ソニー FE 70-200mm F2.8 GM OSS レビュー|αユーザーなら是非持っておきたいレンズ
はじめに
FE 70-200mm F2.8 GM OSSは、2016年9月末に発売されたGマスターのズーム全域で開放F値2.8を実現したEマウント望遠ズームレンズ。200mm側の開放F2.8の明るさを活かしたボケを存分に楽しめるポートレート撮影や、室内スポーツなどには、F値の明るさを活かしてシャッター速度を稼げるレンズです。発売されて3年以上経過していますが、改めてその魅力と使い勝手をご紹介いたします。
FE 70-200mm F2.8 GM OSSの魅力
FE 70-200mm F2.8 GM OSSは、ソニーのEマウントレンズの中でもGマスターと呼ばれるソニー最高峰のレンズ。独自の「ナノARコーティング」を採用しており、逆光時に発生しやすいフレアやゴーストの発生を軽減し、とてもクリアな描写をするレンズで、Gマスターレンズの中でも人気のレンズです。筆者も発売直後から愛用しているお気に入りのレンズで、どんな撮影にも必ず持って行く1本です。
レンズの重量は1480gとなり、同じズーム領域のFE70-200mF4Gと比較すると約1.7倍の重さで一回り大きいサイズになりますが、絞り開放のF2.8はその重さが苦にならないほどのメリットを感じます。
特にこのFE 70-200mm F2.8 GM OSSは、1.4倍、2倍のテレコンバーターを使用できるため、レンズの焦点距離を変え、撮影の幅を広げることも可能になります。筆者も2倍のテレコンバーターSEL20TCを愛用しており、FE 70-200mm F2.8 GM OSSを持ち出すときは必ず一緒に携帯するようにしています。
FE 70-200mm F2.8 GM OSSの最大の魅力は、やはり何と言っても望遠領域で絞りF2.8のボケの美しさです。人物撮影はもちろんの事、動物・ペット、スポーツ、風景・花などのあらゆるシーンで魅力を見せつけてくれます。
例えば動物園などでの撮影は、望遠効果と浅い被写界深度でフェンスなどの網をキレイに消す事が出来たりします。下のクジャクはかなり細かい網目のフェンス越しで撮影しましたが、フェンスにレンズを近づけて絞りを開放にする事でフェンスを消し去ってイメージ通りに撮影する事ができました。
F2.8開放で得られる大きなボケは、背景を景色ではなく色として表現する事ができるので狙った被写体を浮き立たせる効果絶大です。
大きな前・後ろのボケを演出できるので、ピントを合わす位置の工夫で、大きな奥行き感を表現することもできます。
絞り開放で撮影しても描写は素晴らしく、柔らかさの中にくっきりとしたシャープさを持ち合わせています。
絞ればシャープ差は増し、夜の工場などの機械的な風景を切り取って演出や自然風景の造形美を精密に演出することも可能なレンズです。
室内での撮影ではF2.8の明るさが武器になる。動きの速い被写体を確実に止めて撮るためISO感度を上げて撮影することになるが、それもやはり限界がある。そんな時に1段でも2段でも速いシャッター速度を切れるF値の明るいレンズが有効になります。下の写真は水族館でのイルカショーで、ジャンプしたイルカを止めて水飛沫を演出するにはシャッター速度1/1000秒は欲しいところ。ISO感度を6400まで上げて、絞りF2.8開放でギリギリのシャッターの速度で見事にイルカの動きを捉えることができました。
FE 70-200mm F2.8 GM OSS+2xテレコンとFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSの比較
FE 70-200mm F2.8 GM OSSのもう一つの魅力は、テレコンバーターとの組み合わせ。テレコンバーターを使用すると、AFのスピードが遅くなることや解像度が落ちるという声をよく聞きます。しかし、FE 70-200mm F2.8 GM OSSとの組み合わせで使用している際は、許容範囲内だと感じています。同じGマスターのFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSで撮影した画像と比較するのは、少々酷に感じますが少し比較してみました。
結果は当然ですが、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSを上まわる解像度を得られことはありませんでした。特に絞りF5.6では、かなり解像度の差が出てしまいましたが、絞りをF11 まで絞ってみると、FE 70-200mm F2.8 GM OSS+2倍テレコンバーターの組み合わせもかなり善戦しています。少し絞れば実用的には問題ないレベルです。
下の写真はブルーインパルスの展示飛行をα9とFE 70-200mm F2.8 GM OSSに2倍テレコンバーターで撮影したものですが、α9との組み合わせではオートフォーカスの食いつきも問題なく被写体を追随してくれました。
旅行先で撮影したコウノトリ。当初の目的外だったので、慌ててFE 70-200mm F2.8 GM OSSに2倍テレコンバーターを使い400mmの撮影。オートフォーカスも確実にコウノトリを追随し、野鳥撮影にも対応でき迫力満点の写真になりました。
動物園では小さな動物もテレコンバーターを付ける事でよりアップに撮影することもできます。
まとめ
筆者も実際に、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSが発売されるまでは、FE 70-200mm F2.8 GM OSSに2倍テレコンバーターとのセットで通常撮影していましたし、今も使う事もあります。
しかし、400mmといった望遠をメインで野外スポーツや航空機の撮影などするユーザーは、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSを選択する方が良いと思います。
ただ、ポートレートや風景、スナップなどをメインに撮影する方は100-400mmの焦点距離で撮影する機会があまり無いのかな?と思います。F2.8という明るい絞り値の良さを活かしながら、たまにもっと望遠が欲しいタイミングがあるユーザーにはFE 70-200mm F2.8 GM OSSにテレコンバーターをセットで撮影する方が良いと思います。テレコンバーターはとても小さくて持ち運びもしやすいアイテムなので、カメラバックに入れておいてもそれほど邪魔にはなりません。いざという時に十分に活躍できる組み合わせです。
FE 70-200mm F2.8 GM OSSは、様々なジャンルでの撮影に対応できるレンズです。αユーザーなら是非揃えておきたいレンズです。