ソニー FX3レビュー|シネマティックな映像を手に入れよう! ~ 山城淳一 ~
はじめに
こんにちは。山城淳一です。今回は僕が普段、動画撮影に使用しているSONYのCinema Lineシリーズ 「FX3」を作例と一緒にご紹介します。
FX3のお気に入りポイント
一番のお気に入りポイントは4K 120p、4:2:2 10bitで撮影できるところです。
4K 120pで素材の撮影をしておけば、編集時にいつでもスローモーションにできるので、映像表現の幅を広げることができます。
撮影前「このカットはスローモーションで使用する」など決めておけば、全ての素材を4K 120pで撮影する必要はないのですが、シネマティックVLOGやシネマティックポートレートムービーなど、その場の雰囲気や自然な表情を重視する映像表現では常に4K 120pで撮影することをおすすめします。
そして、編集時に素材の中からスローモーションにするカットを選ぶ方が自分の思い描いている世界観を表現しやすく、うまく編集やカット割が進む場合が多いです。
基本的に僕の場合は全ての素材を4K 120pで撮影し、編集の際にスローモーションにするカットを選んでいます。編集時の自由度と表現の幅広さを求めるなら常時4K 120pでの撮影をおすすめします。
それから4:2:2 10bitで記録できるところも気に入っています。
4:2:0 8bitに比べ、4:2:2 10bitは多くの色情報をサンプリングでき、色数の情報量も多いので、カラーグレーディング時に劣化が起こりにくく、好みの色に近づけやすいです。
■表現できる色数
8bit 約1677万色
10bit 約10億6433万色
また、FX3に限らずSONYのカメラ全般に言えることですが、AFが非常に正確です。FX3では4K 120pで撮影していてもリアルタイム瞳オートフォーカスがバッチリ被写体をとらえてくれるので、撮影中はジンバルワークや構図、光の入り方に集中して撮影できる点も気に入っているポイントの一つです。
FX3 作例の撮影セッティング
今回の撮影では、FX3にFE 24mm F1.4 GMを付け、DJI RS3に乗せて撮影を行いました。FX3とFE 24mm F1.4 GMが軽量コンパクトなので、ジンバルと合わせても約2.5kgの重量で、ワンオペでもスムーズに撮影を行うことができました。
カメラの設定は、
記録方式:XAVC HS 4K
記録フレームレート:120p
記録設定:280M 4:2:2 10bit
ホワイトバランス:4000K
LUT選択:s709
Log撮影設定:Cine EIモード
色域:S-Gamut3.Cine/S-Log3
FX3は2022年7月に公開されたVer.2.00のファームウェアからカメラ内でLUTを当てられるようになり、Log撮影時に露出や色味の確認ができるようになりました。
今までLog撮影時には色の浅いグレーのモヤっとした眠たい映像しか確認できなかったのですが、内蔵のプリセットLUTや自分でカスタムしたLUTを当てることで、ノーマライズされた状態や自分好みの露出やカラーに近い状態を確認できるようになりました。今までLog撮影ってわかりにくいと思っていた方にも、よりLog撮影を身近なものにするアップデートでした。
今回はSONYのLUT s709を選択してカメラのモニターで露出や色味を確認しながら、撮影を行いました。本当に便利な機能です。
※Log撮影を行うとダイナミックレンジが広く、色の階調を豊かに表現できます。
動画編集ソフト
僕は撮影後の編集はDaVinci Resolveでカット割とカラーグレーディングを行い、Final Cut Pro Xで最終編集と書き出しを行い、YouTubeにアップロードしています。ソフトに関しては好みで使いやすいものを選定すれば良いと思います。
α7S IIIとの比較
FX3とほぼ同じ機能を持つα7S IIIと、どちらを購入するのか迷われる方も多いのではないでしょうか。一番の違いは動画撮影に特化した外観とボタン配置です。
RECボタンが大きく押しやすくなっていたり、ズームレバーがあったり、IRIS(絞り)やWB、ISOのボタンが上部に配置されていたりと、動画撮影に特化した作りとなっています。
また、2022年7月に公開されたVer.2.00のファームウェアでは、カメラ内でLUTを当てることができるようになったり、Cine EIモードが搭載されたり、α7S IIIと比較して、より動画に特化したカメラにアップデートされました。
今までLog撮影時には色の浅いグレーのモヤっとした眠たい映像しかカメラのモニターで確認できませんでしたが、カメラ内でLUTを当てられるようになり、露出や色味などを確認することができるようになりました。それから、Cine EIモードというFX6やFX9などの上位機種に搭載されているLog撮影モードが追加されました。これはカメラの一番良いダイナミックレンジを確保できる2種類のBase ISO 800と12800で撮影できるモードです。よりノイズの少ないクリアな映像が撮影できるモードだと思ってください。
実はもともと僕はα7S IIIを使用していて、FX3が発売された後に乗り換えました。
理由はα7S IIIで写真を撮ることがほぼなかったという点と、リグを組まずにトップハンドルを利用できる点、長時間撮影してもシャットダウンしない構造。そして、もしかするとこれが一番の理由かもしれませんが、グレーでシックな外観が気に入った点です(笑)。それから、ネジ穴の空いた少し無骨な感じも気に入りました。
また、購入した時にはなかった機能がVer.2.00のファームウェアで追加され、個人的にはより手離せないカメラとなりました。
おすすめのユーザー
SONY FX3をお勧めしたいのは、本格的にビデオグラファーを目指す方はもちろんですが、これから動画を始めたいと思っているユーザーです。おそらく動画を始めたいと思っている方は自分の理想の映像が頭にあるはずです。その理想の映像を実現するために、出来ることの多い高性能なカメラはお勧めです。
初めてだからこそ、カメラの性能に頼って理想のシネマティックな映像を手に入れましょう。
まとめ
SONY FX3は軽量コンパクトな見た目からは想像できないパワフルな機能が詰まったシネマカメラです。4K 120p、4:2:2 10bitの素材が撮影でき、スローモーションの表現や好みのカラーグレーディングができる自分の理想を表現しやすいカメラだと思います。また、非常に正確なAFやアクティブ手ブレ補正を持った軽量コンパクトなカメラで、ジンバルやトップハンドルを使用した撮影も簡単に行えるビデオグラファーに最適なカメラです。
今回、FX3の魅力や特徴を整理してみると、ワンオペでシネマティックな映像を撮影するのに最適なカメラだなと改めて認識しました。これからもFX3を持ち出し、シネマティックな映像を制作していきたいと思います。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
■執筆者:山城淳一
福岡県在住。デザイン事務所を運営。地域や自治体、企業の思いを形にするクリエイティブな企画を得意とする。Beginning of cultureをテーマに写真、動画、WEB、SNS、イベントを複合的に展開し、それぞれの場所で新たな要素を生み出し続けている。