ソニー ミラーレスカメラとレンズの選び方(入門編)|桃井 一至

2025/3/15(土)に開催されるソニープロカメラマンセミナーでは、本記事でもレビューしている桃井一至さんが登壇してソニーフルサイズミラーレスカメラ”α”の魅力を紹介します。本記事をご覧頂き、更に深い理解を求められている方は奮ってご参加ください。セミナーの詳細は文末に記載しています。
はじめに。自分にあうソニーミラーレスを見つけよう
エントリーからフラグシップ、さらに派生モデルまで、豊富なソニーのミラーレス一眼。
購入を検討するにも種類が多すぎて目移りしてしまうはず。
ワクワクしながら探すのも楽しい半面、失敗のないお買い物をしたい…。
そんなときは近くのカメラのキタムラへ駆け込んで店頭販売員さんに相談するもひとつだが、その予備知識やオンライン購入でのナビゲートとして、ソニーカメラの選び方をご紹介していこう。
センサーサイズの違いを知っておこう
2025年3月現在、ソニーから販売されているミラーレス一眼は16種類(販売完了品を除く)。
お手頃価格帯から順に紹介すると、VLOGCAM ZV-E10、α6400、ZV-E10 II、α6700までがAPS-Cフォーマット(以下、APS-C)センサーを搭載した、最初の一台として扱いやすいモデル。
APS-Cセンサーは切手ぐらいのサイズのセンサーで光を受け止める。専用レンズなど含めても全体的に小型軽量に収まるのがメリットだ。
ちなみにスマートフォンはカメラに特化した高級モデルでも1インチサイズまで。1インチの面積はマイクロSDカードよりも小さく、APS-Cとは約3.3倍も違うため、画質や表現などに開きがある。
その上の価格帯に並ぶ人気の35mmフルサイズ(以下、フルサイズ)センサー搭載のα7シリーズやα9 III、α1 IIは、APS-Cサイズよりもさらに2倍ほどセンサーサイズが大きく、ボケを活かしやすい、超高感度に強いなど、さらに撮影者の意図する表現の幅に応じてくれるのが特長だ。
ソニーカメラは名前を読めば、個性がわかる!
話を戻そう。
製品名称の頭につく「ZV」は映像とともに明瞭な音質で収録できるなど、主に動画を楽しむかた向けの内容に仕立てられているシリーズ。ビデオカメラと静止画カメラを一台にまとめたような性格で、手軽に上質な映像や写真を撮るのに向いている。
一方「α」は静止画優先。こちらはZVのような背面モニターだけでなく、ファインダー(覗き窓)も搭載されて、明るい日中や望遠レンズでの撮影で使いやすいのが特長だ。いずれの製品でも動画、静止画ともに楽しめるが、軸足の置き方で個性を分けている。
製品個別の詳細はオンラインショップ各ページをご覧頂ければと思うが、ざっくり言うと価格に比例して、オートフォーカス、手ぶれ補正、連写機能の強化、映像の滑らかさなどが向上していく。
ちょっと背伸びして高みも目指すなら、フルサイズセンサー搭載の登竜門的存在、α7 IVやα7C II。動画重視ならZV-E1がおすすめだ。
α7シリーズはフラットトップのα7C系、中央にファインダーのあるα7系に大別され、両機ともに「R」の付く高画素モデルと表記のない標準製品が用意されている。そしてα7系のみ、唯一無二の超高感度に強い「S」が用意される。
高画素の「R」モデル、超高感度の「S」モデルのポテンシャルを活かすには、撮影対象に明確な目的を持つかた向けの作りで、どちらかと言えば、中~上級者向けのモデルと言える。
なお名称の最後に付くローマ数字は世代を示すため、各モデルともに数字の大きなほど新しく、予算が許すなら、改良ポイントの多い新型がいい。
このようにソニーのミラーレス一眼は種類が多くて目移りするが、性格分けされた製品と自分の撮影対象、使用用途、予算で絞り込んでいけば、おのずと限られてくるはずだ。
レンズキットはお得だけど、レンズ選びも楽しい
カメラが決まったら、次に迷うのがボディ単体かレンズキットでの購入だが、最初の一台目としてソニーカメラを購入するのならキットレンズとセットがおすすめだ。キットレンズは、日常的によく使う焦点域(写せる範囲)をカバーするズームレンズで、標準ズームレンズはほどよい広角から望遠で風景や日常などをしっかり残せる。ダブルズームでは望遠ズームレンズが加わり、運動会で子どもを大きく撮影したり、ポートレートで背景をぼかすなど表現の幅が広がる。いずれのレンズも手軽な扱いやすさがうれしいセットだ。
その一方で、撮影したい被写体(撮りたい対象)がはっきりしているなら、キットレンズセットでなく、ボディのみで購入。目的に応じたレンズを買うのがいい。
たとえば花撮影をメインに楽しむのであれば、小さなものを大きく撮るのを得意とするマクロレンズ。風景や屋内を広範囲に撮るのであれば、広角レンズ。1本でいろいろ楽しむなら高倍率ズームレンズ、スポーツや野鳥なら、超望遠レンズというように、コンパクトカメラやスマートフォンと違い、対象に合わせてレンズ交換ができるのが一眼カメラの醍醐味。
たとえるなら、キットレンズは身近で日常的に使いやすいコンビニ的なレンズ。高倍率ズームレンズは、何でも揃うデパート。マクロや超望遠レンズは、こだわりの専門店と言ったところだ。
レンズ名称の頭につく、EとFEの違いは、EがAPS-Cフォーマット向け、FEが35mmフルサイズ向けを示している。マウント(口金)形状は共通のため、互換性はあるが、Eレンズをフルサイズ機で使用すると1.5倍画角(写せる範囲)が狭まり、画像サイズも小さくなるので注意したい。
またα6400は、レンズ名称の最後に「OSS」(レンズ内光学式手ブレ補正機構)表記のあるものを選ばないと、手ブレ補正がないため暗いシーンや望遠レンズでは注意が必要だ。
ZV-E10II/ZV-E10はボディー内に動画専用の電子式手振れ補正「アクティブモード」が内蔵されているが、静止画中心に撮影するならα6400同様に「OSS」(レンズ内光学式手ブレ補正機構)表記のあるものを選ぶことをおすすめする。
それではソニーミラーレス一眼で撮った写真を見ながら、レンズを紹介していこう。
▼E 18-135mm F3.5-5.6 OSS

■撮影環境:焦点距離18mm 絞り優先AE(F8.0、1/500秒、-0.2EV) ISO100 太陽光
APS-Cフォーマット向けレンズで、風景から公園で遊ぶ子どもをアップで撮りたいなど、日常シーンを一本で済ませたいならこちら。適度な広角から望遠までの広範囲を一本でカバーする。
手ブレ補正機構も備えているので、屋内での撮影も安心。マクロレンズには及ばないが、接写も強く、旅など荷物を減らしたいが、しっかり撮りたい方にも向いている。
▼FE 20-70mm F4 G

■撮影環境:焦点距離20mm 絞り優先AE(F4.0、8秒、-0.3EV) ISO1600 AWB
スマートフォンの画角に比較的近いため、違和感なく親しみやすい感覚で使えるのが魅力。
20mmは灯台と星空も一緒に撮れるほど広範囲を取り込めるため、手前に岩を入れることで遠近感も強めてみた。星空はカメラにとって難易度の高い被写体。スマートフォンでは見えない部分も見えてくる。
▼FE 70-200mm F2.8 GM OSS II

■撮影環境:焦点距離91mm 絞り優先AE(F5.6、1/400秒、-0.5EV) ISO1600 日陰
F値が小さく明るいため、数多い望遠ズームレンズのなかでも定番の人気レンズ。サイズは少し大きめだが比較的軽量であるのと優れた描写性能が持ち味。滑らかで適度なボケ描写とαの優れた画像処理からうまれる空のグラデーションに魅了される。
なおGMとは、Gマスターの略。ソニーレンズのなかでも、特に優れた製品に与えられる称号だ。
▼FE 90mm F2.8 Macro G OSS

■撮影環境:焦点距離90mm 絞り優先AE(F2.8、1/25秒、+0.3EV) ISO100 太陽光
肉眼で見るのが難しいほど、小さなものの細部までしっかり写し出せるのがマクロレンズ。芯先や木目の質感まで際立つ描写を見せる一方で、ボケ部分の柔らかさも魅力。
90ミリはほどよい望遠で被写体と距離も保ちやすく、はじめてのマクロにおすすめ。マクロレンズはほかにも30mm,50mm,70-200mmと手厚いラインナップから選べる。
▼FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS + 1.4X Teleconverter

■撮影環境:焦点距離840mm 絞り優先AE(F10、1/250秒、+0.3EV) ISO800 曇り
遠くに見えるカワセミも超望遠レンズを通せば、目前に。
超望遠レンズは大きく重いのが一般的だが、本レンズは軽量で取り回ししやすいのがうれしい。
レンズ内手ブレ補正にも対応して、シャッターを押した瞬間だけでなく、ファインダーを覗くあいだも見やすい。毛並みの描写もほれぼれする。
▼FE PZ 16-35mm F4 G

■撮影環境:焦点距離35mm 絞り優先AE(F8、1/500秒、-1.5EV) ISO100 曇り
マイナス補正を強めに設定して、暗く落とし込むことでヘッドライトやボディへの映り込みと陰影を強調した。「PZ」はパワーズームの略。動画撮影時にほぼ無音で滑らかなズーム操作できるのがメリットだ。もちろん静止画にも使えて、ズームリングでの操作も可能。現在16-35mmは4種用意されるが、そのなかでもPZは本レンズのみの仕様だ。
▼FE 24mm F1.4 GM

■撮影環境:焦点距離24mm 絞り優先AE(F16、1.3秒、-0.7EV) ISO100 太陽光
ズームのない単焦点レンズは端的に言えば不便。しかし慣れると感覚的に画角を覚えて、構図決定時にスパッと決まれば気持ちがいい。選ぶコツはズームレンズでも再生時にDISPボタンを押せば、撮影した焦点距離が表示されるので、使用頻度の高い数値の単焦点レンズを選べばいい。水の流れが強調されるようスローシャッターで撮影。
▼FE 70-200mm F4 Macro G OSS II

■撮影環境:焦点距離138mm 絞り優先AE(F4、1000秒、-0.5EV) ISO100 AWB
ズーム付きの本格マクロレンズは構造が難しく、ほとんど存在しない。さらに手ブレ補正内蔵になると唯一無二の存在。単焦点レンズでは接写域の構図微調整は難しいが、ズームならば自由度が高まる。マクロ域で小さなものが画面いっぱいに広がるのは、違う世界を覗くようでクセになる。
▼FE 85mm F1.4 GM II

■撮影環境:焦点距離85mm 絞り優先AE(F1.4、1/100秒、+0.3EV) ISO1250 太陽光
ポートレートレンズとも呼ばれる85ミリ。リアルタイム瞳AFがしっかりピントを合わせる一方で、こめかみや肩のあたりは滲むように柔らかくボケていくのが確認できる。II型ではAFスピードも上がり、より快適な撮影が可能。家族や気のおけない友人を撮影するには、手にしたい一本だ。
【2025/3/15】桃井一至さん登壇の「α7R V、α7 IVの魅力を徹底解説!」
セミナーを開催
2025年3月15日(土)講師に桃井一至さんをお招きして、「α7R V、α7 IVの魅力を徹底解説!」をテーマにセミナーを開催します。その中で今回の記事で紹介したα7R Vとα7 IVの魅力や、様々なシチュエーションで”α”の高性能を活かすテクニックをお話しいただきます。普段から撮影されている方や、これから撮影を始めてみたいと考えている方にオススメのセミナーです
本セミナーは全国のカメラのキタムラ51店舗でライブ中継にて開催いたします。参加費は無料!講師への質問もできますのでこの機会にぜひお気軽にご参加ください。セミナー終了後、一部の店舗では普段取り扱いのない特別なカメラやレンズが体験できます。開催店舗をぜひご確認ください!
▼桃井一至氏メッセージ動画
【概要と申込み】
■開催日:2025年3月15日(土):桃井一至氏「α7R V、α7 IVの魅力を徹底解説!」
■開催時間:【第一部】11:00~12:00【第二部】14:00~15:00 ※一部、二部は同様の内容ですのでご都合の良い方にご参加ください。
■費用:無料
■場所:カメラのキタムラ ライブ中継先店舗(下記店舗一覧よりご確認ください)
■定員&申込み:希望店舗へお問い合わせ、ご連絡ください
■申込み期限:各開催日前日の店舗営業時間内
【店舗一覧】
募集状況や申込み、ご質問などは申込み希望店舗へお電話ください。
★の表記がある店舗では当日限定のラインナップでカメラやレンズの体験ができます。
■北海道:札幌/羊ケ丘通り店★
■北海道:札幌/元町店
■秋田県:秋田/広面店★
■山形県:山形/馬見ヶ崎店★
■山形県:米沢/金池店
■宮城県:仙台/泉店
■群馬県:太田/太田店
■茨城県:水戸/下市店
■埼玉県:鶴ヶ島/鶴ヶ島店★
■埼玉県:埼玉/狭山富士見店★
■埼玉県:熊谷/熊谷店
■埼玉県:埼玉/坂戸店
■千葉県:市川/北国分店
■東京都:新宿/北村写真機店
■東京都:東京/羽村店
■神奈川県:平塚/平塚店★
■山梨県:甲府/アルプス通り店
■静岡県:掛川/中央店
■静岡県:富士/市役所前店
■静岡県:浜松/柳通り店
■長野県:松本/並柳店★
■長野県:上田/上田店
■富山県:富山/掛尾店★
■富山県:高岡/鐘紡町店
■石川県:小松/小松店★
■石川県:金沢/有松店
■石川県:金沢/浅野本町店
■福井県:武生/武生店
■愛知県:豊橋/牧野店
■愛知県:豊川/諏訪店
■愛知県:一宮/中島通り店
■愛知県:名古屋/守山・今尻店
■三重県:四日市/西浦店★
■滋賀県:草津/野村店★
■京都府:京都/四条西院店★
■大阪府:河内長野/河内長野店
■兵庫県:姫路/英賀保店
■岡山県:岡山/東岡山店
■岡山県:岡山/下中野店
■島根県:松江/学園通り店
■広島県:広島/あけぼの店
■香川県:高松/高松南店★
■福岡県:福岡/ミーナ天神店★
■福岡県:久留米/上津店★
■福岡県:小倉/湯川店
■福岡県:八幡/折尾店
■大分県:大分/光吉店
■熊本県:熊本/東バイパス中央店
■宮崎県:宮崎/中央店★
■佐賀県:佐賀/南部バイパス店
■鹿児島県:鹿児島/中山バイパス店
【桃井一至さんプロフィール】
京都府生まれ。神奈川県在住。各種雑誌やカタログの撮影をはじめ、カメラ専門誌などで執筆。またテレビ出演、webレポートなど活動ジャンルは多岐に渡り、丁寧なテクニック解説にも定評がある。
・写真展:ヴォーリズ建築写真展「VORIES TIME」
・出版物:ソニー α7R & α7 FANBOOK (インプレス社)
・公益社団法人 日本写真家協会会員 正会員
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