はじめに
今回の記事で紹介する「構図」の更なる学びとなるよう、テーマに沿ってご応募頂いた写真の中から高橋良典さんからの寸評を次回の記事でご紹介します。応募方法は文末「寸評のご応募について」をご覧ください。皆さまからのご応募お待ちしております。
連載でお送りしている「風景写真の引き出しを増やす!」第4回目は「構図」編です。私たちが肉眼でものを見る時、それらは立体的に見えていますよね。一方、写真を見る時はどうでしょうか?プリントでもパソコンやスマートフォンの画面でも平面を見ているにすぎませんよね?そういう意味では写真や映像は立体や空間を平面に置き換えて表現をしているということになるわけです。そこで今回は平面での構成において重要な役割を果たす「構図」についてお伝えしてまいります。
構図の考え方
早速ですが、目の前の風景に感動して撮影したのに後から写真を見返してみると今一つ・・・という経験をしたことはありませんか?少なからず「ある」とお答えになる方がおられるでしょう。肉眼で風景を眺める時は漠然と広い範囲を見渡すことが多いのですが、それと同じように写真を構成するとただ単に広いだけでポイントの無い写真になってしまいがち。画面構成においてどう表現したいかということを考えながらフレーミングすることが必要です。
と言われても特に初心者の方はどうすればよいのか困ってしまいますよね。でも大丈夫!代表的な構図を頭に入れ、普段から意識するようにすればぐっと構成力が上がります。ここからはそれら「よく使う構図」を紹介していきましょう。
構図の種類
三分割構図
最もよく聞くのがこの構図と言っても良いでしょう。画面を縦横共に三分割にして、そのライン上にポイントを置くと構図のバランスが取りやすくなります。色々な構図がありますが、初心者の方は、まずこの構図を頭に入れて実践するのが良いでしょう。以下の4枚は赤いラインを意識してポイントを配置したものです。
二分割構図
画面を二つに分ける二分割構図は主役がどちらなのかが伝わりにくくなる傾向があり、マイナスに働くこともあります。(前述の三分割構図での「雲海」の写真のように)しかし画面を半分ずつ構成するのがダメなわけではありません。むしろ水面の映り込みなどでは、シンメトリーがより強調されますし、主役を強調したい時など、画面の中心線付近に主役を配置するとより強い印象で描く事が出来ます。
日の丸構図
この記事をお読みの皆さんの中に「日の丸構図は良くない」と思っている方がいらっしゃるのではないでしょうか?でもそんなことはありません。確かに日の丸構図は画面構成が単調になりがちで奥行感にやや乏しい構図だとも言えますが、被写体によって上手く使えば、そのシンプルさゆえに主役がストレートに目に飛び込んでくる作品となります。
三角構図
画面の中に三角形を描く事で奥行感を感じさせることが出来ます。地形や被写体の形が三角形になっている所を探すのはもちろん、広角レンズの上すぼまりや下すぼまりの特性を生かして三角形を作り出しても良いでしょう。
対角線構図
被写体を対角線に沿わせるように配置する構図は無駄のない画面構成や奥行感の演出(視線誘導)にも有効で前後対比の構図としても使えます。対角線とは言いますが厳密に対角である必要はなく概ねで構いません。
S字構図
曲線を画面に取り入れると奥行感の表現が出来るのですが、地形や物の形がS字状や曲線状になっている必要があり、被写体に依存すると言えます。
放射状構図
画面内の1点から線が放射状に出ている。もしくは1点に集まっていくように見える構成です。
トンネル構図・額縁構図
トンネル構図というくらいですから周りが暗く、向こう側の明るい所に主役を探しましょう。その明暗差が画面に奥行きを生み出してくれます。そのような場所を見つけられるかどうかがカギですが、そう頻繁にあるものでもなく、根気強く探すことが必要です。
パターン構図
自然界には規則正しく模様が並んでいるような被写体があります。結構色々なところに有りますので見つけてみて下さいね。そのリズム感を損なわないよう画面の四隅まで気を配ることがポイントです。
まとめ
ここまで代表的な構図を紹介してきましたが、もちろん上記に当てはまらない構図もたくさんありますし、定番をベースにアレンジしたり、いくつかを組み合わせたりと行きつくところ構図に関しての発想は無限で決まりがありません。
定番構図は上手く画面構成する上で大きな手掛かりとなるものですし、まとめるのが上手くいかないと悩んでいる人にとって大いに参考になるものですので頭に入れておくと良いのですが、そればかりだと個性がなくなってしまいます。ですので、自分の中に「こう撮りたい!」と明確なアイデアが浮かんでいる場合は、定番の構図に当てはまらなくても全く構いません。
それらにとらわれることなく是非、自由な発想でも撮影をしてみて下さい。そうすれば思わぬ自分のセンスに気付くことが出来るかもしれません。その上でもし余裕があれば定番構図でも押さえると良いでしょう。最後に構図について一言でまとめると・・・
「定番構図は重要。しかし自分の意思が最優先!」
の気持ちで作品作りに取り組んでくださいね。最後までお読みいただきありがとうございました。
寸評のご応募について
今回の「風景写真の引き出しを増やす!|その4:構図 編」で紹介している構図で撮影した風景写真をテーマに、これはうまく行った、逆にうまく行かなかったと感じる写真がありましたら是非その時の状況と合わせて編集部に投稿してみませんか。ご投稿頂いた写真の中からいくつかの写真に対して高橋良典さんが寸評を行い、次回の記事で掲載する事を予定しています。皆さまの風景写真の学びの機会にご活用頂ければと思います。
・お一人さま1点までのご投稿でお願いします。
・応募締め切りは2023年2月8日(水)迄となります。
・過去に撮影した写真でも応募できます
・応募ページにある規約をご確認の上、ご応募をお願いします。
応募ページはこちら
https://pro.form-mailer.jp/fms/cb867ae4273438