ソニー FE 85mm F1.4 GM II レビュー|ペトグラファー 小川晃代

はじめに
私が良く使うレンズの一つに85mmがあります。
旧型のFE 85mm F1.4 GMを購入して以来、そのボケ味の美しさに魅了され愛用してきました。
そこに満を持して登場したのがFE 85mm F1.4 GM II。かなり前から発売の噂はありましたがついに昨年発売されましたね。Ⅱ型はやっぱり気になりますし、周りの愛犬家愛猫家の皆様からも良く問い合わせを受けるレンズなので、今回沢山使ってみました。
旧型と新型の違い
実際に触ってみたFE 85mm F1.4 GM IIの印象は、割とコンパクトになったなという事とビックリするくらいに軽い!という事。解放値がF1.4のレンズとなると大きく重くなってしまう物だと思っていましたがこんなに軽いとは!と、まずは驚きました。
旧型と比べてみると全長はほとんど変わらないのですが、口径が小さくなったのでぱっと見もかなりコンパクトに見えます。数字で見ても旧型の質量が820gに対しⅡ型は642gと約20%の軽量化とは本当にすごいです!
旧型を使用している時にしばしば思う事が、重いから今日は85mmを置いていこう!
という決断。でもⅡ型はその心配が無いレンズなんです。それだけで私にとっては大きなメリットと感じました。


■撮影環境:ISO320 SS1/500 F1.6
わんこが飼い主さん目線になった所を撮影。
もう一つの大きな改善点はAF精度です。
85㎜レンズは止まっている被写体のポートレート撮影で使う物と思って今までも使っていたので、そこまでAFの精度を気にしてはいませんでしたが、Ⅱ型を使ってみてAF精度の良さを感じました。
ペット撮影では人物ポートレートとは違い、わんこやにゃんこが動く事もあります。
そんな時、旧型では少しピント合わせが遅いなと感じたのに対し、Ⅱ型はそう感じる事が一度もなかったのです。なので、どのシーンにおいてもサクサク撮影が出来たのが嬉しかったです。

■撮影環境:ISO640 SS1/800 F1.4
こちらに向かって歩いてくる所を撮影。

■撮影環境:ISO2000 SS1/1600 F2.8
走り出しの瞬間を撮影。暗い中でもしっかりピントが合った。
ボケ味について
ボケ味は変わらず最高です!85mmのとろけるようなナチュラルなボケ味はやっぱりいいですね!背景をぼかして被写体を引き立たせる撮影をしたい私にとって85mmレンズは神レンズです。室内で背景と被写体との距離をあまり離せない時だって、このレンズがあれば美しくぼかしてくれます。

■撮影環境:ISO250 SS1/400 F1.4
背景のボケ味もさることながら、写真から伝わる空気感が良い。

■撮影環境:ISO250 SS1/400 F1.4
斜め後ろの窓から入る自然光を感じるようにフレーミング。

■撮影環境:ISO500 SS1/400 F1.4
壁との距離は割と近いがしっかりボケていて美しい。
美しいボケ味に酔いしれながら前ボケも追加して撮ってみた作品。
ピントが合った目はとてもシャープに、そこからふわっと柔らかいボケ味が広がるこの感じ、本当に好きです。
その場の空気感も見た目通り又は見た目以上に良く表現してくれるレンズ。ペットのポートレート撮影には欠かせないレンズです。

■撮影環境:ISO125 SS1/1000 F1.6
白いシーツがレフ板効果にもなっていて全体的に光がキレイにまわっている写真。

■撮影環境:ISO160 SS1/1250 F1.4
アイアンベッドの側面のハート模様を前ボケに入れた作品。
ちょっとアップ目でも撮影してみましたが、瞳のうるおいや毛の1本1本もしっかり写し撮ってくれていますね。

■撮影環境:ISO1000 SS1/500 F1.6
ダックスの毛色とソファの茶色で同系色にまとめた1枚。

■撮影環境:ISO250 SS1/400 F1.4
ピントが合った目はシャープに!そしてそこから広がるボケ味も美しい。
にゃんこのこの何とも言えないキレイな瞳もしっかり描写できています。

■撮影環境:ISO500 SS1/400 F1.4
グラデーションがかったような何とも言えない瞳の美しさをしっかり描写出来た1枚
F1.4あれば室内の撮影もラクチン!少し暗い場所であってもそこまでISOを上げずに済むから使い勝手が良いんです。だから自然光が入りにくい空間だってキレイに撮影出来ます。

■撮影環境:ISO200 SS1/125 F1.4
光が届かない暗い場所でもしっかり描写

■撮影環境:ISO500 SS1/400 F1.4
アンティークな雰囲気の色味がお気に入り。
まとめ
今回、元気なわんこやにゃんこを撮影してみましたが、結論!ペットのポートレート撮影にピッタリのレンズ!うちの子は元気すぎるから、、、とか、荷物が多いから重いレンズはちょっと、、、、と諦めていた飼い主さんは特にFE 85mm F1.4 GM IIがおすすめです。
AF精度の向上により、元気な子でも瞬時にピントを合わせてくれるのでストレスフリー!ボケ味は言うまでもなく最高に美しいので、愛犬愛猫の美しい瞳や毛並もしっかい描写してくれます。屋外でも暗い室内でも使いやすいFE 85mm F1.4 GM IIを、是非一度皆さんにも試していただきたいです。

■写真家:小川晃代
トリマー・ドッグトレーナー資格を保持しペットやのら猫等小さな生き物撮影を得意とするペトグラファー。2006年に動物に特化した制作会社とペット&キッズ専門の写真スタジオ「アニマルラグーン」を設立。現在はカレンダーやカタログ、写真絵本の撮影をはじめ、写真教室の講師やペットモデルコーディネーターとしても活躍。『ゆるねこ×ブッダの言葉』(インプレス)、『ちいさいののちゃん』(講談社ビーシー)、『ねこもふ。ごーじゃす』『手乗りねこ』(宝島社)、『ねこの撮り方まとめました!』(日本カメラ社)、『こいぬ』『こねこ』(ポプラ社)、『ねこきゅう』(東京書店)などの写真集ほか、ペットカレンダーも多く手がけている。