ソニー FE 50mm F1.4 GM レビュー|葛原よしひろ

葛原よしひろ
ソニー FE 50mm F1.4 GM レビュー|葛原よしひろ

はじめに

 SONYから新しく発売されたEマウントフルサイズミラーレス用レンズ、FE 50mm F1.4 GMのレビューをさせて頂きます。

 このレンズは標準50mmレンズなのですが、SONYからはEマウントフルサイズ用の単焦点50mmが現在5本発売されており、今回のレンズが6本目という事になります。これだけあれば用途や予算に合わせて選べますし、流石SONYのEマウントは充実のラインナップだと感心させられます。

 今回のFE 50mm F1.4 GMは、その中でもハイラインのGMシリーズという事で性能的にも期待大なので、作例を交えながらレビューしていきたいと思います。どうぞ最後まで読んでください。

FE 50mm F1.4 GMでポートレート撮影

■撮影機材:ソニー α7R V + FE 50mm F1.4 GM
■撮影環境:1/8000秒 f/1.4 ISO800
■モデル:赤羽美妃

 開放絞りF1.4の明るい標準50mm単焦点レンズはノンジャンルな撮影に向いておりますので、色々なジャンルの撮影をしてみました。先ずは開放F1.4のボケ感を伝えやすいポートレート撮影からです。背景に敢えて硬い建造物を選んでみましたが、レンズ構成11群14枚、11枚羽根の円形絞りの柔らかいボケ感が優しい雰囲気を演出してくれます。

■撮影機材:ソニー α7R V + FE 50mm F1.4 GM
■撮影環境:1/25秒 f/1.4 ISO125
■モデル:りなぽそ

 この写真の撮影時、この場所は薄暗いガレージの蛍光灯のみで撮影しているのですが、実際の撮影環境より明るく撮影するために絞り開放F1.4、シャッタースピードを1/25秒に設定して露出をプラス側に補正して撮影しています。

 しかし、最新鋭の瞳AFと高性能な手ブレ補正機能の恩恵で、手持ち撮影での撮影が可能でした。進化したボディ側の最新機能を余すことなく使えるのは、最新鋭レンズの強みです。

FE 50mm F1.4 GMで風景撮影

■撮影機材:ソニー α1 + FE 50mm F1.4 GM
■撮影環境:1/1000秒 f/11 ISO500

 次は風景撮影に使用してみました。

 この日はよく晴れており、琵琶湖畔も気持ち良い気候に恵まれた絶好の撮影日和でした。ポートレート撮影時に開放絞りF1.4でも解像感が高いと思っておりましたが、絞ると更に解像感が増し、風景撮影でも繊細かつ高解像な画質を得る事が出来てとても満足な結果でした。

 このように、琵琶湖沖に浮かぶ多景島辺りの一部分をトリミングしてみたのが次の写真になります。

■撮影機材:ソニー α1 + FE 50mm F1.4 GM
■撮影環境:1/1000秒 f/11 ISO500

 かなりトリミングして拡大してみると、トリミング前の画像では確認が難しい多景島の建造物や残雪の残る山肌、湖岸のアオサギたちがハッキリと写っていて、レンズの解像感の高さが解ります。

■撮影機材:ソニー α1 + FE 50mm F1.4 GM
■撮影環境:1/400秒 f/8 ISO160

 湖岸のベンチに優しい光が淡く当たっていて春の訪れを感じます。こういった微妙で難しいコントラストを活かした写真を撮影するためには表現力の高いレンズが必要になるのですが、FE 50mm F1.4 GMは正にそういう時に使いたくなるレンズだと思いました。

 こちらは夕暮れの湖岸で撮影した動画になります。始まりが最小絞りなので真っ暗ですが絞りリングが搭載されているので、手廻しで開放側に廻して徐々に明るくなるように撮影しました。その際に便利なのが、絞りリングのクリックON/OFF切替スイッチになります。

 静止画の撮影では慣れも有るのでクリック有りの方が撮影し易く、動画でこういう使い方をする時にはクリック無しにワンタッチで設定出来るのは便利です。

■撮影機材:ソニー α7R V + FE 50mm F1.4 GM
■撮影環境:1/1000秒 f/9 ISO100

 このレンズの逆光耐性の性能は本当に素晴らしく、写真の通り太陽を真正面に構図に取り入れてもナノARコーティングIIが施されていることで、フレアやゴーストが発生しづらく頼もしい限りでした。

■撮影機材:ソニー α1 + FE 50mm F1.4 GM
■撮影環境:1/1000秒 f/8 ISO200
■撮影機材:ソニー α7R V + FE 50mm F1.4 GM
■撮影環境:1/200秒 f/3.5 ISO500

 このレンズを使用していて気付いたのですが、とても発色の良いレンズであることは間違いないのですが、特に青色の発色性能が豊かという印象を持ちました。朝の青、昼の青、夕方の青、空の青、水の青、全ての青の空気感まで表現してくれる感じがしました。

FE 50mm F1.4 GMで飛行機撮影

■撮影機材:ソニー α7R V + FE 50mm F1.4 GM
■撮影環境:1/4000秒 f/4 ISO100

 飛行機撮影では、高速移動する機体を追い続けながらピントも合わせる必要が有るので高速なAFシステムが必要になるのですが、最新のXDリニアモーターが2基搭載されているので、撮影時にはノーストレスで構図に集中してシャッターを切る事が可能でした。

 描写面では、青空に映える白い機体の線のシャープさが、このレンズの性能を表していると思いました。それに加えて機体の細かな部品まで解像しています。

FE 50mm F1.4 GMでスナップ撮影

■撮影機材:ソニー α7R V + FE 50mm F1.4 GM
■撮影環境:1/2000秒 f/1.4 ISO100

 滋賀県米原市の醒ヶ井で全て開放絞りF1.4で、スナップ撮影をしてみました。

 醒ヶ井の人気スポット「たち季」さんにて、印象的な丸窓をボカし、そよ風に揺れる暖簾にピントを合わせてみました。ポートレートのくだりでもお話しさせて頂きましたが、絞り開放の優しいボケは、とても好みなので多用して撮影したくなります。勿論ピント面の解像感も流石GMレンズと言わんばかりに開放から高くて、それも相まって立体感の有る表現が可能になります。

■撮影機材:ソニー α7R V + FE 50mm F1.4 GM
■撮影環境:1/200秒 f/1.4 ISO100

 室内の隅にあるランプが照らす壁の模様をボカし、露出を落として撮影してみたのですが、開放値の明るいレンズを使用する事で暗い場所でのAF撮影で精度の高いピント合わせが可能になり、楽に撮影することが出来ました。

■撮影機材:ソニー α7R V + FE 50mm F1.4 GM
■撮影環境:1/2000秒 f/1.4 ISO100

 川に日の光が当たる部分だけ水中の藻が透けていて、この川の水の透明感が伝わってきます。このレンズの発色に助けられた1枚であるのは、ここまで読んで頂いたなら言うまでもないですね。

Planar T* FE 50mm F1.4 ZAとの比較

 色々撮影させて頂く内に、このレンズが50mm F1.4の高性能レンズとしてはかなり軽くて小さいので、撮影時に疲れる事が無いことに気付きました。SONY Eマウントにはフルサイズ用、単焦点の50mmだけで今回のFE 50mm F1.4 GMを含めると6本発売されており、SONY Eマウントの充実ぶりが伺えるのですが、その中でもF1.4という同じ焦点距離と開放値のPlanar T* FE 50mm F1.4 ZAレンズが発売されているので少し比較してみたいと思います。

 まずFE 50mm F1.4 GMが11群14枚、幅80.6mm、長さ96mm、フィルター径67mm、重さ516gに対してPlanar T* FE 50mm F1.4 ZAでは幅83.5mm、長さ108mm、フィルター径72mm、重さ778gと全ての面で小型軽量化されている事が解ります。AFの駆動スピードもXDモーターを2基搭載しているGMレンズが圧倒的に速いです。Planar T* FE 50mm F1.4 ZAは機能的には、AF/MF切替スイッチと絞り環のみ搭載されておりシンプルな外観になっていて、多機能なFE 50mm F1.4 GMとはかなり違った印象に感じます。

 しかし、レンズ選びとは不思議なもので数値的な性能差だけでは量れない部分が有ります。Planar T* FE 50mm F1.4 ZAは通称ソニーZEISSと呼ばれる、れっきとしたZEISSレンズでありますので、ZEISSレンズの出す画が好きな御方にとっては代え難いレンズだったりもするわけです。

さいごに

 FE 50mm F1.4 GMの機能面ですが、GMレンズの証である赤いバッジが誇らしく、その真下とレンズ上面の2か所には他の機能に割付可能なフォーカスロックボタンが配置されています。AF/MF切替ボタンと絞りリングは勿論のこと、前述の絞りリング操作時のクリックON/OFF切替スイッチや、絞りリングの誤動作防止のIRIS LOCKスイッチも搭載されています。

 というわけで時代の進化も感じつつFE 50mm F1.4 GMをレビューさせて頂きましたが、静止画と動画を撮影する方を始め、ストレスフリーで思い通りの表現を高画質で楽しみたいという方にはとてもオススメのレンズでした。

 

 

■写真家:葛原よしひろ
ジャンルに捉われず何でも撮影するマルチプレイヤースタイルの写真家。カメラメーカー等の写真セミナー講師としても全国的に活動している。大阪芸術大学写真学科卒/滋賀県高島市公認フォトアドバイザー/JPS(日本写真家協会)正会員

 

 

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