これは買い替え対象になり得る。十分なり得る。次にパソコンに向かったら、ポチッとしてしまうかも知れない。
そんなことを思いながら、帰り支度を始める。
さあ、帰ろう。
カレーを食べて帰ろう。
魚の香りが効いたとっても優しいお味のカレー。
チキンとポークビンダルーのあいがけ。
テーブルに着席してこの美しさで撮れるのは嬉しい。
寄れるレンズの証だ。
ちなみにお料理を撮るときは、窓側を向いて光を入れて撮ると表面が輝いて美味しそうに輝く。カレーもジューシーにキラキラと輝く。
家に帰ったら、
きっとポチッとしてしまうのだろうな。
■取材協力:長谷CURRY 露坐
神奈川県鎌倉市長谷1丁目15-13
0467-40-3320
長谷CURRY 露坐(桑田 大輔)(@dkuwata4955)
■写真家:山本まりこ
写真家。理工学部建築学科卒業後、設計会社に就職。25歳の春、「でもやっぱり写真が好き」とカメラを持って放浪の旅に出発しそのまま写真家に転身。風通しがいいという意味を持つ「airy(エアリー)」をコンセプトに、空間を意識した写真を撮り続けている。
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