ソニー FE 50mm F1.2 GM×ポートレート|最高のボケと描写のお散歩レンズ
はじめに
こんにちは。フォトグラファーのあらまことです。今回はSONYの単焦点レンズ「FE 50mm F1.2 GM」のレビューとして、ポートレートでこのレンズを使用した場合の使用感についてお話しします。レビューに入る前にこのレンズの特徴を端的に申しますと、「最高のボケと描写のお散歩レンズ」と私は感じました。なぜそう思うかをお話ししていきたいと思います。
圧倒的ボケ感で街撮りも気軽に
まず、こちらのレンズはSONYレンズ最高峰のG Masterかつ、その中でも初めて開発された「F1.2」の性能を持つレンズとなります。Fというのは絞りという設定の数値であり、Fの値は小さければ小さいほどボケ感は強くなり、明るく撮影ができるという特徴があります。
そのため「F1.2」というのは、世の中にあるレンズの中でも圧倒的にボケ感を楽しむことができるレンズというわけです。ポートレートにおいて、ボケ感というのはとても大切な要素の一つです。
背景を綺麗にぼかしてくれるレンズは、見せたい被写体の立体感を高め、より綺麗に浮かび上がるように見せてくれます。
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■撮影環境:F1.2 , SS1/4000 ,ISO100
■モデル:佐咲日菜
こちらの写真のように、繁華街の中心で撮影していても背景に写っている物を綺麗にぼかしてくれるため、街撮りでも被写体を綺麗に切り取ってくれます。
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■撮影環境:F1.2 , SS1/5000 ,ISO100
■モデル:佐咲日菜
また、同じ場所で下から煽るように撮影しても背景に映るビルなども綺麗にぼかしてくれるので立体感を得ることができますし、看板のような情報が多い物体も、目立たなくさせてくれるので、モデルさんにしっかり目がいくと思います。やはり「F1.2」の立体感はすごいなと、撮影後に改めて写真を見返したときに痛感しました。
レンズの構造上、少し絞ってF値を大きくした方が解像度が上がると一般的に言われていますが、 このレンズはF値をいっさい絞らず、F1.2の開放絞り(1番小さい値)にしていても、 これだけ綺麗に解像してくれます。
さすがSONYの最新技術を詰め込んだG Masterレンズは凄いと思わせてくれる力強さを持ったレンズだなと感じました。
逆光耐性の高さ
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■撮影環境:F1.2 , SS1/8000 ,ISO100
■モデル:佐咲日菜
このレンズを使用した際に驚いた事の一つとして、逆光での撮影をしっとりと綺麗に撮影できる点です。「ナノARコーティングII」というコーティングによって、高い逆光耐性を実現しているため、太陽光が強く入り込む逆光での撮影でも綺麗な描写での撮影を可能にしています。
こちらの写真のように、光源である太陽の光を滑らかに撮影できているので、とても綺麗に光がふわっと被写体に降り注いているように撮影できていると思います。
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■撮影環境:F1.2 , SS1/8000 ,ISO100
■モデル:佐咲日菜
カメラの角度でレンズに入る光の量を調整することもできますので、逆光撮影でゴーストやフレアの発生を極力防ぐことも可能ですし、わざとフレアを発生させて、ふわっと撮影したとしてもわざとらしくない綺麗な表現をしてくれます。撮影者の意図をしっかりと汲み取ってくれる素晴らしいレンズだと思いました。
最強のお散歩レンズ
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■撮影環境:F1.2 , SS1/2500 ,ISO100
■モデル:佐咲日菜
50mmという焦点距離は、一般的には標準レンズと呼ばれます。標準というのは僕らの視野の画角に近いことを示していて、50mmはその中でも1番人間の目の画角に近いと言われています。そのため直感的な距離感の調整が可能で、散歩をしながらパッと撮影するにはとても撮影のしやすい画角となります。
私も主に標準レンズを使用して仕事を行うことが多いので、このレンズの画角はとても使いやすかったです。そして何より、「F1.2」によって得られるボケ感は中望遠レンズにも引けを取らない綺麗なボケを与えてくれます。
ポートレートでは85mmや135mmなど中望遠の焦点距離のレンズを使用する方も多いと思います。なぜかというと、レンズの特徴として望遠になればなるほどボケやすくなり、より背景を綺麗をぼかす事ができ、人にグッと目がいく写真を撮る事ができるからです。
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■撮影環境:F1.2 , SS1/6400 ,ISO100
■モデル:佐咲日菜
ですが、中望遠レンズとあるように望遠レンズはある程度モデルさんとの距離を取る必要があり、散歩しながらパッとそばにいるモデルさんを撮影するのはなかなか難しいものです。そのため、散歩しながら気軽に撮影できる距離感で、かつここまでのボケを作ってくれるこのレンズはとてもお散歩撮影に向いているなと感じました。
また、「F1.2」という大口径レンズにも関わらず小型で、重さも約778gと昔のレンズであればこのスペックでは考えられない軽さのレンズです。ここが本当に嬉しい。高性能なレンズは比較的大きく、重くなりがちなのでここまで小型だと、常につけておく常用レンズとしても役に立ちそうです。
上記を踏まえて、ここまで小型軽量で、大きなボケを散歩しながら楽しめるこのレンズは「最強のお散歩レンズ」と言っても過言ではないのかなと思います。
寄りのポートレートを撮る際に
「F1.2」で寄りで撮影する際は、顔のパーツのどこをみてほしいかを気を付けつつ撮影しています。それはなぜか。それをお伝えする前に、ピントの調整に関して考えてみましょう。
カメラの設定において、F値は小さければ小さいほどピントが合っている部分が浅くなるという現象が起きます。このため、F値を小さくするとボケやすくなるという現象が起きます。
これは被写体に寄った時に特に大きく影響を及ぼします。それは、F値が小さいとピントを合わせた部分以外全てボケてしまうということです。
そのため、寄りで顔全体にピントを合わせ撮影する際は少しF値を大きくして、ピントが合っている部分を深くすることで顔全体にピントを合わせるといった工夫をします。
逆に見せたいパーツだけをみて欲しい場合は、F値を小さくして、見せたい部分だけにピントを合わせて視線を誘導します。
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■撮影環境:F1.2 , SS1/8000 ,ISO100
■モデル:佐咲日菜
では、見せたいパーツを決めましょうとお伝えしましたが、こちらの写真を見てください。おそらくモデルさんの光が当たっている左目に目がいくかと思います。
今回の写真では、この左の瞳に目線を持っていかせたかったので、「F1.2」の設定にして瞳の立体感を強調しています。このようにすることで見せたい部分をよりはっきり映し、他に目をいかせないように工夫しています。
このように低いF値を設定できるという利点は、見せたい被写体をどう表現するかを決める際の選択肢の幅を大きく広げてくれるので、このレンズは本当にすごいなと感じました。
また、このように見せたい部分へ素早く正確にピントを合わせてくれるのは、このレンズの持つAF性能の高さのおかげでもあります。本来であれば難しい小さいF値での撮影も、このレンズであれば安心して臨めるため、静止画だけでなく動画でも最大限に効果を発揮してくれるでしょう。
夜間撮影もより明るく
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■撮影環境:F1.2 , SS1/320 ,ISO500
■モデル:佐咲日菜
カメラを使って撮影する際に難しいなと思う場面として、夜間撮影が挙げられると思います。夜間撮影ではシャッタースピードを比較的遅い設定にして、ブレないようにしっかり握って撮影するというのが一般的ですが、やはり難しいですよね。
そんな中で、「F1.2」のレンズの恩恵の一つとして暗い環境でも明るく撮影ができるというメリットが挙げられます。F値の設定は小さければ小さいほど、より多くの光を取り込む事ができるので明るい写真を撮る事ができます。
そのため、暗い夜の環境でもシャッタースピードをそこまで遅くしないで、ISO感度をそこまで上げる事なく明るく撮影する事ができるので、ノイズをより少なく、ブレを恐れないで夜間撮影ができます。
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■撮影環境:F1.2 , SS1/80 ,ISO640
■モデル:佐咲日菜
まとめ
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■撮影環境:F1.2 , SS1/250 ,ISO500
■モデル:佐咲日菜
このレンズを使用して、私の写真はどのように変化したかまとめると
(1)立体感が圧倒的に増し、被写体をはっきりと見せてくれる。
(2)ボケを使って、今まで避けていた方向から撮影が可能。
(3)逆光で撮影した写真の仕上げがより綺麗に爽やかに。
(4)暗い環境でもブレをあまり意識しないで撮影ができる。
(5)どんな環境でも散歩しながら圧倒的描写で撮影が可能。
のように感じました。
このレンズを使う事で表現力の幅を広げてくれると感じ、今後もとても使いたくなりました。
SONY最高峰レンズのため、値段もとても高価ですがそれだけの撮影体験を実現させてくれる一本だなと実感しました。このボケと立体感は唯一無二だと思うので、SONYユーザーの方はとにかく是非触って体験してほしい。この至高のレンズを常につけて、散歩しながら写真を撮れたら最高だなと思いました。私も購入を検討しようと思います。
この記事を通して、このレンズの素晴らしさだけでなく「F1.2」の世界というのがポートレートに対して何をもたらしてくれるのかが伝わってくれたら幸いです。
■モデル:佐咲日菜
■写真家:あらまこと
神奈川県生まれ。関東を拠点に活動。ポートレート、スナップを中心にファッションや広告案件、出張撮影でのウェディング撮影などで活動している。SNS総フォロワー6万人以上を有し、SNSでの発信力を活かしながら写真活動の幅を広げている。