ソニー FX30|Cinema Line初のAPS-Cモデルが登場

ShaSha編集部
ソニー FX30|Cinema Line初のAPS-Cモデルが登場

はじめに

ソニーから映像制作用カメラのCinema Line(シネマライン)にAPS-Cセンサー(Super 35mm)を搭載した「FX30」を2022年10月14日(金)に発売するとアナウンスがありました。Cinema Lineでは初のAPS-Cセンサーサイズのカメラとなり、有効約2010万画素※の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。6K相当の豊富な情報量から4K映像を出力するオーバーサンプリングが可能で、4:2:2 10bitでの4K撮影や4K 120P※での映像表現を気軽に楽しめるようになってます。

昨年3月に登場したFX3とは有効画素数やセンサーサイズ由来の性能は異なりますが、外観デザインは同様で、「S-Cinetone」などの優れた映像表現も踏襲されています。また、昨年12月に発売されたα7 IVに搭載されたブリージング補正やフォーカスマップといったαシリーズの最新の撮影機能も搭載。FX30のセンサーが小型な分、レンズ含めたシステム全体がコンパクトで機動性に優れ、更に大幅なコストダウンも実現していますので高性能なCinema Lineのカメラがとても身近になったのを感じました。今回はソニーストア銀座の先行展示機(サンプル機)を触ってきましたので是非ご覧ください。

・FX30:246,510円(税込)※
・FX30 ハンドルユニットセット:296,010円(税込)※
・FX3 :494,010円(税込)※

※2010万画素は動画撮影時の有効画素数。静止画撮影時は有効約2600万画素。
※4K 120p撮影時は約38%画角がクロップします。
※価格は2022年10月4日現在のキタムラネットショップ価格

 

外観と操作性

外観は上面左にある「FX30」という製品名と、ケージを使う事なくアクセサリーを装着する為に開けられたネジ穴の色以外はFX3と同様の筐体で、上面がフラットでファインダーのないシンプルなデザインになっています。また、今回メカシャッターがなくなり電子シャッターでの1コマ撮影のみ可能となっており、より動画中心のつくりになっているのが伺えます。

堅牢性に優れたフルマグネシウム合金ボディが採用され、外寸もFX3と全く同じ幅129.7×高さ77.8×奥行84.5mm。重量は本体のみで562gとなっていて、こちらはFX3より約70g軽量になっています。ボディ単体でFX30とFX3を持ち比べてみると、重量の差は少ししか感じられませんが、レンズ含むシステム全体を考えると、運用時には非常に軽くなった事を感じる事が出来ると思います。

3型約236万ドットのタッチパネル式バリアングル液晶モニターを搭載しています。FX3では約144万ドットでしたので、今回とても映りの良い液晶モニターになっていることに驚かされます。ファインダーがない分ここの映りが良くなるのはとてもありがたいですね。

ボディーには上面3か所、左右それぞれに1か所の計5か所にネジ穴(1/4-20UNC)が開いており、ケージを使うことなくアクセサリーを直接ボディーに装着する事が可能です。

冷却ファンのおかげで4K 60pで最大で13時間の連続撮影する事ができるようになっているようです。ファンはオート/最小/記録時Offから選択できるようになっていますので、スタジオなどの周りが静かな状況でも安心して撮影に集中する事ができます。

左はボディー単体、右はXLRハンドルユニット同梱モデル

販売ラインナップはXLRハンドルユニットが同梱されているものとボディー単体の2種類。XLRハンドルユニットにはXLR端子を2基備えたデジタルオーディオインターフェース対応XLRアダプターを搭載しています。別売のXLRマイクとの組み合わせでデジタル信号をカメラに伝送できます。本体側の設定により、デジタル4CHや24bitでの音声収録もサポート。また、XLRハンドルユニットにもネジ穴が3つ(上面2、後ろ1)ありますので、更なる拡張が可能です。

XLRハンドルユニット

タリーランプがカメラの前面、背面、天面の計3箇所にあり、加えて動画記録中はモニター画面も赤枠を表示することで、自撮りしている時や、リグやジンバルを装着して画面が見づらい場合でも、記録中かどうかすぐに見分けることができるので安心です。

グリップを握って人差し指で操作する位置にはズームレバーが配置されており、対応する電動ズームレンズの「光学ズーム」の操作はもちろん、単焦点レンズ装着時にも画質劣化の少ない画像処理による「超解像ズーム」や「デジタルズーム」も行えます。

上面はフラットですっきりしたデザインになっており、一眼ミラーレスにあるような撮影モードダイヤルや露出補正などのダイヤルは無くなり、動画撮影に適したボタンやレバーが右側にレイアウトされています。右上に(1)IRIS「絞り」、(2)WB「ホワイトバランス」、(3)ISOが初期設定されたカスタムボタンが配置されており、その手前には大きなRECボタンがあります。

RECボタンは正面右下にもあり、ジンバルに乗せている時や自撮り中に、親指と人差し指でつまむかたちで押す事ができます。

グリップはとても深いのでしっかりと握る事ができます。また、親指をRECボタンにかけて撮影する時には、背面右上部にある突起に右手の甲がひっかかりずれにくくなっていて取り回しの良さを感じます。

上面同様に背面も操作ボタンは右側に集約されていますので右手のみの操作を可能にし、左手はレンズに添えてカメラを安定させることが出来ます。また少し見づらいかもしれませんが、右側の中央より少し下にあるリング状のダイヤル部分(コントロールホイール)には左側に「ZEBRA」、右側に「PEAKING」のカスタム可能な物理ボタンが配置されており、動画撮影に便利な操作性になっています。

グリップと反対側面の左側にはHDMIの大きいType-A端子が付いており、右側は上から順に3.5mmの音声入力端子、ヘッドホン端子、USB Type-C端子、マイクロ USB端子が装備されています。

動画撮影設定時の「メインメニュー」画面

カメラのステータスを一覧表示し、タッチ操作で設定値の変更が可能な「メインメニュー」を新たに搭載しています。動画、静止画それぞれの撮影モードにデザインが最適化されていてカスタム設定も可能です。

シネマの映像表現力

動画撮影時に有効約2010万画素となるAPS-Cサイズ(Super 35mm)のセンサーを搭載。これまでの同社APS-C機のα6400、α6600、ZV-E10に搭載していたものとは一線を画す新型のセンサーとなっていて、裏面照射型CMOSセンサーExmor Rと、最新の画像処理エンジンBIONZ XR(ビオンズエックスアール)を搭載する事で、6K相当の豊富な情報量を凝縮したオーバーサンプリングを可能にし、4:2:2 10bitで高品位な4K映像を出力でき、4K 120p※のハイフレーム動画のカメラ内記録にも対応しています。対応の外部レコーダーとHDMI接続することで、16bit RAW動画の出力が可能です。

※4K 120p撮影時は約38%画角がクロップします。

S-Cinetone

 上位機種であるFX3やFX6でも好評な、肌の色を美しく見せるスキントーンを中心としたルック「S-Cinetone」を搭載しておりシネマのようなルックを手軽に再現することができます。

ISO感度 / デュアル・ベースISO

ISO感度は100から32000迄を常用感度としており、S-Log3使用時は14+ストップの階調表現を可能にしています。またデュアル・ベースISOに対応していて、FX30では、ISO800とISO2500の時にノイズを抑えた撮影が可能で撮影環境の明るさに合わせてこの2つの基準ISO感度を使い分けることが出来ます。

Log撮影時はCinema Line上位機種にも搭載されている「Cine EI」、「Cine EI Quick」、「Flexible ISO」の3つの撮影モードでの設定ができ、デュアル・ベースISO(ISO800とISO2500)を任意やオートに切り替えたり、常用ISO800から32000を選択出来たりします。

好みのLUTで撮影が可能

お気に入りのLUTをPPLUT 1~4に設定して撮影する事で、カメラ内で映像としてそのまま記録されるため、編集時の色調整を簡略化することができます。

優れたAFと撮影性能

像面位相差とコントラストのハイブリットAFで浅い被写界深度でも、素早く動く被写体にも高精度に追従します。像面位相差AFでは画面のほぼ全域※の範囲で被写体を捉える事が可能です。またリアルタイム瞳AFを使うことで、被写体へのフォーカス合わせをカメラ任せに出来るので、画面の隅々まで気を配り撮影することが出来ます。

※像面位相差AFは水平方向 約93%、垂直方向 約97%をカバー

ブリージング補正

動画撮影中ピント位置を前後に動かした時に画角が少し変わる事をフォーカスブリージングと言いますが、本機では全画素超解像技術を活用し、フォーカスを動かした時も画角の変動を大幅に抑制することが可能です。ブリージング補正に対応したレンズの装着が必要になります。

フォーカスマップ

α7 IVにも搭載された被写界深度を可視化する「フォーカスマップ」機能が搭載されています。動画撮影時に被写界深度を視覚的に素早く確認することが出来ます。

手ブレ補正

光学式5軸ボディ内手ブレ補正「スタンダード」と、カメラに内蔵した高精度なジャイロセンサー、最適化されたアルゴリズムで手ブレ補正効果を向上させる「アクティブモード」を搭載しています。

「スタンダード」と「アクティブモード」の手ブレ補正の違いを確認する為にハンドルユニットは装着せず本体のグリップを握ってショールーム内を歩いてみました。本来はブレが起きないように、そろりそろりと歩くべきなのですが、今回はブレの確認の為にあえて、てくてくと普段通りに歩いてみましたが、「アクティブモード」では強力にブレが補正されているのを感じました。

左はスタンダード、右はアクティブに設定した時の撮影画角

カメラを固定してスタンダードとアクティブを切り替える事で画角の違いを確認してみました。アクティブに切り替えると画角は少し狭くなりましたが、個人的には想定内というレベルの変化でした。

メディアスロット

 デュアルスロットはCFexpress Type AメモリーカードとSDカードの両方を利用する事ができます。片方にCFexpress Type Aを入れて、もう片方にSDカードを入れて利用する事も可能ですし、どちらか一方のカードを両方に入れて使う事も出来ます。

バッテリー

Zバッテリーが採用され、1回の充電当たりの撮影可能時間は、実働動画撮影時は約115分、連続動画撮影時は約175分と長時間使う事ができます。

さいごに

映画の世界で使われてきたAPS-C(Super 35mm)センサーサイズのカメラに、大口径レンズを組み合わせることでシネマのスクリーンで見てきた印象的なぼけ描写とクリアな解像感での映像表現を、FX30で気軽に楽しむ事が出来ると考えると、とてもワクワクしてきます。今回お伝え出来なかった使用感や描写力に関して今後映像クリエイターの方にレビューしてもらいたいと思いますので、そちらも公開しましたら是非ご覧ください。

 

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